登録日:2010/03/10 Wed 08:05:45
更新日:2025/03/17 Mon 12:16:36
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「私がアニヲタ訓練教官のハートマン先任軍曹である!
話しかけられた時以外は口を開くな!
口からクソを垂れる前と後に“サー”を付けろ!
分かったか! キモヲタども!」
/ノ0ヽ
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ヽ(# ゚Д゚)ノ
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■概要
アメリカ海兵隊訓練所でSDI(Senior Drill Instructor)を務める。
海兵隊に志願した新兵を人格否定もかくやと口汚くこき下ろし、肉体的にも精神的にも徹底的に痛めつけて、わずか8週間で一人前の戦争マシーンに育て上げる名教官として知られる。
だが訓練場における彼の独壇場は、あるひとりの新兵の手によってあっけない幕切れを迎えてしまう……
その強烈すぎるキャラクター性と後述する卓越したワードセンスから、映画の前半で退場するキャラクターにも拘らず「フルメタル・ジャケットの顔」ともいうべき知名度を誇る。
原作小説『ショートタイマーズ』では“ガーハイム砲兵軍曹”と名前が異なっており、また映画ほど訓練場における克明な描写はされていない。
■演者について
このようなインパクト抜群のキャラクターが爆誕したのは、演者であるロナルド・リー・アーメイ氏の力量によるところが大きい。
実はこのアーメイ氏、初めは単なるスタッフの一人として映画に参加したが、現場指導の発言による「素晴らしい言語感覚」から監督のスタンリー・キューブリックが大変に気に入ったそうで、急遽役者として抜擢。
実際に軍隊時代に新兵を煽る目的で用いられていたものを応用した、圧倒的に豊富な語彙と激烈な性格から繰り出される猛烈な罵詈雑言の数々、迫真の演技にずいぶん心打たれたようで、
「日本語版を制作するときにはハートマン軍曹の罵詈雑言をきちんと訳すこと」
───という条件まで付けたそうである。その為、
戸田奈津子の字幕が“汚さがない”として却下され、製作当時にアメリカに在住していた原田眞人に翻訳を任される事となった。
本当に海兵隊に軍曹として所属していたこともあり、ベトナム帰りの古参兵でもある。
また、映画公開後、米海兵隊に貢献したということで退役したのにもかかわらず昇進。
それによってハートマンと同じ一等軍曹となり、名実ともにあだ名であったガニー(Gunny:一等軍曹の略語)となった。
米海兵隊の歴史上、初の退役後名誉昇進という前代未聞の評価である。
……尚、世間的には「リアリティがある」とも言われ、高く評価されたハートマン軍曹のキャラクターだが、
R・リー・アーメイ本人はダメな教官のつもりで演じていたので、それを「リアリティがある」等と言われた上に賞賛されたことには逆に驚いたのだとか。
もちろん、アーメイ本人も実際に訓練教官をしていた時にはハートマンのような真似はしていない。
当人曰く「新兵を萎縮させるだけで上手く育てられない。若い芽を摘む悪い教官の例」とのことで、そういう教官は“確かに居た”が、内部の人間にとっては
問題のある人物━━と言われるような人間を参考にしたという処か。
一応は、前述の通りで性的なスラングや新兵を怖がらせたり煽るような文化はあるようだが、流石に行き過ぎているということだろう。
そして事実、作中でも「微笑みデブ」ことレナードを精神的に追い詰め過ぎた結果、限界を迎えた
彼に射殺されるという末路を迎えているのだから。
……が、映画の公開後は実際の海兵隊でも本作が参考にされるようになり、現実にもハートマンもどきが大量に報告されるようになってしまったとか何とか。(くり返すが悪い例だぞ。)
■主な名言
「口からクソを垂れる前と後に“サー”を付けろ!分かったかウジムシども!」
「貴様らは人間ではない、両生動物のクソをかき集めた値打ちしかない!」
「じっくりかわいがってやる! 泣いたり笑ったり出来なくしてやる! さっさと立て!」
「人殺しの顔をしろ!」
「ふざけるな! パパの精液がシーツのシミになり、ママの割れ目に残ったカスがお前だ! どこの穴で育った?」
「じじいのファックの方がまだ気合いが入ってる!」
「思考回路がショートしたかボケ!パパとママの愛情が足りなかったのか、貴様?」
「チャールズ・ホイットマンを知ってるか?…どのアホも知らんだと?」
「気に入った、家に来て妹をファックしていいぞ」
「まるで、そびえ立つクソの山だ」
「ベトナムに行く前に戦争が終わっちまうぞ、アホ!!」
「マスかきやめ!パンツ上げ!!」
「うちの食堂では黒んぼ定食は出さんからな!」
「人種差別は許さん!黒豚、ユダ豚、イタ豚を、俺は見下さん!すべて平等に価値がない!」
「中国で生産されたような顔だな!」
「汚れスキンのブタ顔が!」
「ふざけるな!大声出せ!!玉落としたか!?」
これら軍曹言葉の部分は元の台詞以外にアーメイ氏の提案やアドリブもあるとか。
完璧主義者で一語一句の変更も許さないことがほとんどのキューブリック監督にしては異例中の異例と言える。最早全部名言の名言製造機。
劇中で唄われる行進曲はあまりにも有名である。
「ママエンパパワーライニンベーッド♪」
わからない方は、
「ファミコンウォーズ」で
Googleを検索してみると良い。(より正確には“ミリタリーケイデンス”と呼ばれる軍隊唱和。)
「ファミコンウォーズが出ーるぞ♪」
そう、あのCMの元ネタなのである。
しかし、歌詞は放送禁止用語に満ちているので注意が必要である。
ちなみに、本来ハートマンを演じる筈だったティム・コルセリ氏は、ヘリコプターのガンナー役を演じている。
ハートマン役を熱望したもののあえなく外されてしまい、その悔しさからこの作品で軍曹の次くらいに有名なセリフである
「いいぞ、ベイベー! 今逃げた奴はベトコンだ! 逃げなかった奴はよく訓練されたベトコンだ!」
(「よく女子供が殺せるな」と言われて)「簡単さ! 動きがのろいからな! フウーハハハ… ホント戦争は地獄だぜ!」
を言って熱演していた。出番にして一分ちょっと。
/ノ0ヽ
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また
トイ・ストーリーシリーズでも3作通してグリーンアーミーメンのリーダー格の軍曹を演じている。
この他、有名処で珍しい演技を見せているのが『
セブン』の刑事部長で、
とてもハートマン軍曹には見えない位の威厳と落ち着きのある演技を見せている。
■日本語吹き替えについて
『フルメタル・ジャケット』の日本語吹き替え版は、絶対に作られない。
何故ならば、ハートマン軍曹の発言のほとんどが「放送禁止用語」だからである。
また、ドイツ・フランス・イタリア語等には訳されているので、それを聞くのも面白いだろう。
ちょっと違うが、唯一日本語吹き替えされたと言えるのは『
フルメタル・パニック? ふもっふ』第7話「やりすぎのウォークライ」にて上記の物がある意味、日本語吹き替えされている。
但し、これもまた8割以上が
規制音になっている。
……と誤解されがちだが、実は吹替版は製作されている。
演出は字幕翻訳と同じ原田眞人。
吹替を担当したのは俳優の斎藤晴彦。
氏は当時「劇団黒テント」に所属する舞台俳優だったが、1986年にKDD(現:KDDI)のCMで披露した「カルメンの早口オペラ」で一躍大ブレイクし、歌手デビューやテレビ番組の司会を務める時の人となっていた。
原田もCMを見て「長セリフに対応できる」とのことから起用したそうだが、当の斎藤はアフレコ時に「喉を潰す気か」と不満げだったという。
この吹替え版は1991年に「水曜ロードショー」(TBSテレビ)で放送予定があったにもかかわらず差し替えられてしまった(放映された予告では原田版とはキャストが違っていたという情報も)。
この戦争が終わってじじいになる前に、日の目を見ることを願うばかり。
……そして2017年11月8日に日本語吹き替え版の発売が決定。
銃で戦い、夜はこっちで楽しもう。
なお、残念なことに演者の斎藤は発売3年前の2014年に亡くなっている。
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その前にやることは?Wiki篭り共
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- ふもっふのあれは爆笑したわw -- 名無しさん (2013-12-11 19:33:47)
- テキサスチェーンソーでは、正直レザーフェイスよりハートマン軍曹のほうが怖いから困るw -- 名無しさん (2013-12-21 06:51:43)
- 現実にこいつみたいな鬼教師とか普通にいるのが怖い。しかもそいつが必要視されてきているのがさらに。 -- 名無しさん (2013-12-21 08:10:31)
- ↑人間、人生で1回2回はそういう経験も必要。剣道部で実際にそういう人からしごき倒されたから分かる。 -- 名無しさん (2013-12-21 09:48:57)
- 実際メンタル面が一番何においても大事だからな。一回はこういうの経験しておいた方が良いとは思う。まぁ、この人の場合は海兵隊で兵器化が目的だからちょっとやりすぎだけど -- 名無しさん (2013-12-21 09:51:13)
- 映画見たことない人からすれば、この人が途中で死ぬことに驚きを隠せないだろうな… -- 名無しさん (2014-04-02 21:51:24)
- ガニーはPTSD患ってるんだよな。番組でスイカを笑顔でぶっとばす裏でな…。ベトナム戦争は一体どんだけ悲惨だったのかと… -- 名無しさん (2014-06-10 10:29:25)
- 良くも悪くも、非常に強烈なインパクトを残した人物であるな -- 名無しさん (2014-08-20 22:27:45)
- ネタバレ乙 -- 名無しさん (2014-11-15 19:17:22)
- 前線へ送り込む兵士を訓練しているわけだし厳しいのは当たり前だな。前線はもっと厳しい世界なんだし。 -- 名無しさん (2015-02-14 17:47:10)
- 最期は新兵のデブに撃たれて死亡したが あれは軍曹のシゴキかたが悪かったのかそれともデブをリンチした新兵達が悪かったのか… -- 名無しさん (2016-04-27 00:03:49)
- この軍曹が発した「アッー!」は後々MAD素材に… -- 名無しさん (2016-04-27 00:09:55)
- 実は前半までしか出番が無い -- 名無しさん (2016-11-26 02:29:27)
- ↑3 それも理由ではあるだろうが、結局何か一つの原因があるんじゃなくて色んなもんの積み重ねだろうな。あいつは兵士じゃなくてスポーツ射撃の選手にでもなるべきだった。 -- 名無しさん (2016-11-26 08:18:23)
- あまりにほほえみデブがだらしない、てか鈍すぎたってのもあるが、「ミスの連帯責任」ってのは効くが長時間やるものではないって好例 -- 名無しさん (2016-12-11 04:25:24)
- 教育に決定的な答えなんぞ存在しない。ただし、軍曹が微笑みデブの教育に失敗してしまったのは確か デブの射撃の才能がもうちょい早く覚醒していれば・・・ -- 名無しさん (2016-12-11 05:55:57)
- ↑ 技能うんぬんもだけど、まわりとうまく付き合えてないのもでかい、愛想よく立ち回れて「しょうがねーなーまったく」で終われるタイプじゃないし、軍曹もしかるだけでフォローとかしなかったしな -- 名無しさん (2016-12-11 09:00:30)
- よく言われてるしここでも書かれてるけど、キューブリックがアドリブ一切許さなかったってのはちょっと語弊があるぞ。完璧主義者なのは変わりないけど、どちらかといえば積極的にアドリブ言わせて、その上で何回もリテイクするタイプ。シャイニングのHere's Johnny!!とか時計じかけのオレンジの雨に唄えばなんかも元は演者のアドリブ -- 名無しさん (2016-12-13 18:11:32)
- アーメイ氏が亡くなったそうで…ご冥福をお祈りします。センパーファイ。 -- 名無しさん (2018-04-16 10:30:23)
- アメリカ海兵隊万歳、フーラー! -- 名無しさん (2018-04-17 19:31:45)
- ご冥福をお祈りします。あんだけ長回しで罵倒台詞ばかりのシーンはこの人以外にはできまい。 -- 名無しさん (2018-04-17 19:45:22)
- Rip ハートマン軍曹。天上では、安らかに過ごされんことを -- 名無しさん (2019-09-05 21:12:09)
- 1/6ミリタリーアクションフィギュアもあるらしいが音声ギミックがなけりゃ魅力半減だな -- 名無しさん (2020-08-22 17:00:05)
- ちなみに彼があそこまで苛烈な罵詈雑言を浴びせるのは、暴言・叱咤・体罰を繰り返すことで訓練生の自尊心・精神面・個性を破壊し尽くし上の命令に絶対服従する殺戮マシーンに作り替えるため(進撃の巨人で行われた通過儀礼にも似たような意味合いがある)。あの訓練の本質は訓練生を強くする修練よりも、人間を兵士用の人格に作り替えるための洗脳にある -- 名無しさん (2022-04-16 10:04:28)
- アーメイが急遽配役されたのは知ってたけど、戦場は地獄だぜの人が本来のキャストだったとは知らなんだ -- 名無しさん (2022-05-06 11:59:06)
- やたら教育論の極意みたいに持ち上げられてるけど、当時ですら誇張表現な上、現代の新兵教育では映画みたいな暴行や人種差別的罵倒は容認されていない。四軍全てを志願兵で構成する米軍にとって、人格を萎縮させ志願者をふるい落とすような行為は、財政的にも新兵教育の目的にもそぐわない -- 名無しさん (2022-11-01 07:45:58)
- 持ち上げられてるのはキャラクターと役者でしょ -- 名無しさん (2023-04-29 20:45:02)
- 家に来て妹をファックしていいぞ(妹がいるとは言ってない) -- 名無しさん (2023-12-04 02:00:54)
- 上の方でも書いているとおり、キューブリックはアドリブでもOK出す監督だけど、役者気に行ってまるまるお取替えってのは多分ハートマンだけだったと思う。やってられるか、って辞めちゃって代役ってのは腐るほどいるけど -- 名無しさん (2024-02-21 14:30:34)
- ↑4 あくまで銃に触れたこともない少年をベトナムという地獄(どのくらい地獄か映画の後半で描いている)の中にぶちこんで少なくとも生きて帰って来れる人間にする、しかもたった8週間でっていう前提を忘れてるんだろうね -- 名無しさん (2024-06-23 22:17:13)
- 軍曹筆頭に彼是ネタにされる映画だけど、映画として伝えたいことはやっぱり「戦争は地獄だぜ」の一言に集約される気がする -- 名無しさん (2024-06-23 22:40:13)
- 70年代当時、しかも体育会系の権化の軍隊ですら「行き過ぎた叱責は単なるパワハラ」って概念はあったんだな… -- 名無しさん (2024-11-14 10:52:54)
- あれは「悪い見本」だったのか -- 名無しさん (2024-11-14 12:07:05)
- だってほら、無理難題をまき散らす士官は流れ弾(意味深)で戦死しちゃうっていうし・・・ -- 名無しさん (2024-11-14 16:27:11)
- そりゃまあ自尊心へし折って萎縮させるとか、いざという時動けなさそうだし… -- 名無しさん (2024-11-14 16:31:13)
- バラバラマンの人が吹き替え担当だったのか。 -- 名無しさん (2024-12-30 16:07:18)
- 人間の兵士ではなく機械の兵士を作るような教育方法 ムチとアメのバランスが悪い -- 名無しさん (2025-03-17 12:16:36)
最終更新:2025年03月17日 12:16