空間兵器ドグラ

登録日:2010/04/11(日) 02:27:21
更新日:2024/09/25 Wed 04:30:17
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ドグラとは、石川賢の『虚無戦記』に登場する生物兵器で、物語のキーのひとつである。

初出はコミックボンボンの85年夏増刊号に掲載された『次元生物奇ドグラ』(ドグラ無印)という短編ホラー漫画。
その後、少年キャプテンの読み切り『ドグラ戦記』に繋がり、同誌で連載された『虚無戦史MIROKU』にも登場した。
最終的に全部纏めて『虚無戦記』という一つの作品群になり、ようやくドグラの全体像が明らかになった。

ドグラ無印ではただの名状しがたい系のホラー的存在だったが、その実態は・・・。



概要


ドグラとは「意思を持った、異次元の穴」である。
この「穴」は生物の体の中に入り込み、成長・増殖・拡大していく。
「穴」のサイズが一定以上に達すると「扉」が開き、グチャグチャでドロドロな魔物を噴き出す
なんらかの手段でこの穴をふさがない限り、魔物の噴出が止まることはない

そして感染された者は、いずれ正気を保てなくなって化け物に変貌し、最終的には自分も「穴」と化す。

噴き出す魔物の外見は、OVA『真(チェンジ!!)ゲッターロボ』に出てくるインベーダーに近い。
……というより、インベーダーがもともとこのドグラをモデルにしている。

また、「穴」は感染する。
人を汚染し、空間を汚染し、人から人へ、空間から空間へと際限なく広まって犠牲者を増やしていく。
もちろんドグラから出てくる魔物に触れても感染する

なので化け物を殺しても無駄で、穴を塞ぐ方法を探さなくてはならない。
(当然その間も化け物は増えるし襲ってくる)

ここまでが『次元生物奇ドグラ』におけるドグラの概要である。


そして『虚無戦史MIROKU』、つまり虚無戦記『美勒王編』でドグラの本質が判明する。

ドグラとは、須弥……つまり仏様の言葉で「もっとも恐いもの」という意味。
かつて仏が繰り広げた宇宙戦争で開発された生物兵器で、もっとも醜く恐ろしいものがこのドグラだった。

真田十勇士の一人である霧隠才蔵曰く、

「ドグラとは宇宙の憎悪、悪疫、餓鬼塊などの事で、神は汎度羅(ぱんどら)の次元と言う宇宙にこれを封じ込め、兵器として運用した」

ものであるとのこと。

もっと言うなら「無限の広さをもつ、憎悪や悪意で満たされた異次元そのもの」である。
なにがなんだかよくわからんがとにかくヤバイ兵器であるという認識で問題ない。
作中では星なり宇宙船に打ち込んで、そこの生物体系を侵すとされている。

霧隠才蔵はドグラを研究した結果、完全に支配する事に成功し、身体を異次元の宇宙と化して無幻美勒に立ちはだかった。

この時の才蔵は大いに調子に乗っていた。
なにせ身体そのものが無限のドグラ宇宙なのだから、立ち向かう手段などあるハズがない。そう思われた……。





しかし、真の力が覚醒した美勒にあっけない程簡単に滅ぼされた。





曰く

「宇宙戦争とは空間の奪い合い、虚空のような兵器」
「ドグラなどあの戦いの前ではほんのチャチな兵器に過ぎぬ!」

そう…こんなにも凄い兵器なのに、虚無の戦いにおいてはチャチなオモチャ程度の存在にすぎない
一般人の視点から見れば恐ろしいことこの上ない悪夢の兵器だが、宇宙規模では小さくてトロくてモロいオモチャなのである。
それこそ初出の短編で見せたように、適当な場所に放り込んで戦闘力を持たない者を〇戮するようなことにしか使えないだろう。
虚無戦記の戦いのなんとハイレベルなことか。



ドグラへの対処法

ドグラは空間故、物理攻撃が効かない。というか、生半可な攻撃したら分裂して増える
なので特殊な方法を用いなければならない。

●超能力で封印する
能力者がドグラ用の封印を施す。ある程度の大きさまでならこれでなんとかなる。
初出作品『次元生物奇ドグラ』では、この封印であるを子供たちが抜いて破ってしまうところから話が始まる。

●高火力でぶっとばす
穴から出てきた怪物単体なら高火力の火炎放射絶対零度を浴びせれば殺せるし、
10メートルくらいの穴なら、核爆発級の威力があれば封じ込める事が可能。
ただ、前者は美勒王編の夜叉姫のように死ぬ間際のドグラに寄生される危険性があるのと、
後者は空間の汚染までは防げないので、あまり良い方法とは言えない。
そもそも大きすぎる穴には効果が望めないだろう。

空間支配能力で空間を支配する
最も確実かつ安全な方法。おそらく虚無の戦いでドグラがチャチな兵器扱いされるのは、虚無の戦士達がみんなこれが出来るから。




ちなみにこのドグラ、初出作品の掲載誌がボンボン(増刊号)だった為、当時の少年達に大いにトラウマを植え付けた。
大人になってから「そういえばあの時の怖い漫画は何だったか」と思い出し、「ボンボン」「増刊号」「顔に穴」等のワードで検索して本作にたどり着いた、というアラフォー世代は多いらしく、そうした経緯をつづった個人ブログがいくつも存在する。


追記・修正は空間支配能力を身に着けた方がお願いします。


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最終更新:2024年09月25日 04:30