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百鬼夜行抄

登録日:2014/05/28 (水曜日) 22:58:30
更新日:2026/07/01 Wed 12:38:03
所要時間:約 5 分で読めます




飯嶋律……彼は無き祖父・飯嶋蝸牛から不思議な力を受け継いだ。

それは普通の人には見えない「妖魔」を見る力。

しかし見えるだけで他には何の力も無い。

律が様々な妖魔と出会うことで物語は展開していく。

恐怖とユーモアを絶妙にブレンドしながら……





百鬼夜行抄とは「Nemuki+」で連載中の今市子の漫画およびそれを原作としたテレビドラマ、テレビアニメ。
1995年に連載開始。現在単行本32巻、文庫本21巻まで連載中。

2007年にテレビドラマ化。全9回だが、DVD版では未放送3話が追加されている。
2026年4~6月、5分枠のショートアニメで全12話が放送された。単行本第2巻「目隠し鬼」の漫画そのものを基に制作されている。


ジャンル的には伝奇、オカルト、ホラー系。また、ミステリーの要素も含んでいる。
分かり易く言うと家が妖怪屋敷と化した『サザエさん黒さ5割増しの『夏目友人帳』。あるいは『夏目友人帳』と『xxxHOLiC』を足して割った感じ。
妖怪も登場するが、河童のようなメジャー所が頻出する作風ではない。どちらかと言えば幽霊が登場する話が多い。
人が死んだりバッドエンドの話も結構あるので苦手な人は注意。基本的に1話完結。しかし、背後で大きな物語がゆるやかに展開されていることもある。
なお第1話と2話目以降とでは設定に大きな矛盾があるが、これは第1話は連載前の読み切りだったため。なので大目に見てほしい。



登場人物

  • 飯嶋 律
本作の主人公。飯嶋蝸牛(飯嶋伶)の孫。幼い時から非常に強い霊感を持っており、霊や妖怪と意思疎通ができるが、それが原因で厄介ごとに巻き込まれることや、命にかかわるような危機に陥ることも多い。幼少期は魔除けとして女の子の格好をしていた。
連載開始時は高校生。作者が大勢の生徒と沢山の机と椅子の脚を描きたくなかったので幼少のころから妖怪に振り回される生活を送っていたためまともな学生生活を送れず、友人はほとんどいなかった。産まれて初めての友達は幽霊。
連載が続くにつれ受験生になったが、妖怪の起こした事件に関わったことで大学受験を受けられなくなり浪人する羽目になった(もっとも律の成績は散々たるものだったので結局落ちた可能性が高いが……)。
浪人の後、晶と同じ恵明大学に通う大学生になったが、在学中に医療事故絡みで3ヵ月間昏睡してしまい留年する。
従姉の司への恋愛感情については否定しているが、司が男と仲良くしている場面を見ると機嫌が悪くなり、司がどこかに出かける際にはなんやかんや理由をつけてついていく。
律の女性関係は相手が全てゲストキャラ、しかもエピソードの後味が良くても悪くても強烈な霊現象絡みなので律自身の方が長く付き合いを持ちたくはない模様。
ボケキャラが多い本作品では貴重なツッコミキャラだが、怪異現象に全く動じずに冷静に対処するさまは結構シュール。


  • 青嵐
律の父親、孝弘の体に住みついているの姿をした式神。本体は龍だが人型の姿も持つ*1
蝸牛の一番の使い魔で蝸牛の命によって現在は律の生命を守護している。
とんでもない大喰らいで、人間と同じ食事もとれるがどちらかというと妖怪を食べることを好んでいる。ただし契約を理由に人間(人間だった怪異を含む)だけは食べられないらしい。
前述のとおり律の生命を守護しているが律の使い魔というわけではないので、律が危険にさらされない限りは律の命に従うことはない。
もっとも律が何らかの事件に関わった際は危険にさらされるか、青嵐に妖怪を食べるチャンスがある場合がほとんどなので成り行きで律と共に事件に関わることが多い。
また肝心なところでドジを踏むことも多く、律を危険に晒してしまうこともしばしば。
とある一件で律との契約が解除されたものの、蝸牛との契約は消滅しておらず、飯嶋家の環境は青嵐にとっても好都合なため居着いたまま。剣呑な策動が多くなり律にとっては緊張感が増しているが*2、敵対には至っていない。


  • 飯嶋 孝弘
律の父親。婿養子。律が幼少の時に蝸牛が行った術の失敗により式神に殺されてしまった。
現在その身体には蝸牛の命令をうけた青嵐が住んでおり、表向きは「心筋梗塞によって倒れ、奇跡的に息を吹き返し命は救かったが、脳に損傷を負って記憶喪失になった」ということになっている。
またまさに箸の持ち方からコツコツ覚えていく程一般知識が無い状態だった事もあり、いつもは家でひっそりと(がっつり食事をしながら)過ごしている。
なお親族から見るとかなり別人レベルで老け込んでしまっており、肉体は当然死んでいるので医療機関にかかるとその事がバレてしまうので厳禁。


  • 飯嶋 蝸牛/飯嶋 伶
律の祖父。律が5歳の時に亡くなった。怪奇幻想作家でペンネームが蝸牛、本名が伶。
幼い頃から強い霊感を持ち、独学で法術などの修練を積み、妖魔を使役するなど妖魔の扱いは天才的で、死後十数年経過した作中でも頼ってくる来訪者があったり、妖魔の界隈では依然として悪名高き存在。作中では故人だが、しばしば彼を主人公とした番外編が展開される。
反面、自らの失敗が原因で孝弘を死なせてしまうなど周囲の人を犠牲にしてしまったり、人間関係の要領の悪さもあって霊障を解決しきれず、律の世代にまで様々な後事を遺す形になってしまった面も…。
夫婦仲は晩年までラブラブだったが、最も霊能に積極的だった開を筆頭に、絹以外の子どもたちは皆「(霊能をコントロールできないと本人も周囲も危険だから)寺に入ってこい」と言われた時期があったらしく、「他の兄弟よりも自分は父に嫌われている」と思い込ませたり*3、父子関係作りが下手だった雰囲気もある。


  • 飯嶋 司
律の3歳年上の従姉。幼少期に妖怪に取りつかれてしまったことが原因で暗い性格になってしまっていたが、律が解決したことで明るくなった。
律ほど明確ではないものの、妖魔を見る力はある。律と違って霊に憑依されやすい。
物語当初は幽霊や妖怪を怖がり、平気な顔をしている律にツッコミを入れていたが、物語が進むにつれて自分もほとんど動じなくなった。慣れとは恐ろしい。
大変な酒豪というかアル中気味で酒を飲むと暴走する。
律への恋愛感情について本人は否定しているが果たして……?
とか思ってたら彼氏ができた。


  • 尾白・尾黒
小ぶりの烏天狗の姿をした妖魔。口調だけだと分かりづらいが兄妹で、尾白がメス、尾黒はオス。よく行動を共にしているが兄妹仲は悪い。
以前は律の家の向かいにある長谷川家の杉の木に尾白、秋山家の杉の木に尾黒がそれぞれ住んでいたが、住まいを失った際に起こした事件で律に懲らしめられて以来、律を勝手に主人として仰ぎ忠誠を誓っている。司は姫。
現在は2羽一緒に飯島家の庭のの木に住んでいる。ちなみにデザインモチーフは文鳥*4で、実際力の弱る昼間には普通の文鳥姿となっている。
ある回で尾黒が「泣く江戸時代の少年と少女」を幻視するシーンがあり、直後挿入されたその2人(実は生き別れの兄妹)の物語は、子供の家に飼われていた2羽の文鳥を拾った高尾の大天狗(尾白・尾黒の敬う大妖怪)が、彼らと遭遇する場面で終了。本鳥自身長生きのせいでどうも昔の記憶ははっきりとしないようだが、つまり2羽の過去と由来は…。
しばしば他の妖魔たちと一緒に宴会をしているが、それがきっかけで律を事件に巻き込んでしまうことも。


  • 飯嶋 絹
律の母親で蝸牛の娘。他の蝸牛の子供たちはみんな実家を気味悪がって出て行ってしまった。というかふつうそれが当たり前。夫孝弘が「生き返った」後「記憶喪失」のせいで働く事が出来なくなったため、母八重子と共に茶道や着付け等作法の先生として生計を立てている。
蝸牛や律と違い霊感はほとんどなく、妖魔を見ることもできず、夫の「中身」が蘇生後から青嵐に入れ替わった事も気づいていない。
 ……と思われているが実は気付かない振りをしていて全てを把握しているような気がしなくもないようなそうでもないような。おそらく作中で一番謎な人物。
青嵐も、妻として愛情を抱いている風は無いのだが、律相手よりずっと従順にしている描写が多い。


  • 広瀬 晶
律の従姉で律よりも7歳年上。
律と同じ恵明大学の大学院生として民俗学を専攻している。
飯島家の血筋のためかやはり霊感が強く、大学ではシャーマン呼ばわりされているが、ぼっち気味の律とは違い友人は多い。
円照寺の寺男をしている石田三郎とは相思相愛の関係だったが…。


  • 飯嶋 八重子
律達の祖母。伶との間に四男三女をもうけた*5
強力な霊能力者であった夫の蝸牛と正反対に全く霊感がない。
そのため、生家でありながら(絹以外は)子どもたちですら大なり小なり足を踏み入れたくない魔境である飯嶋家でも平然としている。
それ以外は普通の気の良いおばあちゃんと見せかけてスピード狂。普通とはとことん無縁な一家だな。



  • 円照寺の住職
ある事件で律と知り合った寺の住職。自称律の師匠。
風貌も寺の内装も相当胡散臭いがその霊感や法力は本物で術の力量も高く、律が自分だけの手に負えなくなった際には助けを求めるほど。


  • 石田 三郎
ある事件の際に律が手に入れた箱庭に取り込まれていた職人。
自分が作った箱庭に非業の死を遂げた自分の兄弟をはじめとする浮かばれない霊が宿った結果、その箱庭に取り込まれてしまった。
実際に生きていたのはかなり昔らしいが事件後も現代に存在して、円照寺で寺男兼庭師をしていて飯嶋家にも庭の手入れにやってくるように。
その後晶と知り合い恋仲になった。が、箱庭が壊れるにつれ現世に出られる実体が薄れていき、最終的に木彫りの鶏を依り代にしてニワトリに転生。飯嶋家の庭で飼われるようになった(晶には知らされていない)。


  • 赤間/鬼灯
妖怪。外見は赤い髪をした青年の姿だが、髪の毛の中に目玉をいくつか隠し持っている。
かつては蝸牛に付きまとっていたが、今では律に付きまとっている。
しばしば事件の黒幕として立ち回っており、蝸牛の時には異様に彼の周りに不幸が起こる原因の一つとなり、現代でも律やその周りの人間を危険な目に合わせているが、本人は遊んでいるつもりらしく、蝸牛の死を知った時には(向こうからは不幸の元凶として内心かなり忌み嫌われていたのだが…)悲しむそぶりも見せた。
ただ司には変質者に間違われてひっぱたかれたり、覗きに使っていた目玉の一つをゴキブリに間違われて叩き潰されたりとひどい目に合わされることが多く、彼女を怖がっている節がある。


  • 飯嶋 開
絹の兄(蝸牛の第五子三男)。
実年齢は40代だが、20歳の頃旅先で26年間美人の神様に幽閉され強制イチャイチャしてた神隠しにあっていたため、現世に戻った後は見た目こそ年相応に一気に老けたものの、分別は当時のまま。
蝸牛の子どもたちの中では最も霊感に優れているが、異界の存在と一定の線引をしてつきあおうとした父に対して強く関心を持ち過ぎていたことから勘当されている。
独自に式神を使役することもでき、強い霊感がありながらそれを扱う術を知らない律にアドバイスをしてくれる良き指導者
……になってくれたら良かったのだが、蝸牛の一番の使い魔であった青嵐の事を狙っていたり、職場で取り扱う曰く付き物件から厄介事を持ち込んだりと困った人。実質精神年齢は律と同年代みたいなもんだし。
ちなみに神隠しから帰還してしばらくしてから、父のように眼鏡を掛けるようになった。

  • 朝倉 水脈(みを)
故人。伶の実姉。若くして両親を喪うが、姉弟の仲は決して悪くなく互いを心配しあう姉弟だった。
しかし伶の養父(叔父)一家が相次いで死に、水脈も嫌々ながら資産家に嫁いだのを機に、伶は自分の身の回りに降りかかり続ける妖魔絡みの不吉が姉にも及ぶことを何より恐れて絶縁に踏み切った。
その後の両家は一切音信を取らず作中でも長らく「蝸牛の若い頃のエピソードのキャラ」だったが、水脈も嫁ぎ先で子宝には恵まれており、その家系が徐々に本編でピックアップされていく。もちろん霊障まみれの一族として…。
そんな子孫たちが心配なのか、90歳で亡くなった後も未だ成仏しきらず現世に干渉することがあり、その余波で律もハメられた。弟が弟なら姉も姉だった。




追記・修正は妖魔を見たことがある人にお願いします。

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最終更新:2026年07月01日 12:38

*1 元は実体を持たない風の妖魔だったが、蝸牛が龍の絵を描いて「姿」を与えた。

*2 律の夢枕に立った蝸牛は「早く追い払わなければ危険だ」と警告している。

*3 つまり子どもたちは揃ってそれなりの能力持ちだが日頃から蝸牛や開を目にしすぎて自覚不足。

*4 作者は『文鳥様と私』等実際に飼っている文鳥中心の日常漫画も連載している。

*5 末弟の浄だけは幼少時に水難事故で死亡。