USB(端子)

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USB(端子) - (2023/05/08 (月) 22:21:46) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/06/18 Sun 12:15:54
更新日:2024/05/01 Wed 00:05:29
所要時間:約 22 分で読めます




「USBって何の略?」


「微妙に合ってるの止めてくんねぇかな!?」



USBと言っても色々あるが、ここではコンピュータ機器の接続規格いわゆる端子としてのUSBに関して記述する。

概要

Universal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス)」の略称。
コンピュータ機器向けのシリアルバス規格の一つ。*1
プリンタポートことIEEE 1284(パラレルポートとも言われる)や、シリアルポートことRS-232C、旧型のマウスやキーボードの接続に使っているPS/2ポートなどの後継を狙い、IBMやIntel、コンパックなどの複数の企業によって策定された。
最近のPCや家電やゲーム機なんかによくついている、あの四角くて金属の接点が4つ見える端子である。
厳密にはUSBというのは「規格」なので、端子はそのUSBの規格の一部でしか無いのだが。

"ユニバーサル"と付いているくらいなので、端子の形と規格さえ合えばどんな機器でも接続できる点(統一規格)や、機器の電源を入れたままでも抜き差しできるという利便性で様々な機器で採用されている。
結果として上述のポート類の殆どを置き換えることに成功しており、最近のPCでは接続端子はUSBと電源だけってのも珍しくない。
後述するType-C端子や高速充電規格等の誕生で、「充電端子も含め、接続端子はUSBのみ」の機器もノートPCなどで数を増やしつつある。


特許関連

USB対応機器の製造に当たっては特にライセンス料などはないものの、それでもメーカーを明確にするためなどでベンダーIDの登録…要するに「参入企業の名簿にサインする」ことは必要とされている。
そりゃ、なんでもつなげる端子だからよくわからんところが怪しいアイテム作ってトラブルなんか起こしたら、目も当てられないからね。
但し類似規格の乱立を防ぐという都合上で特許自体は複数存在している。
この「登録すれば誰でも対応機器を作れる」というのも普及の要因の一つだろう。名簿にサインさえすれば中小企業だって無料で参入できるのだから。


特徴

○何でも接続できる

USBの最大の特徴の一つがこれ。
端子の規格が合っていて、「USB対応機器」とさえあればどんな機器同士でも接続できる。
つまり(あくまでその機器が機能として対応していれば、の話だが)PC向けの周辺機器をゲーム機やスマホに繋いで使いまわしたり、データ共有したりすることだって当たり前のようにできるってこと。

○電源供給できる

USBは単にデータ通信を行うだけの端子ではなく、機器に電力供給をすることも可能である。
このため周辺機器側は別途に電源を用意する必要がないものとして作ることも可能。*2
また当初想定された利用方法ではないが、この点を利用して「電子機器向けの低圧電源」としても使うこともできる…要するにスマホとかの充電にも使える。
実際問題として、ハード的にUSB機器の電力消費の折り合いが合わずにトラブルを招くケースもある。
適当に作ったためにUSBの規格上の最大値を超えた電力を要求する粗雑な製品なんかも稀にある。

最近では需要に応える形で「USB BC」や「USB PD」などの規格も生まれており、『電源』としての用途が無視されているわけではないが、これもUSB普及からかなりの時間が経ってからの話である上、そこから登場する機器が規格に適合しているかどうかもまた別問題である。

○接続処理はソフトウェア的に行っている

書籍によっては「USBは言わば"役所"」と書かれることがある。
これはハードウェア的に直結しているのではなく、様々なプロトコルなどのソフト的な処理を介して接続を行っているためである。
このためレスポンス(伝送遅延)などでは旧来の規格と比べ若干劣る場合があるが、その一方でソフトウェア的に接続するので機器間の相性をここで吸収できるので、特に意識すること無く異なる機器間での接続も可能となっている。

今や常識的になっているが、親機の電源を入れたまま機器を着脱可能*3であることが規格に定められていることは登場当初では珍しいことだった。
例えばそれまでにマウスやキーボードに採用されているPS/2コネクタは電源を切った状態で差さないと認識してくれないため、買い替えや調子が悪い際などでもいちいち電源を切らないと交換すらできなかったのである。
(停電や瞬停対策などもあって実際にはさほど問題の無い機器も多いのだが、その多くは仕様として認められていたわけではない)
ただし、フラッシュメモリやHDDについてはデータ転送中に抜いてデータ破損などの危険は依然としてあるので、PC上で切断出来た事を確認してから抜くことを強く推奨する。
一応Windows 10 バージョン1809からは、デフォルト設定で「キャッシュ読み書き」をしなくなったので、アクセス中以外であれば切断確認をやらずに抜き差ししても問題無いとか。


バージョン

○USB 1.0

最初期の規格。策定は1996年。通信速度は最大12Mbps。

○USB 1.1

1998年に策定された、言わば「1.0改」。通信速度は12Mbpsと据え置きだが、電源周りの規格などが改善されている。

○USB 2.0

2000年に策定された。USB 3.0が普及した現在でも「USB」と言えばだいたいこの規格を指す。
最大480Mbpsでの通信を可能とするハイスピードモードが新たに加わっている。
但しハイスピードモードは飽くまで「おまけ」なので、USB 2.0でもハイスピードモードに対応していない機器もあるので注意。
また給電能力も強化され、最大500mAの給電が可能となった。

○USB 3.0/USB 3.1 gen1

2008年に策定された。当初はUSB 3.0と呼ばれていたが、USB 3.1の策定以降は3.1の第1世代(Gen1)として扱われ、後に「USB3.2 Gen1x1」へとまた改称された。
最大通信速度が一気に5Gbpsにまで引き上げられている。
端子の形状的には内部のプラスチック板が青くなっている、また奥に新たに5つの接点が追加されている(つまり合計9個)などの差異がある。
もちろん、以前の規格との後方互換性も備えているので引き続いて機器を利用することも可能。

○USB 3.1 Gen2

2013年に策定された規格。
通信速度が10Gbpsに引き上げられている。
ポートの色は各社まちまちだが、多くの場合赤か黄色となっている。

○USB 3.2

2017年に策定された規格。最大20Gbpsでの通信が可能。
従来のUSB 3.1 Gen1、USB 3.1 Gen2をまとめた規格と言って良く、Type-Cコネクタの仕様を利用してケーブル二本分の通信速度を1つのポートで利用できるようにしている。
そのため
名称 コネクタ 通信速度 最大ケーブル長
USB 3.2 Gen1x1*4 制限なし 5Gbps 2m
USB 3.2 Gen1x2 Type-Cのみ 10Gbps 2m
USB 3.2 Gen2x1*5 制限なし 10Gbps 1m
USB 3.2 Gen2x2 Type-Cのみ 20Gbps 1m
という4種を内包するややこしい規格になっているうえ、ホスト側とデバイス側が両方Type-Cコネクタでないと2レーン接続は使用できない。
またケーブルについてはUSB 3.1から全く変わっていない。

○USB4

2019年に策定された規格。命名法則が変化し、「USB 4.0」ではなく「USB4」なので注意。
通信速度は最大40Gbpsで、対応機器のUSBポートの形状はType-Cに統一されたが、互換性は維持されているので変換ケーブルを使えば従来の機器も使用できる。
また、正式にThunderbolt3を規格に含めたため、USB4対応ホストは全てTunderbolt3に対応することになった。
USB PDへの対応も義務付けられており、電源側は最低でも5V 1.5Aでの出力に対応する必要がある。


端子の形状

  • Standard-A
恐らく「USB」と言われて一番最初に思い浮かぶであろう端子。長方形の端子の中に金属接点が4つ入っているアレ。単に「Type-A」と呼ばれることも。
主にPCやゲーム機などの「親機」に採用されている。
3.0用のA端子はコネクターの奥に接点が増えている。そのため勢いよく刺さないと手前の接点のみで通信を開始してしまい、2.0モードで動いてしまうため注意。

  • Standard-B
一昔前のプリンタやスキャナーなどに使われている、正方形に近い形状の端子。単に「Type-B」と呼ばれることも。
主に子機側に採用されている。

  • Mini-A
デジカメの接続端子などに使われている小型のUSB「MiniUSB」端子。台形の断面をしている。結構マイナー。

  • Mini-B
これもミニUSB端子の一つ。扁平な凸型で、A端子とは微妙に形状が違う。PSPのUSB端子もこれ。

  • Micro-B
2010年代前半のAndroidスマートフォンの接続端子とかでおなじみの小型のUSB端子。単にMicroUSB端子と言うと大概これ。オス側の端子が薄いので、丁寧に扱わないと曲がってしまう。
ちなみにMicro-Aもあることはあるけど物凄くマイナー。見た人居るの?

  • USB 3.0版 Standard-B
3.0用のB端子。従来のStandard-B端子の上にピンが追加されたため、縦長の凸型になった。めったに見かけない。

  • USB 3.0版 Micro-B
3.0向けのMicroUSB端子。従来のMicro-B端子の横に追加の端子が増えている。追加端子を無視して従来のMicro-Bケーブルを差し込むと2.0モードで運用できる機器もある。
小型の外付けHDD/SSDなどで採用されているが、ケーブルの使いまわしがしにくいなどの理由もあってか徐々にType-Cに置き換わっている。

  • Type-C
USB端子の最新規格。裏表関係なく接続できるリバーシブル仕様。Nintendo Switchの拡張端子もこれ。親機と子機両方に使用されることもある。
後発の規格なので、Type-Cは2.0と3.0以上が同時に登場している。そのため、見た目はType-Cポートでも、必ずUSB 3.0以上に対応しているとは限らない。
2015年にAppleのMacBookにいち早く採用。2022年現在ではPCやAndroidスマートフォン、Bluetoothイヤホン、カメラ等の接続端子として定着している。


複数機器の接続

USB規格では理論上最大127台の端子をツリー状(ハブなどで枝分かれさせていく形の接続)に接続できる。*6
ツリー構造の深さであるTierとしては、最大7段まで対応。


USB PD

2012年に策定された、「USBで給電を行う」ための規格。類似の規格にQualcomm社の「QuickCharge」などがあるが、別の規格である。
従来の5V/500mA~900mAの他に、9V・12V・15V・20Vの電圧と、最大5Aまでの電流量が規格化されている。つまり、理論上では最大で20V/5Aの100Wでの給電も可能。
さらに2021年に発表された「USB PD EPR」規格に至っては240W(48V/5A)もの給電が可能となった。
この数値がどれだけヤバイのかって、一般的なノートPCのACアダプタは大きくても90Wくらいだって考えればわかるだろう。理屈の上では「ちょっとしたノーパソやタブレット程度ならUSB PDで給電できるので、端子をUSBだけに絞ることすら可能となる」のだ。
ただし規格が少々複雑で、USB PD対応を謳う充電器全てが100Wや240Wで給電可能というわけではないことには注意が必要。
送電・受電の方向についても、従来のUSB規格ではホストが送電、デバイスが受電と決まっていたがこれを逆にすることが機能として盛り込まれている。
2022年現在スマートフォン向けは18W~20W、ノートPC向けは45W以上の物が主流。当然ワット数が大きくなるほど充電器は大きく高価になるので自分の環境に合わせて検討してもらいたい。

充電器専用のソケットが必要なくなるとあって、AppleのMacbook(2015年以降)ではUSB Type-C(Thunderbolt)での給電を採用しており、Windows機でもUSB Type-Cケーブルで充電する機種が登場している。

ただここまでのことをすると粗悪なケーブルや機器を使った場合に危険性が増すことにも繋がっているためトラブルの元になっていたり、
加えて(これは単なる会社のポリシーの問題なのだが)Macbookは外部接続部分が「USB TypeC×1のみ」となってしまい、このポートが外部機器通信と本体の充電を兼ねるので、本体を充電しながら外部機器を接続という行為が出来なくなるといった弊害もある。


USB対応機器の例

●USBポートを搭載する機器

正確には「USBホストコントローラ」を内蔵する機器。「ホスト側」と呼ばれる。
噛み砕いて言うとUSBに接続された機器に電気を送って動かす側のこと(USB-PD対応機器等、例外はある)。要は親分。
基本的にType-AかType-Cを備える。

○PC

今のPCはほぼ必ずUSB端子を備えており、特に新しいものの中には(物理的な)外部接続がUSBのみのモデルもある。
USB端子の普及により、上記のIEEE 1284やRS-232など過去の古い端子は廃れていった。
タブレットPCもこの範疇で、2023年現在殆どのタブレットはUSB端子で充電もできる。

○据置ゲーム機

昔のゲーム機は独自規格の端子を使用していることが多かったが、PS2辺りからキーボードなどの周辺機器を接続するためにUSB端子が採用された。
MicrosoftのXboxも、コントローラの接続端子は形状こそ独自だが内部的にはUSB規格を元としたものを使用している。
PS3とXbox360以降は、接続端子も完全にUSBとなった。現世代のゲーム機は、コントローラと周辺機器に限ればUSB端子1種類で賄っている。

○テレビ

最近の液晶テレビはハードディスクに番組を録画する機能を持つものが多く、録画用の外付けHDD接続端子としてUSBを付けていることもある。
RCAやDVIやHDMIといった映像・音声端子の代わりにはなっていない。*7

〇モニター

一部の機種でUSBハブの機能を持つ物が存在する。
またType-Cの場合は給電と映像入力を一本にまとめられるが、これはデバイス側の機能なので後述。

○Androidスマートフォン

コンパクトさを要求されるので接続端子はかつてはMicro-B、現在はType-Cとなるのが基本。
充電ケーブルとPCとの接続線を兼用しているが、中には「USBホスト機能」とか「USB OTG」に対応していて、スマートフォン単独でUSB機器にアクセス出来る物がある。
対応したスマホではUSBメモリやマウス、キーボードなどを使うことができるが、OTG専用のケーブルを用意せねばならず使用にはややハードルがある。
Micro-Bオス→Type-Aメスの変換ケーブルを使ってUSBメモリ内のExcelデータを読み書きというのはリーマン的にかなり便利でした。

○車内充電ポート(一部)

長時間乗車する高速バスや観光バスを中心にスマートフォンやゲーム機の充電用としてUSBポートが設置されている。
以前は一般家庭にも設置されているAC100Vコンセントが主流だったのだが、外国人の利用が増えたのもあってか最近の新車はコンセントではなくType-A端子を直接搭載する例が増えている。
元々国際規格のUSBならケーブルさえ持っていればコンセントの形とか電圧とか周波数とか考えなくていいし。
車のバッテリーは12Vや24Vの直流のため、インバータに比べて変圧器が小型で設置し易いのも理由の一つ。
一説には車内でヘアアイロンやドライヤーのような高消費電力機器を使わせないためとも。*8
自家用車用にはシガーソケットから電源を取るUSB充電器がある。
一般車もスマートフォンやUSBメモリから音楽を読んで車のスピーカーで再生するという機能を備えた物がある。
この場合充電はおまけ程度の電流しか出てない場合もある。
しかしType-Cの普及とUSB PDの登場で汎用性の高いAC100Vコンセントを望む人も増えたため、2023年現在ではやや下火になりつつある。


◆USB端子に接続される機器

USB端子に接続して使われる機器。よく「デバイス側」と呼ばれる。
電気を受け取って動かされる側だと思えばだいたいあってる。子分。
基本的にType-B(Micro-Bも含む)かType-Cを備える。

◇スマートフォン

「USBホスト機能」がないスマホは電気をもらう側で、充電ケーブルも大抵USB端子に接続される。
ケーブルはスマートフォン側だけではなくコンセント側もUSBになっており、PCなどに接続しての充電もでき、専用のアダプタ(USB充電器)でコンセントに接続する事もできるようになっているものが多い。

◇携帯ゲーム機

PSPはMini-B端子を装備しており、PC等に接続すると外部ストレージ(USBメモリ)として認識され、データを転送することができる。
PlayStation VitaやNintendo Switchなどは充電用端子としてもUSB規格を採用している。

◇ストレージ

いわゆる外付けHDDやUSBメモリなど。
特に後者はUSB規格の外部メモリを称して単に「USB」とだけ呼ぶほど浸透しており、Windows 10ではUSBメモリでリカバリディスクを作るのが標準化されている。
リカバリディスクどころか、Windows 10以降のパッケージ版はそもそもインストールメディアが光ディスクではなくUSBメモリである。

◇プリンター/スキャナー

印刷物も基本USBでどうにかなる。
以前は25ピンの「パラレルポート」と呼ばれる規格のプリンターが多かったが、今はほとんどのプリンターにUSBが備わっている。
古いパソコン向けの需要を意識してか、USBポートとパラレルポートを両方持つ機種が多かった時期もある。
2010年代後半からはパラレルの代わりにUSB/LANの二刀流がメイン。

◇入力機器

マウスやキーボード、ゲーム用コントローラ、Webカメラ、オーディオインターフェースなども現在はUSB接続のものが主流。
ただし、USBキーボードについては規格上多数キーの同時押しに対応できない*9ことから、特にゲーマー向けでは旧式のPS/2ポートを求める声が根強い。
そのせいか2015年ぐらいから1ポートだけPS/2を備えたマザーボードが上級機種を中心に復活している。

一応、ゲーミング用などにはUSBでありながら同時押し制限を撤廃した商品も存在するが、これはパソコン側に複数のキーボードが繋がっていると誤認させるという半ば裏技的な方法で実現している。

◇音楽プレーヤー

本体への音楽データ転送などにUSB接続を用いるものが主流。
かつてはiPodやSONYのウォークマンを筆頭に独自規格を備えた機種が多かったが、現在はMicro-BやTyoe-C端子を採用したものが多い。USBメモリ型プレーヤーが流行ったこともある。
スマートフォンの普及によりその手の機種は一時勢いを失ったが、近年オーディオブームが密かに再燃しだし、高性能なDACやアンプを備えバランス接続が出来たり、ハイレゾやDSD音源に対応するため64GB以上のストレージを持ち、なおかつMicroSDXCカードで容量増加に対応可能なミドル~ハイエンドモデルが中韓メーカーを中心に流行りだしている。
パワフルな部品を搭載しながらある程度の再生時間を保つためバッテリーの容量も肥大化しつつあり*10、大容量のハイレゾ音源を高速で転送させる為USB 3.0以降に対応したりUSB-PDに対応したり、以前のブーム時から飛躍的な進歩を遂げている。

◇カメラ

かつては充電機能のみだったが2022年現在はデータ転送用に使用できる物も存在する。
Webカメラとして使うことも可能な物もある。

◇LANアダプタ

有線LANやWi-FiにおいてもUSB接続のアダプタが存在している。
速度は内蔵もしくはPCI Express規格には及ばないが、あまりに古かったりLAN端子が存在しないPCでもLANを使えるようになる。
Switchもオンラインプレイするのであればコレを用意するのが吉。

◇ディスプレイ

Type-C端子では対応しているディスプレイを接続することで画面を映すことができる。
基本的にディスプレイと機器の間のデジタル通信はUSBでは特殊な装置を利用する必要があったのだが、それをUSBで可能としたのがType-CのAlternate Mode機能。
Alternate Modeは様々な信号をUSB端子を通して通信できるようにする機構で、ここではDisplay Port*11の信号をUSBに通すことでディスプレイに画面を映すことができるのだ。

◇拡張カード

本来はPCIeを利用してPCに内蔵する装置をPCの外に出そうというもの。
その応用は多岐にわたり、前述のストレージをはじめとしてサウンドカード、果ては外付けのGPUなんてものも発売されている。
USBの通信速度の急激な増大の背景にはGPUを外付けしてもPCIe接続に遜色なく動作させたいという要求があるという説も囁かれている。

◇卓上家電

電力供給できることを活かし、扇風機やデスクライト、更には暖房や掃除機などもUSBで動くものが販売されている。
PCと同時に使う必要があるため、PC周辺で使うものが主。ハブの余ったところに差して使うと便利。


★番外編

変身アイテム

仮面ライダーにはUSBメモリを用いて変身する者もいる。

☆石

秋葉原の某店が販売していたUSBケーブルを繋いだ。正式な商品名はUSBペットロック。
ペットロックとは1975年にアメリカで1つ3.5ドルで販売されたただの石で、豪華な包装に加えて石をペットとして愛でる方法なども記載された無駄に力の入ったジョークグッズ。半年間でなんと500万個も売れ、考案者に巨万の富をもたらしたとかなんとか。
それにちなんだこれもケーブルがつながっているだけのただの石だが、どれくらい売れたのかは謎。

☆覇者

某ゲーセンにて活躍していた北斗の闘劇覇者は、奇跡的なふんばりからの逆転劇を起こしたり、永パを決められていても体力が残り1ドットのところで相手がコンボミスをしたりする(そしてそこから全く崩せなくなり逆転)事が度々あったため、元々正確無比なコンボ精度を比喩して「精密機械」などと呼ばれていたのにちなんで「筐体をUSB接続で操っているのでは?」などと言われていた。
もちろん冗談の類だが、本人が肯定した事がある。

尚、一部のアーケードゲーム機(NAOMI、SYSTEM246等)の内部構造としてはI/O系(要するにスティックやボタンの接続用など)に物理的な部分、つまり「端子」と「ケーブル」にUSBのそれを流用したものが実際に使われている(JAMMA JVS規格)。
ただし、あくまで物理的な部分を流用しているだけであり、内部を流れる「信号」は業界団体であるJAMMAの独自規格なのでUSBとの互換性はないのだが。


似たような規格

○IEEE 1394

これもシリアルバスの規格の一つ。デジタルビデオカメラなどに使われる(当時としては)USBよりも高速な端子(USB1.1が現役だった頃に100Mbpsを達成)として用いられていた。
HDD等の器具側も2ポート用意されるのが一般的で、A→B→Cと直列で16台まで接続出来るのでハブの必要性が少ないという利点があった。
Apple系ではFirewireと呼ばれている。他にもiLink(ソニー系)、DVポート(ビデオカメラ系)と呼び名がバラバラ。
USBより実効速度は確かに高速なんだけど、特許関係の絡みが複雑で、USBより物を作りにくかったことと、USB 3.0が普及したことにより衰退した。

○Dockコネクタ

iPhoneやiPodの接続に用いられていた端子。
DockからLightningに転向したために終了。
そのせいでiPhoneを直結するタイプのスピーカーや充電スタンドなどのアクセサリが割を喰った事がある。
まあこのへんはMicro-B→Type-CになったAndroidも同じようなものだけど。

○Lightning

近年のiPhone等で用いられているリバーシブル仕様の端子。
ただし2022年発売のiPadは全てUSB Type-Cになっている。
Apple製端末、その中でもiPhoneとiPad無印(第9世代まで)でしか使えず、自社の製品ですら一つの端子で統一できていないのはどうなのかと言う声も多い。
また通信速度もUSB 2.0のままなのでデータ移動が遅いのも欠点。
欧州連合(EU)はスマホ・タブレットの充電ケーブル規格を統一する活動を進めており、「Lightningを廃止してUSB Type-Cに統一しなさい」と圧力をかけている

○Thunderbolt

IntelとAppleが策定した高速データ転送規格であり、IEEE 1394の実質的な後継規格。
内部的にはPCI ExpressとDispleyPortが元らしい。変換コネクターを介せばFirewireにも接続可能。
端子の形状としては(メタルケーブルの場合)Thunderbolt3以降はUSB Type-Cと物理的には同じであり、通信方式にもUSB 3.1の規格が織り込まれているので、「USB Type-C 3.1の上位互換」的に使われることも多かったが、USB4に至っては完全に統合されたような状態に至っている。


余談

大抵のPCにUSB端子が付いていることもあり、USBの特性を狙い撃ちして利用するコンピュータウィルスも存在する。
昔で言えば、道端で拾ったFDをフォーマットして再利用しよう考えて読み込ませるのは危険*12という感じだったが、今では自身の使っているフラッシュメモリや外付けHDDに感染させ、それを別のPCに接続させただけで感染するなんてケースも珍しくない。
これはコンピュータウイルスの一例に過ぎないが注意しよう。

他にも内部をショートさせる事でPC自体を破壊するUSBフラッシュ型の物体もある。

別にUSBに限った話ではないのだが、挿そうと思ったら表裏逆だったのはこの種のコネクタを使ったころがあるならば誰もが体験するあるあるネタのひとつ。
近未来を舞台にしたアクションゲームMETAL GEAR RISING REVENGEANCEのムービーシーンでもネタにされている。あの時代でも解消されとらんのか…。
USB Type-Cでは表裏の区別がなくなった他、一部メーカーからはType-AやMicro-Bでありながら表裏どちらでも差すことができるコネクタやケーブルも販売されている。

USB内でのコネクタ形状の変換アダプタも色々と発売されているが、中には怪しいメーカー製の規格違反のものも一部で流通している。
親機側に用いるA系と子機側に用いるB系の端子が区別されていた頃はともかく、親機にも子機にも用いるType-C絡みのアダプタの場合、Type-C端子から他の形状のUSB端子へ変換する(アダプタのメス側がType-Cである)ことは規格上禁止されている。
このような規格違反のアダプタでの接続は機器の破損を招くため、絶対に使ってはいけない。

一般的なUSBの規格がほぼ2.0に移行していた2007年にバンプレストが「一番くじ 機動戦士ガンダム 脱・戦士編」の景品『こんなものHUB賞』として1.1規格のUSBハブを景品にしたことは10年経った今でも語り草。
ガンダム作中、主人公アムロの父テム・レイが酸素欠乏症に罹り、古いジャンクパーツを最新と思い込んでアムロに押し付けた代物が元ネタ。アムロからは「こんな古いものを……」と失望され、挙句放り投げられた。
生産工場から「今から1.1のラインを復旧させるからコストは2.0作るのと変わらないけれど、本当にやるんですか?」とまで言われたまさしく「こんなもの」はファンからも評判が高かった。
なお裏面にテム・レイから「投げるなよ」と書いてあるので、アムロのように「こんなもの~~!」と放り投げてはいけない。
どうしても使うならばマウスあたりの接続に使うといいだろう。


追記・修正はUSB端子にいろんなものを接続しながらお願いします。

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