リップシュタット戦役(銀河英雄伝説)

登録日:2010/06/14(月) 18:27:21
更新日:2025/03/29 Sat 10:42:32
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奴らに相応しい呼称があるぞ…賊軍というのだ。


リップシュタット戦役とは、「銀河英雄伝説」の中で行われた戦役の一つ。
旧帝国の門閥貴族を中心としたリップシュタット連合と、新たな王朝の建立を目論むラインハルト・フォン・ローエングラム陣営による銀河帝国軍の内乱である。

同時期に、銀河帝国の策謀により引き起こされた、同盟領で起こるクーデターに関してはこちら



【背景】

宇宙歴797年/帝国歴488年、アムリッツァ星域会戦で大勝を修めたラインハルトは侯爵に昇進。
さらにこの時期、銀河帝国はフリードリヒ4世が崩御。次の皇帝候補はブラウンシュヴァイク公と皇女アマーリエの娘・エリザベート、リッテンハイム侯と皇女クリスティーネの娘・サビーネ、そして唯一の男子であるルードヴィヒ皇太子(故人)の息子でありフリードリヒ4世から見て孫となるエルウィン・ヨーゼフの3名となっていた。

有力なのは後ろ盾が強力なエリザベートかサビーネであり、その2人のどちらかが次期皇帝であると見られていたが、国務尚書だったリヒテンラーデ公とラインハルトが手を組み*1エルウィン・ヨーゼフが即位。宰相にリヒテンラーデ公、宇宙艦隊司令長官にラインハルトが就任する。

そして、新皇帝の父親という権力の座を狙っていたが鳶に油揚げをさらわれる格好となったブラウンシュヴァイク公、リッテンハイム候は激怒。相争っていた2人は手を組み、この新体制を打倒するための貴族連合が結成された。
盟主はブラウンシュヴァイク公、副盟主はリッテンハイム候となり、盟約の場所はブラウンシュヴァイク公の別荘が立っているリップシュタットで行われた。


【登場人物-銀河帝国軍】

元帥。宇宙艦隊司令長官。旗艦はブリュンヒルト

  • ジークフリード・キルヒアイス
上級大将。宇宙艦隊副司令長官。旗艦はバルバロッサ。
ワーレン・ルッツ両艦隊を率いて辺境制圧に向かう。

大将。旗艦は人狼(ベイオウルフ)。

大将。旗艦はトリスタン。

中将。旗艦は王虎(ケーニヒス・ティーゲル)。
黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)を率いる。

中将。旗艦はスキールニル。

  • アウグスト・ザムエル・ワーレン
中将。旗艦は火竜(サラマンドル)。

  • エルネスト・メックリンガー
中将。旗艦はクヴァシル。

  • カール・グスタフ・ケンプ
中将。旗艦はヨーツンハイム。

中将。旗艦はリューベック。
参戦する提督の中では最年少。

  • ウルリッヒ・ケスラー
中将。旗艦はフォルセティ
普段は憲兵隊を率いるが、宇宙での戦闘は今回が最初で最後。

中将。総参謀長と元帥府事務長を兼ねるラインハルトの腹心。
貴族連合を瓦解するための非情な策を提案する。

  • カール・ロベルト・シュタインメッツ
少将。辺境警備を担当。

  • ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
マリーンドルフ伯フランツの長女。
戦役の行方を見越して、ラインハルトに味方する。

公爵。帝国宰相。
保守的な政治姿勢から、外戚であるブラウンシュバイクやリッテンハイムらが政治権力をふるうのを良しとせず、「金髪の孺子」ラインハルトと手を組む。


【登場人物-リップシュタット連合】


  • オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク
公爵であり、前皇帝フリードリヒ4世の娘婿。リップシュタット連合の盟主。旗艦はベルリン。
ゴールデンバウム王朝末期に権勢を振るった、ブラウンシュヴァイク家当主。
ちなみにブラウンシュヴァイク公は実際にナポレオン戦争期からからドイツ革命まで実在した称号だったりする。

  • エリザベート・フォン・ブラウンシュヴァイク
ブラウンシュヴァイク候の娘。原作では名前のみだが、藤崎版で大々的に登場。
皇位継承順位第2位。帝王学を仕込まれた気品ある女性ではあるが、所詮は門閥貴族の価値観に染まった女性でしかなかった。

  • ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム3世
侯爵であり、ブラウンシュヴァイク公爵と同じく前皇帝フリードリヒ4世の娘婿。リップシュタット連合の副盟主。旗艦はオストマルク。

  • サビーネ・フォン・リッテンハイム
リッテンハイム候の娘。原作では名前のみで、リップシュタット戦役における大々的な登場は藤崎版。(OVAではそれ以前のサビーネも登場している)
皇位継承順位第3位。真面目に武術に励むなど向上心はあるが、選民意識や傲慢さは父親と何も変わらない。

男爵。ブラウンシュヴァイク公の甥。旗艦はミュッケンベルガー退役元帥が搭乗したヴィルヘルミナ。
ラインハルトに敵意をむき出しにする。

  • アルフレット・フォン・ランズベルク
伯爵。
やや夢想的な性格のポエマー。

  • ヒルデスハイム
伯爵。

上級大将。連合軍艦隊司令官。旗艦はネルトリンゲン。
参戦には反対だったが、家族をブラウンシュヴァイク公に人質に取られ、やむなく参戦する。
本人の力量はラインハルトも一目置くものなのだが、ワガママに振舞う青年貴族に振り回されて四苦八苦する。

中将。旗艦はダルムシュタット。
メルカッツ同様貴族連合軍の中では奮戦した。

  • シュターデン
大将。旗艦はアウグスブルク。
アルテナ星域会戦に先駆け、机上の空論を繰り広げる。

上級大将。装甲擲弾兵総監。
白兵戦において帝国軍最強と謳われた猛将。別名「石器時代の勇者(byラインハルト)」「野蛮人(byロイエンタール)」。
フレーゲルと並び、反ラインハルト陣営の急先鋒。

  • アンスバッハ
准将。ブラウンシュヴァイク公の腹心。
先祖代々ブラウンシュヴァイク公に仕える家系の当主。
主君と違って有能だが、「無能な指揮官のもとでは、有能も役立たない」。

  • 青年貴族たち
軍事に関する能力は全くないが、戦意ばかり旺盛で、おとなしく命令に従うことができない。
専門家であるシュターデンやメルカッツやファーレンハイトを振り回し、敗因の一つとなった。

  • アルツール・フォン・シュトライト
准将。
戦役に先立ち、ラインハルトの暗殺をブラウンシュヴァイク公に進言するが却下される。
後に捕縛され、ラインハルトに謁見し、釈放される。

  • アントン・フェルナー
少佐。
シュトライトと共にラインハルト暗殺を計画し、その実行犯となるが失敗。
捕縛された後、オーベルシュタインに身柄を預けられる。

  • レオポルト・シューマッハ
大佐。フレーゲル男爵の副官。
アンスバッハ同様、上司よりも有能な部下。

  • ラウディッツ
中佐。リッテンハイム艦隊の補給部隊の一員。

  • コンラート・リンザー
中尉。リッテンハイム艦隊の補給部隊の一員。
壊滅した補給艦隊の一員で、リッテンハイムの非道を目の当たりにした生き証人。

  • コンラート・フォン・モーデル
幼年学校の生徒。補給部隊に搭乗していた。




【開戦に先駆けて】

帝国を二分する争乱が起こる事を予測していたラインハルトは、オーベルシュタインに貴族連合側の情勢を探らせると同時に、同盟側が干渉してこないように手を打っていた。
それが、アーサー・リンチ元少将を工作員として同盟に送り込み引き起こさせた、救国軍事会議のクーデターである。
背後の憂いを断った後で、ラインハルトは悠々と貴族たちの粛正に出向く。

リップシュタットにおいて密約を交わした貴族連合の動向はたちまちオーベルシュタインによってラインハルト陣営にもたらされる。
これにより盟約に加担した貴族たちを炙り出したラインハルトは、直ちに行動を開始し盟約に参加した貴族たちのうち、オーディンから逃げ損ねた一部を捕縛することに成功。また統帥本部と軍務省を襲撃し、統帥本部総長シュタインホフ元帥と軍務尚書エーレンベルク元帥も捕縛された。
シュトライトとフェルナーによる暗殺も未遂に終わったが、逃亡に成功したブラウンシュヴァイク公やリッテンハイム侯ら一部の門閥貴族は、ガイエスブルク要塞に立てこもる。
しかし実戦経験がほとんどなく、驕り昂ぶることしか知らない貴族たちと軍人たちの間の意思疎通がうまくいくはずもなく、所詮は寄せ集めの集団であった。

これに対しラインハルトは4月6日、宇宙艦隊司令長官・統帥本部総長・軍務尚書を兼務する「帝国軍最高司令官」に任ぜられた。そして先日のアムリッツァ星域会戦で活躍し、元帥府に登用されたばかりの艦隊司令官らを率いて、貴族連合いや「正義派諸侯軍」を自称する「賊軍」討伐に向かった。



かくしてリップシュタット戦役の火ぶたは切って落とされる・・・。


そして、それはある悲劇の始まりであった・・・



【影響】

貴族連合の盟主であるブラウンシュヴァイク公爵と同盟者だったリヒテンラーデ公爵を排除したことでラインハルトが帝国における実質的な権力を握った。
しかし、この戦争の最後でラインハルトは盟友であるジークフリード・キルヒアイスを喪った。


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最終更新:2025年03月29日 10:42

*1 無論2人は強い信頼関係で結ばれたなどというわけではなく、互いの持つ力(ラインハルトの軍事力・リヒテンラーデ公の政治権力)を利用して権力を握るという野心が蠢いていた。