千歳線

登録日:2012/09/13(木) 22:22:51
更新日:2025/04/16 Wed 15:11:41
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千歳線(ちとせせん)とは沼ノ端駅と白石駅を結ぶJR北海道の鉄道路線である。
路線記号はHで、空港支線のみAPが使用される。

*1

▽目次

概要

札幌から道南・道東間の幹線ルートの一部であり、普通・快速のほか、複数の特急、貨物列車が行き来する重要な路線である。
線路上の起点は白石と沼ノ端であるが、実際は両端区間で函館本線室蘭本線に乗り入れるため、札幌~苫小牧間が千歳線と案内される。

元々は北海道鉄道という私鉄路線で、戦時中に富内線(後に特定地方交通線指定を受け廃止)とニコイチで買収された。
後に北海道の大幹線(ただし未だに赤字)になる路線をゲット出来たことから、阪和線と共に戦時買収の成功例として挙げられることも。

1992年に南千歳駅から新千歳空港ターミナル直下へ乗り入れる支線が開業し、同空港へのアクセス路線としても大役を果たしている。快速「エアポート」が多数運行されているが、2024年3月改正以降は快速が3種類に増えている。

1973年までは函館本線側は白石ではなく苗穂で接続し、東札幌、月寒、大谷地を経て北広島に至るルートだったが、新札幌副都心開発に伴う複線化に際し線路付け替えが実施され、この際上野幌駅が移転している。
旧線の苗穂~月寒間は函館本線の貨物線に編入されたが、1986年までに全線廃止となった。

JR北海道では数少ない全線電化の路線である*2。また、空港支線を除いて全線複線化されており、JR北海道では唯一の存在である。

列車種別

本項では特急以外の種別について記述する。

  • 特別快速「エアポート」
2020年3月ダイヤ改正より登場。
札幌~新千歳空港間の輸送に特化した種別。
日中は小樽発着列車が毎時1本運転されており、朝の新千歳空港行きに札幌始発列車・夜に札幌行きと手稲行きがある。

  • 快速「エアポート」
名前のとおり、新千歳空港に向かう列車。日中は小樽発着列車が毎時1本・札幌発着列車が毎時2本運転される。
日中の小樽発着列車は小樽~札幌間が各駅停車となる。
かつては旭川発着の列車があり、札幌~旭川間はL特急「スーパーカムイ」となっていたが、2016年3月26日より旭川発着が廃止になった。
それにより特急型車両が使用されなくなり、全列車が6両編成3ドア車に統一された。
全列車で4号車に指定席車両の「uシート」が連結されている。

  • 区間快速「エアポート」
2024年3月改正より登場。日中の札幌発着列車のみ毎時2本運転される。
普通列車が一部通過するサッポロビール庭園も全列車が停車する。
停車駅は多いが、札幌~新千歳空港間での通過待ちはなく終点まで先行する。

  • 普通
各駅に停車するが、一部はサッポロビール庭園駅を通過するので注意。2024年3月ダイヤ改正前は植苗駅を通過する列車があった。
全線通しのほか、札幌~北広島間・千歳~苫小牧間の区間運用・朝夕の新千歳空港発着・千歳から石勝線経由で新夕張に向かう列車がある。

停車駅一覧

●…停車
|…通過
▼…早朝・夜間のみ停車
▽…野球開催時に一部の上り列車のみ停車
駅番号 駅名 普通 区間快速 快速 特別快速
01 札幌
H02 苗穂 | | |
H03 白石 | |
H04 平和 | | |
H05 新札幌
H06 上野幌 | | |
H07 北広島
H08 島松 | |
H09 恵み野 | |
H10 恵庭 |
H11 サッポロビール庭園 | | |
H12 長都 | | |
H13 千歳 |
H14 南千歳
AP15 新千歳空港
H16 植苗
H17 沼ノ端
H18 苫小牧


車両

本項では線内の普通・快速列車を中心に解説する。

現在の車両

  • 721系
空港アクセスのサービス向上を目的に開発されたJR北海道最初の新設計車両。
基本設計は3ドアのデッキ付き転換クロスシートだが、2003年に制作された8次車のみドア付近座席のロングシート化&デッキ仕切扉廃止&半自動ドア設置となっている。
主に普通、札幌・小樽発着の快速「エアポート」に充当される。
老朽化に伴い2023年から本格的な廃車が開始された。
  • 731系
711系の置き換えのために導入された車両で、JR北海道では初の通勤型電車である。
北海道の鉄道車両としては異例となるオールロングシートでデッキ無しとなったが、この装備は以降の形式にも踏襲された。
主に普通列車で運用される。
半自動ドアがあるとはいえデッキがないため冬季はスーパーサムイと化す。
1998年鉄道友の会ローレル賞受賞。
  • 733系
731系のマイナーチェンジ版。
普通列車のほか、快速「エアポート」の721系置き換えのため6両固定編成の3000番台も導入され、2024年秋からは4000番台も登場予定。
自由席車は全車ロングシートで混雑緩和に貢献している。
  • 735系
731系のアルミ版。JR北海道ではアルミ車両を導入した例はなく、「試作して実験してみないか?」ということで試験的に2編成6両が製作された。
731系同様、基本普通列車のみで運行。
  • 737系
基本的には千歳~苫小牧間の普通列車で運行されているが、入出庫の関係で1往復のみ全区間通しで走る。
千歳駅発着の区間列車はワンマン運転を行っている。
735系による試験を経て、初の本採用となったアルミ車両でもある。
  • キハ40系・キハ150形
千歳駅発着の石勝線直通列車で使用される。
  • DF200形
ディーゼル機関車で、「ECOPOWERレッドベアー」の愛称を持つ。沼の端~札幌貨物ターミナル間の牽引に充当。
  • 785系
特急「すずらん」で使用される、JR北海道初の新型特急電車。
かつては旭川発着の快速「エアポート」にも使用されていたが、2016年3月26日からは旭川発着が廃止され特急専用となった。
数が少なくなってきてるので乗車はお早めに。
  • 789系1000番台
特急「すずらん」で使用。
かつては(ry

過去の車両

  • 711系
日本初の交流電車である。登場当時は2ドアのボックスシートであったが、一部の編成は3ドア・ロングシートに改造された。
かつては千歳線の主力列車であったが、晩年は1日数本の東室蘭駅発札幌行きしか充当しない。
老朽化および学園都市線一部電化による転属と、室蘭本線苫小牧~室蘭間の普通列車が気動車によるワンマン化により、2014年に引退。
加速度は1.1km/h/sで、蒸気機関車並みに遅い。
  • 781系
L特急「すずらん」・旭川発着の快速「エアポート」で使用されていた国鉄初の交流用特急型電車。
道内電化区間の特急列車として活躍していたが、2007年に引退。

駅一覧

  • 01 札幌
函館本線学園都市線、札幌市営地下鉄南北線・東豊線(さっぽろ駅)乗り換え。
北海道最大かつ全国第4位の人口を持ち、日本最北の政令指定都市である札幌市の中心駅。
5面10線の高架駅で大きな駅ビルの中にあり、現在進行形で発展中。
いずれは北海道新幹線も伸びてくる予定。
ここから函館本線との方向別複々線となる。

  • H02 苗穂
サッポロビール博物館や苗穂工場の最寄駅。かつてはここが千歳線の終着駅で、函館本線とはここから分岐していた。
2018年11月に元の場所から西に300メートル移転し、橋上駅舎化された。

  • H03 白石
地下鉄東西線白石駅とかなり離れている。路線上では千歳線の終着駅で、現在は函館本線との分岐駅でもある。

  • H04 平和
複々線内側の千歳線にのみホームがある。函館本線も複々線の外側で当駅を通る形になるがホームがなく、駅自体の所属も千歳線のみなので全列車が通過となる。

  • 札幌貨物ターミナル
北海道の物流を支える一大拠点。平和駅に隣接している。分岐点は平和駅〜新札幌駅間にある。

  • H05 新札幌
札幌市営地下鉄東西線(新さっぽろ駅)乗り換え。
札幌市厚別区の中心駅で、様々な施設が集まっている。2000年以降は寝台特急以外の全列車が停車するようになり、現在では名実ともに全列車停車駅である。

  • H06 上野幌
見渡す限り自然豊かな駅だが、札幌日本大学中学校・高等学校の最寄駅である為、実は利用客は5000人を超えている。
最近住宅開発が進んでいる為、少し歩けば住宅街も近くなった。
また北広島市境も近く、同市民の利用も多い。

  • 西の里信号場
かつては待避可能だったが、現在では単なる信号場である。

  • H07 北広島
北広島市の中心駅。広島から開拓使がやってきたため、「北広島」という地名になった。多くの快速エアポートと普通列車が接続する。
現時点では日ハムの本拠地・エスコンフィールド北海道の最寄り駅。

  • H08 島松
陸上自衛隊島松駐屯地の最寄駅。

  • H09 恵み野
2012年頃から西口が開発され、賑やかになりつつある駅。

  • H10 恵庭
恵庭市の代表駅。「エアポート」停車駅になったあと、利用客が倍以上になった。

  • H11 サッポロビール庭園
その名の通りサッポロビールの工場がある。区間快速「エアポート」は全列車停車するが、普通列車の一部が通過する。

  • H12 長都
「おさつ」と読む。
線路上に運転士への注意を促す為、「停止注意」の看板が立っている。
注意しないと忘れ去られてしまうのだろうか?

  • H13 千歳
千歳市の中心駅であるが、南千歳駅のほうが停車する特急列車の本数が多い。石勝線の普通列車はここが始発。千歳線普通列車も一部が札幌方面へ折り返す。
1980年に2面4線の重厚な作りの高架駅となった。
この駅舎は東北新幹線上越新幹線の駅舎の耐雪テストを兼ねて、新幹線規格で造られている。

  • H14 南千歳
石勝線・空港支線乗り換え。
新千歳空港開業前は「千歳空港」駅を名乗っており、同空港の連絡駅だった。
元々は千歳線と石勝線の信号場として計画されていたが、計画中に近くに空港が出来ることを知った当時の偉いさんが空港のおこぼれにあやかろうと利便性向上を測り、計画を変更した経緯がある。
千歳空港の旅客ターミナル移転後も、空港支線と特急を結ぶ重要なターミナル駅。
2020年までは快速エアポートは右側進入で当駅を発着していた。また、同時に北斗23号のみ当駅通過となり、代わりに千歳駅に停車となった。…が、利用率低迷により2021年3月改正で北斗23号(と24号)は運転取りやめに。

  • 美々信号場(旧:H15 美々
2面3線の待避可能な駅。
地図上では空港に近い駅だが…?
詳しくは当該項目参照。

2017年3月4日のダイヤ改正に伴い廃止。
信号場に格下げとなった。

  • H16 植苗
駅名の由来はアイヌ語の「ウェン・ナイ(悪い川)」だが、一体何が悪いのか理由が分からないらしい。
2024年3月改正前は一部の普通列車が通過していた。

  • H17 沼ノ端
室蘭本線岩見沢方面乗り換え。路線上では千歳線の起点駅でもある。

  • H18 苫小牧
道南有数のターミナル。室蘭本線室蘭方面・日高本線乗り換え。
北海道を代表する工業都市・港湾都市であり、本州各都市へ向かうフェリーターミナルを有する苫小牧市の代表駅。

空港支線

  • AP15 新千歳空港
同空港最寄り駅で、海峡線海底駅廃止後はJR北海道唯一の地下駅。

かつて存在した駅

  • 東札幌
北海道にて国鉄よりも先に電車(直流)を走らせた定山渓鉄道と接続。同鉄道は東札幌から自前の気動車で札幌まで片乗り入れ運転を行っていた。また、国鉄からも定山渓方面に臨時列車を乗り入れ運転していたこともある。廃止後、一部用地が札幌市交通局に流用されている。

  • 月寒
駅名は旧来の読み方である「つきさっぷ」であったが、現在は「つきさむ」と読む。旅客営業廃止後もアサヒビール工場の貨物線として存続したが廃止。

  • 大谷地
廃線後昭和50年代にはホーム跡も残されていたほど放置されていた。因みに地下鉄東西線にも同名の駅があるが、この駅とは離れている。

今後の計画

新千歳空港新駅案

新駅案ではあるが、空港支線を複線にして本線へ吸収するため頭端式の現駅を廃止し、双方向へ行き来可能な駅を新たに作るという結構な大工事である。
千歳線は北海道屈指の過密路線だが、信号設備が追いついておらず車両もそれに比して少なくそれらを改善する費用もない。
しかしこちらであれば国から補助が出るため、それで賄えるというのが理由である。
実現すれば室蘭本線・石勝線への列車も空港アクセスが担えるため、空港アクセス列車を大幅に増加することができる。
平行路線となる現本線は、貨物線や新千歳空港駅に止まらない列車で使う予定である。

北海道ボールパーク駅

北広島駅から1キロほどのところに北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールド北海道」最寄りの請願駅を設ける計画。
エスコンフィールド北海道は「北海道ボールパークfビレッジ」の一角をなしており、ファイターズの本拠地となる上、札幌ドームでライブができないという一流アーティスト達によるコンサート需要も満たせ、周辺に数多くの商業・レジャー施設、果ては大学の移転も決定したとあって相当な乗降客数が見込まれる。
そしてJR北海道による検討・調査の結果、外側2線を通過線、千歳駅側に引き上げ線1線を設けた1面4線の駅を最短で2028年春の開業を目指して建設することが発表された。
…が、その後計画の見直しが実施され、建設費を圧縮し駅構造は相対式ホーム2面4線となり、既存の上下線を本線(通過線)とし、上下線の外側にホーム付きの待避線を設ける設計に代わり、開業予定も短縮された。
結局新球場開業には間に合わなかったため、当分は北広島駅を改修して対応する(上述の変更に伴い引き上げ線の設置計画がある)。


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最終更新:2025年04月16日 15:11
添付ファイル

*1 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/ec/721.jpg 日時:2016/01/03

*2 JR北海道の路線で全線電化されたのは当線以外では海峡線、非電化区間が廃止という形で全線電化となった路線は江差線(現:道南いさり火鉄道線)、学園都市線)がある