遠野四季

登録日:2011/04/07 Thu 04:16:33
更新日:2025/06/29 Sun 14:16:08
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騙されるな! 俺がお前の兄貴だ!
俺が遠野シキなんだ!!


TYPE-MOONの作品、月姫の登場人物。


誕生日:9月29日/血液型:A型
身長:178cm/体重:65kg


遠野家の真の長男であり、遠野家の養子となった遠野志貴(七夜志貴)の義兄で、秋葉の実兄。
そして、アルクェイド・ブリュンスタッドの仇敵であるミハイル・ロア・バルダムヨォンの今回の転生体でもある。
通称は「シキ」で、ファンからの愛称は秋葉の兄であるから「春男(ハルオ)」。


幼少期に養子として来た志貴とは親友であり、秋葉が嫉妬するほど仲が良かった。
この頃はいつも三人で遊ぶ幸せな日常を送っていたが、四季がロアの転生先に選ばれていたことがきっかけで事件が起こった。

というのも、『月姫』では遠野家のような異形の血を引く家系の者は、成長すると化け物としての意識が人の意識よりも表に出始め、
その影響で攻撃的な一面が強くなり、日常生活が送れなくなってしまうとされ、
代々遠野家の人間は、人としての意識で異形の血を抑え、完全に「反転」してしまうまでは日常生活を送ってきたという。
その遠野家の人間である四季も、成長していけばいずれは異形の血を抑えきれず、反転していたと思われるが、
生まれつき異形の血が濃かったのに加えて、ロアの意識が転生した影響で本来の四季の意識が消滅させられたため、
通例ならば反転するとは考えられない幼さにして、遠野四季は反転してしまったのである。

反転が起こった時も三人で遊んでいたが、反転した四季は近くにいた妹の秋葉に突如襲い掛かり、
咄嗟に秋葉を庇おうとした志貴をその場で殺害してしまう。
直後、駆け付けた遠野兄妹の父親である槙久により、「反転した者への処罰」として、四季も殺害された。

しかし、四季は自身の混血としての能力である接触融合呪詛「蝕離」で志貴から命を奪って何とか生き伸び、
また、その四季によって殺された志貴も、秋葉の能力により、彼女の生命力を分け与えられたことで蘇生されている。

この事態が周囲に判明する事を恐れた槙久は、生き延びていた四季を屋敷の地下室に幽閉させた上で、
名前の読みが同じだったことを利用して、志貴を戸籍上の長男として扱うことで、四季の存在を隠蔽するという形で事態を収束させた。
こうして、遠野家としては四季の反転と、それに伴う一連の騒動を何とか収めることが出来たが、
監禁された四季にすれば、自らの存在を「いなかったこと」にされ、その居場所に志貴が「遠野志貴」として納まったことから、
ある意味自分は志貴に殺されたようなものだと彼を逆恨みし、いつまで続くとも知れぬ監禁生活の中で志貴への憎悪を深めていく事となる。

一方、槙久としては掟に従って一度は四季を殺害したものの、父親としての情で二度も四季を殺すことには踏み切れず、
監禁こそしたが、いずれ四季の状態が良くなったならば、また元通り遠野家の長男として復帰させる事を予定していた。
しかし、ここで槙久にとって誤算となったのは、能力目的で遠野家に妹と一緒に引き取られた少女・琥珀であった。

槙久は自らの暴走を抑える目的で、琥珀・翡翠姉妹の持つ「感応」の能力を利用しようとしていたのだが、
その方法というのは、暴走の影響で暴力的になった槙久による強姦・凌辱であった。
妹を庇い、その地獄のような日々を送ってきた琥珀は、四季にも同様の扱いをされたこともあって完全に心が壊れてしまい、
やがて彼女は遠野家への復讐計画を企て、それに世話を申し付けられた四季を利用することを思いついた。

こうして、琥珀に八年間もの間、「槙久は四季を死ぬまで表には出さない」という嘘を吹き込まれ続けた四季は、
志貴の扱いへの不満もあって槙久への憎悪を募らせ、やがて地下室から脱出すると彼を殺害。
その後は街に下り、住民の血を吸う吸血鬼事件を引き起こしていた。

一方、父の死によって遠野家の当主になった秋葉により、槙久に勘当されていた志貴が遠野家に呼び戻され……と、本編に繋がっていく。


表ルート、裏ルートで姿が違うのは四季とロアのどちらかの意識が強く出ているかによって姿が決まる為。
表ルートではロアが、裏ルートでは四季が強く出ている。

裏ルートのロアは、自身の意識が転生した弾みで反転したことで本来の四季の(人間としての)意識が消失してしまった影響で、
ロアの意識こそあるものの異形の血によって上手く顕在化することが出来ず、四季に破壊衝動を送るだけの存在になっている。
四季曰く「頭の中にもう一人いて全てを破壊しろと訴えてくる」とのこと。

上手く顕在化できない影響で、本来はロアの転生体が得る筈の最高位の魔術知識を得る事が出来ず、
また魔術回路自体はあるものの四季の魔術回路は大して優れた能力を持っていない模様で、
裏ルートのロア(四季)は吸血鬼としての能力や肉体を駆使しての戦闘が主となる。

さらに、裏ルートのロアは四季の精神が強く出てきているため、アルクェイドにではなく秋葉に異常な執着を寄せる。
その執着ぶりはシスコンと言って差し支えないのだが、反転の影響もあって狂気めいたものも混じっている病んだシスコンになっている。

あるルートで誤って秋葉を殺害した時は動揺して吐き、秋葉ルートで秋葉が志貴と肉体関係を持ったことを知った際には志貴に激怒した。
極め付きには志貴に真っ二つにされて、死に掛けの際に上半身だけで秋葉に近づいて助けを求めるなど、異常な執着を秋葉に見せていた。
因みにその時の秋葉は反転していた為に、ロアは秋葉に笑いながらグチャグチャにされて殺された、哀れ。


反転後程ではないが、秋葉に対する執着はロア以前からあったようで、秋葉が自分より志貴に懐いている事に内心では嫉妬していたようである。
一方の秋葉はそこまで四季を慕っておらず、寧ろ苦手意識すら持っていたようで、
四季が反転する事故が起こってからは志貴のみを兄として慕い、「自分の兄は志貴だけ」と四季に面に向かって断言している。
秋葉が四季が苦手とした理由は、兄(四季)は自分とは違うモノにしか見えなかったから……だとか。


混血として能力は「不死」と「共融」。
欠損した肉体を再生させるのではなく、その部分がなくても生きていけるように作り替える「拒死性肉体」を持つ。
さらに血液を硬質化・変形させて血の刀などを作り武器とする。
そして接触融合呪詛「蝕離」は他人の肉体を摂取し、自身の肉体に還元する。臓器移植の何でもありバージョン。

トリッキーな戦い方をし、バッドエンドでは志貴を串刺しにして殺したりしている。
しかし、反転した秋葉には遠く及ばずあっさりやられた。


彼本来の性格はとにかくおしゃべり。
結構な社会不適合者的で突飛な発想やよほど優れた相手しか記憶しない我儘さを持つという、非常に敵を作りやすい性格。

しかし、志貴とは親友になれるほどに馬が合い、反転前はとても仲が良かった。
志貴に強い憎悪を抱いている本編中ですら、互いに正体を知らない状態で対面した際はコーヒーを飲みながら談笑していた程で、その相性の良さがうかがえる。
尤も肝心の会話は殺人について等と物騒で、出会った際にもいきなり殺し合いを始めたりとかなりハジケていたが。
本人曰く「久し振りに人と話して楽しかったよ」とのこと。人…?


一応秋葉に対しての愛情は本物で、秋葉も苦手意識があるとはいえ肉親の情もあるようで、四季の死に対して少し思う所もある模様。
更には親友であった志貴は記憶操作によって完全に存在を忘れられていて、秋葉には当主として処断しなければならないと思われたり、
翡翠には元凶として深く憎まれ、琥珀には最早何の感情も抱かれていないなど、結構不憫な人。

カーニバルファンタズムでは涙ながらにその事を嘆いていた。姿はロア寄りだけど。

四季「志貴は俺の事覚えてないし、秋葉はあんな態度だし、何だかな〜」

ネロ「飲み過ぎだぞ。ロア」

四季「ネロは、ネロはこんなに優しいのに〜」

琥珀が書いた洗脳探偵にも四季の姿で一瞬登場するが、磔にされ口にこけしを突っ込まれ、体には"シスコン"と書かれていた…


歌月十夜でも出番があり、志貴と仲良く話している。
ロアより人気があるのでメルブラではロアよりハルオ追加しろよという意見も多いらしい。
が、実装は未だに叶っていない。


アニメ版『真月譚 月姫』ではビジュアルは四季、名義ロアで登場している。
琥珀の過去がなくなったことで、四季を逃したのは秋葉に変更され、志貴も四季のことを終盤で思い出す。
志貴は自分が殺されてから秋葉に蘇生された事実を知らなかったので、自分が殺したはずの相手が蘇ったのだと勘違いしていた。
四季とロアのどちらかの意識が強く出ているかによって演じ分けがされており、シエルとアルクェイドの前ではロアが強く出る。
アルクェイドと対峙していたロアは志貴に向かって「お前の相手は俺じゃない」と言い放ち、アルクェイドを始末すると再び四季が強く出るなど、志貴の肉親という点が強調されている。
最後は志貴に倒され消滅するが、その顔は憑き物が落ちたように満足そうだった。いや、「ように」ではなくその通りなのだろう。


漫画版『真月譚 月姫』でも、アニメ版と似て四季とロアが混在した、二重人格的状態で登場。
肉体的な外見は四季ベース。三巻での初登場時には着流しの和装だったが、六巻からは洋装に変わった。
ロアの持つ魔術の知識と生き物の『生』を見る魔眼(『生』を断つことで直死の魔眼とほぼ同じ効果をもたらす)、
さらに遠野四季特有の混血としての異能「血刀」や、ナイフを使った格闘術をすべて併用する強敵として暴れ回る。
純粋な体術では、七夜の体術を解放した志貴には一歩劣るものの、数々の魔術や異能を併用することで、志貴やシエルとも互角以上に渡り合う。
最終決戦前半の八巻ではナイフを使って志貴と斬り結び、相手の一瞬の動揺を突いて志貴の左腕を断ちきる。
志貴が七夜の体術を完全に解放すると一度は圧倒されるが、雷撃魔術でなぎ払ってダウンさせたところを、七夜の短刀を用いて志貴の胸にある『生』の"点"(死の"点"ではない)を突き刺す。

「今度はどんな感じだ? 志貴。死の点を突かれた感覚は! どうだ? すべてを奪われた感覚は!!」
「おまえに殺された借り、たしかに返したぞ!!」

すると「志貴を殺した」と思い込んだ四季は嗚咽とともに哄笑し、「四季」としての記憶と意識が焼き切れていくとともに肉体が変貌。
白かった髪が伸びて黒くなり、見た目も精神も完全に「ミハイル・ロア・バルダムヨォン」のものとなってしまった。

その後はロアとして動くも、シエル、秋葉、琥珀、翡翠の尽力で志貴が復活。
アルクェイドを瀕死に追い込まれた怒りで覚醒した志貴が、『直死の魔眼』の真の異能(魔術などの無機物すら殺せる)を引き出したことで、
自身の放つ魔術や異能までも『直死の魔眼』によって「殺される」形で無力化され、打つ手が無くなったロアは恐怖に慄く。
やがて、志貴が足場であった床を「殺した」ことで空中に投げ出されたロアは、
崩壊していく床の残骸を七夜の体術で飛び越えてきた志貴に肉薄され、みぞおちの『死の"点"』を突かれる。
それでもロアは即死せず、消え去る寸前に四季の肉体と繋がっている志貴に乗り移ろうとしたが、
あと少しというところで背後から迫ったシエルに「第七聖典」を突き刺されて、肉体も魂も消滅した。

なお、反転する前に志貴に向けていた親愛は本物で、もしも自分が反転してしまった時には志貴に殺してほしいと言っていたほど。
四季は一度、反転しかけたところを志貴に殺されかけたことがある。
この際に、父・槇久が「七夜」を養子にしたのは「息子が反転したときに、自分が息子を殺したくないので、代わりに七夜に殺させるため」という、親心に似た責任放棄であったことを察していた。
その上で彼は志貴を恨まず、友人・家族としてあり続けていた。


濃すぎる遠野の「血」はすべからく魔に近付いていく。
そうなったら俺もオマエもバケモノになるのさ。本物のバケモノに。
もしも俺がそうなった時は頼むぜ。

…オマエが
俺を…

頼むよ。ナナヤ…

しかし結果として、反転して秋葉を殺そうとした四季を志貴は殺せず、秋葉の盾となるようにして四季の爪を受けた。
この際の回想シーンで四季は血の涙を流しながら呆然とへたり込んでおり、それが彼に大きな衝撃を与えたことが察せられる。

また秋葉も原作とは違って彼に対して相当な未練があったようで、
六巻で出くわした際には敵意こそ示しつつも、かつて兄の見せた笑顔がよぎって攻撃をためらう場面がある。




追記・修正は服についた血を拭ってからお願いします。

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最終更新:2025年06月29日 14:16