機動戦士ガンダムSEED ASTRAY

登録日:2011/07/20(水) 02:54:22
更新日:2024/12/08 Sun 23:02:18
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ASTRAY(王道ではない)
それは、もうひとつのガンダムSEED!!


※この項目では「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY(アストレイ)」という作品を平均的に紹介、解説する。
というのもASTRAY自体が、コミック、小説、模型誌、ゲーム、アニメ(広告用PV)と多岐に渡りメディア展開されており、それぞれが違ったストーリー展開をしているため。



【概要】

TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』と連動したスピンオフ企画。
企画の開始時はライトノベル雑誌の「ザ・スニーカー」、漫画雑誌の「少年エース」「ガンダムエース」、模型誌「電撃HobbyMagazine」での4誌で並行連載された。
でもってすべてのシナリオを「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」などの宇宙世紀を題材としたゲーム、漫画のシナリオを手掛けてきた千葉智弘氏が手掛ける、といういささかぶっ飛んだ企画。
本編である『ガンダムSEED』を補足し、その裏側で起こった出来事を外伝として描いている。そのため、王道(本筋)でないという意味を込めて「ASTRAY」と付けられた。

ASTRAYは本編を叩く人達からも一定の評価を得ていた。(逆に蛇足などと考える人も居るがコンセプト上仕方ないだろう)
模型誌で展開していたことや主役機であるアストレイの評価の高さなどもあり、特にプラモデルファンからの評価が高い。


また、ガンダムの外伝作品の中でも「機動戦士クロスボーン・ガンダム」等と並び、高い知名度を持ち、人気もあった。
なお、広告用PVとして短編映像化されはしたが、TV、OVA、劇場用作品、ネット配信のいずれもなされておらず、今もファンからちゃんとした映像化の要望が多い。
一応、別の外伝作品である『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』のセルディスク特典にて収録されている。*1


……と、かつては評価は高かったのだが、
『SEED』が休眠状態となり『00』へと世代交代してからも模型誌などとの連動のためかシリーズが続けられ、
またシナリオ担当の千葉氏は『00』の外伝企画も並行して手掛けるようになり、ガンプラ展開が既成キットの色替え・パーツ追加ばかりと中途半端な状況にもなり、
その頃の『FRAME』『VS』あたりはシナリオ上のツッコミどころや矛盾点が増えた*2、連載時は最終話の展開が尻切れ気味、
転用ありきで賛否の分かれるデザインのMSが多すぎる、その前の『Δ ASTRAY』で限界だった、という評価が増加。
幸い『DESTINY ASTRAY R/B』ではやや持ち直した感じもあるが、『SEED』の放送終了から時間が経ち、シリーズの展開が本作だけ、という状況もあり全盛期ほどの勢いは無い。
とはいえ、比較的商品化にも恵まれておりゲームでも度々客演が見られている。


【シリーズ一覧】

無印とも。
「ザ・スニーカー」連載の小説と「ガンダムエース」連載のときた洸一による漫画版があるが、それぞれ別のエピソードを扱った作品。
基本的に前者は劾、後者はロウが主役。

「少年エース」で連載されたロウとレッドフレームの活躍を暑苦しく描いた劇画作品。
作者は漫画版「スクライド」の戸田泰成氏であり、氏は以後もガイドブック掲載の読み切り漫画を主に手掛けるようになる。
ちなみに前者の漫画版とは重複しているエピソードはかなり少なく、両方読まないと解らない描写も見られている。
後述するようにファースト・コーディネイターたるグレンがレギュラーキャラ入りするため、当時の彼の行動について本人の口からフォローが入っている。
これを公式としたら、グレンはあまりにお人よしすぎるが。

「電撃Hobby Magazine」で連載された劾とブルーフレームの活躍を描いた小説作品。
連載時は模型誌らしくシナリオを基にしたジオラマも掲載されたが、後に出た単行本ではシナリオ部分しか掲載されていない。
要するに以前にも『センチネル』とかでやってたり、以降も『00外伝シリーズ』や『AGE』サブストーリー、『月鋼』でやった作例+短編小説のあれ。

  • 機動戦士ガンダムSEED X(エックス) ASTRAY
プレア・レヴェリーとカナード・パルス、二人の人間と彼らが駆る2機のガンダムに焦点を置いた作品。
ときた版無印の直接の続編で、ときた氏も続投。以降は基本的に中~長編コミックはときたが担当するようになる。
新装版コミックスでは無印に内包されている。

「ザ・スニーカー」、「ガンダムエース」、「電撃HobbyMagazine」での3誌を舞台に並行連載が再開。
『DESTINY』開始前からブレイク・ザ・ワールド事件以後を舞台に、戦争カメラマン、ジェス・リブルと彼の乗るロウに損害賠償兼代車としてもらった*3アウトフレームが戦場を駆ける。
本作ではジェスがロールアウト前のザフトの「セカンドステージシリーズ」を取材する場面があり、
公式では明言されていないため、「何故合体機構になったのか」等で議論されるインパルス(インパルスシステム)について、
あくまで「設計者の意図は分からない」という前提の下、カオスのテストパイロット兼技術者であるコートニー・ヒエロニムスが独自の見解*4を語り、
それを聞いたジェスの護衛であるカイト・マディガンが「夢のような話」と一蹴した上で「条約でMSの保有数が制限されたことへの苦肉の策」と推測するなど、
外伝独自のストーリーを展開する一方で、結構『DESTINY』本編の設定に踏み込んだ内容もある*5
またこれより後の作品でも、ジェスがここで貰ったアウトフレームと一緒に登場することも多い。


―――――この辺りから『SEED』シリーズ本編との整合性が怪しくなる―――――


  • 機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ(デルタ) ASTRAY
火星からの来訪者『マーシャン』たちの活躍を描いた作品。主役機はデルタアストレイとターンデルタ。「ガンダムエース」連載。
劇場版ガンダムSEEDに繋がる物語」と銘打たれていた。
実際、本作に出てくるあるキャラクターの設定など映画で明かされた設定を考えると確かに繋がる話と見えなくもない設定が幾つか見受けられている。
福田監督の「アスラン乱入直前あたりまでは両澤が作っていたプロットをほぼそのまま使用している」という談話を考えても、
本来ならもっと『FREEDOM』と相互に「これあっちの作品のあの設定じゃね」を使って連動させるものだったと思われる。
また当時からいろんな意見があったデスティニープランについても、「他に手段がないからしかたなく類似の社会システムを導入した」勢力の実質的なリーダーを主人公に据えることで、
利点や実際にやったうえでの課題点*6を提示している。
デスティニープランには問題点が多いためそれら全てが描かれているわけではないが、現在でもデスティニープランの話題になった時にこれが参照されることも多い。

『SEED DESTINY』の時代におけるサーペントテールの活躍を描いた作品。「電撃HobbyMagazine」でジオラマ付き小説と、ときた氏による漫画の連載。
単行本はジオラマ小説も収録したムックと漫画のみ抜粋したスペシャルエディションが刊行。

過去シリーズに登場した人物たちとのクローンの戦いを描いた作品。こちらも「電撃HobbyMagazine」でのジオラマ付き小説連載。漫画は単行本収録の短編のみ。

「電撃HobbyMagazine」に加えて「HobbyJapan」誌での連載。
劾に挑むダンテとアストレイノワール、ロウに挑むダブルブイとターンレッドの戦いが描かれる。無印同様に電撃は劾編、HJはロウ編に分担。
時系列的には前シリーズより遡り、『DESTINY』時代の物語。『Δ』のあたりではないかとされる。
新メカが多い割に短期連載でスパッと終わったため、ゲーム参戦とかのときはドレッドノート関連やハイペリオン共々「ASTRAYシリーズ」でまとめてしまうことが多い。

  • 機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 天空の皇女(プリンセス)
『SEED DESTINY』の後日談であり、『SEED FREEDOM』に先駆けてC.E.73以降の時代を描いた作品。
風花・アジャーとラス・ウィンスレットの二人の少女が主人公。
理屈は不明だが絶対破壊出来ないとされる問題児、ロードアストレイやロードアストレイΩ(レアメタルΩ)などが出る作品がこれ。
ガンダムエースで連載され、19年3月号で完結。
掲載紙を変えながら15年以上に及んだASTRAYシリーズの最終作となった。
…と、思われたが?

  • 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM ASTRAY
映画『SEED FREEDOM』公開と共にガンダムエース2024年3月号にて新作読み切り漫画(これまでの総集編的な内容だが)が掲載。
その後、同年11月号から別の外伝作である『SEED ECLIPSE』と入れ替わるように連載開始した新シリーズ。
『FREEDOM』と同時期を舞台にロウと劾の活躍を描く。


【ストーリー】
C.E.71。
ザフトによる連合の新型MS、通称『G兵器』の強奪作戦が決行され、崩壊したコロニー「ヘリオポリス」にて、
ジャンク屋組合に所属する「ロウ・ギュール」とその仲間たちは、新品そのままの状態で廃棄されていた謎のMS二機を発見する。
ロウは知る由もなかったが、そのMSは「アストレイ」と名付けられた、オーブが連合の『G兵器』の技術を盗用して製作した機体であった。

ロウはこれらを回収しようとするが、そこにそのMSの破壊任務を帯びた傭兵部隊「サーペントテール」の叢雲劾が現れる。
咄嗟にロウは二機のMSのうち、青いフレームの機体に乗り込んで劾を迎撃し、両者は戦闘に入るものの、
元々劾も含めて「件のMS及びそれを見た者の排除」を目的としていた彼の依頼人が裏切ったことを受け、戦闘を中断。
劾はロウから彼の乗ったMSを強引に借り受けると、依頼人が差し向けた刺客を排除し、事なきを得た。

ロウは結果的に自分や仲間たちを助けてもらったお礼として、劾に彼が使用した青いフレームのMSを譲渡する。
これ以降、赤いフレームから「レッドフレーム」とあだ名されたアストレイはロウの、
青いフレームから「ブルーフレーム」とあだ名されたアストレイは劾の愛機となり、C.E.の世界を生き抜くこととなる。

コミック版ではロウや彼の仲間たちジャンク屋の視点、小説は劾とその仲間である傭兵部隊「サーペントテール」の視点で物語が展開される。


【登場人物】

ジャンク屋組合
◇ロウ・ギュール
コミック版の主人公。小説版では殆ど出番無し。参戦した『スーパーロボット大戦W』でも彼がメインでASTRAYのストーリーは展開される。
はねた頭にバンダナを巻いた、自称「宇宙一悪運が強いジャンク屋」。
ポジティブでやや向こう見ずな思考をしており、奇抜なアイデアや発想で幾度もピンチを切り抜ける。
ヘリオポリスでの一件以降、サーペントテールとは何かと縁があり、彼らと強い信頼関係を構築していく。

◇山吹樹里
ドジっ娘属性のナチュラルの少女。ロウに想いを寄せている。
やや鈍臭く、周囲と上手く付き合えなかった過去を持ち、それがコンプレックスとなっている。
ジャンク屋という自分の居場所を見付けられてから徐々に改善されていった。
なお、名前は「じゅり」ではなく「きさと」と読む。三人娘と被っちゃうしね。

◇リーアム・ガーフィールド
ナチュラルとして生を受けた双子の兄を持つコーディネイター。
物静かで論理的。見方によってはややマイペース。
自らの兄弟関係から「ナチュラルとコーディネイターの違い」に興味を持っており、常識はずれなロウの観察が日課。
この経緯から、C.E.71時点で活動している人物としては珍しく、ロウ同様に「自分と異なる出自の人」への差別意識がない。
これもあってか*7、作中では最終的にジャンク屋組合の最高責任者に選出された。

◇プロフェッサー
本名、経歴、その他一切が不明の巨乳・眼鏡美女。恐らくジャンク屋メンバー最年長。
結構な変人だが、鉄火場でも冷静さを失わない胆力を持つ。
オーブの技術者であるエリカ・シモンズとは友人同士の他、情報屋のケナフ・ルキーニとも旧知の仲。

◇8(ハチ)
擬似人格コンピューター。C.E.71の時点では珍しく量子コンピューターではない。
ロウが作ったものではなく、どんな技術で造られたのかなど謎が多い。
8自身も「私そのものの技術についてはブラックボックスとする」方針を取っており、ロウですら具体的にどういう技術のコンピューターなのかは教えてもらっていない*8
ロウや8の回想をすべて外見情報も含めて正しいと解釈した場合、正体はRX-78-2の教育型コンピューターと解釈できてしまう。現在でも生きている設定なのかは不明。
人間との意思疎通が可能で、その際は画面に文字が映る。(アニメ版では音声も出していた。)
ロウのMS操作のサポートを行い、スパロボでもサブパイロット。

◇キャプテンG.G
人類初のコーディネイター、ジョージ・グレンその人。
既に故人だが、その脳は脳死する前に摘出されて『G.G.ユニット』という装置に保管されており、
それを「ジョージ・グレン友の会」の会員から譲り受けたプロフェッサーの手によって脳が眠りから覚醒させられ、
件のユニットはロウたちの母艦である「リ・ホーム」のコンピュータに接続され、ジョージはホログラムの身体を得て復活。
以降はロウたちの仲間となり、接続された「リ・ホーム」の制御などを担当し、自ら「キャプテンG.G」を名乗る*9
復活後は「生前の自分に足りなかったのはユーモア」と考え、冗談を口にする、おどけた振る舞いをするなど三枚目の振る舞いを見せており、
生前のジョージ・グレンの大ファンだった樹里は「あんなの私のジョージ様じゃない」とショックを受け、基本的に刺々しく接するように。


サーペントテール
叢雲劾
小説版の主人公。小説版にロウがほとんど登場しないのと違い、コミック版でも印象的な活躍をする。
C.E.最強の傭兵部隊「サーペントテール」のリーダー。ウェーブのかかった髪にサングラスが特徴。
冷静沈着で落ち着き払った性格だが、内には熱いモノを秘めている。
パイロットとしての技量はC.E.最強クラス。
その正体は連合軍によって作られた戦闘用コーディネイター。

傭兵としては一流で、依頼内容や説明に虚偽があることを許さず、依頼主からの裏切りには必ず報復するが、
一方で正直に事情などを話した上での依頼で、きちんと報酬が支払われるのであれば、懸念点がない限りは依頼を受諾し、その達成に尽力する*10
そのプロフェッショナル性から、基本的に殺生を嫌うロウも「知る限りでは最強のパイロット」「ブルーフレームは最強のコンバットマシン」と高く評価しているシーンが多い*11

◇イライジャ・キール
サーペントテールのメンバーであるコーディネイター。
美形であることと免疫機能以外にコーディネイターらしい能力を持たない。
パイロットとしての能力はエース級だが、上述のとおりコーディネイターとしての優位性は無く、
故に彼の実力は、全て実戦での努力と経験によって鍛え上げられたもので、それもあってか劾からは仲間として強く信頼されている。
とある経歴から英雄殺しの異名を持つ。
元々落ちこぼれだった経歴からかメンタル面に難があり(風花曰く「ネクラ・子供っぽい」)、
特にイライジャの内面に触れられにくいコミック版ではヘタレの印象が強い。

◇ロレッタ・アジャー
風花の母親。ナチュラル。作戦の立案や破壊工作を行う。コミックではなぜか褐色。
聡明で面倒見が良く、母性愛に溢れた女性。サーペントテール以外の他の傭兵からモテる。

◇風花・アジャー
ロレッタの娘。風花とは風に舞う花弁の美しさに例えて付けられた名前。
依頼主との交渉は基本的に彼女が行うほか、「商談のため」としてロウたちの陣営にひとりで出向いたエピソードも存在する*12
また、劾からブルーフレームの操縦と狙撃を任されたりと、既にロレッタの娘としてではなく、サーペントテールのメンバーとして認められている。
生まれて以来宇宙の無重力と傭兵の中という特殊な環境で育ったせいか、実年齢以上に背が高くしっかりしている。
漫画版ではデコっぱちのやや顔長の容姿だが、小説のイラストなどでは別人レベル。
シリーズを重ねるにつれ、成長が表れたのか髪型が大きく変化していく。
父親は劾ではないか?とする予想を風花本人がするシーンもあったが、結局今のところ明かされていない

◇リード・ウェラー
元地球連合士官。飲酒癖が悪く連合軍を追放された経歴がある。
当時のパイプや人脈を活かし情報収集や物質の調達を主に担当する。
劾を深く信頼しており、彼がソキウスにやられた時は珍しく必死な顔を見せた。


◆オーブ首長国連邦
◇ロンド・ギナ・サハク
オーブ五代氏族の一人。高い能力を持ったコーディネイター。
選民思想を持ち、優れた人間を集めて世界を影から支配しようと考えていた。
五大氏族の中で戦事を司っており、代々オーブの政治の中で「汚れ役」をこなしていたためか、
政治の表舞台に立つアスハ家の事を良く思っていない。
アストレイゴールドフレーム(ギナたちは「P01」か「天」と呼称する)を操り、ロウと劾の前に立ちはだかる。

◇ロンド・ミナ・サハク
ギナの双子の姉。女性でありながら身長190センチオーバー。
依頼内容上劾は手出しできないというハンデがあった*13とはいえ、劾の首を掴み片手で持ち上げる程の怪力を持つ。
ギナと共に世界支配を目論んでいたが、ロウの「国とは人」の言葉を聞き考えを改めた*14
それを受けて発した「天空の宣言」以降は(読者目線では)コズミック・イラではかなりマトモな君主にして指導者となる。


ちなみに、二人は血の繋がった双子の姉弟だが、サハク家とは血の繋がりがない養子であり、
それ故か、二人は互いを「半身」と呼び合う一方で、その他のサハク家の人間について言及するシーンはほとんどない。


【登場機体】

ガンダムアストレイ レッドフレーム
連合の『G』開発に協力したオーブの国営企業「モルゲンレーテ」が、
密かにその技術を盗用して造り上げた「プロトアストレイシリーズ」の一機。
本機はナチュラルによる運用も視野に入れて開発されたため、後のM1アストレイに最も影響を与えたと思われる。

装甲が最低限となっていて、特に背部から見るとフレームの大部分が剥き出しという特異な見た目になっており、
ロウがプロトアストレイシリーズを「〇〇フレーム」とあだ名したのも、この外観の印象から。

レッドフレームはその名の通りフレームの色は赤を基調としており、三機のアストレイの中で一番「外観の」変化は乏しいが、
ロウによって奇想天外なオプションパーツや武装を開発され、それに合わせてOS等の内部が魔改造レベルでアップデートされている。
特徴的な武装は「ガーベラ・ストレート」と名付けられたMSサイズの日本刀

SEEDHG、MG、PGと多彩な商品展開がなされているほか、ゲーム作品の『ASTRAY』枠で作品の代表機体とされるのは基本的にレッドフレームなど、三機のアストレイで最も知名度が高いといっても過言ではないだろう。


ガンダムアストレイ ブルーフレーム
劾がロウから譲渡され、愛機として運用する青いフレームのアストレイ。
基本武装はアストレイシリーズ共通でビームライフル、ビームサーベル、頭部バルカン、耐ビームシールドとなっているが、
このうちビーム兵器についてはロウが「燃費が悪い」と度々零しており、劾もそれは同感だったのか、
初期はジンの実弾兵装や、劾が愛用している特別製の対装甲ナイフ「アーマーシュナイダー」などを装備・使用していた。

なお、ブルーフレームにはオプションパーツの設計データがデフォルトで内蔵されており、
必要に応じて劾が実際にそれを製作・運用している場面もあるため、三機の中で最も見た目(兵装)のバリエーションが多い。
劾自ら図面を引いたものや、ロウに運用用途を伝えて外注したものもある。

小説版無印中盤でソキウスに破れてからはロウに改修され、劾の戦闘スタイル「超接近戦」に特化したブルーフレームセカンドに生まれ変わっており、
レッドフレームとの差別化の意図もあってか、ゲームでもブルーフレームセカンドからどれか一形態が登場することが多い。
セカンドをさらにブラッシュアップ・チューンアップした「セカンドリバイ」が最終的な基本形で、以降は「サード」など名称が完全に変わっていてもメカ的にはセカンドの換装形態となる。
レッドや下のゴールドが改造機(装備パターンを複数用意するよりも、「永続的な強化」が欲しい人物のアストレイ*15)なら、ブルーは換装機(用途のTPOに合わせて装備を毎回変更した方がいい人物のアストレイ)と言えるだろう。


ガンダムアストレイ ゴールドフレーム
ギナ及びミナの乗機。三機の中でも一際目を引く、金色のフレームが特徴的。
「オーブにおける王族・政治的貴族の人の専用機は金色」の設定はほぼこれが原因*16
ただし、限定版1/144キットの第一形態のみ、金色というよりウ〇コ色になっていた

元々「○○フレーム」という呼称はロウが付けた愛称であるため、機体製作に強く関わっていたギナ・ミナはこの呼称を用いず、
改修前は「P01(プロトゼロワン)」とゴールドフレームを呼び、レッド・ブルーもそれぞれ「P02」「P03」と呼んでいる。
これはオーブの開発関係者も同様で、例えばエリカ・シモンズはロウたちとの会話では「レッドフレーム」の呼称を使うが、
ギナとの会話では彼と同じく「P02」と呼んでいる場面がコミック版『ASTRAY』等で見られた。

『ASTRAY』における悪役ポジションで、幾度となくロウや劾の前に立ちはだかった。
ヘリオポリスの一件で右腕をロストしていたが、後に回収したブリッツの右腕を移植して「天」に改修され、見た目も黒と金に。
ブリッツのデータを解析した結果、ミラージュコロイドも使用可能になるなど、やりたい放題。

『ASTRAY』の最終戦でギナがロウと劾の前に敗北・戦死後は、彼に代わってミナの愛機になるが、
それ以降は彼女のスタンスもあって味方機寄りの扱いになり、
『DESTINY ASTRAY』ではミナから本機をマディガンが借り受け、主人公(ジェス)の救援に向かうという展開もあった。


ガンダムアストレイ アウトフレーム
『DESTINY ASTRAY』の主役機で、ジェス・リブルがロウから譲り受けたMS。
元はロウがとある場所で発見した、フレームのみの状態で放置されていた未完成のMSを組み上げたもので、
彼の趣味により、戦闘用ではなく作業用のMSとなっていて、本体は非武装*17

「アウトフレーム」の名前は、ロウが発見した時に「装甲類がなく、フレームのみであった」ことが由来。
「アストレイ」の方は、本機を「アウトフレーム」と命名した際にロウがついでにくっつけただけで、
上述した三機と違い、「プロトアストレイシリーズ」との関連性は(直接的には)特にない。


【余談】

本作でシナリオを担当した千葉智宏氏は後に『機動戦士ガンダム00』の外伝シリーズのシナリオも担当する事となる。
…のだが、そちらも3誌並行連載でシナリオは(前述のようにASTRAYシリーズも抱えながら)千葉氏一人、というハードな企画となる。
そちらの賛否についてはフォン・スパークも参照。

その後のいわゆるMBSガンダムは、『AGE』は外伝企画の掲載が小学館メインとなり、模型誌での連載企画はAGE本編の脚本スタッフである兵頭一歩氏が担当。
鉄血』外伝の『月鋼』も同様に鴨志田一氏がライターを務め、『水星の魔女』外伝の『ヴァナディースハート』は米山昂氏、新たなSEED外伝である『ECLIPSE』はSOW氏がシナリオを担当。
千葉氏はガンダムEXAガンダムビルドファイターズの外伝作品のシナリオ担当となっている。
こちらは一作品に集中する体制になったこと、またGBFシリーズについては元々多少の整合性のなさは(後で説明すれば)許容される面が多めの作品だったこともあり復調したと言えるだろう。

PS2専用ゲーム『機動戦士ガンダムSEED 終わらない明日へ』には、当時のMSVの面々と共に『ASTRAY』『X ASTRAY』のキャラやMSも登場しており、
『SEED』シリーズに多く楽曲を提供しているT.M.Revolutionの『Zips』をバックに、彼らが躍動する映像も収録されている。
この映像に惹かれてMSV沼『ASTRAY』シリーズに手を出したファンも多かったことだろう。


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最終更新:2024年12月08日 23:02

*1 YouTube公開動画である歴代シリーズ作品からのモビルスーツ紹介動画『昼MS』にもしっかり取り上げられている。

*2 コズミック・イラを舞台とした設定はガンダムシリーズファンから賛否分かれている傾向にあるものの、最初からそういう企画設定だったこともあり本編シリーズの世界観から剥離した設定が元々多かったのだが、それが行き過ぎて原作を台無しにするレベルにまで達したため別方向で賛否が分かれるようになった。

*3 ロウがある計画を実行する際に「普段以上に正規軍の過激派部隊が来そうだから」としてサーペントテールに不審機の排除任務を依頼→たまたまその宙域を訪れたジェスが興味をもってMS用のカメラを向ける→それを確認した劾が特に事情を聞くことなくジェスのMSを攻撃(軍のスパイと判断した?)という経緯でジェスのMSを全損させてしまい、劾のみならずロウも責任を感じたこと、後述の8が「ジェスに同行したい」と言い出したことから、代わりのMSとして私的に組み上げていた「アストレイ アウトフレーム」を譲渡し、MSの操作補助として8を彼に託した。なお、ジェスが高価なMSを無償で貰うことに遠慮したため、ロウは形の上では貸与することにしたが、以降ジェスに返還を求めたことはなく、事実上は譲渡と言って良い。

*4 「武器もパワーもパイロットが好きなタイミングで自由に補充でき、MS単体でもミッションを可能とする戦闘システム」が「インパルスシステム」であり、インパルスはそのシステムを運用するMSの試作機でもある。「インパルスシステム」は最終的にはシルエットもドラグーン・システムで届けることで、母艦さえも要らなくなるだろうと推測している。

*5 インパルスのコンセプト・アイデアについては本編班からの伝達を受けていたと思われる。一回プロット共有不足で失敗してた(本編プロットでは戦死する予定の人物をASTRAY班がメインキャラにしようとしてしまった)し…

*6 例えば遺伝子調整の不安定さ・不確定さによる「複数の職に高い適性があり、かつそのすべての職が前提ではなかったコーディネイター」の扱いなど。というか主人公は本編前にこれに気づいて「適性が高いんだから、前提じゃなかったとしても俺の副官をやらせればいい」を選択している

*7 元々作中でのモブ含めてナチュラル・コーディネイター混在のチームや現場はジャンク屋関連だと珍しくない模様

*8 作中で1度だけ開けての修理を行った際には、ロウではなく「外部かつ機密を守ってくれる」人物に依頼したほど。ただし8が自らプログラム的なクローンを制作したことはある。

*9 ジョージ・グレンが精神だけでも生きていることが漏れると厄介事を呼び寄せるという懸念から

*10 実際に稀ではあるが「嘘の話や隠し事があるように聞こえる。それでは受けられない」→依頼主が素直に謝罪して説明をやり直し、サーペントテールも依頼を受けることにした、という流れで決まったこともある。『FREEDOM ASTRAY』1話など

*11 ロウはキラと会ったことはあるが、素性は知らないのも大きい。ミーティアユニットを見学したときもその部隊にキラがいることには気づかなかった。…まあこのへん双方の班でもキラと劾どっちが強いか意見が割れてるので……「やはりアスラン・ザラが最強か」?知らんがな

*12 この時はリ・ホーム組…というかロウからも「正式なビジネスの話なのに、劾が半人前の人物をひとりで寄こしてくる方が不自然」「部隊メンバーとしては一人前と考えた方が彼の行動として自然では」として最初から一人前の交渉スタッフと扱われた。実際に交渉を進めたことで他メンバーからも理解を得る流れ

*13 チェック依頼の対象がちゃんと働いてて大丈夫そうならそのまま帰ってきて報告だけくれ、という内容

*14 なお、この話をした時はロウはギナに双子の姉がいたとは知らず、話している相手をギナだと誤解していた。ただ、後の方の作品だと知っているようにも見える言動をしていることはある。

*15 結局元のデザインに戻しているレッドフレームパワードレッドですら、機能的にはこれで獲得した「超強力肩関節」の方が以降の標準装備になっていることがロウ自身から語られている

*16 本編でも「技量不足だからムウに任せただけで、本来のアカツキのパイロット内定者はカガリ」という設定でこれが使われている。もっともあれは技術的な理由から金一色にしないと使えないだろう装備があるも大きいが

*17 ただし、ワイヤーアンカーなど、用途によっては攻撃にも使えるギミックも内蔵されている。