iPhone/iPad

登録日:2010/11/19 Fri 12:00:42
更新日:2025/03/08 Sat 22:18:42
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Macで知られるパソコンメーカー、Apple Computer(現・Apple)社。

2001年に発売したiPodは音楽スタイルを大幅に変えた革命的製品となった。
それから数年後、Appleは再び革命を起こすこととなる。

…その市場は「ビジネスメイン」とされていたスマートフォン市場。



iPhone/iPadとはApple社製スマートフォン/タブレット端末。
iPhoneは現在のスマートフォンブームの火付け役であり世界的なスマートフォンのメインストリーム端末の一つである。

iPhoneの歴史


2007年にアメリカ独自の通信規格であるGSM方式の初代モデルが登場。
画面とハードキーとホールドキー、ボリュームボタンだけで操作は主に指で使用するタッチパネルがメイン。
これを生かすために専用OSの「iOS」が搭載された。
従来のキーボード付きのスマートフォン像から大きく転換を果たしアプリ開発の自由度が向上した。

そしてこの端末の革新的な部分がアプリマーケット。

Macユーザーなら手軽に開発できるアプリをソフトメーカーだけではなく個人でも公開できる「App Store」が登場し便利機能やゲームが登場。
Wi-Fi環境ならiTunes Storeも利用可能で、Macユーザーだけではなく一般のユーザーにも受け入れられた。

この端末は世界中の全ての携帯電話市場に影響を与え、タッチパネル端末の標準化を決定付けた。
もっとも、日本メーカーが慌てて出した「ガラスマ」には失敗作も多かったが…。
不具合全部入りのレグポンとかカイロ要らずのアッァッローズとか。

日本では、まずSoftBankから3G対応版が2008年発売。
12月からの料金施策によりiPhoneユーザーが増加、町で見かけない日はあまりないと言うほどとなった。

その後、動作が高速化した「3GS」が登場。更に2010年には本格的なスマホ普及の立役者ともいえる「4」が発売。
3GS以上の高速動作を実現した自社製プロセッサ、720p動画撮影、網膜に近い高解像度ディスプレイ、ビデオ通話機能を搭載していた。

その後、音声認識システム「Siri」とクラウドストレージサービス「iCloud」を搭載した「4S」が登場。4SからはauがiPhoneの販売を開始し、docomo以外の大手2社がiPhoneを販売しだした。

その後、2012年に「5」が販売され初めてLightningケーブルが採用、ここから2022年の「14」まで10年間採用され続けた。
また「5S/5C」より遅れてdocomoがiPhoneを取り扱うようになり、大手三社全てでiPhoneが購入できるようになったことで事実上スマートフォン業界では国産メーカーを含むAndroid勢が敗北したという見方もされていた。

しかしライバルであるAndroid端末も2022年現在ソフトウェアの改善や中国勢の日本進出もあってかバリエーションが増えたことで人気を取り戻している。そのため縛りの多いiPhoneがかんたんスマートフォンと揶揄される現状もあるワケだが。

2014年の「6」からiPhoneで街中での決済が可能な「Apple Pay」機能が搭載される。日本では「7」から対応し、Android機と同じく買い物から公共交通機関の乗車までiPhoneで賄えるようになった。

かつてはiPhoneからモバイル通信機能とGPS等を除いたと言ってもいいiPod touchも用意されていた。
しかしシリーズ販売開始から10年以上経ち、iPhoneも含めたスマートフォンが大量に出回る様になったことから2022年に販売が終了した。

種類

無印

基本型。
2020年代からはスマートフォンのSoCが成熟化しつつあるのと、コスト削減のために前年度のProの物を流用するのが恒例になりつつある。

Pro

無印の強化版。画面リフレッシュレートやSoC、カメラの性能が高いのが特徴。

mini

昔のiPhoneの大きさを好む人には嬉しい小型版。しかし売り上げが芳しくなかったため2世代で姿を消す。

Plus

大画面仕様。性能は無印と同じ。一時期廃止されたがminiと入れ替わる形で復活した。

SE

廉価版iPhone。古いiPhoneの筐体に発売時点での最新SoCを搭載するのが一般的。
2024年現在はiPhone 8の筐体を使用しているので、現行のiPhoneでは唯一のTouch ID採用機になっている。


iPad


iPadは大きくなったiPhone、iPod touchと言ってもいいタブレット端末。
10型ディスプレイによりスマートフォンでは味わえない情報量とちょうどいい大きさのソフトウェアキーボードでパソコンの様にインターネットを楽しめる。

外出先でも手軽にインターネットが楽しめるSIMスロット付モデルも用意されている。キャリア経由で購入する以外にSIMフリーの物も単品で販売されている。
勿論Wi-Fiのみで安価になったSIMスロットなしモデルもある。このモデルでもモバイルWi-Fiルーターや公衆Wi-Fi、テザリングを使用すれば出先でも使用可能。

当初は読書用途を前面に打ち出しており、自社製プロセッサ(コアはARM製)により動きが有る書籍も読めることを売りにしていた。
OSは「iPad OS」を採用する。元々はiOSだったが大画面向けに最適化される過程で分離。只、互換性はあるので変わらず同じアプリが使用できる。
ジョブスがスマートフォンには不要と言ったスタイラスペンについても、こちらは対応。手書きでの入力やお絵描きに使える。
外部ディスプレイ代わりとして利用できるので、MacからWindowsPC、Nintendo Switchまで活用可能。

余談気味だが、何故かiPad系統にはユーザーの要望も大きかったにもかかわらず頑なに「標準の電卓アプリ」が搭載されなかった。
算数の計算というのは常時やらないとしても、ふと思いついたときに使うタイミングが出ることが多いため
iPadユーザーはそういうシチュエーションが発生した時はiPhone含む他のスマホを使うか、AppstoreでiPad対応の電卓アプリを入手しなければならず歯がゆい思いを強いられていた。
しかし2024年リリースのiPadOS 18においてようやく「計算機」が搭載されることになったのはiPadユーザーの間で話題となった。
標準搭載といっても単なる計算機ではなく、Apple社らしく手書きにも対応するiPadの特徴を利用したアプリとなっている。


種類

無印

基本型。一時期はAirに吸収されたが、廉価版という立ち位置で復活して現在に至る。
それ故かiPadの中では一番遅くまでLightningを使用していた。

Pro

最上位機種。2020年代からはCPUに「Apple Silicon」を採用し性能はMac並み。11インチと12インチの2種類展開。
ディスプレイはmini LEDや有機ELになり、画面リフレッシュレートも120Hzになった豪華仕様。
生体認証はiPadでは唯一のFace ID。クリエイターやゲーマーに好まれる。

Air

当初は無印に代わる基本型として登場したが、現在は無印とProの中間と言う位置づけ。
SoCの性能とディスプレイが沈んでいないのはPro寄りだが、画面リフレッシュレートは60Hzに抑えられている。
こちらも11インチと12インチの2種類存在。

mini

小型なiPad。
文庫本より少し大きい位のディスプレイを搭載し、人によってはギリギリ片手持ちが可能な画面で電子書籍や動画配信などを楽しめる。


iOS(iPad OS)とAndroidとの差


  • 高価な上に大掛かりなカスタマイズは苦手だが、ソフトもハードも自社製なので信頼性が高く、古い機種でも5年はソフト更新等の面倒を見てくれるiPhone。
    • 信頼性のみならず、基本性能自体も当然高い。処理や描画の重い(勿論iOS対応の)アプリを快適に起動したい人はiOS系を選べばまず安泰。
    • 機種の選択肢が少ない分アクセサリを作りやすく、100円ショップなどでもiPhone用のケースやフィルム等が簡単に手に入る。かつては充電にLightningケーブルが必要だったが、15からはUSB Type-Cとなりほかの機器から使い回せるようになった。
    • 3Dアクションゲームや音ゲーはiPhoneの方が動作が安定したりローディングも速いことが多い。(Androidは様々な会社が出しており仕様もそれぞれ違うのに対してiPhoneは一定の仕様しかないのが理由。)
    • アプリストアがすごく厳しいので、えっちいゲームシステムに強く影響するアプリなどは殆ど存在しない。ウイルス等を呼びにくいというメリットもあるが、服装チェックなども厳しいのでえ?これが?と思われるものも規制されがち。
      • 一方で独占禁止法に違反しているのではないかとの意見もあり、サードパーティーのアプリストアを認めるべきとの声も出ている*1
    • 上の制約の所為で、ランチャー(メインメニュー画面)はデフォルトのまま変更不可能(通知やウィジェットは多少いじれる)。あくまで購入時そのままの画面に慣れる必要がある。
    • MIDIやFlash入りのサイト等、一世代前のコンテンツは未対応なことがある。最近のHTML5などは問題なく動くのだが。
    • (Apple製品全般に言えることだが)バッテリーの安定利用温度の下限が0℃程度で、それを下回ると急速に電池持ちが悪くなり、寒冷地では冬季に屋外で使用する時は携帯バッテリーが無いと十分にバッテリー残量が残っていても短時間で突然死もザラ。
    • microSDカードを使えず、容量を購入後に増やせない(※ただし2020年代現在のAndorid勢もmicroSDが使えない機種は多い)。データのやりとりはAppleデバイス(iTunes)かクラウド経由で。
    • 最近の機種にはイヤホンジャックがない(※ただしこれはAndorid勢も追従)。変換アダプターを繋いで充電ジャックに挿す形だが、直接挿したい人には少し歯がゆい仕様。必要な人は充電端子・イヤホンジャックが両方付いた変換アダプターを使用、またはワイヤレスイヤホンを購入する事が求められる。
    • Apple製品自体が元々デザイナーを中心に支持があることから創作系のアプリが充実している。
    • MACOSのPCを使用しているなら、当然iOSと連携させやすい。
    • アプリが一般的なコンピュータ機器で用いられるC言語プログラムベースなのでこなれており、「iOS専用アプリ」として作られるため安定性が高い。
    • ガラケーと比べてキャリア製アプリがイマイチなので、機種変時に最低限引き継いだ後はiPhone標準アプリのお世話になることだろう。
    • 要はカスタムするよりもデフォルトの仕様にユーザーが慣れていくイメージ。


  • 端末毎の差は大きいが、大本がオープンソース主体でシステムもアプリストアも緩いのでiPhoneにはできないようなカスタマイズがバンバン試せるAndroid。逆に悩むかもしれないが端末の企業も複数選べる。
    • スペックが見事にバラバラなので、使い手の使い方に合わせて価格重視からハイエンドモデルまで幅広く選べる。逆に言うと高度な3Dゲーム等を快適にプレイしたい人は、下手に中堅機種を選ぶと後悔する可能性はある。
    • メーカーごとに形状が千差万別なので、アクセサリの入手は流行の機種でなければちょっと面倒。代わりに充電用端子はUSB規格古いとmicroB、現在はType-Cであることがほとんどなので、充電ケーブルは安く簡単に手に入る上、スマートフォン以外でも使える場面が多い。(現在ではAndroidもiPhoneもUSBType-Cに統一された)
    • OSの更新は長くても2、3年程度で止まってしまうが、アプリが対応していればさほど困らなかったりもする。世界的に人気な端末だと有志によって新OSが作成されアップデートできる場合もある。自己責任にはなるが。
    • アプリに関しては緩めなので、アプリストアの品揃えの多さは勿論個人公開の野良アプリも使える。言い換えればウイルス等を呼びやすいということでもあるが。企業アプリも開発など諸々の関係でiOSに現状は対応していないこともそれなりにあるため、用途にもよるが目当てのアプリが使えるか警戒する必要性が少ない。
      • WindowsPCとの親和性も高いとは言い難いが、開発やサービス提供環境などの違いからWindows - iOS間と比べると情報や関連アプリや両環境が用意されているアプリもそこそこ多く、連携しやすい(Windows - iOS間が連携出来ないわけではないが、差を感じる程度の影響はある)。
    • アプリが携帯アプリなどで用いられているJavaベース。このため互換性は高いが不安定な面も多い。簡単に言うと「全部エミュレータとして動いている」ため。
      • ただしいくつもの制限付き*2ながらJNIも実装されているため、回避可能ならその方が無難だが、ネイティブコード利用によるパフォーマンス強化やC/C++利用やライブラリのソース共通化は不可能ではない。
    • microSDカードが使える物もある。そのためファイルの扱いについてはこちらの方が楽。
    • 概ねの機種が耐候性が高い設計で、摂氏0℃以下の低気温下でのバッテリーの持ちも良い。
    • キャリア製アプリもiPhoneより出来が良いので、ガラケーから引っ越す人にも割とやさしい。
    • カスタムしまくって端末の方をユーザーに慣れさせる。勿論、変にいじらなくても普通に使えるようにできている。


ざっくり言ってしまうと、
  • iOS=柔軟性がない代わりに使い方がわかりやすく、また発売元が認めたもの以外は入ってこないゆえの安全性のある「ゲーム機」
設定をごりごり弄る気はないが性能や信頼性は譲れない人、重いゲームやアプリを快適に使いたい人、Mac他Apple製品に馴染み深い人向け。

  • Android=製品ごとの仕様のばらつきと引き換えにカスタマイズ性が高く、個人にあったマシンを選べる「PC」
ごりごりカスタマイズして使い倒したい人、逆に弄る気はないがiPhone程の高性能機を求めない人、寒冷地住まいの人、iOS未対応のスマホアプリ目的の人、Google系のサービスに馴染み深い人向け。
とも言える。



年々着実に進化を遂げ、2024年現在ではiPhone16シリーズがメインストリームになっている。
性能、機能共にスマホ最高峰なのは間違いないが、元々高い買い物だったのが更に円安も込みとはいえ強気な価格になってしまい、
割賦販売で端末代金を意識することが少ない(ただし本体価格10万円を超えると信用審査が必要)風潮の中でも、さすがに躊躇するユーザーも少なくない様子。
そのため近年は値下げした上で型落ちの旧型機販売の継続したり、比較的低価格のSEシリーズの販売も開始されている。
それでもそのスペックと信頼性で客を勝ち取るか、はたまたライバルのAndroidが追い上げるか…

ともかく、これからこの端末がどんな「更なる革新」を見せてくれるか見物である。




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最終更新:2025年03月08日 22:18

*1 アプリストアに関する独占禁止法違反に関しては外国でもそうだが本国のアメリカにすら提訴された。Androidも同様に外国で提訴されがちだが、iOSは露骨に立場を利用した強烈な締め出しや囲い込みを行ったために(フォートナイトへの対応が分かりやすい)この面でのユーザーや開発企業からの反発は相対的に控えめ。

*2 例えば上位命令はJNI経由したり、当然CPUアーキテクチャごとのバイナリの用意も必要になるが、Android NDKを使用すればネイティブコードも利用可能になる。