エターナルスフィア

登録日:2010/09/15(水) 20:33:13
更新日:2025/06/26 Thu 16:22:46NEW!
所要時間:約 8 分で読めます





「エターナルスフィア」とは、ゲーム『スターオーシャン』シリーズに登場する武器、または用語である。
また、同ゲームのポータルサイト名でもある。
某声優四人組ユニットよ、永遠に~的な意味は全くない。

『スターオーシャン』は開発当初は『エターナルスフィア』という名前であったが、「タイトル名でどんなゲームなのか想像出来ない」という理由で現在のタイトルに変更された。
それでも開発スタッフにこの名前の思い入れが強かったのか、SO以降のシリーズに「エターナルスフィア」という言葉が用いられている。


【スターオーシャン セカンドストーリー】



主人公、クロード・C・ケニーの武器の1つ。
彼の装備としては最高峰の性能を持つが、事前知識なしの通常プレイでは非常に入手困難で隠し武器の趣を持つ(後述)

◆性能◆
攻撃力:1600
ステータス補正:HIT+70、CTR+25、GUTS+40
吸収:光
無効:闇、負
半減:星
特殊効果:攻撃時、星弾をばら撒いて追撃する

単純な攻撃力であればクリア後の隠しダンジョンで手に入る剣士3人の共用装備「魔剣レヴァンテイン」(3000)や「聖剣ファーウェル」(1900)に劣るが、特殊効果の星弾が非常に強力。
通常攻撃の際にショットガンのように星をばら撒くこの特殊効果は、あらゆる局面において大変な拘束力を発揮し、大体の敵をハメ殺すことが可能。
また、かの有名なバブルローションバグ*1の効果が全ての星に乗り、実質的な最強武器と化したこともあった。そのあんまりな使用法はネタ的な逸話として一部のファンの記憶に残っている。

武器でありながら複数の防御属性を持ち、ステータス補正も強力。
攻撃力の数値的にも上記2種のクリア後武器を除けばプリシスのSDUGAパンチくらいしかなく、クロードに怒り状態*2を付与する武器が無い都合上、この武器の存在はクロードに主人公に相応しい一線級の活躍を保証する。

星弾効果は同じく隠しダンジョン製のアクセサリーで付与することができるものの、入手は終盤も終盤。また、通常難易度であればカンストダメージは割りと容易に到達可能ということもあって、ファーウェル、レヴァンテインよりもその存在感・貢献度は大きく、この剣こそが最強武器というプレイヤーもいる。



◆つくりかた◆


IC「カスタマイズ」による製作で入手可能。
  • ラクール武具大会でイベント入手する「シャープエッジ」を用意。
  • シャープエッジ+ミスリル=ミノスソード(要LV7)
  • ミノスソード+ミスリル=エターナルスフィア(要LV8)

このパターン以外では絶対に製作することができず、シャープエッジの入手を逃したり、製作過程で1つでもミスがあればそのプレイデータでは二度と入手できなくなり、挽回方法も存在しない。

素材がミスリルという都合上、通常このカスタマイズが行えるのはネーデ到達後…つまりDisk2以降であるのだが、電波スキルのリスト内*3にミスリルが含まれているため、その気になればDisk1の中盤で製作が可能。

実質的な最強武器を序盤を過ぎたあたりで入手できてしまうともなれば、以後遭遇するあらゆる敵はただの案山子と化すこと請け合いであり、この圧倒的な入手時期の前倒しこそをエターナルスフィアの真の強さと言うプレイヤーも。そして油断からの石化でゲームオーバーまでが一連の流れ。

ただし作成方法はもちろん、そのヒントなども本編中には一切出てこない。
特定の手順でのみ作成できる武器は他にも存在するが、取り逃す可能性のある一品もののイベント入手武器を使用し、しかも間に1つクッションが挟まるともなれば知識なしでエターナルスフィアにたどり着くのはかなり非現実的。

まず「特定の組み合わせでのみ作成可能なパターンが存在する」という知識が必要であり、その場合も当然のように失敗の可能性があること。
シャープエッジにはもう1つどこにも派生しない固有パターンがあり、その鉱石(ダマスクス)はリストの上に存在すること。
本編内で専用武器の配布があり、それが十分に強いので何かあるならこっちだろうと思い込みやすいこと。
シャープエッジとミスリルの入手時期の開き。
ギャムジーさんとの思い出の品。

…といった狙ってるんじゃないかと思えるほどにたどり着きにくい仕様になっており、「偶然の出会い」の可能性は絶望的に低く、簡単な総当りに対してもバリケードが張り巡らされているので、殆どのプレイヤーは攻略本からレシピを知ることになった。
そしてディアスがミノスソードを作れるという誤記に嵌められたりもした


尚、素材であるシャープエッジには「シャープネス」という兄弟刀的な立ち位置の入手不可アイテム*4が存在する。
シャープエッジでこれなので、シャープネスもカスタマイズすれば凄い剣になりそうな気がするが、どう思う?ディアス?



以下ネタバレあり










【スターオーシャン Till the End of Time】



フェイト達が暮らす宇宙、つまりは世界そのものを指す。

物語終盤に、実はフェイト達の世界(ゲームの舞台である世界)はFD空間(Four Dimension=4次元)に住む「FD人」によって作られた仮想空間「エターナルスフィア」であることが判明する。
(FD人は名前の通り、時間を普通に移動できるガチの四次元人である。)
エターナルスフィアの開発者であるルシファーらは、フェイト達の世界は単なるデータという認識だが、
ルシファーの妹のブレアや彼女の仲間達は高度に発展したエターナルスフィアは既に自分たちと別の世界のようなものであり、手出しを止めるべきという考え方をしている。

FD空間におけるエターナルスフィアとは、FD人が精神を内部のプログラム生命体に精神転送することで仮想世界の生活を疑似体験できるシミュレーターであり、スフィア社のヒット商品になっている。
ただしプログラム生命体の作成や調整は出来るが、「操作」は『基本的には』一切行えない。
FD人が一方的に干渉してエターナルスフィアの生命体を操る事は『基本的には』出来ないのだ。
ただしプログラム生命体の操作以外は結構可能で、『SO2』において時間停止空間「エタニティスペース」に封印された十賢者が解き放たれた原因も、スフィア社の社員であるベリアルが時間停止を「これバグってんじゃん」と認識して取り除いたため。
(ただし、一般FD人はそんなことは知らないため、十賢者事件については「何か面白いイベントをスフィア社が起こした」と思っている)

このシミュレーターのお陰で、ロストシティの中小企業の一つでしかなかったスフィア社は一躍都市を牛耳る程の地位を得た。

ちなみに、社長や消去肯定派の名前が悪魔のそれであるのは、消去否定派による嫌がらせ
「地球という星の悪魔の名前に嫌いな上司の名前を使った」とのことである。
つまり、「エターナルスフィア」というくくりは我々のいる現実世界もひっくるめたものである。



なおエターナルスフィアにおける『紋章術』とはエターナルスフィアを構成するプログラム言語であり、
紋章術によって起きる現象はエターナルスフィアの構成プログラムを書き替える事により起こる事象である。
ロキシ・ラインゴッドらが研究していた『紋章遺伝子学』も基本的にこれらと同様だが、エターナルスフィアからFD空間に直接干渉出来る力をもっている紋章術よりも遥かに高度な技術。
FD側にはスタートレックに登場するような物質をデータ化して送信してデータから物質を再構成する転送装置があり、これを利用してエターナルスフィアからFD側に実体化することも可能。
苦心してエターナルスフィアのシステムを開発してきたルシファーにとって、今まで開発していたシステムが自己進化をし、
ついには勝手に現実に実体化してきて自分たちを攻撃してくるまでに成長してくるとは夢にも思わなかっただろう。
なのでフェイト達の事を最後まで消滅すべき「バグ」として捉え、ブレアらの考えに迎合する事も出来なかったことは彼視点では当然である。
もちろんフェイト達にとってもそんな身勝手に滅ぼされてたまるかなんて話なので、両者の行動は当然である。


……てかエターナルスフィア側とFD世界側が繋がっている以上いつかエターナルスフィア側が大挙して侵攻してくる可能性もある上に、
この件が露見すれば運営している会社の信用もがた落ちということもあって、いくら愛着があるとは言えブレア達のほうがおかしいっちゃおかしいのだが。
そのためかどちらの陣営にもつかず中立的な立場の人や、かなりの思い入れがあるので直接の手助けはしないがフェイト達に親身に接している人も居る。
更に明言はされていないが事故によってエターナルスフィアの中に入ったままの人もいる…が、こちらはこちらでエターナルスフィアを大切にしていて、そこでの生活を満喫している模様。



ラストバトルの後、ルシファーによってエターナルスフィアの全データが消去され一時は消滅したかと思われていたが、
プログラム生命を軽視していたため世界を消去しても思考だけ残るような半端な消去をしており、
高度に発展していたプログラム生命が「自分たちの世界」を認識していたため、
エンディング後にエターナルスフィアとFD空間は完全に切り離され、一つの世界として独立出来た。
フェイト達がラインゴット博士の研究によって、FD世界に具現化して更に紋章術を放つなど自在に行動できたことを考えれば、十分ありうる話である。

ちなみに小説版では本舞台はFD空間に対するパラレルワールドであり、
ルシファーは一つの世界を創造したつもりがそのパラレルワールドに干渉できるシステムを開発しただけだったという設定になっている。
…自分で一から創造した世界に干渉するよりもよっぽど凄いことな気がするのだが。そしてより酷いことをしている気がする。
ゲーム本編では後半が急展開で進み、エターナルスフィアの説明が不足なままエンディングを迎えてしまうため(エンディング以外は用語集でちゃんと説明されている)、
小説版の設定の方が正しいのではないかという意見もあるが、あくまでもゲーム本編とは別物である。
またどちらがより良い設定なのかは何とも言えないが、それでフェイト達からしてもルシファーからしてもやるべき行動に変わりはないので、本筋としては大差はない。

エンディングについてはプレイヤーが自由に想像出来るように、あえて説明を曖昧にしたと思われる。


どちらの設定でもこの設定は特に1、2をプレイした人とっては受け入れ辛いことが多く、SO3は戦闘システムは良いがストーリーが×というレビューが多い。
この設定だとエターナルスフィア=リアルで言うところのVRシミュレーター、という事になり1、2の冒険も陳腐なものに感じられるようになってしまうからだとか。

しかし実際のところはFDからの干渉もあるものの、それは本作の様なFDからすると致命的なバグが発生した時が主であり、
スフィア社のスタッフが拘りに拘った結果、最初の創造時以外はデバッグやイベントのための限定的な干渉はあるものの、なるべく手を入れない様に作られている。
そのためエターナルスフィアの出来事は基本的にはエターナルスフィア自身から生まれたものであり、ラティやクロード達の戦いも敵味方どちらも彼ら自身の意思であり、茶番でも何でもない。
SO1では実際に生存がかかっているし、SO2では宇宙が終わっていたところである(実際に崩壊が始まった場合は途中でFDからストップがかかっていたと思われるが、それでも被害が拡大していたであろうことは言うまでもない)。

それでもマイナスイメージが根深いのは、そもそもこの設定がシリーズの世界観と全く馴染んでおらず、既存作品や3本編でも培ってきたその世界観の壮大さ、奥深さという長所を台無しにしているところが問題なのだろう。
そもそもスターオーシャンという作品群自体、その名前の通り星の海、つまり宇宙を駆ける壮大なSF作品のシリーズだったはずである。様々な惑星を渡り歩いて冒険し、宇宙という広大な世界を体験することの面白さ、高揚と興奮がウリだったというのに、地球もロークもエクスペルもヴァンガード3号星も宇宙全部が(メタ的な意味ではなく劇中の設定においても)一プログラム会社の何人かの人間に作られた、サーバーの中のデータに過ぎなかったんだぜ等と言われては、宇宙の広大さも何もない。

加えて、如何にエターナルスフィアに対してはFD人と言えど無制限の干渉が出来ないと言っても、エターナルスフィアとは観賞用の箱庭ではない。これはバーチャルダイブ*5を楽しむシミュレーターなのだ。エターナルスフィアにFD人が入り込んで(仕様の範囲内で)好き勝手をやるというのが、寧ろ正しい遊び方であろう。
しかもFD人たちがどの様にしてこのシミュレーターにログインし、どの様にプレイヤーキャラを操作し、エターナルスフィアの人間たち=NPCに対しどこまでの干渉が許可され、どの様にログアウトし、それをNPCがどう認識していたかも不明瞭である。
早い話、このエターナルスフィアという設定の登場は、単純にあまりに唐突すぎて脈絡もなければ伏線もろくになく、詳細も把握しきれないものだった。この手のどんでん返しが説得力やディティールを欠いたまま出されるのは、往々にして倦厭されるものなのである。

また上で何度か強調したように「操作は基本的には一切行えない」のだが、この基本的にはということは逆に言えばもちろん例外も存在するということである。実際作品内でも明らかに操作をしてるようなことを発言するFD人もいるため、単純に設定面の擦り合わせがきちんと行われていなかった可能性もある。

尤も、全く伏線が無かったわけではない。誰が作ったのか当時は全く不明だったSO1のタイムゲートに始まり、SO2でリンガの聖地を作った「神」、エタニティスペースから十賢者を解放した謎の存在等、前作・前々作の時点で既に上位者の存在を臭わせていた。特定のキャラクターとの組み合わせになるので認知度は低いが、プライベートアクションでも上位者の存在を示唆した内容のものがある。

ちなみにSO1やSO3に出てくる惑星ストリームのタイムゲートはこの設定のおかげでタイムパラドックス問題が解消され、むしろスッキリする。
なぜタイムゲートなんてものがあるかというと、これは本来はスフィア社がデバッグするための関連施設らしく、タイムマシンはそれをエターナルスフィアの住民達に隠すための処置とかどうとか。
タイムゲートという時点でとんでもない代物なのに、実は機能の一端に過ぎないだなんてそうそう思いはしないだろう。
そしてFD世界と繋がりが深い(ラインゴット博士によるソフィアの能力で出入り出来るようになった)のもそのため。
また本作で敵として出てくるFDのスフィア社の社員はルシファー以外もとんでもないクズ揃いに見えるが、
こちらもあくまでもFD世界の視点において致命的なバグのせいであんな行動をしているだけで、実態としては狂っているわけではないことがうかがえる。


【以降の作品での言及】


次作『スターオーシャン4-THE LAST HOPE-』(『SO4』)ではこの設定は全く言及されていない。
これについては時代が『SO1』より前ということもあってある意味当然だが、『スターオーシャン5 Integrity and Faithlessness』(『SO5』)以降も触れられておらず、宙ぶらりんになっている状況である。

存在自体が『SO3』のネタバレな上に、知っても作中の誰もがあまり得しない世界の根本的な秘密であることや、
そもそも『SO3』のエンディングから、これまたFD世界から認識されずエターナルスフィア内からしてもよく分からない状態になっている。
更にフェイト達を始めとするFD世界のことを知っている者達からしても、『SO3』制作陣の意図的にも、
「元々が作られた世界だから何だって言うんだ!私たちは生きているんだ!」ということに過ぎないので、
今後もこの設定が出ることはそうそうないと思われる。

外伝作品『スターオーシャン:アナムネシス』では、ストーリー末期に、ヒロインであるイヴリーシュと悪役であるジヴェレーゼの姉弟がFD世界の人間であることが明かされた。
(「FD世界」という言葉は使われておらず*6若干ぼかされてはいるが、ほぼ確定的な表現である)
2人は父親がスフィア社の職員であるだけの一般人なのだが、エターナルスフィアの消滅に気付き、消滅する前のエターナルスフィアに事態の調査・打開のために侵入してきたことが語られている。
この社員でもないただの一般人が自由意思で操作可能なキャラクターをエターナルスフィア内に送り込んで好き勝手できていたというのが、より基本的に操作不可能、干渉不可能というのと矛盾していると論争を起こすことにもなった


◆余談◆



FD空間の人間は、何と一部の人間(スフィア社員など)を除いて労働禁止らしい。まさかのニート天国。
まあ、「無能な働き者」などの例もあるし、本当に有能な人間&機械だけで回す方が効率的ではある。


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最終更新:2025年06月26日 16:22

*1 PS初期版に存在したボス含む全ての敵に即死効果が有効になるというミス

*2 本来仲の良いキャラが先頭不能になると発動する与ダメージ倍化の特殊ステータス

*3 スキルレベルを上げると一切の通知無く決まった種類の中から1つアイテムをランダム入手できる

*4 イベント期間中のみディアスが装備している。合流時は未所持。

*5 FD人の視点での話。エターナルスフィア内の人間からすれば、外宇宙からの侵入と言えるかもしれない

*6 FD世界の人間は自身の世界を「FD世界」とは捉えていないので当然だが。