タチコマ

登録日:2009/07/08 Wed 01:02:53
更新日:2025/03/10 Mon 11:21:13
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「バトーさぁん!」

タチコマとは、テレビアニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズに登場する兵器。
「多脚戦車」と呼ばれる兵器群のひとつであり、タチコマのほかにウチコマフチコマロジコマHAW-206などが存在する。

CV.玉川紗己子



「いいないいな、壊れたよ!構造解析されちゃうかも!?」

【概要】
公安9課が保有する兵器。
「思考戦車」と呼ばれる通り自立的に思考し行動する「心を持った兵器」であり、9課メンバーと連携して様々な作戦にあたる。
なお、兵器なので同じ見た目のものが多数存在するが、劇中では特に区別されている描写はなく一括して「タチコマ」と呼ばれる。
原作の漫画、及びプレイステーション版では名前がフチコマであり、デザインも若干違う。攻殻機動隊ARISEでは前身になったと思われるロジコマが登場。
フチコマ(斑駒)とは毛色がまだらの馬のこと。タチコマは不明だが一説には後部ポッドが立っているから。




「やっぱり物理的身体がある時の疾走感は違うね」

【装備・武装】
青色の蜘蛛のような外観。
機体色は濃い水色で後部ポッド部と中央胴体部からなり、胴体には1組2本のマニピュレーター付きの腕と2組4本の脚、擲弾発射器(グレネードランチャー)と、目の様に見える3つの光学素子を持つ球形で外部観測を行う。
装備は腕の役割を果たすマニピュレーター、姿を消す熱光学迷彩、チェーンガン、QRSプラグ、グレネード砲、空気に晒されると瞬時に固化する液体ワイヤー。

マニピュレーターはオセロが打てるほど器用。右腕にはチェーンガン、左腕にはQRSプラグが固定装備されている。
マニュピレーターの位置的にグレネードの装填は他者に任せるしかない。また、グレネードの砲門には安全カバーが付けられているため使用時にはこれを外してもらう必要もある。
脚部にはタイヤが装備され、足による歩行、もしくはタイヤによる走行が可能である。
後部に備え付けられたポッドには人が乗ることができ、ここから有人操縦が可能。もちろん自動操縦も可である。
ポッドは狭く、定員は1名。
この搭乗用ポッドは頑丈な一方、機動力重視の設計のためか本体装甲はもろく、せいぜい小口径のライフル弾を弾く程度。
作中でもマシンガン砲撃などによって幾度となくハチの巣にされている。
ワイヤー発射装置があり、空気に晒されると瞬時に固化する液体ワイヤーを使う。まるでス○イダーマンのような移動も。




「ねえ少佐・・・聞いた話では留守番をするとお土産を貰う権利が発生するんですよねえ?」

【思考】
機体には人工知能(AI)と発声機能を搭載し、自ら考え、会話にてコミュニケーションを行い、そして行動することができる。

蜘蛛のロボットみたいな無機質な見た目に反して幼い子供のような喋り方をするAIを持たされており、玉川紗己子の声と合わさって妙に愛くるしい。というか可愛い。なぜか萌える。

子供のように無邪気な性格をしているが無知というわけではなく、
「軍隊ってそんなに労働条件きついの?根暗なAIってほんとキレるの早いんだからあ!」
「安保なんて結ばなくたってアメリカの言いなりじゃないか」
のようなブラックな会話、政治ネタに関する話も普通にする。

あくまで"人工知能"であり、ゴースト(魂)は宿っていないとされる。言動などは人間的な反面、思考や感性は機械的で達観しているかのような物言いをする事が多い。
同型機と定期的に「並列化」と称して記憶データを共有し合っていることから基本的に個体差はなく、普通の人間なら恐れる「死」に対しても興味を示している。

当初AIは本体に内蔵されていたが、『2nd GIG』以降は、草薙素子の思惑によりAIは改良され、米帝の人工衛星に積み込まれた。
なお、AIの開発を行った播磨技研の有須田博士はバトーに似ている。(イノセンスにおけるバトーがモデルであるため)






【劇中での活躍】
※以下ネタバレ含む










  • 『STAND ALONE COMPLEX』
任務では9課の移動手段、自立兵器として多様に9課をサポートする。

シリアスな場面でも、その素っ頓狂な声とジェスチャーで視聴者を癒してくれた。

任務終了後は並列化により機体による個体差をなくすよう調整されている。


バトーが1機のタチコマに対し無断で与えていた天然オイルにより、"個"が発生し(さらにその"個"を並列化することで)自己の存在理由を求めたり、神の存在を定義したり、とタチコマの中に変化が表れた。
しかし任務以外のことを思考する兵器は兵器として"不適格"であり、反乱因子としても危惧され、タチコマはその多くが廃棄処分された。
残ったものも工事現場や介護施設*1に預けられ、タチコマの活躍を見る場は失われた。
ところが笑い男事件を追う中で解散にまで追い込まれる9課の危機を知ったタチコマ達は、自らの意志で彼らを助けにゆくことを決断する。
そして彼らはバトーのもとへと現れ、自らの命を賭けて敵と戦う。
勝ち目のないと思われた戦い。


だが彼らは自己犠牲の概念を理解し、

ゴーストを手にいれた。

理解したが故に彼らは消滅した。


「さようなら…バトーさん」

この場面では必ず画質が荒くなり、前がよく見えなくなるらしい。







  • 『S.A.C. 2nd GIG』
新たにエージェント機能が追加され復活!よかったね。

AIそのものは日本から打ち上げられた米帝NSAのスパイ衛星に衛星の機能をハッキング可能な状態で搭載されている。
任務の中で自らの判断した結果として命令を無視した行動をとることも。

最終話では少佐の命令で、電脳空間に難民300万人の記憶をストックするスペースを確保していた。
難民の集まる出島に核ミサイルが打ちこまれようとしていたのだ。
しかし、ここでタチコマ達は少佐の命令を無視し、核ミサイルに衛星をぶつけるという解決案を独自に考える。
衛星の軌道操作も完了し、タチコマ達は最大のピンチを独自の判断で救おうとしていた。

……だが、その衛星とはタチコマ達のAIを乗せた衛星であった。

『ぼくらはみんな生きている〜生きているから笑うんだ〜♪』
『手のひらを~太陽に〜透かしてみ~れ~ばぁ〜♪』

タチコマ達が「手のひらを太陽に」を合唱しつつ特攻をかけるこのシーン、攻殻ファンの間では涙なしでは語れない名場面として有名。
最終話では後継機と思われるウチコマが登場。デザインが戦車に近くなり、カラーリングもモスグリーンになったためかなりミリタリー色が強くなっている。
AIはまだ発展途上なためか機械的なカタコト言語で話す。


  • 『STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』
『2nd GIG』の最終回において、タチコマ達自身がネット上に保管していたメモリーを草薙が発見し、播磨技研に依頼して復元した。よかったねタチコマ。

前作よりも個体化が進んでおり、エージェント状態では「マックス」「ムサシ」といった名前も与えられている。
ウチコマも一応登場するが出番は少ない。

  • 『SAC_2045』
第1話から登場。9課解散時に施設内に残った機体達は従来通りだが、素子達についていった3機は大幅な改修を施され(残った機体達曰く魔改造)、全体的に小型化し、サイボーグの搭乗を前提としたため後部ポッドは更に小さく形も斜めになった*2
武装面では3機共にチェーンガンを両腕に内蔵し、更にサイトー専用機はグレネード砲をガトリングガンに換装、後部ポッド両サイドにミサイルランチャーを増設しかなり重武装となっている。

AIについては作中で特に言及されていないため不明な点が多いが、9課に残った機体達が素子についていった機体達に並列化を求めるシーンがあるので恐らく第一期と同じく本体内蔵式。
よくボロボロにされるのが恒例であったが今作では序盤で少佐専用機がボロボロになって以降は特に損傷を受けるシーンはない。

尚、SSSの続編にあたる作品なのだが何故かウチコマは影も形もない。アズマやプロトも存在を抹消されてるのでウチコマに限った話ではないが…… 


【タチコマな日々】
『S.A.C.』シリーズのDVDには、『タチコマな日々』という題名の新作ショートアニメが購入特典として収録されている。
タチコマを主役とした5分アニメで、基本的にタチコマ以外出てこない。
他作品パロディ(スパ○ダーマンなど)も満載で一見の価値あり。




やだなあトグサ君。僕達個体差を維持したまま追記・修正出来る機能が追加されたんだよ。エッヘン。

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最終更新:2025年03月10日 11:21

*1 『成田山』とどこかで見たようなステッカーがつけられている。

*2 なので義体化率の低い人間にとってはかなり乗り心地が悪いようで、諸事情で搭乗する事になったトグサは愚痴っていた。