機動戦士ガンダムSEED ASTRAY

登録日:2011/07/20(水) 02:54:22
更新日:2019/09/08 Sun 17:57:34
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※この項目では「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY」という作品を平均的に紹介、解説する。
というのもASTRAY自体が、コミック、小説、模型誌、ゲーム、アニメ(広告用PV)と多岐に渡りメディア展開されており、それぞれが違ったストーリー展開をしているため。



【概要】

TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』と連動したスピンオフ企画。
企画の開始時はライトノベル雑誌の「ザ・スニーカー」、漫画雑誌の「少年エース」「ガンダムエース」、模型誌「電撃HobbyMagazine」での4誌で並行連載された。
でもってすべてのシナリオを「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」などの宇宙世紀を題材としたゲーム、漫画のシナリオを手掛けてきた千葉智弘氏が手掛ける、といういささかぶっ飛んだ企画。
本編である『ガンダムSEED』を補足し、その裏側で起こった出来事を外伝として描いている。そのため、王道(本筋)でないという意味を込めて「ASTRAY」と付けられた。

ASTRAYは本編を叩く人達からも一定の評価を得ていた。(逆に蛇足などと考える人も居るがコンセプト上仕方ないだろう)
模型誌で展開していたことや主役機であるアストレイの評価の高さなどもあり、特にプラモデルファンからの評価が高い。


また、ガンダムの外伝作品の中でも「機動戦士クロスボーン・ガンダム」等と並び、高い知名度を持ち、人気もあった。
なお、広告用PVで映像化されはしたが、TV、OVA、劇場用作品、ネット配信のいずれもなされておらず、今もファンからちゃんとした映像化の要望が多い。
一応、別の外伝作品である『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』のセルディスク特典にて収録されている。


……と、かつては評価は高かったのだが、
『SEED』が休眠状態となり『00』へと世代交代してからも模型誌などとの連動のためかシリーズが続けられ、
またシナリオ担当の千葉氏は『00』の外伝企画も並行して手掛けるようになり、ガンプラ展開が既成キットの色替え・パーツ追加ばかりと中途半端な状況にもなり、
その頃の『FRAME』『VS』あたりはシナリオ上のツッコミどころや矛盾点が増えた、連載時は最終話の展開が尻切れ気味、転用ありきで賛否の別れるデザインのMSが多すぎる、その前の『Δ ASTRAY』で限界だった、という評価が増加。
幸い『DESTINY ASTRAY R/B』ではやや持ち直した感じもあるが、『SEED』の放送終了から時間が経ち、シリーズの展開が本作だけ、という状況もあり全盛期ほどの勢いは無い。
SEED Destiny最終話以後の世界は舞台にし辛いなど厳しい状況の中で頑張っているとも言える。
とはいえ、比較的商品化にも恵まれておりゲームでも度々客演が見られている。


【シリーズ一覧】

  • 機動戦士ガンダムSEED ASTRAY
無印とも。
「ザ・スニーカー」連載の小説と「ガンダムエース」連載のときた洸一による漫画版があるが、それぞれ別のエピソードを扱った作品。
前者は劾、後者はロウが主役。
  • 機動戦士ガンダムSEED ASTRAY R
「少年エース」で連載されたロウとレッドフレームの活躍を暑苦しく描いた劇画作品。
作者は漫画版「スクライド」の戸田泰成氏であり、氏は以後もガイドブック掲載の読み切り漫画を主に手掛けるようになる。
  • 機動戦士ガンダムSEED ASTRAY B
「電撃Hobby Magazine」で連載された劾とブルーフレームの活躍を描いた小説作品。
連載時は模型誌らしくシナリオを基にしたジオラマも掲載されたが、後に出た単行本ではシナリオ部分しか掲載されていない。
  • 機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY
プレア・レヴェリーとカナード・パルス、二人の人間と彼らが駆る2機のガンダムに焦点を置いた作品。
ときた版無印の直接の続編で、ときた氏も続投。
  • 機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY
「ザ・スニーカー」、「ガンダムエース」、「電撃HobbyMagazine」での3誌を舞台に並行連載が再開。
『DESTINY』開始前からブレイク・ザ・ワールド事件以後を舞台に、戦争カメラマン、ジェス・リブルと彼の乗るアウトフレームが戦場を駆ける。


ーーーーーーーこの辺りから種シリーズ本編との整合性が怪しくなるーーーーーーー

  • 機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ ASTRAY
火星からの来訪者『マーシャン』たちの活躍を描いた作品。主役機はデルタアストレイとターンデルタ。「ガンダムエース」連載。
「劇場版ガンダムSEEDに繋がる物語」と銘打たれていたがそんなものはなかった。
『SEED DESTINY』の時代におけるサーペントテールの活躍を描いた作品。「電撃HobbyMagazine」でジオラマ付き小説と、ときた氏による漫画の連載。
HGを中心にリデコMS祭りが開始。なお主役機のブルーフレームのキットは出なかった
過去シリーズに登場した人物たちとのクローンの戦いを描いた作品。こちらも「電撃HobbyMagazine」でのジオラマ付き小説連載。
1/100を舞台に前作にも増した奇抜なリデコMSが乱発された
  • 機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY R/B
「電撃HobbyMagazine」に加えて「HobbyJapan」誌での連載。
劾に挑むダンテとアストレイノワール、ロウに挑むダブルブイとターンレッドの戦いが描かれる。
時系列的には前シリーズより遡り、DESTINY時代の物語。
  • 機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 天空の皇女
『SEED DESTINY』の後日談。風花・アジャーとラス・ウィンスレットの二人の少女が主人公。
ガンダムエースで連載され、19年3月号で完結。
掲載紙を変えながら15年以上に及んだASTRAYシリーズの最終作となった。


【ストーリー】

C.E. 71
本編の一話の後、崩壊したコロニー「ヘリオポリス」にて、ジャンク屋組合に所属するジャンク屋と、最強の傭兵部隊「サーペントテール」が新型のモビルスーツ、アストレイを発見する。
ジャンク屋のロウ・ギュールと、サーペントテールの叢雲劾はこれを回収しようとするが、サーペントテールにアストレイの回収を依頼した依頼主の裏切りによって窮地に陥る。
ジャンク屋とサーペントテールは協力してこれを乗り切り、以降、赤いアストレイ、「レッドフレーム」がロウの、青いアストレイ、「ブルーフレーム」が劾の乗機となる。
コミック版ではロウを初めとしたジャンク屋の視点、小説は劾を初めとしたサーペントテールの視点で物語が展開される。


【登場人物】

ジャンク屋組合
◇ロウ・ギュール
コミック版の主人公。小説版では殆んど出番無し。参戦したスーパーロボット大戦Wでも彼がメインでASTRAYのストーリーは展開される。
はねた頭にバンダナを巻いた、自称「宇宙一悪運が強いジャンク屋」。
ポジティブでやや向こう見ずな思考をしており、奇抜なアイデアや発想で幾度もピンチを切り抜ける。ヘリオポリスでの一件以降、サーペントテールとは何かと縁があり、お互いに信頼しあっている。
連載長期化や作中のMS性能のインフレに合わせて機体を改修していった結果、シリーズが進むにつれてチートさが増している。

◇山吹樹里
ドジっ娘属性のナチュラルの少女。やや鈍臭く、周囲と上手く付き合えなかった過去を持ち、それがコンプレックスとなっている。ジャンク屋という自分の居場所を見付けられてから徐々に改善されていった。ロウに想いを寄せている。なお、名前は「じゅり」ではなく「きさと」と読む。

◇リーアム・ガーフィールド
ナチュラルの双子の兄を持つコーディネイター。物静かで論理的。見方によってはややマイペース。常識はずれなロウの観察が日課。

◇プロフェッサー
本名、経歴、その他一切不明。メガネで巨乳。恐らくジャンク屋メンバー最年長。落ち着き払った姉御キャラ。どんな時もどっしり構えている。エリカ・シモンズとは友人同士。情報屋のケナフ・ルキーニとも旧知の仲。

◇8(ハチ)
擬似人格コンピューター。C.E.71の時点では珍しく量子コンピューターではない。人間との意思疎通が可能で、その際は画面に文字が映る。ロウのMS操作のサポートを行い、スパロボでもサブパイロットだった。

◇キャプテンG.G
人類初のコーディネイター、ジョージ・グレンその人。既に故人だが「ジョージ・グレン友の会」が保管していた脳がジャンク屋に譲られ、以後ジャンク屋の船「リ・ホーム」のコンピュータに接続され、立体映像化。生前得られなかったユーモアを追求するあまり変人化してしまい彼の大ファンの樹里の幻想を破壊した。


サーペントテール
叢雲劾
小説版の主人公。小説版にロウがまったく登場しないのと違い、コミック版でも印象的な活躍をする。
C.E.最強の傭兵部隊「サーペントテール」のリーダー。ウェーブのかかった髪にサングラスが特徴。
冷静沈着で落ち着き払った性格だが、内には熱いモノを秘めている。
パイロットとして技量はC.E.最強クラス。
その正体は連合軍によって作られた戦闘用コーディネーター。

◇イライジャ・キール
サーペントテールのメンバーであるコーディネイター。美形であることと免疫機能以外にコーディネーターらしい能力を持たない。
パイロットとしての能力はエース級だが、上述のとおりコーディネーターとしての優位性が無いので、全て実戦での努力と経験によって鍛え上げられたもの。
とある経歴から英雄殺しの異名を持つ。
元々落ちこぼれだった経歴からかメンタル面に難があり(風花曰く「ネクラ・子供っぽい」)、イライジャの内面に触れられにくいコミック版ではヘタレの印象が強まる。

◇ロレッタ・アジャー
風花の母親。ナチュラル。作戦の立案や破壊工作を行う。コミックではなぜか褐色。
聡明で面倒見が良く、母性愛に溢れた女性。サーペントテール以外の他の傭兵からモテる。

◇風花・アジャー
ロレッタの娘。風花とは風に舞う花弁の美しさに例えて付けられた名前。依頼主との交渉は基本的に彼女が行う。
また、劾からブルーフレームを操縦と狙撃を任されたりと、既にロレッタの娘としてではなく、サーペントテールのメンバーとして認められている。
生まれて以来宇宙の無重力と傭兵の中という特殊な環境で育ったせいか、実年齢以上に背が高くしっかりしている。
漫画版ではデコっぱちのやや顔長の容姿だが、小説のイラストなどでは別人レベル。
シリーズを重ねるにつれ、成長が表れたのか髪型が大きく変化していく。

◇リード・ウェラー
元地球連合士官。飲酒癖が悪く連合軍を追放された経歴がある。当時のパイプや人脈を活かし情報収集や物質の調達を主に担当する。
劾を深く信頼しており、彼がソキウスにやられた時は珍しく必死な顔を見せた。

◆オーブ首長国連邦
◇ロンド・ギナ・サハク
オーブ五代氏族の一人。高い能力を持ったコーディネイター。選民思想を持ち、優れた人間を集めて世界を影から支配しようと考えていた。
五大氏族の中で戦事を司っており、代々オーブの政治の中で「汚れ役」をこなしていた。政治の表舞台に立つアスハ家の事を良く思っていない。
アストレイゴールドフレームを操り、ロウと劾の前に立ちはだかる。

◇ロンド・ミナ・サハク
ギナの双子の姉。女性でありながら身長190センチオーバー。劾の首を掴み片手で持ち上げる程の怪力を持つ。
ギナと共に世界支配を目論んでいたが、ロウの「国とは人」の言葉を聞き考えを改めた(なお、ロウはギナとミナが別人とは知らない)。
それを受けて発した「天空の宣言」以降は(読者目線では)コズミック・イラではかなりマトモな君主にして指導者となる。

【登場機体】

ガンダムアストレイ レッドフレーム
M1アストレイの元となった機体。赤を基調としており、ロウによって魔改造の限りを尽くされドンドン化物じみた強さとなった。ストライカーパックの換装も可能。SEEDHG、MG、PGと多彩な商品展開がなされた。ガーベラ・ストレートと名付けられたMSサイズの日本刀を使う。

ガンダムアストレイ ブルーフレーム
劾の愛機。ビーム兵器はエネルギー消費率が高いため、初期は主にジンの実弾兵装を使用していた。
小説版無印中盤でソキウスに破れてからはロウに改修され、劾の戦闘スタイル「超接近戦」に特化したブルーフレームセカンドに生まれ変わる。
なおこれ以前も以後も任務によって様々な武器・装備を持つ。時にはローエングリンとかも持っていたり……

◇ガンダムアストレイ ゴールドフレーム
ギナ及びミナの乗機。悪役機だからか、白地に金(後に黒地に金)と趣味の悪いカラーリングをしている。プラモはウンコ色(但しウンコ色なのは限定版1/144キットの第一形態のみ)。幾度となくロウと劾の前に立ちはだかり、天になってからはやりたい放題に猛威を振るった。



【余談】

本作でシナリオを担当した千葉智宏氏は後に『機動戦士ガンダム00』の外伝シリーズのシナリオも担当する事となる。
…のだが、そちらも3誌並行連載でシナリオは(前述のようにASTRAYシリーズも抱えながら)千葉氏一人、というハードな企画となる。
そちらの賛否についてはフォン・スパークも参照。


その後のいわゆるMBSガンダムは、『AGE』は外伝企画の掲載が小学館メインとなり、模型誌での連載企画はAGE本編の脚本スタッフである兵頭一歩氏が担当。
鉄血』外伝の『月鋼』も同様に鴨志田一氏がライターを務め、千葉氏はガンダムEXAガンダムビルドファイターズの外伝作品のシナリオ担当となっている。



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