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原始のタイタン/Primeval Titan(MtG)

登録日:2010/09/23(木) 23:25:14
更新日:2026/04/19 Sun 16:07:42
所要時間:約 7 分で読めます




《原始のタイタン/Primeval Titan》はマジック・ザ・ギャザリングの基本セット2011に収録されたクリーチャー。
神話レアで各色に1枚ずつ存在する「タイタン・サイクル」の緑担当。

このタイタンはいずれも
  1. ダブルシンボルの6マナ6/6、クリーチャー・タイプは「巨人」
  2. キーワード能力ないしそれに類するものを持つ
  3. 「戦場に出たとき」と「攻撃したとき」に固有の能力が誘発する(タイタントリガー)
という特徴を持っていた。

当時のMTGにおいて、6マナというのは「かなり重い」に分類されるカードで、さらに除去が異常なほどに強い時代だった。
それにもかかわらずサイクル5枚すべてが環境内で強烈な存在感を発揮したため、「カード全部が強いサイクル」という話題の時には必ずタイタンの名前が挙がる(《霜のタイタン》については後述)。

その中でも緑のタイタン《原始のタイタン》はあらゆる環境で八面六臂の活躍をした。
こいつ自身がフィニッシャーであることもさながら、さらなるファッティやコンボへのつなぎとしての役割も果たすというカード。ホームランもうつけどヒットもうつバッターみたいな感じ。
「除去耐性のない緑の6マナクリーチャー」なんて、当時はおろか今でも「他のデッキでのご活躍をお祈り申し上げます」と言われそうなものだが、
このカードは緑さえ入れば大学生が飲み屋で頼むシーザーサラダ感覚でデッキに入ってくる。つまり名実ともに基本セット2011および2012のトップレア
除去全盛の時代にあって緑のクリーチャーがトップレアになるということは、その前年にあった「マナ・バーンの廃止」「戦闘ダメージのスタックルールの廃止」などとともに、MTGというゲームの節目を強く感じさせる出来事でもあったのだ。


原始のタイタン / Primeval Titan (4)(緑)(緑)
クリーチャー:巨人(Giant)
トランプル
原始のタイタンが戦場に出るか攻撃するたび、あなたはあなたのライブラリーから最大2枚までの土地カードを探し、それらをタップ状態で戦場に出し、その後、あなたのライブラリーを切り直してもよい。
6/6


緑のタイタンは緑らしく土地を運んでくる。
一度戦場に出るか攻撃する度に土地を2枚ライブラリーから探して戦場に出せるため、驚異的なマナ加速とライブラリー圧縮になる。
普通なら土地は1ターンに1枚しか出せないのだから、この能力の凶悪さは想像が付くだろう。しかも土地の規定プレイとは別扱いで。
つまりこのカード、戦場に出た時点で「ライブラリーから2枚無駄牌をはじきつつ2マナの加速を行う」という仕事が完了しているので、除去を打ってもすでに仕事を終えられている。
クリーチャーのインフレって怖いね。 悪斬「あ、あのっ!」
しかもこれが攻撃をするとさらにまた2枚の土地をライブラリーから引っ張り出せる。ついげきのタイタンパンチでさらにマナとダメージは加速した。

ぶっちゃけ《森》とか《山》をサーチするだけでも全然強い。というより、そういう使い方をするデッキさえ結果を残している
だというのに特殊地形もサーチできる。マジックには強烈な特殊地形がいくつも存在するため、これを2枚もサーチできるのはもはや破格の一語。
折しも基本セット2011の前はゼンディカー・ブロック、個性豊かな土地が目白押しという環境だったので、スタンダードの範囲内でさえサーチ先にはまったく困らなかった。

これで6/6、トランプル、しかも非伝説。そしてこれらの性質だが、「正規の方法で出さなければならない」なんてことはない。
何らかの踏み倒し手段と組み合わせれば早い段階で使えるかもしれないが、さすがにそんな都合のいいカードがあるわけ……


Summoning Trap / 召喚の罠 (4)(緑)(緑)
インスタント — 罠(Trap)
このターン、対戦相手1人がコントロールする呪文や能力によって、あなたが唱えたクリーチャー呪文が打ち消されたなら、あなたはこの呪文のマナ・コストを支払うのではなく(0)を支払ってもよい。
あなたのライブラリーの一番上から7枚のカードを見る。あなたは、その中からクリーチャー・カードを1枚戦場に出してもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。

スタンダードの範囲でさえ踏み倒し手段が存在した。しかも素打ちのためのマナ加速ギミックをタイタンと共有可能。巨人の進撃は止まらない。
何気なく打ち消すと0マナでタイタンが出てくるすごい時代。よほどクリーチャーを強くデザインしたかったのだろうという意気込みが伝わってくる。

こんな無法なカードだが弱点はしっかり存在する。
ひとつがいくら強いことが書いてあっても6マナと重いという点。
さらに土地のサーチのスペシャリストではあるが、裏を返せばそれだけ。除去耐性もなければスタッツだって今のクリーチャーと比べると並程度だ。
何より「着地さえすれば強い」という性質上、着地を許さない打ち消しに弱い。

ちなみに反論としては、
  • 適切にデッキを組めばいいだけ。《水蓮のコブラ》などでマナ加速も可能。第一その理屈なら《Time Walk》だって白ウィニーや赤単バーンに入れたら「唱えられないカード」なので弱い。
  • 特殊地形をサーチすることでいくらでも補強が可能。そもそも第二・第三のタイタンを出して土地の暴力で詰めることだってできる。
  • 《召喚の罠》
といった感じ。当時としては本当に圧倒的な性能だった。

緑の絡むデッキには大抵入る活躍ぶりで、参入当時から値段も《悪斬の天使》を上回った。
にしてもこのwikiのゼンディカー時代の記事はやたら悪斬ネタ出すね……

当時のスタンダードでは《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》のサーチに用いられた(タイタンヴァラクート)。
ヴァラクート自体はタップイン、しかも5枚以上の山をコントロールしている状態でさらに山を出すという厳しい条件を持っていたが、
これらの弱点を「タイタンの攻撃ならそもそもタップインしても気にならない上に複数枚一気に出せる」「攻撃しているだけで山が並ぶ上、タイタン自体もダメージ源になる」という点でがっちりと補強。
「ポテンシャルはあるが安定性がない」という評価だったスタンダードのヴァラクートデッキを、一気にTier1にまで押し上げた。

《エルドラージの寺院》《ウギンの目》のサーチにも用いられた(緑単エルドラージ)。
伝説のエルドラージは《召喚の罠》ギミックを共有できることもあり、タイタンを「素出しが可能な中継ぎ」として採用。
たとえタイタンが対処されても、その後に《真実の解体者、コジレック》《無限に廻るもの、ウラモグ》《コジレックの職工》などの真打が出てきて相手を倒すというもの。
巨人の中継ぎが強い。ナベツネエルドラージ説

どっしりと戦うタイプのデッキなら《怒り狂う山峡》《活発な野生林》という手もある。どちらもワールドウェイクで登場した緑絡みのミシュラランド。
タイタンだけにフィニッシャーを任せないという堅実な動きを可能にしてくれる。

そもそも《ぐらつく峰》をサーチするだけで強い。タイタンはパワーが6なので、3回攻撃しても6×3=18点、あと2点が足りない。
そんなときに《ぐらつく峰》は、相手の計算を強烈に狂わせることができた。

強烈な墓地対策《ボジューカの沼》も、タイタンなどでサーチすることを前提にすれば「タップインかつ黒マナしか生み出せない」という弱点を補強可能。
《セジーリのステップ》《カビーラの交差路》《流砂》など、当時の《聖遺の騎士》系コントロールで用いられたカードもかなり相性が良い。
なんなら「フェッチランドを出して次のターンに上陸を何度も行う」というかなり素朴な使い方でさえ十分強く、《猛り狂うベイロス》《エメリアの天使》などがすごい勢いでトークンを並べてくる。

エクテンやレガシーまで幅を広げれば《雲上の座》《微光地》《カラカス》《不毛の大地》《ヤヴィマヤのうろ穴》《コーの安息所》《すべてを護るもの、母聖樹》《ヴェズーヴァ》をはじめ、怪しいカードがどんどん出てくる始末
しかも緑のカードなので《緑の太陽の頂点》から出すこともでき、下環境でさえ《召喚の罠》とともにタイタンを支えた(ただし打ち消しが強い環境ということもあってカジュアル寄り)。
カジュアル色の強いレガシーの店舗だとだいたい1人くらいは怪しい土地を出して「なんだそのカード!?」と盛り上げたり、《雲上の座》を並べてエムラを素出しする小学生じみた暴挙を実用化したりしたものである。

他にも土地に頼ることになるデッキにおいてはたいてい採用され、「緑のファッティはネタ枠」という風潮を終わらせた名クリーチャーだった。

このカードの存在はスタンダードに非常に大きな圧を与え、特にプロ環境のサイドボーディングでは非常に重く見られた。
たとえば当時、赤のサイドボード候補として「一時的にクリーチャーを奪うカード」が使われた。

Mark of Mutiny / 反逆の印 (2)(赤)
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とし、ターン終了時までそれのコントロールを得る。それの上に+1/+1カウンターを1個置くとともに、それをアンタップする。そのクリーチャーはターン終了時まで速攻を得る。
収録:ゼンディカー

Traitorous Instinct / 裏切りの本能 (3)(赤)
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時までそれのコントロールを得る。そのクリーチャーをアンタップする。ターン終了時まで、それは+2/+0の修整を受けるとともに速攻を得る。
収録:エルドラージ覚醒

せっかくクリーチャーを奪うなら、強化してダメージを加速させたいところ。そしてこの手のカードの相場は3マナだ。ということは普通なら3マナの《反逆の印》が優先される。1マナ支払って1点しか変わらないのはちょっとねぇ、他のクリーチャーを奪う用事だってあるんだし。
しかし実際には4マナの《裏切りの本能》の方が結果を残している。これは《反逆の印》はコントロールが戻った後に+1/+1カウンターが乗ったままになり、《原始のタイタン》のタフネスが7になってしまうから。つまり《稲妻》などの3点ダメージ×2で落とせなくなってしまうからだったのだ。
タイタン・サイクルはそれほどにまで重く見られたのである。


基本セット2012でも続投。

相方のヴァラクートやエルドラージ土地などはローテーションにより消えたが、新たに《ケッシグの狼の地》というズッ友級で相性の良い相棒をゲット。
土地(しかもアンタップイン)だというのに起動型能力で「パワーをXマナ分上げる」という、マナを伸ばせば強くなる=緑タイタンと組み合わせるために存在するようなカードである。
ついでに、《墨蛾の生息地》と言う強力なミシュラランドがあり、能力の関係上ケッシグのXを2倍換算で使える上に飛行まで持っているというオマケつき。
どちらも無色マナしか生み出さないが、だったら採用枚数を押さえて4積みしたタイタンでサーチすればいい。なんならケッシグ自体は単体でもタイタンとの相性がいい。

この性質に目を付けたのが【赤緑ケッシグ・ランプ】。
世界選手権11優勝*1や、プロツアー「闇の隆盛」での優勝をもぎ取っている。
同デッキでは赤のタイタン《業火のタイタン》がデッキに入ることも多く、札束レアゲー神話レアがネタ枠ではなく強いカードだという印象を多くのプレイヤーに与えたのだった。

しかし活躍はここまで。
闇の隆盛で完全体になり、スタンダード単独フォーマット大会全6戦での決勝進出率117%、勝率83%*2という【Delver-Blade】がこの後のスタンダードシーンを駆け抜ける。
レアゲーが加速したことに加え、「青はクリーチャーの色」「青はなんでもできる色」「白は優遇されている色」という風潮の時代、そもそも2011年7月に久々に禁止カードが出てしまったこと、当時プロプレイヤーに不祥事が目立ったこと、
レガシーの全盛期に加えて新環境「モダン」の設立も手伝ってスタン落ちを嫌うプレイヤーがそれらの環境になだれ込んだこともあり、スタンダード環境は「ラヴニカへの回帰」の頃まであまり盛り上がらなかった。

その後、基本セット2013ではついに再録されず、緑を支えてきた彼もスタンダードの表舞台からは立ち去ることになったのだった。


ヴァラクート「まずうちさぁ。《虹色の前兆》、あんだけどぉ……焼いてかない?」
タイタン「あー、いいっすねー」


モダンではかつてのスタンダードの【緑単エルドラージ】を改良したデッキで、やはりつなぎとして用いられる。
さらに禁止解除後に成立した【ヴァラクート】系デッキで、旧エクテンの【オーメンヴァラクート】【スケープシフト】とハイブリッドする形でも用いられた。
《ニクスの祭殿、ニクソス》を中心に据えた【緑単信心】という疑似コンボデッキにも4積みされた。
《楽園の拡散》が貼られた森を《東屋のエルフ》や《野生語りのガラク》でアンタップしたりして、3ターン目に《原始のタイタン》が着地し、効果で《ニクスの祭殿、ニクソス》を持ってきたなら、次のターンには《ニクスの祭殿、ニクソス》から10越えのマナを捻出し、《起源の波》X=15とかやったりする。

様々なデッキにおいてとりあえず感覚で使えるため、まだモダンの研究が進んでいなかった頃はそれこそ様々な土地と組み合わせて使うことを前提に用いられたものである。
ただし基本的にはカジュアル寄りの環境で強いといった評価で、当時のモダンでは《雲上の座》も禁止され、ウルザトロンをそろえるのに使うのは本末転倒だったため、往時ほどの活躍は見せなかった。

また、レガシーでも地雷気味のデッキだが【Nic fit】というランプ系デッキに採用されて結果を残している。


しかし2013年9月、スタンでのタイタンの天下が終わって2年ほど経ったある日のこと。

Amulet of Vigor / 精力の護符 (1)
アーティファクト
あなたのコントロール下で、パーマネントが1つタップ状態で戦場に出るたび、それをアンタップする

Boros Garrison / ボロスの駐屯地
土地
ボロスの駐屯地はタップ状態で戦場に出る。
ボロスの駐屯地が戦場に出たとき、あなたがコントロールする土地を1つ、オーナーの手札に戻す。
(T):(赤)(白)を加える。

Slayers' Stronghold / 処刑者の要塞
土地
(T):(◇)を加える。
(赤)(白),(T):クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+0の修整を受けるとともに警戒と速攻を得る。

みんなが忘れていそうなカードを連れてきたよ
「そんなカードあったね!?」

「タップインでデメリットもあるけど、とりあえず2マナを生み出せる旧ラヴニカのバウンスランド」
「それを強制的に立たせて、デメリットを受ける前にマナを出せるようにするアミュレット」
「出したマナを使ってタイタンに速攻を付与してさらに土地をサーチする《処刑者の要塞》」

地雷デッキ「アミュレットタイタン」が登場して大きな話題となる*3
MTGは土地のプレイを妨害することが非常に難しく、この土地に軸を置いて戦うことには大きな優位性がある。
さらにこの戦術がブラッシュアップされていくことにより、タイタンを軸に当時のスタンダードでさえほとんど使われなかったカードや、使われたけれどもう忘却の彼方だったカードを満載にしたという禍々しいデッキリストが毎日のようにデイリー・デッキ欄に掲載されるようになる。

最終的に《精力の護符》が出ている状態で《花盛りの夏》(土地のプレイを3回追加できるカード)を使い、緑マナを出せるバウンスランドをプレイ→アンタップ→緑+1マナを出す→ETBでバウンスランド自身を戻す、ということを3回繰り返すことで、
6マナを生み出して2ターン目にタイタンを着地させ、そこから《処刑者の要塞》セットにつないでいくという壮絶な速度を持つデッキに昇華された。弱点はどこ……ここ……?
最終的に《花盛りの夏》が禁止されたことで大きな弱体化を余儀なくされたが、他のコンボパーツもどんどん充実してきており、現在のモダンでも活躍を続けている。単なるグッドスタッフになっちゃったけど……

とにかくわずかでも早く出すため、本当に様々な土地が採用される。下環境に於いて面白い土地が出てきたらだいたいタイタンでおもちゃにされてしまう。
《ギャレンブリク城》って土地は《原始のタイタン》のためにある

さらにタイタンが使えないパイオニアでも、《精力の護符》互換となるカード《異邦の詩人》の登場後に研究が進み、【スケープシフト(ルムラ)】として大成する。
アミュレットコンボが残したノウハウが参照されていることは言うまでもなし。MTGというゲームの研究を加速させた立役者でさえあったのだ。


余談

時のらせんリマスターでの旧枠版が存在する他、ケルト神話をモチーフにした「カルドハイム」版も存在する。
さらにFFコラボでは、FF15の「巨神タイタン」版として印刷されている。

統率者戦では禁止を食らっている。
使用率が非常に高く、さらにハイランダーという形式上サーチは非常に強いため。
土地を並べるだけの素朴な使い方でも強いのに、ケッシグ+墨蛾やアーボーグ+貴重品室のような必殺コンボ、《Glacial Chasm》のような凶悪な土地をサーチできるのは無法であり、
「緑といえばタイタン」といわんばかりに使用率が高かったことで禁止カードに指定された。

ちなみにウィザーズ・オブ・ザ・コーストの射場本氏によれば、元ネタはデュエル・マスターズの《大勇者「ふたつ牙」》とのこと。
開発当時タイタンサイクルの中で緑担当のこのカードの能力に悩んでいた所射場本氏がデュエマには「ふたつ牙」というカードがある(から参考にしてみてはどうか)とアドバイスした事で「ふたつ牙」を参考に土地を引っ張ってくる効果になったとか。
ルールやゲーム性の違いとはいえあっちは好きなカードをマナに置けるわけでもないしアタックトリガーでのブーストもなかったんですけどね。
その後登場したの《スーパー大番長「四つ牙」》はこのカードを参考にしたのかアタックトリガーでのマナブーストも付随している。


タイタン・サイクル

タイタンは基本セット2011の神話レアとして各色に存在し、原始ほどではないがすべて環境内で活躍した。原始がおかしいだけだよ
後者の「出た時と攻撃する時に誘発」と言う条件はタイタンの大きな特徴であり、「出て即除去されても一定の仕事はする」し、「攻撃できればさらに仕事する」側面から腐りづらいのが特徴。

太陽のタイタン / Sun Titan (4)(白)(白)
クリーチャー:巨人(Giant)
警戒
太陽のタイタンが戦場に出るか攻撃するたび、あなたの墓地にあるマナ総量が3以下であるパーマネント・カード1枚を対象とする。あなたはそれを戦場に戻してもよい。
6/6

白のタイタンはリアニメイト。土地をリアニメイトできる点が盲点になりやすい。
スタンダードでは青白コントロールなどに使われたものの、同時期の白には悪斬の天使がいたのであまりパッとしなかった……なんてことはなく、ほとんどお好みといった感じだった。
「リアニメイト能力を持っていても、遊戯王ほど頻繁に墓地を使うゲームというわけではないのだから持っていても宝の持ち腐れだ」と判断して採用を見送る人もいたし、「フェッチランドを釣るだけで十分強い」と判断して採用する人もいた。
スタンダードや初期モダンに存在していた「エメリアコントロール」という白単コンでは、フェッチを絡めたマナ加速役も兼ねてよく採用されていたのだが、スタンダードでの活躍はさほどのものではなかった。やっぱ悪斬つえーんだわ……。

環境が広くなるほど「3コスト以下のパーマネント」は強力になるため、かつてはモダンやレガシーでも採用され、現代でも統率者戦で使われることがあるいぶし銀なカード。
特にモダンでは《サヒーリ・ライ》の-2能力とのコンボが提唱される。レジェンド・ルール(当時はプレインズウォーカーの唯一性ルール)を用いた対消滅でサヒーリを「更新」し、タイタンの頭数を並べて殴る。殴った際にもいろいろリアニメイトができる。
ヴィンテージでは《ドルイドの誓い》で《太陽のタイタン》を出し、その処理の過程で墓地に落とした《サヒーリ・ライ》を釣り上げる【サヒーリオース】のキーカードになった。
また、【ドレッジ】でも《戦慄の復活》によるリアニメイトを前提に使われることがある。《Bazaar of Baghdad》をリアニメイトすることができるため。
《動く死体》とも相性がよく、タイタン自身の釣り竿にできるし、タイタンが戦場に戻すことで実質4マナ以上のクリーチャーをリアニメイトすることもできる。
昔の遊戯王でよく見かけたような素朴なコンボだが、MTGでは亜種含めてこの手のオーラが3枚しか存在しないこともあって完全な盲点。
他にも《幻影の像》《あまたの舞い》など、相性のいい怪しいカードは結構ある。

なんとプレリリースイベントの参加証としてもらうことができた。これだけ強かったのに。ちなみに「エルドラージ覚醒」だと《引き裂かれし永劫、エムラクール》がもらえた。
分かりやすいデザインと多様性あふれる環境で参加証がこれというのは、当時のウィザーズが新規プレイヤーの引き込みにかなり注力していたことがうかがえる。
「テーロス」風、そこはかとなく絵本風、絵師Jesper Ejsing氏によるものなど妙にイラスト違いのカードが多い。
FFとのコラボセットではFF6をモチーフにした「トランス・リアニメイト」で収録。イラストはカイエンの夢で出てくるボス「アレクソウル」。

イラストとFTがよく話題になる1枚。
沈まない燃え盛る太陽。
MTGによくあるテキストなのだが、その後「モダンマスターズ2017」版《終止》では破壊されている。この《終止》のテキストが、
沈まない太陽などない。
ここまでなら有名な話。さらに「Premium Deck Series: Graveborn」版の《動く死体》では墓地から蘇っている始末。なるほど、太陽は昇るってそういう……。


霜のタイタン / Frost Titan (4)(青)(青)
クリーチャー:巨人(Giant)
霜のタイタンが対戦相手1人がコントロールする呪文や能力の対象になるたび、それのコントローラーが(2)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
霜のタイタンが戦場に出るか攻撃するたび、パーマネント1つを対象とし、それをタップする。それはそれのコントローラーの次のアンタップ・ステップの間にアンタップしない。
6/6

青のタイタンは凍結。だが、疑似除去に過ぎないこと、スタンダードには他に有力なフィニッシャーが居たこと、そもそも青のファッティを使うくらいなら多色にして他の色のファッティを出したほうが強いことなどもあり、あまり使われなかった。
という評価になりがちだが、このカードはたいへん環境に愛され、非常に頻繁に見かけたカードである。あまり使われなかったというのは、おそらく後世で数字やwikiしか見てないパターンだ。

タイタントリガーは「クリーチャーのタップ」。つまり攻撃をトリガーにする能力を強烈に封じ込めることができる。ところで攻撃をトリガーにする能力についてやたら詳しく述べているページが当wikiにもあるだろう。そう、タイタンだ。
つまりこのカード、対タイタン性能が非常に高い。そしてタイタンサイクルは本当に頻繁に目にしたカードであり、当時は青の全盛期。
さらに他のタイタンに加え、ファッティに対策するために頻繁に使われた単体除去に対しても「追加で2マナを支払わせる」という性質から除去耐性があり、タフネス6で《四肢切断》にも強い。
相手がタイタンを使ってこなくても、当時は2色地形がさほど強いわけではない時代。マナスクリューや色事故を起こしているような相手の土地を攻めるだけで相手は事故を引きずったり、ミシュラランドによる防御を許さなかったりと、独自の利点が目立つカードだった。
つまりメタゲームにおいてタイタンを重く見た場合、タイタン合戦を制するためにごく普通に入ったカードである。《聖別されたスフィンクス》《ワームとぐろエンジン》《ドラグスコルの肉裂き》などの後塵を拝していたのは確かだが、愛好家もまた多いカードだったのだ。
一人だけ味噌っかすなんてとんでもない話である。

【ドラコ爆発】の作者、八朔人平氏が作った地雷デッキ【集団変身】ではフィニッシャーとして用いられた。
《変身》系のカードは爆発力を上げるため、《引き裂かれし永劫、エムラクール》などの「上振れ全振り」カードが選ばれやすい。
しかし《霜のタイタン》は「非伝説」「青かつ《集団変身》と同マナ域なので素出しが可能」「ETBによる即時性がある」という強みを持ち、この強みにより下振れの危険性が大きく低まった。
結果としてこのデッキの入賞に一役買ったという影の立役者である。

ただあくまでスタンダード環境内での話。
単体で使用に耐えないことや、そもそも青のくせに緑と同性能かつ独自の強みを持つクリーチャーって無法すぎるよねということもあり、再録回数はこのサイクルにおいて目に見えて少ない。
やはりカルドハイム版が存在する。

墓所のタイタン / Grave Titan (4)(黒)(黒)
クリーチャー:巨人(Giant)
接死
墓所のタイタンが戦場に出るか攻撃するたび、黒の2/2のゾンビ(Zombie)・クリーチャー・トークンを2体生成する。
6/6
黒のタイタンはゾンビ・トークンを2体引き連れてくる。
事実上6/10/10という極めて高いマナレシオを持つ優秀なクリーチャーであり、対処されなければ2ターンでゲームが終わる。

スタンダードの黒系コントロール定番のフィニッシャーであり、着地さえすればたとえ単体除去を受けたとしても4点分の打点が残る。
その単体除去の質も問題で、《破滅の刃》《四肢切断》などを受け付けないので案外除去耐性がある。なお白相手
さらに接死のおかげで破壊不能以外の除去耐性にも強く、クリーチャー戦でこいつの相手をまともにさせられるようになったらもう敗北への秒読みが始まっている。
この接死は「黒タイタンが強くなりすぎちゃったので、キーワード能力はあんまり生きないようなものにしよう」という配慮によってつけられたのだが、インクの染みというにはあんまりにも強すぎる。
とにかくクリーチャー以外の手段を使わなければ碌な対処ができない、当時の黒を支えた凶悪なフィニッシャー。なおラスゴ
単体除去への強さもあって下環境のリアニメイトデッキでも定番だった時期もある。《暗黒の儀式》などを交えれば素出しが見えてくるのがポイントで、「釣りもできる、素出しもできる、ビキビキビキニ1、2、3……」って感じのカード。
「出すだけで頭数が増える」という性質の悪用も可能で、《食物連鎖》などとの相性もそこそこであり、ガチ対戦からカジュアル、スタンダードからレガシー、意識高い黒コン使いからカジュアル全振りの人にまで好まれた名クリーチャーである。

ただしスタンダードの黒系コントロールにおいての使い勝手はそこそこ人を選ぶものだった。
当時はゴブナイトや白ウィニーのように、マイケル・ジャクソンのゼログラビティーもかくやというほどの前のめりデッキが流行していた。
《墓所のタイタン》は出れば強いが6マナと重く、「早めに着地できるフィニッシャーに頼りたい」という需要を満たせなかった。
そのため使い勝手に非常に癖のある《深淵の迫害者》《ファイレクシアの十字軍》を採用するプレイヤーも多かったが、これらには無視できないデメリットがある。
すべてのカードが一長一短だったことで、プレイヤーのセンスや好みが問われる。よく言えば「多様性の環境」「美学の反映されやすい環境」だったし、別に悪く言う必要もない、そんな時代だった。

統率者戦でも強さは健在。本当にいろんな使い方ができる。あらゆるレベル帯・ブラケットで活躍した名カード。
設定的に巨人が存在する「カルドハイム」や、ゾンビのさまよう「アモンケット」版のイラストも存在する他、
Falloutとのコラボ商品では「ウエストテック社の暴君」という名前で収録されている。
最近はクリーチャーの質のインフレが著しすぎるが、それでもまだまだ戦える……はず。スタンダードでの再録もそのうちあるかもしれない。

ちなみにもっともよく知られている「腹にゾンビをたくわえて剣を構えた巨人」のイラストを描いたのはNils Hamm氏。
この人が「日本選手権11」の折に来日して会場でサイン会を開いた際は、当時圧倒的なフィニッシャーだった《墓所のタイタン》へのサインを頼む人が多かった……のだが、
なぜかそれを上回りかねないほどの頻度で《アメーバの変わり身》というネタクリーチャーへのサインを頼まれて困惑したという話が残っている。
ここまで述べたように圧倒的性能だった黒のフィニッシャーに、構築実績が一切ない謎クリーチャーが並ぶ。当時のアメボ人気がうかがえるエピソードだ。


業火のタイタン / Inferno Titan (4)(赤)(赤)
クリーチャー:巨人(Giant)
(赤):ターン終了時まで、業火のタイタンは+1/+0の修整を受ける。
業火のタイタンが戦場に出るか攻撃するたび、クリーチャーかプレインズウォーカーかプレイヤーの組み合わせを1つまたは2つまたは3つ対象とする。業火のタイタンはそれらに、3点のダメージを望むように割り振って与える。
6/6

赤のタイタンは火力。炎がひげのようになっている、いかにも「悪い巨人」感のあるカード。キーワード能力の代わりに火吹き能力を持つ。ケッシグと被ってない?
3点の割り振りが可能なのでタフネス2以下のクリーチャーにはアドまで稼げるかもしれない始末。起動型の火吹き能力もあり、プレイヤーを狙うこともできるのでダメージはとんでもない勢いで加速していく。
生半可なブロッカーを許さないため、「ライフと盤面への圧力」は相当なものがある。ここまでくればプレインズウォーカーだって怖くない。攻撃を素通しするだけで6+3+赤マナの数だけ狙える。
当時赤使いが憎んで憎んで憎んでも憎み足りなかった《コーの火歩き》に対しても、ブロックこそされるが3点ダメージを別の場所に飛ばせるのでそれなりに耐性がある。なお《四肢切断》登場後
このようにハマれば恐ろしい速度を出せるというのに、下環境では《煮えたぎる歌》なんてカードまであった始末で素早く盤面に定着できる可能性があった。

スタンダードでは先述の【ケッシグランプ】のようなデッキに加え、【ヴァラクート】などでもたびたび採用された。《原始のタイタン》が「中継ぎもできるフィニッシャー」なら、こいつはさながら「ホームランバッター」。
しかし当時の赤のデッキは、冗談抜きで「3マナでさえ重く感じる」ほどの超軽量速攻(ついでに貧乏デッキ)が主流であり、6マナ(の神話レア)というのは赤単ではとても使える性能ではなかったので当時の赤使いからの評価は「とても強い緑のカード」という結構シビアなものだった。入るデッキを選ぶというか、昔横浜にいた中村紀洋みたいなやつである。
また、タイタン全般に言えることだが特にこいつは《ファイレクシアの抹消者》にたいへん弱い。というより、他のタイタンに比べるとボード・アドバンテージを稼ぎにくい上に青タイタンのような除去耐性もないため、単体除去に非常に弱い。

独自の強みが多かったことから、下環境の「スニークアタック」や「オース」のような踏み倒しデッキで使われた他、
当時発展途上だった【赤単ストンピィ】のフィニッシャーや、ストーム系デッキにおけるプランB~Cなどとして用いる人もいた。
《炎の儀式》《煮えたぎる歌》からさっさと出して2回殴れば、12~18点のダメージに加えてブロッカーの用意も許さないという理屈。

例によってカルドハイム版が存在する他、指輪物語の統率者デッキ版でしれっと新規イラストで再録されている。


さらなる余談

「タイタン(ティターン、Titan)」とはギリシャ神話に出てくる巨人のことであり、本来は固有名詞。このカードのクリーチャー・タイプは「巨人(Giant)」である。
「アヴァシンの帰還」で《魂の洞窟》が登場したとき、打ち消しに弱いタイタンを守るカードとして採用されたが、巨人よりもタイタンという固有名詞を参照することの方がよほど多かった*4プロプレイヤーたちはうっかり指定を間違えてしまう。

「《魂の洞窟》をセット。指定タイタン」
「どうぞ」
「じゃあ洞窟から緑マナを出して、《原始のタイタン》出します。何かありますか?」
「対応して《マナ漏出》。打ち消されますが何かありますか?」
「いいえ。洞窟から出たマナの効果で打ち消されません」
「その通りですね。ところであなたが宣言したのはタイタンであって巨人ではありませんよね?

ジャッジー!

このミス(?)がプロシーンで頻繁に起きたことで、当時の公式記事で「お互いに分かってるんだったらそこまで厳密に指定することを強要はしない。ルールにはちょっと違反するが常識の範囲で分かるよね?」というジャッジ方針が掲載された。
1998年だったらタイタンと宣言した時点でゲームロスだっただろうに、ずいぶんとゲームもおおらかになったものだな……


後にこの「着地したときと攻撃したとき」に誘発する能力には『タイタントリガー』という俗称がついた。
「テーロス還魂記」ではギリシャ神話のタイタンをモチーフにした《死の飢えのタイタン、クロクサ》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》などがこの能力を持つことになり、
さらにこのサイクルの3枚目となる《火の怒りのタイタン、フレージ》も登場。

クロクサはぶっ壊れて強かった。
ウーロは環境自体ををぶっ壊してスタンダードから人間を「脱出(Escape)」させた。
ちなみに設定的にはまだあと1体、テーロスの太古のタイタンが存在している。これまで3枚すべてが大暴れしているが、さてさてどうなるか。


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最終更新:2026年04月19日 16:07

*1 この年はスタンダード+モダン+「イニストラード」ブースタードラフト。

*2 GPリール12で2位が一度、他は全て優勝、1度決勝がミラーマッチになっている。

*3 キーパーツとなるアミュレット、タイタン、バウンスランドは基本セット2011の頃(2010年)に揃っていたが、実用化したのは《処刑者の要塞》の登場からさらに1年の時を待つことになる。また、地雷デッキと華々しく謳われているが、実際にはスタンダードで大暴れしたカードがキーパーツなので「地雷というには華がない」という意見も多かった。

*4 ローウィン時代に「巨人」デッキが入賞したことが大きな話題になったが、実際のリストを見ると「戦士要素の強い多相デッキ」という趣である。