Xbox

登録日:2020/03/27 Fri 18:05:04
更新日:2020/04/08 Wed 18:22:11
所要時間:約 9 分で読めます







 美しく遊べ。




Xboxとは、マイクロソフト(以下、MS表記)より発売された家庭用ゲーム機。世代的には第6世代に該当する。

【解説】


日本では2002年2月22日発売。定価34,800円(消費税別)。後に24,800円→16,800円へと値下げした。

MSはドリームキャストの開発に関与していたが、ドリームキャストは商業的に失敗してセガはハード事業から撤退。
1999年頃に社内でのハード事業の構想が浮かび上がり、コンペやコスト試算などを乗り越えて参入を決定した。
ハード参入の経緯にはPlayStationを擁するソニーの「打倒Windows+Intel」宣言などの影響もあった。

Xboxの初期のコードネームは「Project Midway」であり、これは「PCとゲーム機の中間を行く」「日本への反攻」の意味が込められた。
後者の意味に関しては、アメリカが日本に勝利した太平洋戦争においてミッドウェー海戦がターニングポイントになった事に由来する。
Xbox登場以前のハード市場が日本メーカーの独占状況(ソニー、任天堂、セガ)だったことに対する挑戦状とも言える。

完成したXboxというハードは、第六世代では最高のスペックや名作ソフトの排出に成功した。
その結果もあり、MSとしては初のハード事業参入ながらも世界的に普及を果たした。
先行で圧倒的な王者だったPlayStation2には及ばなかったが、ニンテンドーゲームキューブに対してはシェアを上回った。

Xboxのブランドはゲーム市場で確立し、以降もMSはハードメーカーとして活躍することになる。

【日本での状況】


世界的に一定の成功を収めたXboxだったが、日本では全く普及に成功せずに敗れ去った。

Xboxの世界普及台数が2,400万台だが、日本は僅か53万台しか売り上げていない。
同じような洋ゲーハードとも言われて敗れ去った前世代の3DOでも、国内販売台数は80万台は記録したことを考えると、相当苦戦したと言うしかない。

だが宣伝の手を抜いたという訳ではなく、上述した「Project Midway」の心意気で日本でも積極的にプロモーションは行った。
あのビル・ゲイツが来日して『笑っていいとも!』に宣伝を兼ねての出演や日本人購入者への手渡しをしたり、X JAPANのYOSHIKIを起用するなど怒涛の宣伝攻勢を仕掛けた。
ところが、日本市場では大きくハード販売の戦略を読み違えてしまったとされる。以下、指摘される普及失敗の理由。

  • プレイ中にDVDやCDのメディアに傷が付く欠点が判明し批判が出る。MSはこの指摘を「プレイに支障が出ない」と大して問題視しなかったが、結果としてユーザーからの不信を買ってしまう。
  • 本体が異様に大きく、日本の住宅事情や日本人のデザイン的感性に噛み合っていない
  • 定価が他社と比較して高額。発売3ヶ月で1万円値下げするというチグハグな価格戦略
  • 発売時期が2月と冬の商戦から外れていた
  • 日本市場におけるキラーソフトの不足(後述)

しかし、MSは初のハード事業だったので戦略的に読み違えても仕方ない点はあるし、地域毎で普及率に格差があるのは他ハードでも珍しくはない。
また、日本では普及に苦しんだ一方で、後述するが日本のゲーム開発者からはハード性能やコンセプト自体は高い評価を受けた。
そして、Xboxを支持する日本ユーザーは数は少ないがいなかった訳でもなく、熱烈なファン層も生まれた。

この失敗を糧に、MSは後継機のXbox360において日本市場への普及に向けたアピールに挑むこととなった。

【本体】


本体の外観は巨大な黒い箱。本体重量が4kgに相当、大きさはPS2と比較して1.8倍大きいという超弩級ハード。
筐体としての強度は頑丈な方であるユーザーがキレて拳銃を撃ち込んだが壊れなかったという逸話がある。

本体上部は「X」の文字をイメージしたデザインとなっており、中心部に本体名のロゴが存在する。
本体正面はコントローラ端子が4つが電源ボタンを挟む形で配置され、本体後部は電源コネクタ、出力用コネクタ、LANポートが存在。

コントローラは丸みを帯びているデザインで、中央部分のXboxのロゴがインパクトに残る。
十字キー1個、アナログスティック2本、ボタン10個の構成。
2個分の拡張スロットが存在し、ここにメモリカードやボイスコミュニケータなどを装着する。
ちなみに見た目からは分からないがコネクタソケットはまさかのUSB規格。
さすがにそのままでは他のUSBソケットには物理的にも挿せないが、変換アダプターなどを使って挿すとちゃんとUSB機器として認識されるそうな。

コントローラは、北米版に比べて日本版は大きさやケーブルの長さなどが縮小化されている。
初代Xboxのデザイナーは後年、コントローラが大きかったことに対する後悔の念を述べている。
担当者が小さい電気製品を製造できないメーカーに依頼したことが原因との談。
日本版のコントローラが縮小化したのは、北米よりも発売が遅かったので変更の融通が利いたらしい。

【性能】


CPU Intel Mobile PentiumIII*1
GPU マイクロソフト・NVIDIA共同開発カスタムチップ(233MHz)
HDD IDE HDD 8~10GB
メインRAM DDR SDRAM 64MB
画面 1920×1080(最大解像度)
ポリゴン描画能力 1億2500万ポリゴン/秒(理論値)
ソフト媒体 5倍速DVD-ROMドライブ

第6世代ハードでは最高クラスの性能を誇っている。

ハードの構成はPCの作りに近いが、「PCとゲーム機の中間を行く」という開発コンセプト通り。
当時こそこのハード構成を疑問視する声はあったが、後々のゲーム機の進化を見ると正しい方向性だったと言える(早すぎたとも言うべきか)。

使用したCPUはIntelのMobile Pentium IIIをベースとするオリジナルCPUだが、コアに内蔵される2次キャッシュの容量がオリジナルの1/2となっている。
このキャッシュ1/2の仕様がセレロンと同じ為セレロン扱いされる事も有るが、インテル的にはセレロン扱いはしていない点に注意。
ちなみに、クロック周波数は同世代のライバル機であるGCの後継機であるWiiと同レベルだったりする。

グラフィックスチップはMSとNVIDIAが共同で開発しており、NVIDIAが開発した『GeForce3』を改良した物
電力消費を低く収める必要が有るCS機用にPC用チップからいらない部分を省いた物。
ちなみにNVIDIAとの共同開発だった為、360を出す際にAMDにGPU開発を変更したのでNVIDIA独自規格部分は使えなくなった。
移植できなかったソフトの大半はこのNVDIA規格の部分に依存するゲームエンジンを使っていた部分も大きいとされる。

また分解すると分かるが実は基板にはRAMメモリチップをもう一組付けられる分の空きパターンがある。
この事から当初、RAM容量を増したマイナー強化版を出す事が予期されていた可能性が有る。

HDDをデフォ装備としており、セーブにメモリカードなどの外部記録機器が不要で、ハードとソフトを買うだけでセーブも可能だった。
ただし換装等は考えられていない為、PC用の同規格高性能HDD換装による性能向上などは出来ない。無理に分解換装してもOS側が認識しない。

LAN端子を標準搭載したことで、Xbox Liveなどネットサービスも楽しめるなどネット方面の機能も強い。
モデムを内蔵したゲーム機としては過去にピピンアットマークやドリームキャストがあるが、ブロードバンド機能を標準搭載したゲーム機はXboxが初めて。
他の同世代ハードもブロードバンド機能は使えたが、それには外部の周辺機器が必要だった。

【Xbox Live】


Xbox専用に提供されたオンラインサービス。日本では2003年1月から提供が開始された。
ネットワークを利用したサービスや『Xbox Live Arcade』などの配信ソフトの供給などを行っていた。
日本ではオンラインゲームの普及の遅れ…以上の問題が、Liveの支払いはクレジットカード限定、さらにアメックス等の日本では手に入れるのが難しい物しか受け付けていないというのが最大のネックだった。
そのため普及へのアピールには繋がらず、このサービスが知名度を上げるのはプリペイドコード対応になった後継機の360以降となる。
2010年4月15日に初代Xbox向けのサービスは終了している。

【主な周辺機器】


Xbox DVDビデオ再生キット

  • 発売日:2002年2月22日
  • 価格:3,800円
XboxをDVDプレーヤーとして利用可能にするキット。
アダプターをコントローラ端子に差し込んで、専用のリモコンを使って使用する。

Xbox ボイスコミュニケータ

  • 発売日:2003年9月25日
  • 価格:3,850円
Xbox Live上でボイスチャットを行うためのツール。『Xbox Live スタータキット』にも同梱。
このツールを利用した専用ソフトには『N.U.D.E.@ Natural Ultimate Digital Experiment』が存在する。

Xbox ビデオチャットキット

  • 発売日:2004年11月25日
  • 価格:6,800円
Xbox Liveの通信機能を利用したビデオチャットを利用するためのツール。
専用カメラの『Xboxカム』を本体に接続し、他のユーザーとテレビ画面でビデオチャットが可能になる。
目のある球体のようなデザインは何かに見られているような感覚に襲われるとも評される。

鉄騎専用コントローラ

  • 発売日:2002年9月22日
  • 価格:19,800円
カプコンから発売されたシミュレーションゲーム『鉄騎』で遊ぶために必須の専用コントローラ。
奥行き26cm・横幅88cmの大きさを誇り、40以上のボタンとフットペダルを搭載した。
鉄騎というゲームの作りに応じた、ゲーム史でもトップレベルのロマンを持つ周辺機器と言える。
後に新作『鉄騎大戦』が発売されると同時に、ボタンの色が青くなるなどの変更が加えられた改良型コントローラが登場している。

【ソフト展開】


国内での普及台数を考えると、発売されたソフトの数自体はイメージよりは多い(全223本)。

Xboxは開発環境にDirectXを使用可能だったことで、開発難易度や製作費のハードルが格段に低かった。
国内の大手サードも積極的に参加し、PS2とのマルチタイトルに留まらず独占の新作も少なからず提供された。
上述の超巨大専用コントローラを採用した『鉄騎』シリーズなどは話題を呼ぶことになる。

海外市場ではFPSのソフトが人気を呼び、全米で人気を誇る事になる独占ファーストタイトルの『Halo』シリーズも誕生した。
一方で、これらの多数の洋ゲーは日本でも展開されたが、商業的には殆どが日の目を浴びることなく散っていった。
当時の日本では、洋ゲーへの偏見や感性の違いによる印象が抜けきっていなかったためだと言われる。
洋ゲーの普及が進んでいくのは次世代機の360の世代までお預けという事になったが、上述の『Halo』などの完成度の高さは日本でも認知されることになる。

高性能なオンライン機能から、『ファンタシースターオンライン』のXbox版などは支持を集めた。
一方で、Xboxのオンラインゲームの本命とされた『トゥルーファンタジー ライブオンライン』が開発中止になるなどの悲劇もあり、強みにはならなかった。

国内で一番売れたソフトは『DEAD OR ALIVE 3』の24万本だった。
ハーフミリオンにも到達したソフトは存在せず、国内における第6世代ハードのソフト販売数(ドリームキャスト含む)では最下位に終わる。

Xboxのソフト資産は、後継機の360の公式ソフトウェアエミュ互換によって先述の独自部分を大幅採用していた一部ソフトを除いて引き継がれることになった。
ちなみにPC用のエミュでも動くのはこの360でも動く共通規格製ソフトがほとんどでハードに依存する独自エンジンを使っていたソフトの大半は非対応だったとの事。

【余談】


  • セガ会長の大川功がXbox開発の話を聞きつけ、MSに「セガのタイトル資産を提供と引き換えにドリームキャストの互換性をXboxに導入」という交渉を持ち掛け、Xboxをドリームキャストの実質的な後継機として系譜を残そうとした話は有名。
    しかし、ドリームキャストのインターネット環境とMSのインターネット機能への思想の違いから、結局破談に終わった。
    この話は長年一部メディアによる噂話的な扱いだったが、後にMSの日本法人社長を勤めていた古川享のTwitterにて明言された事で事実と判明した。
    日本での普及率だけで見れば一応ドリームキャストを取り込んだほうが多少は伸びたのではないかとする見方もあるが、実現しなかった以上は机上の空論だろう。
    Xboxのコントローラーデザインの没案にはビジュアルメモリを連想させる物があるが、上述の互換計画の影響や関連性は不明。

  • 発売前のゲームショーなどで展示されたプロトタイプ版Xboxが存在するが、それはなんと「銀色のビッグX」と呼ばれる超巨大な外観をしている。
    しかし、実際は本物の製品デザインが終わった後に作ったショー専用のデザインとして作られた機種とのこと。
    2018年には本社のビジターセンターで展示されるなど、現物は今でも存在している模様。





追記・修正は、人生は短いので遊ぼうと思った人にお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/