薄皮太夫

登録日:2011/11/12(土) 21:47:03
更新日:2025/02/10 Mon 08:19:25
所要時間:約 3 分で読めます





さあねぇ…わちきはドウコクの御守りじゃない


薄皮太夫(うすかわたゆう)は、侍戦隊シンケンジャーに登場した外道衆の幹部怪人。

声・人間時:朴ロ美
スーツアクター:蜂須賀祐一


【概要】

シンケンジャーの敵である外道衆の女幹部。
腑破十臓と同じ種族「はぐれ外道(外道に堕ちた人間)」

外道衆総大将・血祭ドウコクの側近を務め、普段はドウコクの傍で三味線を奏でて彼の無聊を慰める役割を担う。
前線に赴くことは稀だが、その際は三味線に仕込んだ仕込み刀を武器に振るう。
なお三味線が使えなかった頃は散華斑痕刀(さんげはんこんとう)と呼ばれる短刀をアクマロから供与されていた。


【人物】

花魁を思わせる姉御口調で喋る。
一人称は「わちき」

普段は、仕込み刀込みの三味線から不気味な音色を奏でており、その演奏は酒以外で常にイライラしている血祭ドウコクを抑える事が出来る。
故に、三味線を壊されて姿を消した際には、ドウコクは常にイライラしていた(ドウコクの自業自得だが)

長のドウコクや同じ幹部の骨のシタリとの仲は比較的良好だが、
はぐれ外道ゆえに、他のアヤカシとは反りが合わず、顔を合わせる度に険悪な雰囲気になる(大抵は、他のアヤカシからケンカを吹っかけてくるわけだが)

第八幕でアヤカシを使わず、自身が指揮を執った際には、花嫁たちを誘拐し、繭の中に閉じ込め、その眉の絹糸で打掛を作ろうとしていた。
半ば私情優先の作戦に対し、シタリは同情的な様子を見せ、ドウコクは「三途の川の足しになる」と別に反対はせず、シタリから「お前さんも太夫には甘い」と口にするが…


【劇中での活躍】

【過去】

常に持ち歩いている三味線は、新左と云う江戸時代の武士が変化した物である。

太夫はかつては吉原の花魁で、名を薄雪と言った。
薄雪には自身を身請けすると約束した男・新左がいたが、新左はいつまで経っても現れなかった。
薄雪はいつまでも新左を待ち続けながら三味線を奏で続けていた(それをドウコクが聞いていた)。

新左が現れなかったのは他の女と婚姻する為。
それを知った薄雪は、新左の婚儀の宴席に乗り込んだ。

そして…

その場に火を放ち、多くの者を焼き殺した。

業火の中、薄雪が見たのは、最期まで別の女に手を伸ばす新左の姿。

結局…わちきでは無いのかぁ!!

死んでも結ばせるものか、たとえ、たとえ外道に堕ちようとも!!

こうして、外道に堕ちた薄雪は薄皮太夫へと変貌。
その際、新左の遺体は三味線へと変化。
故に、時々三味線からは苦しそうな男のうめき声が聞こえ、三味線の修復には男性の皮が必要になるというまさに呪われた三味線である。

先述の打掛の件も未練ゆえのもの。

【茉子との因縁】

そんな太夫にとって、白石茉子(シンケンピンク)は因縁の相手である。

兼ねてから茉子と対決する事が多かったが、第二十四幕で茉子と共にユメバクラに眠らされた際、自身の悲しい過去を見られる
それ以来、茉子は戦うべき相手となった。

一方、茉子は、太夫の過去を知って、太夫を倒す事を躊躇った。

【十臓との関係】

300年間ドウコクのなだめ役として過ごしてきた太夫だが、シンケンジャーとの初陣において腑破十臓と接触。
自分と同じく長寿なはぐれ外道*1である十臓に親近感を覚えドウコクの指揮下に入る気のない彼に陰ながら援助をするが、
封印の文字を巡る一件でドウコクの怒りを買った十臓に対し暗殺の命が下る。
しかし、太夫はこれを拒み、激昂したドウコクは三味線を破壊。太夫は修復の手段を求めて、三途の川を去って現世へ出る*2

【アクマロの傭兵】

最初は人間の男性の皮を用いて、三味線を修復しようとしたが、ドウコクが差し向けたユメバクラの力で自身が外道に堕ちた日のことを思い出し、見知らぬ人間の皮を使っても修復することに意味がないと思ったからか、三味線の修復を中断。それでも、六門船には戻らず、現世に流れた一匹のススコダマを話し相手に現世をあてもなく彷徨っていた。
三味線の修復を申し出たアクマロの許に身を寄せてからは、同じように裏正修復のために雇われた十臓と共に傭兵という形でシンケンジャーの前に再び現れる。
だが、新左の怨念を地獄解放の楔に使うというアクマロの真意を知って反逆。
三味線の奪還に出るも返り討ちに会い、致命の傷を負ったところに水切れを押して、ドウコクが現世へ飛び出して救出。
三味線もドウコクが自身の皮を埋め込んで修復して、太夫に手渡した。

「テメェは外道に落ちた……他に行く場所はねェ」

この行いに太夫も心を動かされるが、女としての情の行き先が新左から別のものに向かうという事は
人を外道たらしめる執着の消失、すなわち、はぐれ外道・薄皮太夫の終焉が近いことを意味していた。

アクマロの最期を見届けた後、六門船に戻ってきた太夫は、ヨモツガリからの嫌味に対しても「はぐれだろうが、外道だろうが、好んで落ちたここが、わちきの居場所。よろしく頼む、ご同輩」と跳ね除けると、以前とは異なる強さを見せるのだった。

【新左とドウコクと】

己を外道たらしめる新左への未練が薄れていくことを感じた太夫はナナシ連中を率いて現世へ侵攻。十臓との一件にケリをつけた丈瑠一行、
薫を認めて協力を申し出た源太らが二手に分かれてこれを迎撃する中で太夫は因縁ある茉子と相対。「望むところ。...少しは知った者の方がいい」という意味深なつぶやきとともに果し合いとなる。

剣戟の応酬が続く中、太夫の隙をついて跳躍した茉子の一刀が放たれるが、太夫はこれをあえて三味線ごと身を晒して受けた。
太夫の狙いはドウコク復活のために三途の川の水…すなわち、人の苦痛・嘆きの感情を集めること。
そして数百年にわたり太夫に捕らえられ続けた新左の念がもたらす嘆きは極上の水となる。
太夫はドウコクのため、自身を外道として繋ぎ止める鎹でもある三味線…新左の魂を解放することを決意していたのだ。

破壊された三味線から新左の嘆きの声とともに凄まじい瘴気が立ちのぼり三途の川が水で満たされる中、ついに復活したドウコクが現世へ現れる…

【その最期】

余命いくばくもない太夫を抱き寄せるドウコク。
最後の三味線は三途の底まで響いたが、腹に響くようなかつての色がないと言うドウコクに太夫は返す。


「あれは本当の三味だよ。ドウコク!わちきは初めて旨く弾けた…これほど気が晴れたのは数百年ぶりだ」

「もう、オレが欲しかったテメェじゃねェな」

「昔のようには弾けん。二度とな…」

「だったら…終わるか」

「はぁ…  それもいいな」


そして彼女の肉体はドウコクに取り込まれ、はぐれ外道薄皮大夫は消滅した。


【備考】

太夫の人間の姿である薄雪を演じたのは、声を担当する朴ロ美である。
かなりの美人だ…

日曜日の朝から子供には確実に理解出来ない花魁ネタであった為、シンケンジャーの難易度を引き上げたキャラクターである。
新左の祝言の際に火を放つ姿は、一部の視聴者にトラウマを植え付けた。

十臓が、己の欲望の赴くままに人を斬り、妻の制止すら一顧だにしなかったのに対し、
太夫は自分の恋慕の情を受け止める相手を欲していたという点で同じはぐれ外道でも互いにその性質は一括りにできないものがある。

これはそれぞれ抱えた『業』によって外道に堕ちたはぐれ外道というものの本質を端的に顕しているようにも思える。


小川輝晃氏発起の東北地方太平洋沖大震災・ヒーロー達からの応援メッセージにも登場した(朴さんによるツイート)

みんな、アチキを憶えているかい?薄雪こと薄皮太夫だよ。お前たちチビっ子ども、なんだか輝いてるね。あいつら、シンケンジャーを思い出すよ。どんな時でも挫けなかったアイツらみたいに、みんなのパワーをアチキにみせてみな!楽しみにしているよ!

【パワーレンジャー・サムライ】
こちらでは「ダユウ」という名前で登場。
原典と同じく元人間ではあるがそこまでの過程が異なっている(描写がややマイルドな方向になっている)。
日本版で腑破十臓にあたる「デッカー」という男と恋仲だったが、火災により死にかけた彼を助けようとして、「セラータ」(アクマロ)に騙された結果彼をナイロック(日本版での外道衆)にしてしまい、その償いとして彼女もナイロックへと身を落とすことになった。設定の変更に伴い、武器である三味線も「デッガーからのプレゼントであるギターが変化した物」となった。



追記・修正を…たとえ外道に堕ちようとも!!

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  • 昼ドラ
  • 女版ギエン
  • 男運ゼロ
最終更新:2025年02月10日 08:19

*1 もと人間であるはぐれ外道は大体が数年で外道化のきっかけとなる情念が薄れ、死んでしまう。太夫は新左への強すぎる情念一つを数百年間維持しているが、十臓は人を斬るたびに新たに湧き上がる快感を外道の元としており対照的。

*2 前述のとおりこの一件のせいでドウコクは癇癪を紛らわす手段を一つ失い、これまで以上に苛立ちを募らせるようになった