登録日:2014/05/20 (火曜日) 22:17:45
更新日:2025/04/17 Thu 15:22:20
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石勝線(せきしょうせん)は、南千歳駅と新得駅を結ぶ
JR北海道の鉄道路線(幹線)である。
本項では、新夕張~夕張間を結んでいた支線(夕張支線)についても解説する。
概要
JR北海道の鉄道路線において北海道の空の玄関である新千歳空港、道央と十勝・道東を結ぶ広域輸送が主体の路線。元は夕張の炭鉱の輸送の為に作られたとあって貨物列車も多く運行されていたが、炭鉱衰退後は今は帯広・釧路方面とのコンテナ輸送列車が通過するのみとなっている。その中には本州方面の列車もある。
元々は「夕張線」という名前で、追分駅~夕張駅間の本線と紅葉山(現新夕張駅)~登川駅間の支線からなっていた。
その後、道央地方と道東地方を結ぶ短絡線として千歳空港駅(現南千歳駅)~追分駅間、新夕張~
根室本線上落合信号場~新得駅間が開業し、名前を現在の「石勝線」に改称された。
これにより、かつての本線だった新夕張~夕張間が支線となり、追分~新得間が本線となった。
この際、紅葉山駅が新夕張駅に改称されたのと同時に支線部だった紅葉山~登川間は廃止となっている。
夕張支線
その昔は石炭輸送で栄え、旅客も最盛期は15往復が設定されていたが、石炭輸送は1990年に終わり、廃止時は旅客のみ5往復になっていた(廃止直前の2週間は、全列車臨時列車扱いで8往復運転)。
もともとが夕張~室蘭直通で石炭を運ぶために造られた路線であるため、地図で見ると分かるが札幌へのアクセスは遠回りになっている。
そのため、炭鉱最盛期ですらバス乗り換え込みで札幌直通可能な夕張鉄道線に対して旅客輸送で苦戦を強いられていた。
その後も一般道を経由しながらも旧夕鉄線ルートを踏襲して札夕間を直線的に結べる高速ゆうばり号が優位なことや、夕張市の人口の減少と市自体が財政破たんしている事からも容易に想像がつくと思うが、利用者がほとんどいなかった。
廃線前の輸送密度は、
札沼線北海道医療大学~新十津川間に次ぐ110人という低さである。
何せつい最近まで財源不足で、夕張駅の
トイレが使用できなかったほどである。
それでも集落を結んで走っていたからか、牛山氏の全国秘境駅ランキングには1駅も入っていなかった。
2016年8月8日、なんと夕張市側から廃止も含めた交通体系の再構築をJR北海道に提案。
そのわずか9日後の8月17日、支線区間の廃止が正式に決定されてしまった。
決定までの早さもさることながら、自治体側から廃止提案を出されるのは異例なことであった。
そして2019年3月16日、全区間廃線となった。
運行形態
旧夕張線区間と新設された区間で成り立っており、特急の他に
普通列車も運行している。
かつてあった東追分と十三里の2駅は一部の普通列車が通過していたが、2016年3月のダイヤ改正で廃駅となってしまった…。
普通列車も走る区間だがその本数は少なく、南千歳~追分間は6往復、追分~新夕張間に至っては2.5往復ときっぱー泣かせの区間となっている。
なお地元の夕張市民に対しては救済として、新夕張~南千歳間の特急券が免除される代用証を新夕張駅で発行している。
旅客列車はぶっちゃけ特急しか走っていない。それもそのはず、日高山脈を通過する為に一駅の区間が2~30km以上離れている。
駅が4駅に対して信号場が11と、信号場の方が多いという状態になっている。
元々11ある信号場は駅候補として建てられたのだが、誰もいないという事からそのまま放置されている。
楓信号場に至っては元は駅だったにも関わらず
秘境駅状態だった為、2004年に信号場へ格下げとなってしまった…。
特急しか走っていないため、この区間内のみの乗車に限り乗車券だけで普通車自由席を利用できる特例がある(
青春18きっぷもOK)。
但し、一部のおおぞら号は新夕張を通過する。また、追分~新夕張間の普通列車は前述の通り非常に少ない上に新夕張での接続が悪く、2~3時間ほど待たされることが殆ど。そのため、この特例はかなり使いにくい。
車両
キハ183系置き換え用に登場した現在の主力車両で、「おおぞら」「とかち」で使用。
1~4次車は車体傾斜装置を搭載していたが5次車以降は搭載されておらず、従来車も2014年8月30日から使用停止となった。
当初はキハ281系のような塗装だったが、6次車から白基調の新塗装に変更されている。
特急「おおぞら」で使用。営業最高速度は130km/hと気動車特急では屈指の俊足を誇っていたが、2011年の脱線事故と一連の不祥事の影響で最高速度は110km/hまで落とされ、「スーパーとかち」での運用はなくなった。
2022年ダイヤ改正にて撤退し、
石北本線の特急へ転用された。
北海道の顔ともいえる特急形気動車。
2018年3月17日ダイヤ改正以降は定期運用がなくなったが、キハ283系・キハ261系の代走として運用されることもあった。
長期にわたって増備されたためバリエーションが豊富で、「スーパーとかち」用の編成は2階建車両が連結されていたほか、「ニセコエクスプレス」以降のリゾート車両も形式上この番台に区分される。
千歳線直通の普通列車で使用。南千歳始発・終着の列車はない。
線内の貨物列車で使用。
駅解説
駅番号の無いものは信号場
千歳線乗り換え。もちろん全列車停車で当路線で一番利用者が多い。昔は千歳空港の空港連絡駅だったが、移転後も空港支線と特急を結ぶ重要なターミナル駅。
なお千歳線の新千歳空港支線を追分駅まで貫通させて石勝線の新線を作る構想があり、実現の暁には単なる途中駅に転落していまう可能性大。
廃駅前は牛山氏の全国
秘境駅ランキングに137位だった。
サントリー・金麦のCMでも使用された。2012年にこの駅で貨物列車が脱線している。
由仁町の駅でバスもないが、夕張以東に比べるとまだ栄えている。
追分~新夕張間では唯一当初から信号場として設置された。近くに川端ダムがある。
地名の由来となった千鳥ヶ滝や夕張市の農協銘産センターが近くにあるが、利用者が少なく2024年3月改正で信号場へ降格となった。
2016年に東追分駅と共に信号場へ降格。読み方は「とみさと」と意外に難読。命名からして追分駅を起点としたら13里だからというシンプルそのもの。周りはメロン畑のみ。
昔は「紅葉山」という駅名で、夕張支線の分岐駅だった。夕張支線廃止後の代替バスも発着。ホームは2面4線あるが1面は使用停止で立入禁止になり、少し寂しい。
新夕張から一つ目の信号場。
かつては石勝線本線上にあった3代目の楓駅で、新夕張方面折り返し専用線路が1本と占冠方面へ繋がる線路が2本あった。
停車したのは普通列車のみで新夕張方面のみにしか列車は発車しなかったが、全ての線路にホームが設置されている。
開業当初は1日6往復あった列車も減便を繰り返し、廃止前は7:02発の新夕張行1本のみとなっていた。
2004年3月12日に駅が廃止。
新夕張から4つ目の信号場。
2011年に特急「スーパーおおぞら」が脱線・炎上する事故が発生し、
これが以後に発覚していくJR北海道の不祥事の発端となる事に…。
占冠村の中心駅。が、市街地は南に1km離れている。隣駅のトマムと並びこの区間の数少ない駅。また、おおぞら号の大半は通過するため、意外と到達するのが難しい駅。
因みに新夕張駅とこの駅の距離34.3kmは、2014年3月15日に
海峡線津軽今別~木古内間に抜かれるまでJRの在来線で最長駅間距離だった。
北海道新幹線開業後は海峡線の在来列車が全廃したため、2016年3月26日以降は
石北本線の上川~白滝間の37.3kmが在来線最長距離。
石勝高原駅がトマムに改称する前はこちらがトマムを名乗っていた。
全列車停車駅。元は石勝高原駅として開業。
JR北海道で一番標高の高い(538m)の駅で、リゾートホテルがある上、この周辺で数少ない居住地域であるが市街地からは離れているからか牛山氏の全国秘境駅ランキングに121位に入っている。因みに漢字で書くと「苫鵡」である。
トマム駅から2つ目、新狩勝トンネル内にある根室本線との実際の合流点…だったのは2024年3月31日まで。ここから新得駅までは24km離れている。
根室本線乗り換え。新得町の中心駅で全列車停車。一応終点駅だが、石勝線の列車は全て帯広・釧路方面に直通。駅舎は結構おしゃれ。
夕張支線
無人駅なもののそれなりに町はある。
財政破たんの際、廃校を免れた夕張高校の御蔭で少し市街地がある。
意外にも有人駅だった。夕張警察署の最寄駅。
昔は炭鉱の拠点駅の一つで、1975年まで夕張鉄道が接続していた。
今は何もないが、日本映画の名作「幸福の黄色いハンカチ」のロケ場所になった『幸福の黄色いハンカチ想い出広場』の最寄駅。
終着駅。財政破たんの影響でトイレまで使用不可能になった駅。
今の駅舎は3代目でホテルマウントレースイに隣接している。
支線にあった沼ノ沢、南清水沢、清水沢の各駅には炭鉱を結ぶ路線(旅客営業もあった)があって接続していたが、1987年までにその全てが廃止されている。
追記・修正は夕張炭鉱の栄光に思いをはせながらお願いします。
- この路線に普通列車は要らないと思う。特急と貨物だけでいい。 -- 名無しさん (2024-09-21 00:15:10)
最終更新:2025年04月17日 15:22