シャア・アズナブル

登録日2011/04/01 Fri 17:03:07
更新日2025/08/17 Sun 14:17:18NEW!
所要時間約 43 分で読ませてもらおうか





勝利の栄光を、君に!



『機動戦士ガンダム』の登場人物。
CV:池田秀一田中真弓(THE ORIGINの少年時代)、小西克幸(ガンダムさん)、関俊彦(バトローグ、THE ORIGINの本物)、新祐樹(Gundam GQuuuuuuX)

所属:ジオン公国軍→地球連邦軍→反地球連邦組織 エゥーゴ→新生ネオ・ジオン


【概要】

シャア・アズナブルは、ガンダムシリーズに登場する架空のキャラクター。初出はアニメ『機動戦士ガンダム』。ジオン公国軍のエースパイロットであり、主人公アムロ・レイの宿命のライバル。『機動戦士ガンダム』における赤い専用モビルスーツから「赤い彗星」の異名を持つ。常に素顔を隠す仮面、不敵な態度、圧倒的な存在感は、ゼクス・マーキスグラハム・エーカーなどのガンダムシリーズにおけるライバルキャラクターの原型となった。

【人物と性格】

本名はキャスバル・レム・ダイクン。ジオン・ズム・ダイクンの遺児で、妹はセイラ・マス(アルテイシア・ソム・ダイクン)。

シャアは、常に冷静沈着な仮面を被り、優れた洞察力と指揮能力を持つ人物として描かれる一方で、その内面には激しい情熱と葛藤を抱えている。
富野由悠季による小説『密会 アムロとララァ』では、アムロがシャアに接触した際、彼の意識から未来を考えない衝動的な覇気を感じ取り、現実で遊ぶ彼を矯正することは不可能だと結論付けた。アムロは、ニュータイプとして覚醒したシャアであれば、本当に倒すべき相手であるザビ家(ギレン・ザビかキシリア・ザビのことだと思われる)を討たなければならないということを理解しているはずだと思っていたにも関わらずである。
一方、富野由悠季による小説版『機動戦士ガンダム』では、シャアは宇宙世紀の行く末を見通す大人物として描かれており、本編とは異なる、より成熟した姿が提示された。

作中で見せる冷徹な軍人としての顔とは裏腹に、妹や年下の仲間、あるいは尊敬する上官が近くにいる時期には「面倒見の良い兄貴分」としての一面が前面に出る。これが人間的な魅力の一つである。

小説版『機動戦士Zガンダム』では、日本語が苦手であるという設定が明かされている。宇宙世紀における共通言語は英語が主流だったと考察されており、日本語由来の単語に苦労する描写が描かれている。

【機体と3倍の速度】

彼の代名詞である「赤く塗られた専用機体」は、アニメーション制作上の都合が背景にある。実際の塗料は厳密に管理されており、余りが出るといったことはない。赤いパイロットスーツを着たシャアとモビルスーツの色が同化しないように、モビルスーツの方は意図的にピンクにされたとされている。また、新聞等の白黒画像で宇宙の背景と同化しないように、赤ではなくピンクが選ばれたという説もある。

【一年戦争当時の階級】

『機動戦士ガンダム』でシャアが左遷された後、中佐、大佐へと異例のスピードで昇進したのは、「シャア少佐」という呼称が声優の永井一郎氏にとって発音しにくかったことが一因。この事実は、後に『機動戦士ガンダムUC』の公式Twitterでも明かされている。

【名前の由来と影響】

名前はシャンソン歌手のシャルル・アズナヴールに由来する。

キャラクター造形は、『勇者ライディーン』のプリンス・シャーキンや『長浜ロマンロボ三部作』に登場したプリンス・ハイネルなどの美形悪役の系譜を受け継いでいる。当初は声優の市川治が打診されていたが、プロデューサーの推薦で子役出身の池田秀一に決定。この配役が池田の声優キャリアを決定づける運命的なものとなった。

【劇中での活躍(サンライズ公式設定)】

〇U.C.0079「一年戦争


ジオン建国の父であるジオン・ズム・ダイクンの遺児であるキャスバル・レム・ダイクンはザビ家への復讐を誓い、シャア・アズナブルを名乗りジオン公国軍へ入隊した。彼は単なる復讐ではなく、父の理想であるスペースノイドの自治と独立に共感していたため、連邦に亡命することは無かった。小説版『機動戦士Zガンダム』によれば、毒ガス攻撃に嫌悪を抱きながらも、父の名を冠した国を自らの手で滅ぼすことを嫌い、ジオン側として戦ったとされている。

ザビ家への復讐を謳いつつも、シャアが殺害したのはガルマとキシリアの二人だけであり、ガルマ個人には恨みを持っていなかった。

小説『密会 アムロとララァ』では、ガルマの死後、地球を流浪していたシャアがカバスでララァ・スンと出会い、ニュータイプ論を信じるようになるまでの過程が書かれた。ア・バオア・クーでの最終決戦にてようやくニュータイプとして覚醒するものの、時すでに遅く、アムロ・レイと和解はせず殺し合うこととなった。彼はアムロやセイラに背を向け、ザビ家で成人している唯一の生き残りキシリア・ザビを殺害することで、一年戦争の戦いに終止符を打った。

〇U.C.0087「グリプス戦役


シャアは一年戦争後、小惑星アクシズに身を投じていたが、非合法な戸籍を取得し、地球連邦軍大尉クワトロ・バジーナとして地球圏に戻った。彼は反地球連邦組織「エゥーゴ」の立ち上げに参加する。小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(後篇)』によれば、クワトロという偽名を騙ったのは、アムロ・レイへの接触、ザビ家残党の統合をして打倒地球連邦政府を目指すためでだったとされる。
また同小説によれば、アクシズから出奔したのは、ミネバを守る女性たちの造反騒動に厭気がさしたためと解説されている。

彼は、エゥーゴの首領ブレックス・フォーラの部下としてパイロットの立場に甘んじていたが、ブレックスが暗殺された際は慟哭した。また、カミーユ・ビダンのニュータイプとしての素質に気づき、導こうとする。しかし、ミネバやハマーンなどのアクシズの人間が登場する頃には板挟みの状況になり、苦悩する姿も描かれた。

この頃、シャアはレコア・ロンドハマーン・カーンといった過去に仲間であった女性たちに悩まされる。ジャブローで敵兵からいやらしい扱いを受けたレコアにはフォローが出来ず、ハマーンの思想はシャア自身の強い影響を受けていた。

最終的に、ティターンズとパプテマス・シロッコを打倒した後、シャアはエゥーゴからも去る決断を下す。初期案では、シャアは物語後半でアクシズに戻り、ハマーンをパートナーとしてラスボスとなる予定であった。しかし、アムロの死がフラグであったため、この構想は回避された。

次作の『機動戦士ガンダムZZ』の本編には登場せず、放送前の富野由悠季監督のインタビューやオープニング映像、第一話のナレーションなどの出番のみ。
『ZZ』の時期は、シャアがミネバ・ラオ・ザビを争いから遠ざけるために保護していたという設定で、ハマーンはミネバの影武者を用意する必要性が出るなど、間接的な影響を与えている。

〇U.C.0093「第二次ネオ・ジオン抗争」


ハマーン・カーン亡き後、シャアはネオ・ジオン軍を再編し、「新生ネオ・ジオン」の総帥となった。難民収容コロニー「スウィート・ウォーター」の救世主として住人に祭り上げられたシャアは、ダイクンの遺児としてザビ家、ティターンズ、ハマーンなどを糾弾しながら、戦争をこれ以上起こさないため、地球へアクシズを落としアースノイドの粛清を提唱した。

彼は「人類をニュータイプにするには、宇宙に上げる必要がある」と主張し、「地球寒冷化作戦」を発動。手始めに小惑星フィフス・ルナを地球に落下させ、ラサの住人の大虐殺と地球環境の破壊を敢行した。さらに、地球を死の星に変えるため、アクシズとルナツーの核兵器を強奪。連邦と降伏条約を締結しテレビ放送まで行ったが、それは騙し討ちの布石であった。

アニメ『機動戦士Ζガンダム』での演説において、アースノイドを地球に巣食う寄生虫と明言したように、その行動の根底にはアースノイドへの蔑視があった。また、アムロ・レイとの決着への拘りもあった。ナナイ・ミゲルに「アムロを見返したいがための行動」と揶揄された通り、彼はνガンダムの性能を上げるために、自身の開発したサイコフレームを提供したと、小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(後篇)』で解説されている。同小説では、サイコ・フレームを提供したのは地球を汚染する自分を止めさせるために、それをアムロに託したという部分も明言されている。

最終的にシャアは、自身の開発したサイコ・フレームにアムロと共に意思を吸われて死亡するが、アクシズ・ショックが起きて地球からアクシズが弾き返されて作戦は失敗に終わった。

シャア、アムロ双方は1988年に封切りされた映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を特集した同年の月刊ニュータイプ誌でアムロもシャアも死んでいくと予告されていた。やはり、1989年に出版された富野原作の小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』においても、アムロとシャアの両者は死亡したという扱いとなっている。
1989年の時点でサンライズ準公式設定でアムロ、シャア双方が死亡したということである。

〇U.C.0096「ラプラス戦争」

作品:機動戦士ガンダムUC(アニメ版)

今作では、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の決戦以後、アムロとシャアは行方不明となり生死不明という扱いである。シャアの再来と称されたネオ・ジオン残党組織「袖付き」の首魁、フル・フロンタルが登場する。
フロンタルの正体は、ネオ・ジオンの結束強化を目的としてジオン共和国外務大臣モナハン・バハロが用意した強化人間であり、シャア本人でもクローンでもなかった。しかし、自我を消されたその身体に、高次元のフィールド「全体」に溶けたシャアの残留思念が取り憑いていた。

フロンタルはシャアの残留思念による影響か、本人しか知り得ることのないア・バオア・クーでの決戦の事なども詳細に覚えており、作者の福井晴敏はそんなフロンタルを「シャアを演じる事を求められた空っぽの器にシャアの亡霊が取り付いた姿」と説明している。

原作である小説『機動戦士ガンダムUC』と異なり、全体に溶けたアムロ、ララァ、シャアの残留思念が出てきて、フロンタルに取り憑いていた方のシャアの残留思念を迎えに来た。同作でもストーリーを担当した福井晴敏は彼ら3人については、「もしかしたら生霊かもしれない」と説明、解釈の幅をもたせたのだとウェブサイト「アニメ!アニメ!」のインタビューで答えている。

〇U.C.0097「不死鳥狩り」


今作は、主人公ヨナ・バシュタの視点から物語が展開する。U.C.0085年に強化人間の養成を受けていたヨナが、U.C.0097年に連邦軍人として、幼なじみであるリタ・ベルナルの思念が宿ったガンダム・フェネクスを追いかけるという2つのパートを反復する構成である。

シャアはU.C.0085パートに登場し、ダカール演説でティターンズの蛮行を糾弾する姿が新規に描かれている。

〇U.C.0105「マフティー戦争」


原作小説では、アムロもシャアも死亡したと明言されているが、今作ではそこらへんの説明は省かれている。シャア本人は登場しないが、ハウンゼンでギギ・アンダルシアがタブレットでネットニュースを見ている際に、演説でのシャアやハサウェイ・ノアの回想でロンデニオン・コロニーでアムロと格闘するシャアの姿が新規に描かれた。

〇U.C.0200年代

作品:ガイア・ギア(小説版)

シャア本人は既に死亡している。しかし、シャアの意思は健在である。シャアは生前の彼の体細胞を分割し、再活性化する実験で生まれたクローンであるアフランシ・シャアの深奥の意思として存在している。

小説『ガイア・ギア』は、アニメ『機動戦士ガンダムZZ』の放映が終了した1987年から執筆が開始した。この時点では、劇中でスペースノイド独立運動の伝説的巨人として語り継がれているシャアが何をやったかは詳細不明であった。
翌年に公開された映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の設定を取り込むことで、シャアのバックボーンを補完した。シャアの新生ネオ・ジオンの創設やシャアの反乱はジオン残党に祭り上げられたが故に彼らに応えるべくして引き起こされたものと言い伝えられているなど、映画と徳間書店から発売された小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の描写に忠実な内容となっていて、シャアがニュータイプとしての才能と彼の人徳により地球を汚染しそうになった隕石「アクシズ」の地球への激突を回避して死亡したという部分も映画と小説のあらすじそのままである。

アフランシ・シャアを作り出した組織ズィー・機関は、シャア・アズナブルの意思を再現しようと行動しており、最終的に第二のシャアであるアフランシにより、地球保全を万全にした連邦政府を構築するという計画シャア・コンテニュー・オペレーションが進めていた。

彼の頭部には、膨大な情報量を収めたセル・チップスがある。セル・チップスが共振、目覚めることで、アフランシに恐竜の絶滅といった過去の記憶の集ったものを視覚現象として見せるのである。

小説の連載版では、最終的にアフランシはビジャン・マハを掃討し、許嫁のエヴァリー・キーを迎える所で話は終わっている。加筆された文庫版では、アフランシにより、エヴァリーが子供を身籠もり、家族3人で汚染された地球を生きていく事となった。

【劇中での活躍(サンライズ準公式設定)】

〇U.C.0087「グリプス戦役

作品:機動戦士Ζガンダム(ゲーム版)

今作のエンディングでは、ハマーンとの激闘を生き抜いたシャアがカミーユの精神崩壊を感じ取り、直後に場面が飛んで『逆襲のシャア』でのスウィート・ウォーターにおける武装蜂起シーンへ繋がる場面があり、カミーユの精神崩壊がシャアの行動に影響を与えたのかもしれないという独自解釈を提示している。

〇U.C.0080「アクシズへの脱出」

作品:機動戦士ガンダム 最期の赤い彗星(ゲームブック)

ア・バオア・クーを脱出したシャアは、グワジン級戦艦「アサルム」でグラナダを目指すも、黒いザンジバルとガッシャの襲撃を受ける。人員不足に苦戦する中、仲間思いのアポリーに促され、単身グラナダへ向かった。

グラナダに到着後も追撃を受けながら、キグナンと接触し、アクシズ行きを決断する。しかし、そこで現れた無人機ドワッジを辛くも撃破し、敵のわずかな手がかりである採掘基地「カラコルム6」へと高機動型ザクで向かう。

激闘の末、強大なニュータイプが操るアクト・ザクとガルバルディを撃破するも、アクシズ行きの最終便に乗り遅れ、ザクも失ってしまう。しかし、生きていたアポリーの機転によりアサルムに拾われ、無事アクシズへと旅立つことに成功した。

〇U.C.0090「ダンジダン将軍との接触」

作品:機動戦士ガンダム シャアの帰還―逆襲のシャア外伝―(ゲームブック)

ネオ・ジオン再編のため、シャアはジオン残党のダンジダン・ポジドン将軍との接触を図る。しかしその過程で、記憶操作された強化人間ユマ・カザマが操る、ティターンズ製のサイコミュ搭載MS「ノクチュルヌ」に狙われることとなった。

将軍の協力は得られたものの、彼はノクチュルヌとの戦闘で戦死。シャアはノクチュルヌ撃破後にユマを保護しようとするが、彼女は自我崩壊を起こしてしまう。彼らの犠牲を目の当たりにしたシャアは、人類の粛清を改めて誓うこととなった。

〇U.C.0090「ザビ家の復讐装置追跡戦」


ネオ・ジオンを旗揚げしたシャアは、決起のために資金、人脈、戦力の確保に奔走していた。部下のアルレット・アルマージュから「貧しい大佐のネオ・ジオン」と揶揄されるほどに組織は小さい時期であった。そういった環境もあり、自らテストパイロットや前線での襲撃をこなしていた。

この時期、シャアの率いる新生ネオ・ジオンは旧ジオン公国が遺した生物兵器「アスタロス」を戦力として確保しようと活動していた。しかし、シャアは最終的にはこれを破壊する側に回った。また、シャアはアスタロスが散布されれば、アムロが前線に出てこなくなることも危惧していた。

レッド・ウェイラインがジョニー・ライデンに戻るため、その記憶の封印をイングリッド0が解除する事象を感知。これは、彼女の乗るヘビーガンダムにZガンダムから移植されたバイオ・センサーが搭載されており、そのバイオ・センサーにカミーユ・ビダンの思念が残っていたためだと感じ取った。

〇U.C.0091「伝説巨神の復活」


シャアは、ネオ・ジオンの部隊を率いて、木星圏にいたジュドー・アーシタアムロ・レイらと合流。
彼らと協力して巨神の撃退を行う。
その後、ミネバ・ラオ・ザビの家族となったジュドーに彼女の未来を託し木星からアクシズへと帰還する。

【劇中での活躍(パラレル設定)】

〇U.C.0079「一年戦争」

作品:機動戦士ガンダム THE ORIGIN(アニメ・漫画)

今作では、シャアも含め舞台設定や機体設定などがアニメ『機動戦士ガンダム』と異なるパラレルの設定となっている。今作では、本物のシャア・アズナブルの身分を借りることで暗殺を逃れ、以降はシャアとして生きることになったという設定である。

また作者の安彦良和は、国を取り戻すことなく簒奪者を殺すだけの行動から、シャアを「狂気の男」と再解釈している。

機動戦士Gundam GQuuuuuuX


「モビルスーツの迎撃には、私が出る!」

『THE ORIGIN』と同様に今作はパラレルワールドの話だが、今回は別世界のララァがシャアを死なせないために世界を創造している、シャアがガンダムに乗り込むなど大幅に設定がアレンジされている。

ジーンの代わりに自らサイド7へ出撃したシャアは、連邦軍の新型MS「ガンダム」を発見し、これを強奪。ガンダムは赤く塗装され、 アルファ型サイコミュとビットを搭載、ソロモン会戦で大活躍を果たすが国力で勝る連邦軍の前に互角に持ち込むのがやっとであった。

連邦軍の捨て身の作戦により、ソロモンをグラナダに落下させる計画が実行される。シャアは部下を帰還させた後、ザビ家への復讐のため、ソロモン内部に設置した爆弾の信管を抜き去る。しかし、そこで妹アルテイシアが乗るMSと遭遇。攻撃を躊躇した隙にソロモン内部の崩壊に巻き込まれ、そこで発生した「ゼクノヴァ」という謎の爆発と共に赤いガンダムと共に行方不明となった。

その後、シャアは「シロウズ」と名乗り、開発現場に身を潜めていた。彼は5年の間に自省し、ジオン・ズム・ダイクンが理想とするようなニュータイプ論を語り、キシリアの地球粛清を拒否する。ここでいうニュータイプ論は、富野由悠季の小説『機動戦士ガンダム』で語られたジオンのニュータイプ論とほぼ同一の物である。

赤いガンダムに再び搭乗したシャアは、キシリア・ザビを殺害。シャアは戦友シャリアと再会する。しかし、シャリアはシャアが将来的にキシリアのような粛清へと走る可能性を危惧しており、ジオンの未来のために彼を排除すべく攻撃を仕掛ける。二人の戦闘は相打ちに終わり、共に生還した。シャリアから「これからどうするのか?」と問われたシャアは、「貴様に殺されずに済むような人生を探してみるか」と答え、ガンダムのコア・ファイターでどこかへと飛び去っていった。その後、彼は地球へと渡り、地球の難民キャンプを訪れ、ララァ・スンと出会う事が掲示されてシャアの物語は終わる。

【劇中での活躍(宇宙世紀以外の作品)】


〇SDガンダム


SDガンダム外伝シリーズでは、謎の仮面の騎士シャアとして登場した。その正体は、かつて闇の皇帝ジークジオンに呪いをかけられて獣人にされたユニオン族の騎士であり、行方不明となった騎士セイラを探すために「三種の神器」を求めていた。

ラクロアの勇者編: OVA版では不意打ちを得意とし、騎士ガンダム一行やジャイアントジオングなど、数々の相手に勝利を収めた。サタンガンダム撃破後は協力を申し出るが、サタンガンダムの遺体がブラックドラゴンに変化した際には、いち早くその場から逃げ出したのではないかという疑惑も持たれている。

伝説の巨人編: 騎士ガンダムの味方として参戦し、正体を隠すため百式をモチーフとした黄金の鎧をまとい、黄金の騎士として活躍。サイコゴーレムやジークジオンの撃破に貢献するなど、アムロ以上に活躍した。

聖機兵物語編・機甲神伝説編: ジークジオン撃破後は、復活を予期して軍師クワトロとしてネオジオン族に潜入。映画版ではGP02を捕獲するなど、裏切ったかのような振る舞いを見せるが、ジークジオンの復活後は正体を明かし、アムロと共に戦う。この時のシャアは、逆シャアバージョンの衣装をアレンジした姿で、アムロと共闘するという、ファンには感涙もののシチュエーションが描かれた。

また、スダ・ドアカワールドのシャアとセイラはこれが本名であり、OVA版ではシャアがセイラを探す場面も描かれた。ララァとの関係は曖昧で、OVA版ではララァに「知ったことか!!」と叫んで斬りかかる衝撃的な場面もあったが、これはシャアが悪人だからではなく、ララァが味方を攻撃しようとしたためである。

この世界のシャアは、王家や貴族の出ではないため、血縁や因縁に縛られることなくアムロと同じ道を歩むという、本編では見られなかった姿を披露した。

〇SDガンダム

作品:SDガンダム列伝 ガンダム騎士団

『SDガンダム列伝 ガンダム騎士団(パワーズ)』では、首から下がサタンガンダムであり、その正体がデビルスペリオルである**「闇の盟主シャア」**がラスボスとして登場した。

このキャラクターは外伝世界の騎士シャアとは完全に別人だが、騎士シャアと同じ顔を持ち、腕から触手を伸ばしてノーベルを操る姿は非常に衝撃的であった。

〇『ガンダムビルドファイターズ バトローグ』

第1話では、一年戦争時代のシャアの疑似人格AIが登場し、リボンズおよびアムロの疑似人格AIと戦いを繰り広げた。

リボンズとアムロがオリジナルの声優である古谷徹が担当しているのに対し、シャアの声を担当したのは池田秀一ではなく関俊彦あった。そのため、このAIは『THE ORIGIN』に登場するキャスバルではなく、本物の「シャア・アズナブル」を元にしたと解釈できるものとなっている。


【名台詞】


「認めたくないものだな。自分の若さ故の過ちというものを」
アニメ『機動戦士ガンダム』第1話「ガンダム大地に立つ!!」で発言。
彼の若き日の一面を象徴する台詞。作中では部下のミスを責めず、自身の未熟さを認めるかのように口にした台詞だが、若さゆえの焦りや過ちがこの時期のシャアにあったことを示唆している。

「見せて貰おうか。連邦軍のMSの性能とやらを!」
アニメ『機動戦士ガンダム』第2話「ガンダム破壊命令」で発言。
ライバルであるガンダムの性能を冷静に評価しようとする、彼のエースパイロットとしてのプライドと探求心を示す台詞である。

「戦いとはいつも二手三手先を考えて行うものだ」
アニメ『機動戦士ガンダム』第2話「ガンダム破壊命令」で発言。
一見すると優れた指揮官の言葉だが、実際は補給を待たずに出撃した部下を叱責する際に放たれた台詞である。
肝心のシャアは「一手先は読んでいない」とファンから指摘されるくらい思いつきで行動しがち。『ガンダムさん』でもネタにされた。

「当たらなければどうということはない!」
アニメ『機動戦士ガンダム』第2話「ガンダム破壊命令」で発言。
ビームライフルを恐れる部下を叱咤する際に放たれた台詞だが、直後に部下が被弾して撃墜されたことで、シャア自身が「当たったら終わり」という現実に直面する場面となった。

「坊やだからさ」
アニメ『機動戦士ガンダム』第12話「ジオンの脅威」で発言。
ガルマ・ザビの死を語る際に使われた有名な台詞。嘘の情報に踊らされたガルマを指しているだけでなく、復讐心と友情を天秤にかけ、復讐を選んだ自分自身への自嘲の意味など、多義的な解釈も可能となっている。

「足は付いていない」
アニメ『機動戦士ガンダム』第42話「宇宙要塞ア・バオア・クー」で発言。
ジオングに足がないことを指摘した整備兵リオ・マリーニに対し、平然と返した台詞。「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」というリオの返答と合わせて印象に残る。


「私は、君を殺す」
アニメ『機動戦士ガンダム』第43話「脱出」で発言。
ア・バオア・クーでお互い機体を失って、生身で対峙した際の台詞。

「地球が保たん時が来ているのだ!」
映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で発言。
地球にフィフス・ルナを落下させる際の台詞。人類全部をニュータイプにする彼の思想を象徴する台詞です。これに対しアムロは「エゴだよ、それは!」と返しており、二人の思想の対立が凝縮された場面となっている。

【Gジェネレーションシリーズ】

ゲーム『SDガンダムGジェネレーションシリーズ』では、作中での扱いと初代ライバルとしての格から、戦闘パラメータや指揮・魅力がトップクラスであることが多い。
特に『GジェネF.IF』以前は、アムロと並んで非常に強力なパイロットとして設定されていた。ニュータイプ至上主義のゲームシステムも相まって、彼の格闘値は東方不敗マスター・アジアをも上回るほどだった。
『GジェネNEO』以降は、その極端な強さは抑えられたが、依然としてリーダー向きの強力なパイロットとして活躍している。アビリティシステムが実装されてからは、赤い機体に乗ると強化される「赤い彗星」といった専用スキルを習得するなど、ゲーム独自の要素でも彼の強さが表現されている。

【スーパーロボット大戦シリーズ】

『スーパーロボット大戦シリーズ』では、シャア・アズナブルとして登場する場合、敵として登場することが殆どである。特に「逆襲のシャア」が参戦する作品では、終始主人公たちの前に立ちはだかる。
『IMPACT』や外伝の『バトルロボット烈伝』では、ラスボスの座を務めるなど、その存在感の大きさが描かれています。
『スーパーロボット大戦D』: この作品では、シャアがアクシズ落としをほぼ成功させる直前までいくものの、突如発生した地球の異常事態により作戦が失敗。軍が半壊し、外交も行き詰まるという最悪の状況に陥りった。このため、パイロットとしてではなく、指揮官・指導者としての苦悩が深く描かれた。ネオ・ジオンに戻ってからアムロやブライトと共闘せざるを得ない状況で、指導者として奮闘する姿は原作では見ることが出来ない光景である。
『第3次スーパーロボット大戦Z』:この作品ではフル・フロンタルは原作とは異なりクローンであった(原作ではシャアの残留思念が取り憑いたシャア似に顔を整形した強化人間)。今作ではフロンタルが悪役として描かれ、シャア自身は「良い人」として描かれ、アムロと共にフロンタルと戦うという見どころのある展開となった。

VXT三部作: 『V』では故人として思惟で登場し、フロンタルに後を託す形で成仏します。続く『X』『T』では大ボスとして登場しますが、カミーユや若い世代との交流を通じて、異世界でライバルと共闘するなど、新たな側面を見せた。

【ギレンの野望シリーズ】

シリーズ全作品に登場し、プレイヤーの選択によって様々な立場で活躍する。

ジオン公国軍: ジオン軍では数少ないニュータイプとしてエースパイロットを務める。ただし、イベントに左右されることが多く、部下が戦死したり、途中でエゥーゴに転向したりと、その行動は固定されがちである。一方で、「正統ジオン」のシナリオでは一貫して自軍に残り、エースとして活躍する。

ネオ・ジオン(キャスバル):「ネオ・ジオン(キャスバル)」シナリオでは、仮面を脱ぎ捨てたキャスバル・レム・ダイクンとして総大将となる。ララァやシャリアと共にニュータイプの未来のために戦うという、独自の展開が楽しめる。
カオスプレイではホワイトベース隊とネオ・ジオンのメンバーが共存するカオスな部隊編成も可能。

ネオ・ジオン(逆シャア): 逆シャアシナリオでは、総大将として登場。連邦軍の量産機に苦戦を強いらるが、展開次第で専用機「サザビー」の開発プランが追加されたり、仲間が増えたりと、独自のIFルートが楽しめる。

「追記・修正されなければどうということはない!」

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最終更新:2025年08月17日 14:17

*1 以下、ギャプランから量産型キュベレイまでのMS(+リック・ディアス)はゲームブックで搭乗する可能性のあるMSであり、選択肢次第では乗らない可能性もある

*2 トニーたけざきのガンダム漫画における一発ネタ。妙に武装が盛られている

*3 以下、ゾゴジュアッジュ、ビット、ザクポンは『機動戦士ガンダムさん』における一発ネタ系。ただしゾゴジュアッジュは見た目の特徴から「まさか!?」とカイとセイラが言うだけに留まっているが、後にシャアが開発に携わったことは明かされている。ザクポンはそもそもダンボールで作ったコスプレでしかないのだが、キシリア様がMSだと言うんだからきっとMSである。大切なのはMSと言い張る勇気。

*4 以下、ヅダから名称不明のMSまでは『GQuuuuuuX』においてララァ・スンが作り出した並行宇宙での乗機としてイメージ映像のみの登場。