ラインハルト・フォン・ローエングラム

登録日:2012/09/26(水) 22:21:28
更新日:2025/01/15 Wed 00:16:54
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卿らに誓約しよう!

卑怯者がローエングラム王朝において至尊の座を占めることは決してないと!!





CV:堀川りょう(OVA) 、緑川光(黄金の翼)、宮野真守(TVアニメ)

ラインハルト・フォン・ローエングラム(帝国暦467~新帝国暦003)は銀河英雄伝説の登場人物。
ゴールデンバウム・ローエングラム朝銀河帝国における君主・軍人・政治家。
ローエングラム朝銀河帝国の開祖であり、その類稀な軍事・政治的才覚によって銀河連邦以来5世紀ぶりとなる銀河統一政権を誕生させた。



【来歴】

帝国暦467年(宇宙暦776年)3月14日、帝国の首都星オーディンに下級貴族セバスティアン・フォン・ミューゼルの長男として生まれる。
幼い頃、事故で母クラリベルを失い、5歳年上の姉アンネローゼにより育てられる。
また、この時期に唯一無二の親友となるジークフリード・キルヒアイスと出会い、暫くは平穏な少年時代をすごす。

しかし、10歳の時、アンネローゼが宮内省の役人に見いだされ、皇帝フリードリヒ四世の後宮に召されたことが彼のその後の人生を決定づける事となる。
姉を奪った皇帝への憎悪、そして姉を取り戻す為、銀河を手に入れるという自らの覇業の為にゴールデンバウム王朝の打倒をキルヒアイスと共に決意。
その後、キルヒアイスと共に帝国軍 幼年学校に進学、幼年学校卒業後は特別待遇で少尉から軍歴を開始する。

その後、数々の戦役に参加し武勲を重ね、軍人として栄達していくと共に自らの陣営を拡大させていくことになる。
帝国暦487年にはアスターテ会戦における勝利の功積により帝国元帥、同年のアムリッツァ会戦での功績で宇宙艦隊司令長官・侯爵と軍の実権を掌握。
この時、生涯溺愛したという新造艦のブリュンヒルトを受領している。
ゴールデンバウム王朝最大にして最後の内乱となったリップシュタット戦役では帝国軍最高司令官となり門閥貴族勢力を打倒。
同時に帝国宰相リヒテンラーデ公も排除し、帝国宰相も兼任、国政の実権を掌握し、事実上の支配者となる。

その後、行われた同盟領侵攻作戦「ラグナロック作戦」においても自ら総司令官として全軍を指揮し、フェザーン自治領と自由惑星同盟を制圧・併呑を果たす。

翌年の宇宙暦799年/帝国暦490年/新帝国暦1年にはゴールデンバウム朝から皇帝位を禅譲される形で、23歳にしてローエングラム王朝を建国、初代皇帝ラインハルト1世として即位する。
新帝国暦2年には当時、首席秘書官兼大本営幕僚総監であったヒルデガルド・フォン・マリーンドルフを皇后に迎え、翌年には後のアレク1世となる長子、アレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラムを得ている。

その後の帝国内での反乱や動乱おいても常に陣頭指揮を執り続けるも、その激務の為か「変異性劇症膠原病」後に「皇帝病」と呼ばれる奇病に冒され、急激に容体を悪化させる。
その後容体が好転することなく、新帝国暦3年(宇宙歴801年)7月26日、25歳で崩御。
在位は満2年余であった。

臨終の言葉は、

「宇宙を手に入れたら……みんなで……」

であったという。


【人物・能力】

その軍事及び政治的才覚や、5年という短い月日の間に銀河統一政体であるローエングラム朝を創り上げた功績から、「銀河の覇者」として多くの歴史家から高く評価されている。

軍事面においては常に自軍の優位な状況を創り上げ戦闘に臨んでおり、常に優位な立場で戦場を構築する戦略家であったが、戦術面においては攻勢を主とする勇将という一面も持っていた。
その為、生涯において常に勝利を手にしてきた彼を当時の自由惑星同盟軍の宿将であったヤン・ウェンリーと並び「戦争の天才」「常勝の英雄」として当時や現在においても高い評価と共に現在においても軍事研究における対象となっている。

反面、彼を含めた上級大将以上の幹部がなまじ有能過ぎて積極的に(悪く言えば出しゃばりすぎと言える)指揮や陣頭に立ち続けたために大将級以下の将兵たちが経験や能力不足のままとなってしまい、大きく精彩を欠き失態を犯すことが多くなってしまった。

また、「戦う前から勝利はほぼ確定済みで後はほぼ消化試合同然」という極端すぎる優位性は上記の若手士官たちの経験不足だけでなく「帝国軍に敵はいない。敵は全て弱い」という錯覚や敵対者に対する慢心、門閥貴族とは異なる方向性で自己過信を抱かせることにも繋がり、不測の事態などで窮地に陥れば瞬く間に機能不全を起こして醜態を晒すようにもなってしまい、ミッターマイヤーは「勝ち慣れて逆境に弱くなったようだ」と苦言を零すほどである。

この難点が得に表れたのがリップシュタット戦役であり、完勝同然であったはずが最後の最後でラインハルトを含めた幹部たちまでもが取り返しのつかない大失態を犯してしまったほどである。
結果、最終的な勝利を得ることはできてもラインハルトが望む「完全な勝利」は一度として手にすることはできなかった。

一方で、私生活においては質素倹約を旨とし、ある一つの事柄を除いて特定の趣味もなく、異性に対しても興味のなかった彼を、後に彼の義父となるフランツ・フォン・マリーンドルフをして、

「異常な才能はその代償としている分野における欠落を強いるものかもしれない」
と評している。

事実、彼とヒルダとの結婚とアレク1世の誕生は全くの偶然にすぎず、「これこそがローエングラム朝における最大の危機であった」という歴史家は少なくない。



【後世における評価】

後世における彼の評価は彼の偉業を以って「歴史上屈指の覇者であり支配者」という評価で一致している。

一方で、彼の対しての批判もまた少なくない。
それは特に人格面に起因するものが多くを占めている。
それは彼の唯一の趣味であった「戦争」であった。

彼の好戦的な性格によって合理的に考えれば不要であったはずの戦いも少なくなく、特に自由惑星同盟軍のヤン・ウェンリー提督との間で行われた「回廊の戦い」が最もたる例で、この戦いは当時の軍務尚書であったオーベルシュタイン元帥から、
「皇帝の誇りによって数百万将兵の白骨を朽ちさせる結果を生んだ」
と痛烈に非難されている。

その為、後世の一部の歴史家からは
「皇帝の人となり戦を嗜む」
という言葉で痛烈に批判されている。

また、彼が在位当時において行われたその施政は民生よりも軍事に関するものが多くを占め、その武断的な政治姿勢や軍部独裁体制はローエングラム王朝の政治体系を軍事色の強いものと決定づけることになる。

無論文官からも優秀なものはためらわず登用し重用もしたが、それでも最高意思決定における御前会議の出席者は軍部側のみだったところは、バランスを欠いた統治だったと言われても仕方がないだろう。
彼の支配した旧同盟領においては軍高官による統治が行われたが、最終的に暴動やローエングラム朝初となる内乱が発生し、その鎮圧にあたって武力を以ってしか臨まなかった事や、その鎮圧後の対処も決して十分とはいえず動乱の火種を後世に残したまま舞台を去った彼を、一部の歴史家からは、

「カイザーラインハルトは征服者でとしては比類なかった、しかし統治者としては三流であった」
「皇帝ラインハルトはその早世によって名君となった」

と痛烈に皮肉られている。


【主な人間関係】

◆係累

  • ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
ラインハルトの首席秘書官にして皇妃。
快活な性格と先見性のある知見を持ち、男として生まれ育っていたのなら旧王朝でも順当に出世ができたと見込まれる程の才女。
ラインハルトとは当初「フロイライン」「閣下」と、婚姻後ごく僅かな時期に「ヒルダ」「ラインハルト」、その後は「皇妃(カイザーリン)」「陛下」と呼び合うようになった。

  • アレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラム
ラインハルトが唯一残した自らの子供。
実は一緒に過ごした期間は僅か一週間で、その間に親友の名前と生涯の友となる存在のみを遺している。

  • アンネローゼ・フォン・グリューネワルト
ラインハルトの姉にして、彼が全銀河系を支配するきっかけとなった存在。
ラインハルトとは共依存に近しい関係にあったがキルヒアイスの死に伴い強く突き放し、以後結婚に至るまで直接対面する事はなかった。

  • セバスティアン・フォン・ミューゼル
父。
下賜金を受け取ってアンネローゼを皇帝へ受け渡した時は、強くラインハルトから罵倒され、以後生涯に渡って恨まれる事となる。
回想では常に飲酒している状態でマトモな描写が無い。

◆主な部下

  • ジークフリード・キルヒアイス
ラインハルトの幼馴染でローエングラム元帥府の最高幹部を務める。
アスターテ会戦ではラインハルトの副官として傍にいたものの、彼同様にヤンの策を見抜けず逆襲されてしまった。
後にアムリッツァ会戦で直接戦っており、兵力差に加えてヤンが連戦していたことと物資も消耗していたこともあって終始彼を苦戦させた。

イゼルローン要塞での捕虜交換式でヤンと直接顔を合わせ、彼の人柄などを深く洞察して恐ろしい敵であることを認めると同時に「友にすることができれば」という期待も抱いていた。

ヤン本人もキルヒアイスには好印象を抱いており、彼が亡くなったことを悔やんでいた。
もしもキルヒアイスが生きていれば、ヤンとは様々な面で上手くやれたであろうと言われている。


絶対零度の剃刀」とも称される義眼の大幹部。
第七次イゼルローン要塞攻防戦ではヤンの策を見抜いていたものの、上官のゼークト提督が彼の進言を聞き入れなかった為イゼルローン要塞を奪われる結果となった。
その後、上官を見限って自分だけすたこらさっさと逃げ出した為敵前逃亡の罪に問われるも、ラインハルトに自分を売り込んで配下に取り立てて貰い、彼の参謀役を務める。
参謀長として参加したバーミリオン会戦ではラインハルトと同じくヤンの策を見抜けず、あわや彼と運命を共にする所であった。

ヤンのことは非常に危険視しており、独断で彼を排除するべく策謀を巡らせたりした。
ヤン死後もイゼルローン共和政府への警戒は解いておらず、旧同盟政府の要人を軒並み捕えて人質にする方法でイゼルローン革命軍に出頭を命じるという非情な策に出る。

帝国の双璧にして疾風ウォルフの異名を持つローエングラム元帥府の大幹部。
回廊決戦では得意とする高速の艦隊運用術が大兵力による弊害や地形の複雑さから
思う様にいかず度々失策をしてしまい、あわや自分の旗艦が撃沈されかかってしまう。

また、シヴァ星域会戦では総大将のラインハルトが病に倒れるという不測の状況で焦っていたこともあり、ユリアン達の策を見抜けず罠に嵌まって大きな隙を見せてしまう。


ミッターマイヤーと並ぶ帝国の双璧と称される大幹部。
第9次イゼルローン攻防戦では本隊の動きを隠す囮としてイゼルローン要塞への攻撃を行うが、ヤン艦隊の旗艦ヒューベリオンが出撃するという挑発に乗ってしまい、
ローゼンリッターによる旗艦侵入を許し、あわやシェーンコップに討ち取られかける。
また、ヤンがイゼルローン要塞のシステムに仕掛けた置き土産を見抜くことができず、後にそれが再奪取される要因となってしまった。

回廊決戦でもミッターマイヤーと同じくせっかく立てた包囲作戦が艦隊を思うように動かせず失敗し、ヤン艦隊が巧みな艦隊運動から総旗艦ブリュンヒルトに強襲を仕掛ける大きな隙を作ってしまう。

ヤン死後、帝国に叛逆を起こした際に、「イゼルローン回廊を通行しようとする帝国軍を阻止したら、旧同盟領の統治権とトリューニヒトの身柄を渡す」とムライを派遣してイゼルローン共和政府に水を向けたが、ユリアンはこれを拒否している。

破壊力と突進力に優れた黒色槍騎兵艦隊司令官を務める元帥府の幹部。
短気な性分に加え、優勢になっていると調子に乗りやすい猪突猛進気味な性質もあってかアッテンボローの挑発にブチギレて手玉に取られたり、
アムリッツァ会戦ではヤン艦隊が反撃態勢を整えているのに無謀にも敵前回頭したために全滅寸前に追い詰められてしまう。

しかし同時にヤン艦隊に致命的ダメージを与えているのも事実で、フィッシャー提督やメルカッツ提督を戦死させている。


  • カール・グスタフ・ケンプ
戦闘機パイロットから将官に伸し上がった古参幹部。
アムリッツァ会戦の前哨戦で焦土作戦によって消耗させた同盟軍を壊滅させるために出撃した中、ヤン艦隊と当たったがヤンの作戦とフィッシャーの艦隊運用によって悉く翻弄されてしまう。
元戦闘機乗りの指揮で第13艦隊空戦隊のエースであったヒューズとジェイクリを戦死させるも、優勢から突然撤退し始めたのを罠と見て逃亡を許してしまう。
他の提督達が同盟軍艦隊に大きな損害を与えたのに対し、ほとんど損害も出せずに終わってしまった。

対ガイエスブルグ戦では増援に現れたヤンを迎撃するためにイゼルローン要塞の駐留軍を要塞に封じ込めて挟み撃ちにされないように策を練ったものの、ユリアンに見抜かれて逆に完全な挟み撃ちにされてしまい、壊滅的な打撃を受けてしまう。
その後、ガイエスブルグ要塞をイゼルローン要塞にぶつけようとしたがこちらも事前にヤンが策を見抜いていたため、阻止された挙句にそのまま要塞を破壊されて戦死してしまった。


守勢での戦闘に秀で、「鉄壁」と称される元帥府の幹部。
ケンプと共に加わった対ガイエスブルグ戦では策を見抜いたヤン達の挟み撃ちに加えてガイエスブルグ要塞が破壊された際の余波で重傷を負う。
復讐戦を誓うミュラーはその後、バーミリオン会戦にて窮地に陥っていたラインハルトの増援に真っ先に駆けつけ、何度も撃沈されつつも自分の旗艦を乗り換えては生き残った。

終戦後、ヤンと直接面会すると復讐心は消え「あなたが帝国側にいたなら用兵を学びに伺ったのに」と尊敬の言葉を口にし、
それを受けたヤンも「あなたが同盟側にいたら私は昼寝をしていられた」と返し、お互いに笑いあった。

ヤンと直接面会を果たし(かつ生存している)高級将官ということで、ヤンが暗殺された際には体調不良を起こしたラインハルトに代わって使者として遣わされた。
その際、ヤンの死に際してイゼルローン要塞を離れ、ハイネセンに向かう人々の帰途を守っている。

  • アウグスト・ザムエル・ワーレン
元帥府の幹部の一人。ワッツともルーレンとも呼ばれる。
バーミリオン会戦の直前では補給基地から物資の強奪を行おうと作戦を遂行していたが、ゲリラ活動を行っていたヤンの策にまんまと嵌まり、
ヘリウムと自動砲撃装置を積んでいた物資コンテナからの攻撃に加え、破壊によって起きた爆発に巻き込まれて混乱した艦隊を追撃されて大きな損害を被る。

また、ユリアンらとは地球教団を討伐するため、本部へ侵攻した際に協力してくれたことでよしみが生まれ、当人達からも恩義を得ていた。(この時、原作ではユリアンの素性をワーレンは知らなかったが、藤崎版でのみ察知している)
第11次イゼルローン要塞攻防戦では帝国軍指揮官としてイゼルローン革命軍と対峙するが、ユリアンの作戦の前に敗退している。


  • エルネスト・メックリンガー
芸術家提督の異名を持つ紳士。
メックリンガー本人はヤンと帝国軍によしみが結ばれることを期待しており、彼が同盟政府に追われた際には擁護していた。

回廊決戦の直前、イゼルローン回廊の反対側からビッテンフェルト、ファーレンハイト艦隊と挟撃しようとした所、ヤン艦隊が戦力を全て投入して迎撃に現れたハッタリによってヤン艦隊の総戦力を過大に誤認してしまい、戦うのは危険と判断して撤退し、挟撃の機会が失われてしまう。

ヤン死後、ロイエンタール叛逆の際には、ミッターマイヤー率いる本隊とは別働隊を率いてイゼルローン回廊を通過し、その際に共和政府軍に対して「今後の関係正常化を期待させていただく」と丁重な挨拶をした。
メックリンガーとしてもトールハンマーを発射されれば蒸発しかねない不安と隣り合わせであったが、ユリアンはそれをせず、その通過を許容している。

かつて帝国を二分する内乱でラインハルトに敵対し、降伏後帰参を許された若手将官。
回廊決戦ではラインハルト本隊が到着する前に挑発によって攻勢を始めたビッテンフェルトと共に並行して進撃するが、
ビッテンフェルトほどではないにせよ攻撃寄りな性格が災いしてビッテンフェルト共々ヤン艦隊の包囲網に嵌まって集中砲火を浴びて窮地に陥ってしまう。
回廊を脱出するべく殿を務めたが、最終的には撃沈されて戦死。二個艦隊を一個艦隊に半減させてしまった。


  • コルネリアス・ルッツ
元帥府の幹部の一人。ルーレンともワッツとも呼ばれる
第9次イゼルローン攻防戦にロイエンタールの元で参戦しており、要塞を放棄するヤンの置き土産として爆発物を想定し先行部隊の編成を進言。解除に成功した。
ヤン艦隊によるイゼルローン要塞再奪取作戦の際、要塞司令官として駐留していたルッツはバグダッシュの情報操作による攪乱で混乱し、それが要塞を奪おうと潜んでいるヤンの罠であると見抜いた。
…が、ヤン艦隊を誘い込んで自分の艦隊と要塞で挟撃する作戦を実行したものの、上記のようにヤンがイゼルローン要塞を放棄する際にシステムに仕込んでいた置き土産により要塞機能を無力化・掌握されてしまい、逆に自分の艦隊を要塞主砲トールハンマーで砲撃されて大損害を受けつつ撤退することになってしまう。


  • エルンスト・フォン・アイゼナッハ
沈黙提督の異名を持つ無口な男。
回廊決戦の終盤、帝国軍による波状攻撃の第2陣を張り、ヤン艦隊とアッテンボロー分艦隊を分断したが逆に挟み撃ちに遭って窮地に陥る。
本人は顔色一つ変えず冷静的確に指揮を行い、大きな損害を出しつつも辛うじて全滅は免れ艦隊の離脱には成功した。


  • カール・ロベルト・シュタインメッツ
帝国軍総旗艦ブリュンヒルトの初代艦長。
ライガール、トリプラ両星系間の戦いにおいてブラックホールを背後に控えたヤン艦隊を半包囲しようと陣を広げた途端、一点集中突破で背後に回り込まれて逆に自分達がブラックホールに追い込まれる窮地に陥ってしまい、ブラックホールを利用した巧みな艦隊運用で辛うじて窮地は脱することには成功した。

回廊決戦では伏兵のマリノ分艦隊を迎撃しようとしたが、ヤン艦隊の本隊からの同時攻撃により旗艦を撃沈されて戦死する。

ヤン本人を目にする機会があり、第一印象こそ軍人には見えない風貌から憮然としたものの、すぐに外見で相手を図ることを反省したため、レンネンカンプのような暴挙に出ることはなかった。


  • ヘルムート・レンネンカンプ
第9次イゼルローン攻防戦ではロイエンタール、ルッツと共に出陣する。
アッテンボローの仕組んだ囮の無人輸送船による自爆攻撃で苦杯を飲まされ、後にライガール、トリプラ両星系間の戦いでシュタインメッツの増援に訪れた際にも先の戦いの失敗でヤンの計略を疑いすぎて先制できず逆激を受けて逃げられてしまい、またも苦汁を飲まされてしまう。

バーラトの和約後はハイネセン駐在の高等弁務官となるが、先の戦いでヤンにしてやられたことを根に持っていたこととヤンを排除することを目論んでいたオーベルシュタインの扇動もあって退役していた彼を同盟政府に不当に逮捕させる暴挙に出てしまう。

最終的にはローゼンリッターの反撃によって逆に自分が捕虜となったことに絶望し、自殺してしまった。

一方で部下のラッツェル大佐は彼とは逆にヤンに対して好意的であり、疑心暗鬼に陥って暴走するレンネンカンプに付いていけなくなり、旧知のミュラーにレンネンカンプの暴挙が報告されてしまった。


  • ウルリッヒ・ケスラー
帝国軍憲兵総監兼、帝都防衛司令官を務める。
艦隊を指揮して戦線に赴く立場ではない(作中艦隊を率いたのもリップシュタット戦役時のみ)ので直接ヤン艦隊と戦うことはなかったものの、万が一ヤン艦隊が帝国領に侵攻してきた場合についてはメックリンガーと共に強い不安を覚えていた。

ケスラー本人は祖国を売り渡して帝国に亡命してきたトリューニヒトを監視する中でヤンが彼を毛嫌いしていたことを知り、同じく嫌う本人も好感を抱いたほど。

【余談】

  • 常勝の王者
皇后ヒルダはラインハルトと婚約前に一夜を共にしておりその際に皇太子を身ごもっている。
その為一部の者からは、

「カイザーラインハルトは昼においても夜においても常勝の王者である」

という冗談がまことしやかに囁かれていたという。
ちなみに、この一夜の原因は、かつてのヴェスターラントの惨劇の生き残りが、あえてそれを見逃したラインハルトを暗殺しようとしたことによる。
彼のラインハルトを激しく糾弾する言葉に、見逃した責任を痛感したラインハルトは自分を強く責める。
それを見かねたヒルダが彼を慰めたところ……

「余は一人でいることに耐えられそうにないのだ。頼む、余を一人にしないでくれ」
「……はい。陛下がそう望むのであれば……」

かくしてベッドインへ……というわけである。
なお、ヒルダと寝た翌日、ラインハルトは責任を取るべく、ミッターマイヤーに相談して買い求めた花束を持って、求婚に訪れたのであった。
この時のラインハルトの顔や表情は必見。
破壊力抜群である。

  • スカートの中の大将
ラインハルトは帝国暦482年に少尉として任官し、487年に元帥号を授与されている。
これは彼がわずか6年の間に11階級昇進したことになり、これは当時のゴールデンバウム王朝においても異常な昇進速度であった。
その為、当時の門閥貴族や軍上層部においては彼を「スカートの中の大将」と揶揄していたという。

これは皇帝の寵妃の弟という立場からの妬みや嫉妬の類であったが、一方で彼の栄達に対して皇帝の寵妃であった姉の影響が全く働いていなかったという意見に対しては否定的な意見も多い。

それは彼の近代的軍事組織においては異常な昇進速度だけではなく、盟友であったキルヒアイスが一度もラインハルトの下から転属する事がなかった事からも明らかであり、これを以って「スカートの大将」という彼らの評はある意味で的を射ていたという評価も少なくない。

しかしその評価によってラインハルトの実力は、実績を重ねてもことさらに低く見られていた。
この過小評価が、彼を帝位を簒奪できる位置にまで到達させた一因となったのもまた皮肉な事実である。


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最終更新:2025年01月15日 00:16