天霊ビート(天霊ロック)(Battle Spirits)

登録日:2011/11/08 Tue 15:25:50
更新日:2024/11/16 Sat 13:53:23
所要時間:約 6 分で読めます




概要

天霊ビート(天霊ロック)とは、ある意味バトルスピリッツ一番の目玉である天霊たちをふんだんに盛り込んだビートダウン(ロック)デッキのこと。
その絵柄から天霊を使いたがるプレイヤーは多く、2弾で登場してから現在に至るまで根強い人気を誇っている。

天霊デッキの変遷

初期~星座編 - 不遇な時代

そのかわいらしい絵柄、萌えメインでないTCGなはずなのに有名絵師の美少女だらけで初期から人気が非常に高かった。

…のだが。
この天霊デッキ、どれも上位環境の大会ではロクな結果を残せていない。
ぶっちゃけた話非常に弱いのだ。有利なデッキタイプがほぼ存在しないというところがある意味凄い。
一応12弾にて天霊を強化するXレアスピリットが追加されたものの、
天霊ではなく姫ループにおける壁役という仕事で活躍していた辺り、如何にカワイソスな存在かは推して知るべし。
その余りの弱さから「天霊目当てで始めた友人がいつの間にか強襲ガンディ(当時の環境トップデッキ)に変わっていた」なんてジョークも生まれている。
入れるべきでないスピリットの方が多すぎてそれを除いていたらデッキ一つ分も残っていないなどということもいわれていたほど。

当時のアニメではクラッキー・レイ(CV.小野大輔)が天霊デッキを使用していたが、勝率はからきしダメ

この時点で天霊デッキの中核となっていたのは《天の階》。

天の階/The Heaven's Stairway
ネクサス
4(2)/黄
<0>Lv1 <2>Lv2
Lv1・Lv2
系統:「天霊」を持つ自分のスピリットが召喚されたとき、
自分のトラッシュにある系統:「天霊」を持つコスト4以下のスピリットカード1枚を手札に戻す。
Lv2
自分のフィールドに系統:「天霊」を持つスピリットが5体以上いる間、自分のライフは0にならない。
シンボル:黄

天霊を召喚すればコスト4以下の天霊がトラッシュ(墓地)から回収できる為、
コスト4以下が2体いれば互いを回収することで毎ターンスピリットを場に維持し続けることができる。
そうでなくても、召喚していくだけで回収によりどんどんスピリットが増え続けていく為、物量で押し切ることができる…
とこの効果だけ見れば誰もが思うだろう。
実際にはこの頃の天霊は大半がコスト5以上また、コスト4以下は他の系統と比べて圧倒的に弱いというデザインであったのだ。
さまざまな面で噛み合っていないサポートだったのである。

この頃の戦術は《戦神乙女ヴィエルジェ》などの特定のコストのスピリットをアタックできなくする効果をメインとしたロック戦術。
そのため、この時期の天霊デッキは「天霊ロック」よ呼ばれた。

覇王編 - 後の下積み時代

やっぱり覇王編での天霊もどれも重いわりに効果が貧弱、または単体では使いにくいというものが大半なデザインであった。
ただ覇王編でも「グリムの天使」シリーズなど使いやすいスピリットが少しずつ増えてきて、改善はされつつあった。

とくにコア除去への耐性をばら撒く《グリムの天使ラプンツェル》は紫への対抗手段として後の時代でも長く愛用される。
また、2体揃うことで破壊されても場に残り続ける《グリムの天使グレーテル》《グリムの天使ヘンゼル》コンビは場のシンボル維持に貢献。
これらのカードによりファンデッキという括りからは脱しつつあった。

剣刃編 - 天霊デッキの目覚め

天霊が不遇だったのはだいたい剣刃編の序盤頃まで。

剣刃編では【強化】とBPをマイナスするという新基軸の効果を貰い、
更にレギュラーキャラクターの一人キザクラ・ククリ(CV.堀江由衣)が使用し、収録枚数は大幅に増えた。
しかしそこは新効果、どれもこれも調整不足なデザインで弱い弱い

それでもメイン系統として大量に収録されたおかげで低コストの天霊がかなり充実。
弱点の一つであった「コストが重くまともに出せない」という点が改善されることとなる。
低コスト帯の充実は今まで使いにくかった《天の階》の利便性を劇的に改善させた。

更に、属性開眼デッキ【トパーズ】に収録された《エンジェロイド》は天霊デッキに革命をもたらした。

エンジェロイド
ブレイヴ
4(2)/黄/天霊
<1>Lv1 2000 <0>合体+2000
Lv1『このブレイヴの召喚時』
自分のトラッシュにある系統:「天霊」を持つコスト3以下のスピリットカード3枚をコストを支払わずに召喚する。
合体条件:天霊
【合体時】『このスピリットの合体アタック時』
相手のスピリット1体を指定する。このターンの間、そのスピリットはブロックできない。
シンボル:なし

なんとこのカード1枚を召喚するだけで場に天霊が3枚も増える。
エンジェロイドを得たことで天霊デッキは「低コスト帯の展開力に長けたビートダウンデッキ」という路線を見出すこととなる。
これによりかつての「天霊ロック」から「天霊ビート」へとデッキ呼称も変遷していく。

【強化】?BPのマイナス修正?なにそれおいしいの?*1

アルティメットバトル - 天霊の全盛期

アルティメットバトルでも引き続き黄色のメイン系統となり、アニメでは明けの星のエリス(CV.堀江由衣)の使用系統として続投。
相変わらずハズレカード率は高いが、収録枚数自体が多いので取捨選択すれば気にならない。
この頃になると中~大型も以前よりは大分使いやすくなり、単なる低コストビートダウンにとどまらない、
様々なバリエーションでデッキが組めるようになる。

アルティメットによって弱点のBPの低さや打点を改善した【アルティメット天霊】。
新効果【分散】を利用したマジック利用のビートダウン。
不遇だったBPマイナス軸にも《砲天使カノン》が登場し、実用性が大幅にアップ。

砲天使カノン
スピリット
8(4)/黄/星将・天霊
<1>Lv1 6000 <2>Lv2 7000 <3>Lv3 10000
【バースト:自分のライフ減少後】
自分のライフが3以下のとき、このターンの間、相手のスピリット/アルティメットすべてをBP-10000する。
この効果でBP0になったスピリット/アルティメットすべてを破壊する。
この効果発揮後、このスピリットカードを召喚する。
Lv2・Lv3
相手のスピリット/アルティメットがBP0になったとき、そのスピリット/アルティメットすべてを破壊する。
シンボル:黄

  • 【バースト】によりコアの確保が難しい天霊デッキでも簡単に出せる。
  • BPマイナス修正と破壊効果がセットになっているためコンボの必要がない。
等々、今までのBPマイナス軸の弱点を補う効果をこれでもかと詰め込んだ理想の1枚。
というよりもあまりにも単体で強すぎたため、あっちこっちの天霊が関係ないデッキに出張するようになってしまった。

トーナメント最上位レベルのデッキではないにせよ、ショップバトルレベルなら十分通用するデッキで、
天霊で挑んでバカにされる時代は完全に終わりを告げた。
この時点でもう天霊デッキを不遇というバトラーはほとんどいなくなっていた。

烈火伝~神皇編 - 再びの暗黒期

ようやくまともになったのに、ここで天霊の強化はストップ。
この2年間で天霊を持つスピリットは数枚しか収録されない事態に。
さらに、天霊の強力なサポートだったヴィエルジェがリバイバルされた際に天霊サポートを失う。
まあこれに関しては旧版使えばいいだけなんだが。

それよりも、他の美少女系統が大幅にテコ入れされ、天霊のアイデンティティの一つが崩れてしまったという点が大きい。

  • アルティメットバトルで登場した擬人化&女体化軍団「詩姫
  • 和服美少女の新系統「戦姫」
  • 天霊と同じくらい初期から存在していたものの枚数が多くなくかつては空気だった「楽族」

これらの系統デッキにイラスト目当てのバトラーが流出。
天霊デッキもBPマイナス効果の増加など間接的な強化は受けてるものの使用率は大幅に低下してしまった。

煌臨編

2年ぶりにめでたくメイン系統に戻ってきた。

いきなり登場したのが最強クラスの耐性と相手の全カードをデッキボトムへ除去というインパクトのあるロマン砲、火の熾天使アラフィエル

更にはデジモンコラボよりエンジェモン、エンジェウーモンが天霊で参戦。
特にプロモーションカードの「オファニモン フォールダウンモード」は非常に使い勝手の良いカードで、
天霊に足りなかった手札増強を一気に加速させてくれる。

かつての残念な「大天使」もリメイクにより実戦級のカードパワーを持ち、【天霊】は黄色の主力系統への復権を果たした。

天霊デッキの派生

剣刃編以降の多大なカードプール増加に伴い単純なビートダウンにとどまらず様々な派生デッキが作られている。

【BPマイナスコントロール】

BPを下方修正する効果を中心としたコントロールデッキ。
初出時の剣刃編ではさっぱりだったが年々使い勝手の良いカードが追加されて行き、現在では天霊デッキのメインタイプにまで上り詰めた。
BPを0にしたスピリットを破壊したり、攻撃をロックしたり、それをトリガーにドローをしたりと利用法は様々。
特に《大天使ガブリエレン》がリバイバルされたことで毎ターンBPを下げることが可能になり、
BPを0にした時に誘発する効果が大幅に使いやすくなった。
主なカード
  • 《砲天使カノン》
  • 《大天使ガブリエレン(リバイバル版)》
  • 《光盾の守護者イーディス》
  • 《舞華ドロー》

【アルティメット・アヴリエル】

最大でブレイヴ6枚と同時合体ができるロマンカード《アルティメット・アヴリエル》を最大限活かそうというデッキ。
召喚条件を満たすためのスピリット、合体させるためのブレイヴ、そしてメインのアルティメットと各カテゴリのバランスが非常に難しく、
公式デッキ紹介も匙を投げるレベル
それでもアヴリエルのイラストと剣刃6枚合体というインパクトから人気があり、何人ものバトラー達が構築に挑戦しては挫折している。
主なカード
  • 《アルティメット・アヴリエル》
  • 《剣舞の巫女マイエル》

【マジックコントロール天霊】/【分散コントロール】

大天使ミカファール》に端を発し、天霊にはマジックカードを補助するカードが非常に多い。
しかしながらアルティメットバトル以前のカードは禁止カードのミカファール、制限カードのヴァリエルを除けば、
どれもこれも微妙なカードばかりでまともなデッキにはならなかった。
アルティメットバトルで登場した《アルティメット・ミカファール》や《大天使サン・ダルク》によってようやく実用性も上昇。
マジックカード自体にも、強力な除去効果を持つ《ディーバメドレー》や、
ドロー補助として優秀な《妖雷スパーク》により再利用や失ったアドの回復にメドがつくようになる。
ただ、後発の系統である戦姫の方がよりこの分野では優秀なため、キーワード能力【分散】のサポートカードで差別化を図りたいところ。
主なカード
  • 《大天使サン・ダルク》
  • 《生還者天使クロエル》
  • 《戦国姫 茶亞琉》

【煌臨天霊】

煌臨編では前述の強力な効果を持つ《火の熾天使アラフィエル》を筆頭に<煌臨>を持ったスピリット、そしてサポートが天霊に数多く追加された。
欠点である手札消費の激しさもそれを補えるだけのドロー効果でカバーされており、
更には除去やライフ回復などコントロールとビートダウンを両立できるだけの幅広い効果を持つ。
主なカード
  • 《智天使ヨフィエル》
  • 《火の熾天使アラフィエル》
  • 《オファニモン フォールダウンモード》

余談

天使の系統といいつつ、「破壊されてもしぶとくフィールドに残る」「墓地から復活」などの効果が多いため、ゾンビ軍団と呼ばれていた時期があった。
時代が進んだ現在ではどの色のどのデッキにもそういった効果が増えたため、あまり呼ばれることはなくなったが。


追記・修正は天霊を売って強襲ガンディを組んでからお願いします。

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最終更新:2024年11月16日 13:53

*1 この頃はBP-の修正値も微妙、BPを0にした時の効果も除去につながらないなどデザインがちぐはぐだった。