セブン(映画)

登録日:2012/09/29 Sat 03:19:47
更新日:2025/04/13 Sun 08:25:47
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地獄の闇から
に至る道は長く険しい
long is the way and hard
That out of hell leads up to light.

━━ミルトン『失楽園』





SE7EN(セブン)

『セブン(SEVEN)』は95年に制作された米映画。
キリスト教の「七つの大罪」をテーマに据えたサスペンスミステリーで、同系統の作品としては91年の『羊たちの沈黙』に続いて、世界中に大きなショックを与えると共に賞賛を受けて映画史に残る大傑作となった。

練り込まれたストーリーと共に、雨の降り止まぬモノトーンの街並や、敢えて俯瞰とメタファーを多用した行き詰まる閉塞感と臨場感を与える画面構成、ノイズを多用した緊張感を煽り立てるサウンド……と単なる映像面でも大いに注目を集め、特にカイル・クーパーが担当したオープニング・クレジットは公開当時から話題となり、現在でも国内外問わずに模倣した作例は尽きない。


【概要】


監督は『エイリアン3』でハリウッドデビューするも酷評を受け、失意の時を過ごしていたデヴィッド・フィンチャー。
フィンチャーは前作の失敗からそのまま世間から消えようとも思っていたとの事だが、脚本の余りの素晴らしさに監督となる事を承諾。
今作では自身の持ち味を存分に発揮した上で多くの賞賛を獲得し、見事にハリウッドを代表する映像作家の一人となった。
フィンチャーの好むモノトーンの画に加え、銀残しという現像の手法を使用したコントラストの強い画質が特徴で、本作ではグリーンの配色に拘っている。

主演のブラッド・ピットとモーガン・フリーマンの演技も注目を集め、特に国外への知名度を高める結果となった。

その他の出演者ではグウィネス・パルトローとケヴィン・スペイシーは、共に本作への出演を契機にブレイクを果たし、以降のキャリアを築いていくきっかけとなっている。

タイトルの『セブン(SE7EN)』とは、物語の主軸に据えられた「七つの大罪」と事件が一週間で終わる事のダブルミーニングであろうと思われる。

舞台となる大都会は、実は映画としては珍しく明確に何処の街であるという情報が提示されておらず、架空の名前すらも指定されていないものの撮影はロサンゼルスで行われている。

フィンチャーは密閉され、込み合い、圧迫された都会の雰囲気を画面に再現する事を目的としていたとの事で、中盤でのミルズと犯人の追跡劇は、さながら迷宮を舞台としているかの様に錯覚させられる。

フィンチャー自身は本作を「ホラー映画」と評しており、確かに本作の余りにショッキングな内容は「最も恐ろしい映画」として挙げられる場合も少なくないが、直接的な残酷描写は基本的に避けられており、多くは隠喩と前後の場面から観客に想像を喚起させると云う手法が取られている。

……特に、ラストの展開については映画史上に残る最も衝撃的なラストとして紹介される場合も少なくない。

繰り返すが『羊たちの沈黙』と共に、ジャンル問わず90年代後半からのサイコホラーブームを呼び込んだ大金字塔である。



【物語】


……雨の降り止まぬ街。
残り一週間での退職を間近に控えた老刑事ウィリアム・サマセットは、自分の後任として地方から赴任して来た若い刑事デイヴィッド・ミルズと共に、奇妙な死体の検分に直面していた。

大量のパスタの山に顔を突っ伏したまま死んでいる肥満体の男……。
自らを誇示する事に暇が無いミルズに辟易しつつも捜査を進めていたサマセットは、現場に残された奇妙な遺留品と死体の状況から、現場に別の人物が居た事と、死体が過度の食べ過ぎをさせられた事による他殺である事を見抜くのだった。
……途方も無い闇を察知し身を引こうとしたサマセットだが、続いて起きた事件で、裁判を利用し巨万の富を築いていた悪徳弁護士の奇妙な殺害現場に残されていた「GREED(強欲)」のメッセージからインスピレーションを得て、前回の肥満体の男の部屋から「GLUTTONY(大食)」のメッセージとミルトンの「失楽園」の詩編の一節を発見。
……事件が、中世の「七つの大罪」に準えた見立て殺人である事を見抜くのだった。

そして、弁護士の部屋に残されていた指紋(というか指による手形?)で記された「HELP ME(助けて)」のメッセージからヴィクターと云う男が捜査線上に挙がるのだが……。




※以下はネタバレ含む。



【登場人物】

※吹替はソフト版。

■デイヴィッド・ミルズ
演:ブラッド・ピット/吹替:松本保典

地方から立身出世を目指してやって来た若い刑事で、血気盛んで直情傾向にある。
自分を誇示する為に敢えて困難に立ち向かい、挑発的な態度を取る事が多い。
当初は険悪だったが、サマセットとの出会いにより落ち着きを見せるようにもなっていたのだが……。


■ウィリアム・サマセット
演:モーガン・フリーマン/吹替:坂口芳貞

長らく殺人事件を見つめて来た老刑事で、残り一週間で定年退職を迎える身。
連続した奇妙な殺人事件に犯人からの強いメッセージを感じ取り、身を引こうとするが、逸るミルズを諫めるつもりが、自らも事件の渦中にのめり込んで行く事になる。


■トレイシー・ミルズ
演:グウィネス・パルトロー/吹替:金沢映子

デイヴィッドの妻。以前は小学校の教師をしていた。
……実は今住んでいる街が嫌い。


■警部
演:R・リー・アーメイ/吹替:大塚周夫

サマセットとミルズの上司で殺人課の責任者。名前が無いがそもそも設定されていない。
「変わり者」のサマセットの実力を高く評価しており「君には刑事を辞められない筈だ」と言葉を掛けた。
何と、演じているのはハートマン軍曹の人。






■ジョン・ドゥ
演:ケヴィン・スペイシー/吹替:野沢那智
犯人。
カメラマン。
ジョン・ドゥ(John_Do)とは、身元不明死体に付けられる、仮の名前……である。



【余談】


※脚本のアンドリュー・ケビン・ウォーカーは、ニューヨークにいた時期に当地への嫌悪感を糧にシナリオを書いた。

※DVDソフト版では監督やスタッフ、サマセット役のフリーマンらによる4種ものコメンタリーが収録されているのに合わせ、字幕スーパーも十数種に及んでいる。
……更にBlu-ray版では、ソフト版での吹替に加え、地上波放送された全3バージョンの吹替が全て収録されている。

※同じく猟奇サスペンス映画の傑作である『羊たちの沈黙』の主演ジョディ・フォスターは本作を視聴してデヴィッド・フィンチャー監督のファンとなり、カンヌ映画祭審査員のオファーを蹴って『パニック・ルーム』への出演を決めた。

※物語の終盤でミルズは劇中での犯人の追跡に失敗して腕を吊っているが、実は演じたブラッド・ピットが自らスタントに挑み、腕を骨折した事による「マジ吊り」である。

ケヴィン・スペイシーは映画公開の前に自らの名前は出さない様に依頼していたが、宣伝の際に映画会社のクリエイターにうっかり名前を書かかれてしまい激怒したらしい。

※普通、映画のエンドクレジットは下から上に流れるが、今作は真逆の上から下に向かって流れる。まるでみんな落ちていくように……。






サマセット「冥殿は言った……アニヲタWikiは素晴らしい、だから追記・修正する価値があると……後者には賛成だ……」













GLUTTONY(大食)
肥満体の男(※食い過ぎによる窒息)



GREED(強欲)
悪徳弁護士(※自ら腹の肉を落とす)



SLOTH(怠惰)
麻薬中毒者(※一年に渡る衰弱)



LUST(肉欲)
娼婦(※鋭利な刃物を股間に付けた相手との性行)



PRIDE(高慢)
モデル(※美貌を奪われ放置)



ENVY(嫉妬)
ジョン・ドゥ(※トレイシーの殺害)



WRATH(憤怒)
デイヴィッド・ミルズ(※ジョン・ドゥの殺害)






……かくて、大罪は完成せり。

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最終更新:2025年04月13日 08:25