新マスタールール(遊戯王OCG)

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新マスタールール(遊戯王OCG) - (2017/09/19 (火) 23:17:50) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/05/09 (火) 00:14:30
更新日:2024/02/19 Mon 03:06:37
所要時間:約 7 分で読めます






新マスタールールとは、遊戯王オフィシャルカードゲームにおいて2017年3月25日に「マスタールール3」から移行した新ルール。
今でも勘違いしている人がいるが名前は「マスタールール4」ではない
これは新エキスパートルール同様に派生ルールではなく別ルールになっているためである。

原作アニメが新たなシリーズに移行するごとに、ルール変更されてきた遊戯王OCG。
遊戯王ARC-Vが終了し、遊戯王VRAINSとなるにあたって、新マスタールールでは新たな召喚法、リンク召喚が追加される。

が、この新マスタールールでは、新召喚法の追加や、一部の呼称・ルール・裁定の変更以外に、
多くの既存デッキにも影響する大幅なルール変更がなされた。



フィールドの位置変更


新ルールでのフィールドの位置を図示すると、以下のようになる。
(メインデッキ・エクストラデッキ・墓地・フィールドゾーンは省略)

  • 相手プレイヤー
EX EX
  • 自分


モ:メインモンスターゾーン
EX:エクストラモンスターゾーン(原則各プレイヤーどちらか1つ使用)
魔:通常の魔法・罠ゾーン
P:ペンデュラムゾーンとしても使用できる魔法・罠ゾーン



主な変更点


リンク召喚・リンクモンスターの追加

新しい召喚法の追加。
リンク召喚の詳細はリンク召喚(遊戯王OCG)の項目で。
今までのシンクロ召喚やエクシーズ召喚のような既存ルールに対しての単純な追加要素ならば、それ以外のデッキを使うのに問題はなかったのだが……。



サイバース族の追加

サイキック族、幻神獣族、創造神族、幻竜族に続く、新たな種族。
アニメで主人公勢が使うこともあり、今のところ、リンク召喚に関する効果を持つモンスターが多い。
勿論、DNA改造手術等の効果で種族を宣言する時は選ぶことが可能ある。



モンスターゾーンの分化

今までのモンスターカードゾーンが、メインモンスターゾーンと、エクストラモンスターゾーンに分けられる。
名前通り、メインデッキに入るモンスターがメインモンスターゾーンに召喚され、
エクストラデッキにあるモンスターがエクストラモンスターゾーンに召喚されることとなる。

メインモンスターゾーンは今までと同じ5つだが、エクストラモンスターゾーンは2つ。
エクストラモンスターゾーンは、原則として各プレイヤーが左右どちらか1つだけを使う。
これだけならば、モンスターゾーンが実質6つに増えたと見ることもできるが……?

なお、エクストラモンスターゾーンに召喚されたモンスターが、
墓地や除外ゾーンに送られてフィールドを離れた後に再び召喚・戻ってきた場合には、メインモンスターゾーンに召喚される。
コントロール奪取された場合やそこから戻った場合も、メインモンスターゾーンへと移動する。

これはエクストラモンスターゾーンが完全にエクストラデッキから出すモンスターのためのゾーンのため。



エクストラデッキからの召喚制限


既存の多くのデッキにも影響する変更点。
エクストラデッキからモンスターを特殊召喚する場合、エクストラモンスターゾーンに特殊召喚される。
つまり、そのままの状態ではメインモンスターゾーンには召喚できず……



エクストラデッキからはモンスターを1体しか特殊召喚できない。



これにより、エクストラデッキのモンスターを主戦力にして複数並べる戦術をとるデッキや、
エクストラデッキから複数のペンデュラムモンスターをペンデュラム召喚するのを前提とするデッキなどは、
その運用に制限がかけられ、コンセプトが瓦解することになる。

昨今、エクストラデッキに頼ったデッキは非常に多いため、従来の感覚で動かすことは難しく、工夫が必要となる。



リンクモンスターとリンクマーカー

ただ、そのままでは無理だが、この制限を回避するのに必要なのがリンクモンスター
リンクモンスターは融合・シンクロ・エクシーズモンスターと同じく、エクストラデッキから特殊召喚されるモンスターである。
リンクモンスターはこんなカードである。


※本物のカードの画像を貼るのは著作権的によろしくないらしいので、オリカ画像で代用

イラストの周りに、上下左右斜めの8方向を向いた矢印(三角形)があるのがお分かりいただけるだろうか。
このうち、赤くなっている矢印をリンクマーカーと呼ぶ。
このリンクマーカーが指しているメインモンスターゾーンには、エクストラデッキからモンスターを特殊召喚できるのだ。

フィールド上での動きを確認してみよう。

EX

あなたは右側のエクストラモンスターゾーンに、リンクモンスター《リンク・スパイダー》をリンク召喚した。

《リンク・スパイダー》は下向きのリンクマーカー1つを持つリンクモンスターだ。
するとあなたのフィールドは、こうなる。

EX
EX

おわかりいただけただろうか。
《リンク・スパイダー》のリンクマーカーが向いているメインモンスターゾーンは、
エクストラモンスターゾーンと同様エクストラデッキからモンスターを特殊召喚できるようになったのだ。
この「リンクモンスターに指されている場所」を「リンク先」と呼ぶ。

では、《リンク・スパイダー》のリンク先となり、新たにエクストラデッキからモンスターを出せるようになった所に、更にリンクモンスターを置いてみよう。
左右2つのリンクマーカーを持つリンクモンスター《ハニーボット》をリンク召喚だ。

EX
EX <> EX

これでエクストラデッキからモンスターが出せるモンスターゾーンは4つに増加した。
では増えたリンク先にさらにモンスターを展開だ!

…と、こんな風にリンクを繋げていく事で、エクストラデッキからモンスターを出せるゾーンをどんどん広げていくことができるのである。

従来はごく一部のカード効果にしか関係なく、あまり重要視されていなかったカードの位置が、これからは非常に重要となる。
なお、リンクモンスターとの兼ね合いで《闇の訪れ》はエラッタされ、
このカードのみで可能だった 裏側攻撃表示はルールから消滅した


エクストラリンク

通常、エクストラモンスターゾーンは各プレイヤー1つしか使えない。
しかし、複数のリンクモンスター同士で互いにリンク状態となる相互リンクを、
メインモンスターゾーンを経由し、もう1つのエクストラモンスターゾーンにつなげて到達すると、
1人のプレイヤーが両方のエクストラモンスターゾーンを使用することができる。

当然、その場合エクストラモンスターゾーンを使用していない方のプレイヤーは、1枚もエクストラデッキから特殊召喚できず、
相手のエクストラモンスターゾーンのリンクモンスターを除去しない限り封印されてしまう。

遊戯王OCGの環境では、相手の行動を制限することによる妨害の影響度が大きいが、
リンクモンスターの展開に長けたデッキでは、どのデッキでも相手のエクストラデッキ封じの手段を手に入れたことを意味する。
無論、リンクモンスターもエクストラデッキからの特殊召喚が必要になるので、逆に相手に先にされてしまうと、自分も動けず封殺されてしまう危険性も大きいのだが。

現在はまだリンクモンスターのカードプールが少ないこと、
特に斜め上向きのリンクマーカーを持ったリンクモンスターがおらず、
最低でも5体のリンクモンスターが必要になり、かなりの展開力をつぎ込まなければ成立しないが……。
種類が増えて簡単にできるようになる頃が心配である

とは言えモンスターを複数出して狙ったところでエクストラデッキからの特殊召喚しか制限できない状況なので、
展開制限目的であれば特殊召喚そのものを封じる「結界像」や「虚無空間」等で事足りる事もあるだろう。


ペンデュラムゾーンの統合

今まで通常の魔法・罠ゾーンとは別のカードゾーンだったペンデュラムゾーンは、魔法・罠ゾーンと統合。
左右端の場所のみがペンデュラムゾーンとして使用可能となる。

これはペンデュラムカード以外がペンデュラムゾーンに使えなくなったのではなくその逆で、
左右端は通常の魔法・罠カードも発動・セットできるが、ペンデュラムゾーンとしても使えるのがここのみとなる。
揺れる眼差しなどペンデュラムゾーンに影響するカードでも、通常の魔法・罠カードがある分にはペンデュラムゾーンとしては扱われない。

ペンデュラム召喚するのに2つのペンデュラムゾーンを使う場合、それだけで魔法・罠ゾーンが2つ圧迫されてしまい、
ペンデュラム召喚デッキはただでさえエクストラデッキからのペンデュラム召喚制限に苦しむところに、さらに追い打ちをかけられる形となっている。



その他

本ルールからはエクストラデッキとエクストラモンスターゾーンの表記がそれぞれ「EXデッキ」「EXモンスターゾーン」と記載される。
S(シンクロ)・X(エクシーズ)・P(ペンデュラム)と同様に短縮される形となった。



既存デッキへの影響

このように、従来のルール移行と比べ、エクストラデッキからの召喚制限が全プレイヤーに追加されている分、
既存デッキにも影響し、新しい召喚法なんて知らなくても問題ない…というわけにはいかなくなっている。

リンクモンスターを採用してリンク先を広げる動きを取る、
墓地や除外を経由してメインモンスターゾーンに移して制限を回避する、
そもそもエクストラデッキに頼らないデッキを使う、といった対策が必要となる。



影響を受けるデッキ

既存のままの動きでは、2枚目以降のエクストラデッキからの特殊召喚に制限がかかるので、
それを前提としたデッキは戦法の見直しか、消費を重ねてリンクモンスターを用意する必要がある。

特に、フィールドに複数のエクストラデッキのモンスターを並べる必要のある、
アクセルシンクロモンスターやFNo.0 未来皇ホープなどは召喚にこぎつけるまでのハードルが高くなってしまった。
特にリミットオーバーアクセルシンクロは再現がより困難になってしまった。

また、エクストラデッキのモンスターで、かつエクストラデッキから他のモンスターを特殊召喚する効果を持つ、
バハムート・シャークアルティマヤ・ツィオルキンといったカードも、リンクモンスターなしには機能不全に。
特にゴヨウ・ディフェンダーに至っては、発動条件の都合でリンクモンスターを併用することができない為、
効果を使うには相当の工夫が求められる。

一方、使うエクストラモンスターゾーンが基本1つのみで、
それを素材に別のエクストラデッキのモンスターに変化させていくタイプのレッド・デーモンデッキや、
エクシーズ素材に重ねる十二獣などは、主軸の動き自体はそれほど大きな被害を受けていない。

また根本的にエクストラデッキを利用しない儀式召喚アドバンス召喚を主体とするデッキはほぼ影響を受けない為、
ある意味これらの召喚方法は相対的に地位が向上したとも言える、…流行るかは別だが。

また影響を一応受けたものの、それ以上に曲がりなりにもモンスターゾーンが一個増えたこととリンクモンスターの存在により、
すぐに新たな展開ルートが考案され、相変わらず大満足をしようと頑張っているデッキ
リンクモンスターを取り入れたアクセルシンクロ等も考案されているので、
プレイヤーのデッキ構築の腕が試される形となる。


ペンデュラムデッキ

これらとは別方向で苦しくなっているのが、ペンデュラム召喚デッキ。
前述の通り、エクストラデッキからのペンデュラム召喚も制限を受けるため、
イグナイト】のような、
エクストラデッキのモンスターを肥やしながらアドバンテージを取り、
ペンデュラム召喚で大量に並べる方針は困難になってしまった。

リンクモンスターで数を増やそうにも、他のデッキが展開途中で制限に当たるのと違い、
始動の時点でいきなりぶち当たることが多く、リンク召喚すらも困難だったり、
よしんばできたとしても、ペンデュラムスケールに加えてリンクモンスターまで追加で維持しなければならず、
除去された場合の立て直しはかなり難しい。

エクストラデッキから手札に戻す効果などで手札からのペンデュラム召喚を狙う、
エクシーズや手札コストなどでエクストラデッキではなく墓地に送り、蘇生を狙うなど、回避する方策もあるが、
特に大幅な路線変更が必須となるデッキが多く、こちらも各プレイヤーのデッキ構築の腕が試される。




低速化?

そもそも、遊戯王OCGの環境は高速化が激しい事で知られる。
特に環境で勝ち抜いていくためには、先行で妨害カードを複数用意して相手を封殺する布陣と、
それを除去によってかいくぐり突破するというやり取りが必須となる。
逆に、それらができないデッキとでは速度・パワーが大きく異なり、格差が激しくなっている。

その一端が、運の絡むドローに関わらず、確実にデッキから引っ張りだせるカードの存在であり、
素材を並べた時点で簡単に出せるエクストラデッキのモンスターは最たるもの。
高速化の大きな要因となっている以上、その抑止として仕方ないとも取れる。

ただ、リンクモンスターで展開する分には制限があまりないため、
今後リンクモンスターの種類が増え、環境が再び高速化する事が懸念されている。


余談

上述したように既存のほとんどのデッキが大なり小なり影響を受ける余りに大きなルール変更ではあったが、
このルールの情報が初めて流出した所、
遊戯王OCGユーザーだけでなく、シングルを取り扱うカードショップにまで混乱を与え、
中には一時的に遊戯王OCGの買い取りを中止するショップも現れる程であった。

yahooニュースやネット上のまとめサイト等でも掲載されるほどの騒ぎになった。

しかも、情報が流れたのが公式発表前だったため、KONAMI側からは何も告知がなく(できず)、これらの騒動・混乱に拍車を掛けてしまっていた。

ただし、すぐにこの騒動も沈静化し、影響を受けたデッキも新たな展開ルートが考案されたり、
カードショップも買い取りを再開している。
公式発表前という点が響いた騒動だったと言えよう。

また、このルールによって、カードの配置にもこだわる必要が出てきた。
結果、以前から存在していたがいまいち使い勝手がよろしくなかった爆導索やポジションチェンジ*1といった、配置に関与するカードに注目が集まっている。

追記・修正お願いします


カード画像:「遊戯王カードリスト・評価・オリカ」内「遊戯王オリカメーカー」で作成
http://yugioh-list.com/
イラスト出典:フリー素材サイト「いらすとや」

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