有田春雪/シルバー・クロウ

登録日:2010/04/07(水) 22:54:32
更新日:2023/11/15 Wed 18:26:30
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強くなりたい……だって? だから全部許されるって言うのか!?
強くなりたい、強く生きたい……辛いもの全部に、自分の力で立ち向かえるようになりたいって、誰だって思ってるんだ!!


有田(アリタ)春雪(ハルユキ)/シルバー・クロウとは、電撃文庫のライトノベルアクセル・ワールド』の主人公。
作中ではハルユキと表記されている。



◆概要

東京都内の梅郷中学校に通う中学生。
低い身長に丸々と太った身体、気弱な性格と三拍子揃った典型的な「いじめられっ子」。

不良生徒・荒谷(アラヤ)達のパシリとしてこき使われる傍ら、学内ローカルネットのバーチャルスカッシュゲームで憂さを晴らす生活をしていた。
その並外れた反応速度が黒雪姫の目に留まり、《ブレイン・バースト2039》プログラムをインストールされ《加速世界》に足を踏み入れる。

重度のゲーマーであり、日頃からオンラインで世界中のプレイヤー相手にFPSをプレイしていたり、バーチャルスカッシュではぶっちぎりのハイスコアを残している。
手持ちにはレーティング無視の各種ゲームも揃えており、本棚に定番の仕掛けを作って隠しているが、ニコには全部バレている。
その一方で自らの外見に強いコンプレックスを抱いており、「自身に誰かの好意が向けられることはありえない」と考えている。

ブレイン・バーストをインストールされてもそのウジウジした思考はなかなか変わらなかったが、黒雪姫からまっすぐな好意を向けられ、また加速世界で様々な仲間と出会い困難を乗り越えたことで、少しずつネガティブな性格が改善された。

人に弱みを見せず影で努力するタイプで、弱点克服のためにこっそり訓練することもある。また長年イジメに遭っていたためか、忍耐力もそこらの大人より高い。

その内面を知る者や外見による偏見を持たない相手からは、概ね好意を抱かれている。フラグが立っている女性は21巻までで13人。15巻ではとうとうエネミーまで篭絡した。
うち2人は小学生だが、本人も中学生なのでたぶん大丈夫。まったく、小学生は最高だz(ry
というより2人が例外なだけで殆どが年上であり、どちらかと言えば年上キラー。あまりの年上キラーぶりに幼馴染のタクムも呆れ顔をしている。



◆デュエルアバター:シルバー・クロウ(Silver Crow)



加速世界の対戦格闘ゲーム《ブレイン・バースト》での姿。通常のカラーサークルの内に収まらない、《メタルカラー》のアバターである。
現実とは反対にひょろひょろした背の高いアバターであり、顔はつるつるしたヘルメットのような形状。ボディカラーは名前の通りの「白銀(シルバー)」。
打撃や腐食攻撃には弱いが、切断・貫通・火炎攻撃に耐性を持ち、身軽さを生かした近接格闘を得意とするが、武器がないため遠距離攻撃が苦手である。


【以下、1巻後半のネタバレ】

シルバー・クロウには、全デュエルアバターの中で唯一《飛行(アビエーション)》という隠れた能力があった。


◆戦闘能力

初期こそ「加速世界唯一の完全飛行アバター」として名を馳せ、その性能を生かしたポジショニングアドバンテージに頼った対戦をしていたが、レベル6現在、高度な格闘技術を持つ高速近接格闘型アバターとして成長した。
LvUpボーナスをレベル5まで飛行アビリティの性能向上に全振りしてきた上、その飛行アビリティにアバターポテンシャルの大半を注ぎ込まれたというのに、レベル、経験共に格上の相手にも善戦ないしは勝利することも多い。

これはいくつもの要因が重なっている。
まず対戦の師にして《親》が加速世界最強のバーストリンカーであるLv.9er《純色の七王》の一人であり、最高クラスの指導が初期から得られたこと。
その後、もう一人の師を得て《心意》の指導も得られたこと。
ハルユキ自身が数々のゲームをこなしてきたヘビーゲーマーであり、吸収力と経験値量が高いこと。
ここぞという時に柔軟な思考対応ができること。
仲間を想い、信頼する優しくも勇ましい心。
何より異常なレベルの反射神経がこれらを統合し、勝利へと導いている。

ただ飛んで殴る蹴るしかできないだけのひ弱なカラスだと思っていると、手痛いしっぺ返しを喰らうだろう。


◆技一覧
●基本技
  • 《パンチ》
  • 《キック》
 最初から使える通常攻撃。
 メタルカラーの格闘型だからなのか、意外と威力はあるらしい。
 後述するダイブアタックやエアリアルコンボは、飛行アビリティとこれらの技を組み合わせたものである。

●必殺技
  • 《ヘッドバット》
 初期習得の必殺技。が、リーチが短く予備動作も長いといいとこなし。初めて使った時は見事にスカったうえ、派手に隙を晒したせいで大ダメージを被った。
 が、やがてハルユキも成長してヘッドバットを使いこなせるようになり、「予備動作を防御行動としてからの反撃」や「締め技を食らっている最中のカウンター」などに利用している。
 また発光するエフェクトを伴う関係なのか、地味に物理/光複合属性という特徴を持ち、物理攻撃に強い相手へのダメージソースとしても活用される。
 逆に言うと非常に限定的な状況でしか活きないため滅多に使われず、「シルバー・クロウ対戦データ」からは漏れていた。仕方ないね。

  • 《ディジット・パシュート》
 Lv6のLvUpボーナスのひとつ。両手の指を小型のホーミングミサイルとして発射する。
 実際には選択されなかったので設定上だけの存在。

  • 《バレット・プルーフ》
 Lv6のLvUpボーナスのひとつ。一定時間、実体弾への耐性をアップさせる。
 実際には(ry

●アビリティ
  • 飛行(アビエーション)
 シアン・パイルとの激闘の最中に覚醒したアビリティ。
 必殺技ゲージを消費することで、背中から翼を展開し高速飛行やホバリングが可能になる。
 基本的に地上戦オンリーの《ブレイン・バースト》においては凄まじいアドバンテージを得られる能力だが、それだけで勝ち抜けるほど甘くないのもこのゲームである。
 前述の通りLv5までのLvUpボーナスは全てこのアビリティの強化に注ぎ込まれているため、飛行時間・飛行速度共に大分伸びているらしい。

  • 光学誘導(オプティカル・コンダクション)
 あらゆる光線を反射できるという《理論鏡面(セオレティカル・ミラー)》の習得を目指すなかでうっかり得たアビリティ。
 可視光線の反射率が金属の中で最も高いというシルバーカラーの特性と、《光に対する柔法》のイメージによって開眼した。
 習得と同時に両腕部に導光クリスタル(ロッド状のパーツ)が発生しており、これで光線の類を受けることで偏向し受け流すことができる。
 ただし熱そのものを遮断できるわけではないため、余波でダメージを受けてしまうことも。

●応用技
システム的に設定された技ではなく、ハルユキ自身が編み出した戦術・技術。要するにプレイヤースキル的なもの。

  • 急降下重突撃(ダイブアタック)
 高所からの急降下による重い一撃を喰らわせる。
 なんらかの手段で相手の機動力を奪うか、不意打ちでもしない限り当たらないが長い間シルバー・クロウの決め技として活躍している。

  • 螺旋蹴り(スパイラル・キック)
 左右の翼の推力を別々に制御して錐もみ回転し、ドリルキックを繰り出すダイブアタックの派生技。現在のシルバー・クロウ最強技…らしい。そんなに活躍した気はしないのだが…。
 ダイブアタックとは違い、急降下の勢いをつける必要はないのが利点だが、精度が悪化しているのが難点。

  • 空中連続攻撃(エアリアルコンボ)
 瞬間的に翼の推力を起動し、切れ間ないラッシュを繰り出す。
 殴る蹴る→ゲージが微量溜まる→そのゲージを使ってスライドorブーストし、殴る蹴る→ゲージが微量溜まる…というコンボが成立するため、一度ハマれば半永久的に殴り続けることができる。
 現在、1対1での通常対戦におけるシルバー・クロウのメインウェポンと言える。

  • 受け返し(ガード・リバーサル)
 師であり親であるブラック・ロータス直伝の「柔法」をハルユキなりにアレンジした技。
 いわゆる柔術的なそれであり、相手の力や運動エネルギーを利用して、ベクトル変化によって相手にダメージを与える技法、戦術。
 上述のエアリアルコンボが攻めの要とするなら、こちらは守りの要、切り返しの要と言える。

  • 《オメガ流合切剣》
 六代目クロム・ディザスターと化していた際に、三代目の記憶から再現して使っていた剣術。
 後に三代目その人であるセントレア・セントリーから直接伝授されることになった。
 その真髄はオブジェクトの《極微》を見切り、超威力かつ防御不能の斬撃を放つことにある。
 ちなみに術理にイメージ力を利用しているせいなのか、多くのバーストリンカーから「心意臭い」として邪道扱いされている。

  • (ごう)
 オメガ流合切剣の奥義の一。
 心を無にする=イメージ出力をゼロにすることで加速世界の演算処理を一瞬狂わせ、自身の存在を希薄化するとともに現在位置を誤認させる。
 ゲーム的に言えば要するに任意に位置ズレを発生させる技。そりゃ邪道って言われますわ。

●心意技
  • 光線剣(レーザー・ソード)
 カテゴリは《射程距離拡張》。手から光の刃を伸ばす。
 主に近距離の格闘戦に用いられる。

  • 光線槍(レーザー・ランス)
 光線剣の派生技であり、長大な光の刃を撃ち出す。その射程は30m以上。
 発動には「溜め」が必要なことと、伸びるのが一瞬だけということもあって、振り回して使ったりはできないらしい。

  • 光線投槍(レーザー・ジャベリン)
 光線剣と光線槍の併せ技。溜めに溜めた光線槍を光線剣で斬ることによって、伸ばしたゴムを切って飛ばすように遠距離まで飛ばす。
 シルバー・クロウ最長の射程距離を誇る技だが、精度が悪いのが難点。

  • 光速翼(ライトスピード)
 シルバー・クロウの原点と言える《移動能力拡張》カテゴリの心意技。飛行能力が超強化され、圧倒的な速度での飛行や、高度数千メートルへの上昇すら可能となる。
 また、心意技なので必殺技ゲージを無視した飛行が可能となっている。
 現在、諸々の補助を入れてこの技を使用したシルバー・クロウの最高速度は音速を越える。

  • 光殻防壁(ライトシェル)
 ドーム状の光の膜を展開して外部からの攻撃をシャットアウトする、防御の心意技。範囲はハルユキを中心として半径10m以上に及ぶ。

◆使用した強化外装
  • 《ゲイル・スラスター》
 バックパック型強化外装。いわゆるロケットブースター。装備時のみ出現する専用ゲージ(時間経過によってリチャージされる)を消費し、瞬間的に莫大な推進力を得られる。
 本来の所持者はスカイ・レイカー。諸事情あって飛行アビリティを失った際、一時的な飛行能力の代替手段として貸与された。
 現在はレイカーに返却しているが、必要に応じて借り受けている。
 飛行型アバターであるシルバー・クロウは、心意システムを使うことでゲージを瞬間的に回復させる=無限飛行が可能になっている。

  • 《ザ・ディザスター》
 加速世界最凶と称される、鎧型の強化外装。別名「災禍の鎧」。シルバー・クロウはこれに寄生され、六代目の《クロム・ディザスター》となってしまった。
 「歴代最強」とも言われるその戦闘能力は凄まじく、また精神性が初代に近いためシンクロ率が異常に高く、歴代クロム・ディザスターの固有技を使えるわ《獣》による短期未来予測を行うわやりたい放題であった。
 具体的には短期未来予測をしながら空を飛び、熟練の技で大剣を振るい、火を吐き、ワイヤーアクションをして、ワープする。
 オマケに着装時に体力が全快する。作中ではやっていないが、おそらく他アバターを喰らって体力回復もできるだろう。チートだコレ。
 現在はその呪縛を解かれ本来の姿である《ザ・ディスティニー》と《スター・キャスター》へと戻っているので、もう二度とこの形態になることはできない。

  • 《ザ・ディスティニー》
 《七の神器(セブン・アークス)の六番星に相当する鎧型強化外装にして、《ザ・ディザスター》を構成する片割れ。腐食・酸属性を除く全攻撃に耐性を持つぶっ壊れ装備。
 クロム・ディザスターと化したハルユキが鎧の精神支配への抵抗と戦力アップの両立を狙いこれを着装しようとしたが、《獣》による激しい抵抗・妨害もあり右腕一本分の装甲しか生成できなかった。
 とはいえ偉業には違いないらしく、相対したタクムからは「たぶんハルユキが初めて」であると賞賛されている。
 前述の通り既に呪縛は解かれているが、ハルユキはこの鎧を本来の持ち主であったクロム・ファルコンとサフラン・ブロッサムのプレイヤーホームに《スター・キャスター》共々安置・封印したため、二度と使用することはできない。

  • 《メタトロン・ウィング》
 《神獣(レジェンド)級エネミー・大天使《メタトロン》に貸与された翼型強化外装。
 背中に翼として装備され、その見た目通り飛行能力が大幅に底上げさる。通常時は一対二翼だが、二対四翼まで展開しさらに飛行能力をブーストすることも可能。
 また翼を刃状にさせて対象を切り裂く《エクテニア》という専用スキルも保有。
 入手した事情が事情なので、通常対戦では使用しない。

  • 《ルシード・ブレード》
 レベル6LvUpボーナスによって手に入れた、両刃直剣型強化外装。借り物ではない、初めての自前の装備。
 武器型強化外装であるが盾として運用することも想定して入手している。
 専用の「衝撃エネルギーゲージ」を消費して「変換(コンバージョン)」のコマンドと共に、ブレード部分を実体のない光熱剣に変換することができる特性を持つ。 
 触れるだけで対象を溶断できるモードだが、逆に言えばその攻撃力を突破する対象と触れ合えば防御できないので使い所を見極める必要がある。
 シルバー・クロウはこれまで徒手空拳と飛行アビリティによって戦ってきたので、格闘家アバターとしては一級だが剣士アバターとしては三流であり、この点はハイレベルプレイヤーにもツッコミを入れられることになった…のだが、上述の災禍の鎧着装時に超一流の剣士であった三代目ディザスター《セントレア・セントリー》の力に基づく剣技を体験したこと、残留していたそのセントリーの疑似人格(?)がシルバー・クロウを自身の後継者と見込んで、セントリー独自の剣法である《オメガ流合切剣》の教えを授けたことで、剣士としても一流の域に達しつつある。
 おそらく、師であり親であるブラック・ロータスの剣技を日頃見てきたコトや、様々な剣士系アバターとの対戦もシルバー・クロウの剣技の糧となったのだろう。


◆作中での活躍(ネタバレ含む)


























●1巻
黒雪姫を狙う敵シアン・パイルとの戦闘において、飛行能力に覚醒。
その力を最大限に利用してパイルを撃破し、説得によって仲間に加えた。


●2巻
無差別にプレイヤーを襲う《クロム・ディザスター》の討伐に参加。
ディザスターとの激戦の末、相手を行動不能にした。
この頃から内面に変化が見られ、徐々に前向きになっていく。

●3~4巻
後輩の少年・能美=《ダスク・テイカー》の策略にはまり、飛行能力を奪われる。
しかし特訓により《心意》を習得し新しい力を得る。
自らの翼を取り戻すべくパイルと共にリベンジを挑むも再び敗北を喫し、さらに能美によって女子更衣室盗撮の濡れ衣を着せられる
しかし仲間達の力を借りてみたび決戦に臨み、翼の奪還に成功した。

●5巻
加速世界のヘルメス・コード(静止軌道上にある宇宙ステーション)縦走レースイベントに参加し、ライバル達と熱戦を繰り広げるが、突如乱入した《ラスト・ジグソー》の攻撃により絶体絶命に。
怒りと憎しみに支配された瞬間、かつて倒したはずのディザスターに憑依され、圧倒的な力でジグソーを瞬殺した。

●6~9巻
ディザスターをその身に宿したことで加速世界の六人の王から目を付けられ、加速世界追放の危機に陥る。
ディザスター浄化のために奔走し、暴走と復活を繰り返す中で加速世界に隠されたある悲劇的な事実を知る。
黒雪姫の危機に際し、ディザスターを強固な意志で従え浄化することに成功した。

●11~16巻
《ISSキット》本体撲滅及びミッドタウン・タワー攻略のための要となるために修行し、その間にニュービー《ウルフラム・サーベラス》と新たなライバルとなり強い友情を結ぶことになる。
アクア・カレントを無限EK状態から救出し、大天使メタトロン第一形態を討伐し、意図せず第二形態を出現させ彼女に興味を持たれ一千年間、僕(しもべ)となることを要求された。
ISSキット撲滅は黒雪姫たちの手によって成り、その過程で生まれた災禍の鎧マーク2も撃破した。

●17~21巻
《加速研究会》との完全決着のための戦力増強や根回し交渉に必要な戦いで他レギオンの多くの古参バーストリンカーたちにその実力、人柄を認められていく。
一方で現実世界での生徒会活動にも勧誘され、立候補を決意。
白のレギオンとの領土戦が黒のレギオン皆殺しの罠と化した後も奮戦し、救出の要となった。


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最終更新:2023年11月15日 18:26