信長の野望 戦国群雄伝

登録日:2012/06/21 Thu 23:17:41
更新日:2022/04/24 Sun 12:55:38
所要時間:約 8 分で読めます




『信長の野望 戦国群雄伝』とは昭和63(1988)年に光栄が発売した信長の野望シリーズ第三作。

後にファミコン、PlayStation、セガサターンに移植され、1999年にはゲームボーイカラーでリメイクされた。リメイク時のタイトルは「信長の野望2」。


◆概要

信長の野望シリーズ過去2作ではゲームに登場するのが大名のみだったが、
今作では「三國志」シリーズで好評を博していた配下武将の概念がはじめて取り入れられ、
以後のシリーズの基本フォーマットが形作られた。

これで前作のように北条氏康で始めたら寿命で即ゲームオーバーなどという事は無くなった。

一方で前作では舞台として存在した東北、北関東、九州が削除された。当時は容量も少なかったし仕方ないね。

また、年が経つにつれて新しく元服してくる武将が非常に少なく、武将がいない地域は空白地になってしまうため、
後の時代になればなるほどゲームの進行が難しくなってくる。
そのためPC版では武将が死亡するとそれと似た能力の架空武将が自動生成されて登場したりした。
ファミコンなどの一部機種では代わりに黒田長政や大谷吉継といったPC版未登場の織豊時代の武将が登場するようになっている。
出奔中という設定なのかなぜか伊達成実も畿内でうろうろしている。
(しかも年齢、寿命設定にミスがありすぐ死ぬ。伊達家に帰参した事を表現しているのかもしれないが)



◆戦略面

本作では武将それぞれに行動力というパラメータが存在しており、
ほとんどのコマンドを実行するのに大なり小なり消費する事になる。
行動力が尽きてしまうと何もできないが、月々に武将の政治力の3割が回復する。

またこの行動力システムには初心者が嵌りやすく、上級者もうっかりするとやってしまう罠が仕組まれている。



姉小路頼綱 が 美濃 に せめこんできましたぞ!

「おk。ボコボコにしてやんよw」

織田家 の そうだいしょう は しきが とれなかった

 ♪で~ででで~ででで~ででで~で~

「( ゚Д゚)」

実は大名、城主は月末に10以上行動力を残していないと、
敵国に攻め込まれた際、迎撃行動が取れず即敗北してしまう仕様になっている。
いくら優秀でも前線の大名、城主をめいっぱい働かせるのは厳禁なのだ。

また地道に内政するよりも米相場を利用して商人に換金してもらった方が金を貯めやすいという、
俗に米ころがしと呼ばれる手法も今作で確立(近年の作品では世相を反映してか(?)米価が低く抑えられている場合が多いので出来なかったりする)。


◆合戦

本作でははじめて野戦と籠城戦という概念が登場し、それぞれの戦場で使える戦術が異なる。
野戦では朝昼夜の時間区分も存在し、夜に索敵範囲外から敵部隊上に移動すると強力な夜襲が使える。

兵科は機動力に優れた騎馬隊、奇襲や壁越えが使える足軽隊、鈍足だが強力な攻撃を仕掛けられる鉄砲隊の三種類。
これらの兵科は武将ごとに固定されていて、大名はほとんどが騎馬隊担当。
鉄砲のイメージが強い織田信長も騎馬である。

例外として本願寺、雑賀衆の大名はそれぞれ足軽、鉄砲隊を率いている。

















実はこのゲーム、どんな弱小勢力でも負けない必勝法が存在する。

部隊ユニットはそのターンの移動を終えると、行動終了となり、移動後つづけて攻撃に移れないため、
ターン終了時に敵部隊と隣接しないように移動していくだけで、
相手の時間切れや兵糧切れで相手が撤退してしまうのだ。
この戦術は敵軍も使って来るため、攻め込む際は最低2部隊は連れて行こう。
これを応用して捨て攻め(万一捕まった、隣接国が攻めてきた時に備えて不要雑魚武将に兵1で攻め込ませる)で兵糧を枯渇させて国を奪うと言う戦法も可能。

また籠城戦で、自軍総大将が足軽か鉄砲、攻撃側が騎馬隊だけで攻めてきた場合は、
塀や堀で隔てられた位置に逃げ込めば、相手はまったく手出しができなくなってしまう。

現実の戦争ではありえない状況なので、次作からは移動後の追撃が可能に、
籠城戦でも本丸を占拠されれば負けとなりこれらの戦術は使えなくなった。


◆武将

本作の最大の目玉が400人を超える武将たちである。
前作から引き続きの魅力、野望以外に政治、戦闘といった後のシリーズにも引き継がれるパラメータの大枠が本作で確立された。

また政治、戦闘の合計が150以上の配下武将は軍師として助言してくれるようになる。
まだ光栄もノウハウが確立されていなかったためか、武将の選考は後発の作品と比較してかなり独特なものとなっており、
本作登場から再登場まで長いブランクがあった武将、
江姫最初の旦那・佐治一成、毛利元就の隠し子・二宮就辰、長宗我部元親の従兄弟・比江山親興など本作にしか登場しない武将もかなりの数がいる。

また、やたら怖い顔の細川藤孝、飲み屋にいそうな前田利家、
直江兼続が使い回し顔など武将の顔グラも今とまったくイメージが異なるものが多い。

さらに即効クリアを目指さず長期間プレイし続けているとCOM勢力の大名がとんでもない事になっていることが多い。

しかしなにより最大の突っ込みどころは



  出 鱈 目 な  能 力 査 定 



の一語に尽きる。

織田、武田、徳川家などの有名どころは優秀な武将が揃っているが、
上杉、北条、毛利、足利など大名が優秀でも配下の知名度が低い場合はかなり厳しい評点が与えられていた。
地方のマイナー大名に関してはもはや目も当てられない。

また有名大名の息子は能力が高めに設定されており毛利輝元など近年ボンクラ扱いの2世、3世もかなり優秀だったりする。

以下は不当評価の一例。


◎荻野直正

赤井直正と言えば少しは通りがよくなるだろうか。
丹波の国人で、あの明智光秀を何度も撃破した実績を持つ「赤鬼」の異名を持ち徳川家康長宗我部元親と並ぶ名高き武士とされた猛将である。
が本作では、政治25・戦闘19という押しも押されもせぬ雑魚武将。当然政治・戦闘ともに85以上ある徳川家康と長宗我部元親には遠く及ばない。
まさに泣いた赤鬼状態
他に、越後の猛将、本庄繁長や豊臣秀吉の盟友・蜂須賀小六も雑魚武将扱いである。

これら能力査定には、なんと武将の子孫の方々から光栄に抗議が寄せられたらしく、
次作以降はスタッフも文献を読むようになりかなり改善された。


安田顕

…って誰?とは言わないで。

史実では越後の国人であり、上杉謙信死後の内紛で、景虎側の国人への切り崩し工作を行って景勝勝利に貢献するが、

景勝が、兼続ら子飼いの上田衆に恩賞を独占させたため面目を潰されて自害した悲劇の人。にしても景勝、兼続。どこが義の主従なんだ…。
元々マイナーな人物である事も災いし、政治16・戦闘18と先の直正に輪をかけて酷い能力値。
400年後まで報われないなんて…。

彼らのような地方のドマイナー武将の再評価は、ナンバリングがかなり後の作品まで待たねばならない。
ちなみに顕元さんは最近は中堅どころ程度の能力にはなっている。


◎服部半蔵、風魔小太郎

忍者武将。兵科は足軽、政治は低いが戦闘は高く戦場で大活躍…って、最近の作品とかわんなくね?と思う人。甘い!

実は前述の通り、行動力回復量が政治依存という仕様なため、
彼ら脳筋武将は毎月雀の涙程度しか行動力が回復しないので、ポテンシャルがまったく発揮できないのだ。

一応、政治が高い武将に訓練させた兵を再編成で預け出陣といった方法で、
なんとか戦場に連れていけるが、後発作品のように特別なスキルがあるわけではないので、
そこまでして戦場に連れて行く理由が無いのが現実である。

次作『信長の野望 武将風雲録』では行動力は城主の政治力に依存するようになったため、
脳筋武将も城主にさえしなければ使えるようになった。


なお、本作には教育というコマンドがあり、その武将より5以上高い能力を持つ教育係がいれば、
能力を高められるので、彼ら不当評価武将を史実に見合うようになるまで鍛え上げる事が本作の真の目的である(ぇ)。
自分より戦闘の高い武将を突撃で殺すと戦闘が2上がる事を利用した修羅道を歩むのも一興。
ただ、鍛えぬいたころに寿命でぽっくり逝っちゃったりするのでほどほどに。

CPUは各武将に均等に兵力を編成するのでこちらは主力のみに兵力を集中して攻めれば勝ちやすく、
雑魚は後方の領地へまとめて放置しておき(米の売買や輸送のみやらせる)攻め込まれても上記の通り逃げ回って時間稼ぎすればいいので難易度は意外と低い。

以上のようにシステムの抜け穴や突っ込みどころが多い作品ではあるが、シンプルなゲーム性に比して、
さまざまな遊び方が見つけられる名作なので、歴史シミュレーション初心者や近年の作品が複雑すぎ、忙しすぎるという人にはおススメの一作である。


こよいの ついき・しゅうせい は これまでにいたしとうございます

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最終更新:2022年04月24日 12:55