登録日:2012/09/12(水) 10:01:04
更新日:2024/11/30 Sat 10:00:51
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『ガイエスブルク要塞』とは、大河SF小説『
銀河英雄伝説』作中に登場する架空の人工天体である。
銀河帝国が持つ要塞で直径およそ45km、収容艦艇16000隻、主砲高X線ビーム砲(OVA版では「
禿鷹の鉤爪」、藤崎竜の漫画版では「
主神の槍」、DNT版では「
両手剣」)の出力は7億4千万メガワット。
イゼルローン要塞に比べれば一回り小さいものの、その戦力は
イゼルローン要塞に匹敵する。
自由惑星同盟に
イゼルローン要塞が奪われてからは、帝国内における最大最強の軍事要塞である。
建造された時期や経緯は不明だが、OVA版の「かつては
イゼルローン要塞と同じく流体金属で覆われていたが、年月の経過で蒸発しところどころ内部構造がむき出しになっている」という設定に従えば、少なくとも帝国暦454年(
イゼルローン要塞建造開始)以前に建造されたと思われる。
本編においては、帝国内の大規模な内戦・
リップシュタット戦役の折、リップシュタット連合軍が接収しその本拠地とした。
その後相次ぐ敗北と将兵の叛乱により実質的に連合軍が崩壊し、連合軍盟主であるブラウンシュヴァイク公オットーは「自決」(実際は部下により強引に毒薬を入れた
ワインを飲まされた)。
内戦が終結するとローエングラム侯側に空け渡された。
が、その後ガイエスブルグ要塞で行われた捕虜引見の際、
ラインハルト暗殺を目論んだブラウンシュヴァイク公の元部下・アンスバッハによりキルヒアイスが殺害されるという悲劇の舞台ともなった。
その後
第8次イゼルローン要塞攻防戦に使用され、
イゼルローン要塞との戦闘に利用される。
この時帝国軍科学技術総監のアントン・ヒルマー・フォン・シャフト技術大将の提案に基づいてワープエンジンと通常空間用エンジンが各12基ずつ装備した移動要塞に改造され、戦闘に投入された。
そのため要塞自体に推進力があり
イゼルローン要塞に接近、引力で
イゼルローン要塞の表面の流体金属を引き寄せ(いわば流体金属の「引き潮」を起こしたわけである)、ガイエスブルク側のビーム砲やトール・ハンマーを封じつつ、薄くなった背後から帝国艦艇が攻撃するという戦法が主にとられた。
が、同盟側が善戦し、その上政府に首都星ハイネセンに呼び出されていた
ヤン・ウェンリーが帰還。
ついに最終局面で
イゼルローン要塞に特攻をかけたが、エンジンの一つを一点集中攻撃で破壊されて推進軸をずらされて特攻は失敗する。
挙句の果てに随伴していた駐留艦隊を巻き込んで制御不能の急スピン状態に陥ってしまい、そこに
イゼルローン要塞の要塞砲を撃ち込またことが決め手となり、核融合炉が崩壊。
こうして、ガイエスブルク要塞は要塞内部の将兵はもちろんのこと、駐留艦隊も含む多くの帝国将兵を道連れに爆発・崩壊した。
帝国側の損害は総司令官カール・グスタフ・ケンプ大将が戦死。副司令官
ナイトハルト・ミュラー大将も重傷を負い、そしてガイエスブルグ要塞を始めとした総兵力の9割を喪失するという、まごうことなき大敗であった。
この大損害の一因は
崩壊するガイエスブルグ要塞内部での帝国軍将兵どうしでの殺し合い(脱出手段をめぐってのもの)であるだろう。
ただしDNT版ではこの最後の突撃に関する描写にはかなりの変更が加えられており、
まず総司令官のケンプは要塞内の全ての将兵を脱出させた上で駐留艦隊を含めた全部隊に帝国本土への撤退を指示。
ケンプ自身は敗戦の責任を取る形でただ一人航行システムを操作してイゼルローンへと肉薄するが、
ヤン艦隊による推進装置の破壊&イゼルローンとの激しい砲火の応酬の末、最終的にガイエスブルク要塞は大爆発してケンプも戦死。
その爆発の衝撃は凄まじく、予め十分な余裕を持って撤退を始めた筈の帝国軍艦隊にも壊滅的な被害を齎してしまった
(これに関しては撤退を指揮していたミュラーらも実際に衝撃波が到達する直前まで反応できなかったので、ケンプ一人の思慮が足りていなかった訳ではない)。
この戦いの後、帝国軍はコストや手間の割に使い勝手が悪い移動要塞を使用した作戦は行ってはいない。
なお、上記の流体金属関連の設定や戦法はOVA版オリジナル。
原作では
イゼルローン要塞とさほど変わらない球形の宇宙要塞とされている。
追記・修正お願いします。
- 兵站の観点から見るにもっと評価されるべき有効な斬新兵器だと思う。
銀英伝の軍人たちは、移動要塞の利便性を重視しないのかな~ -- 松永さん (2013-06-03 22:25:13)
- そもそもこの要塞がイゼルローンに匹敵するというのはアニメ版のオリジナルなのでその辺を察していただければと -- 名無しさん (2013-10-20 20:53:27)
- ↑嫌でも イゼルローン要塞も 液体金属装甲やら浮遊砲台やらでチート化してまったしな
原作通りのガイエだと勝ち目薄くなる -- 松永さん (2013-10-20 21:44:05)
- 銀英伝は科学技術やら軍事やらを描きたかったわけじゃないから、要塞の利点云々はあまり重視されなかったんじゃないの? -- 名無しさん (2014-01-20 19:06:53)
- ミュラーが目立ち始めた戦いでもある あと銀英伝は群像劇として書いたものだし、戦術とかSF面での整合性は気にしない方がいいな。ファンだけどそういう面では穴は多いと思う -- 名無しさん (2014-03-21 00:12:33)
- この規模の要塞建設に幾らと何年掛かると思っているんだw -- 名無しさん (2014-05-16 17:39:24)
- 初っぱなからガイエスブルクを質量兵器としてぶつければイゼルローン落とせてたんだっけ -- 名無しさん (2014-05-16 18:00:35)
- ↑艦隊がでていなければ要塞の推進装置を狙い撃ちできないからじゃないか?てか最初っからその発想ができるのはなかなかいないが・・・。 -- 名無しさん (2014-07-12 10:25:14)
- ↑2 ヤンがいない間にその方法とってたら同盟軍側は詰んでたかもしれないんだよなぁ。ユリアンあたりが対策に気づくかもしれないけど。 -- 名無しさん (2014-07-12 10:42:02)
- ↑9 銀英伝二次創作の1つで移動要塞化したイゼルローン要塞が猛威を振るっていたねー。ヤンの戦略構想と見事に合致していて、キルヒアイス生存で原作よりも強化されている帝国軍を手玉に取ってた。 -- 名無しさん (2014-07-12 10:53:22)
- もし司令官が面倒くさがりだったら、速攻ぶつけてた気がする。「もういい!もうたくさんだ!要塞ごと破壊する!」 -- 名無しさん (2014-08-13 21:25:47)
- あの摩訶不思議空間イゼルローン回廊にすごい要塞があるから無敵たりえたわけで、適当なところにあったらそこまでの防御力があるかどうか・・・。そもそも、あの摩訶不思議空間によく要塞を運んでこれたよな。 -- 名無しさん (2014-09-28 22:05:47)
- 漫画版で戦いが丸々削られてるのはどういうことなの -- 名無しさん (2014-09-29 19:04:44)
- 最初からヤンがいたらこの要塞もゲットみたいなことが起きてたんだろうか? -- 名無しさん (2016-05-03 17:52:42)
- ↑2言っちゃ何だけど、多分ストーリー上そこまで重要な回じゃないから省かれたんだと思う。 -- 名無しさん (2020-04-19 08:15:26)
- ↑2 -- 名無しさん (2020-04-19 08:19:36)
- ↑ミス ↑3さすがに油断しきった無能の懐に上手く入り込めたのと、戦闘中の精鋭が揃っている要塞とでは難易度が違い過ぎるだろ……乗っ取りしてる余裕なんて無かったと思うぞ -- 名無しさん (2020-04-19 08:21:39)
- はやぶさ方式でエンジンの主軸をずらしておけば大丈夫だったのか… -- 名無しさん (2020-04-19 08:24:04)
- 遠征用の要塞都市でもあるイゼルローンと違ってこれはあくまで局地的の軍事基地だから、自給自足能力は無いんだよね。だからヴェスターラントなりから物資を集めていたわけで。そういった意味じゃイゼルローンよりは単独じゃ長期戦には不向きなのよね。 -- 名無しさん (2021-01-18 01:29:15)
- そもそも各惑星からこの包囲してる要塞に物資が届く時点でお察しな戦力だから〃〃負けたのが奇跡やで -- 名無しさん (2021-10-24 22:39:12)
- イゼルローン要塞と真っ向撃ち合い出来るほど強力な要塞なのに「いつ、だれが、何の為に」帝国領内の僻地なんかに作ったのかよくわからないという、なあその辺適当よな。 -- 名無しさん (2022-05-09 14:38:41)
- 元々銀河帝国軍の任務は国内の民主主義勢力の殲滅だし、内地に要塞を作るのは理解はできる -- 名無しさん (2022-05-09 19:16:56)
- いつ頃できたのかは知らないけど、流体金属がハゲてるから少なくともイゼルローンよりは前なんじゃないかな? イゼルローンのプロトタイプということも考えられる。 -- 名無しさん (2022-05-09 19:21:13)
- こんな人口天体要塞を建造してまで民主主義狩りをしたかった国家革新同盟政権はガチくるっている -- 名無しさん (2022-05-09 19:34:13)
- 要塞に要塞ぶつけるより小惑星にエンジンつけてぶつけた方が安上りだと思う -- 名無しさん (2022-08-15 10:18:11)
- なんかリツプシユタット戦役時のローエングラム艦隊によるこの要塞への封鎖が機能してないようなんだが、やっぱり宇宙で要塞の包囲とか物理的に不可能なことなのかな -- 名無しさん (2022-08-15 10:50:06)
- 首都星ハイネセンのあるバーラト星系になぜ直接ワープして侵攻しなかったのか原作では特に説明はない。後に作者の田中芳樹氏によれば、直接ハイネセンにも行けるが、話の展開の都合上それはしなかったらしい。 -- 名無しさん (2022-09-21 01:03:13)
- ↑OVAだと「回廊の磁場で二度目のワープは不可能」と明言されてる。あとフェザーン占拠まで帝国はハイネセンの正確な位置を知らないからワープ先を指定できないのでは。 -- 名無しさん (2024-06-23 09:03:26)
- ↑コルネリウス親征時代があるからもしれないが、古すぎて使えないだろうし。OVAだとラインハルトが「フェザーンの航路データが手に入ればいい」と言っていたし。 -- 名無しさん (2024-06-23 09:07:23)
- 内戦が起きるまでは敵が来る可能性なんざ皆無というか何の仕事も無くてさぞ駐屯部隊は暇だったろうな。よく要塞機能を維持できたもんだ -- 名無しさん (2024-10-15 01:16:08)
- DNT版だと最終特攻は事前に内部将官総員退避及び全軍撤退もあってか巻き添え多数の大事故に至ってないのは救いと言えば救いか… -- 名無しさん (2024-10-23 19:52:25)
- ↑最終的には要塞の爆発の余波で撤退中の艦隊も大損害を受けてしまう訳だけど、そこまでの過程はかなりきちんとしていたから印象はかなり違うよね。 -- 名無しさん (2024-10-28 19:14:44)
- そもそもぶつけて両方とも破壊すれば100兆tのデブリがアルテナの公転軌道に乗るわけで、代わりの要塞どころか航行すら困難になるから避けるのが自然では -- 名無しさん (2024-11-30 10:00:51)
最終更新:2024年11月30日 10:00