百鬼夜行抄

登録日:2014/05/28 (水曜日) 22:58:30
更新日:2025/04/26 Sat 22:03:50
所要時間:約 5 分で読めます




飯嶋律……彼は無き祖父・飯嶋蝸牛から不思議な力を受け継いだ。

それは普通の人には見えない「妖魔」を見る力。

しかし見えるだけで他には何の力も無い。

律が様々な妖魔と出会うことで物語は展開していく。

恐怖とユーモアを絶妙にブレンドしながら……





百鬼夜行抄とは「Nemuki+」で連載中の今市子の漫画およびそれを原作としたテレビドラマ。
現在単行本34巻、文庫本20巻まで連載中。


ジャンル的には伝奇、オカルト、ホラー系。また、ミステリーの要素も含んでいる。
分かり易く言うと家が妖怪屋敷と化した『サザエさん黒さ5割増しの『夏目友人帳』。あるいは『夏目友人帳』と『xxxHOLiC』を足して割った感じ。
妖怪も登場するがどちらかと言えば幽霊が登場する話が多い。人が死んだりバッドエンドの話も結構あるので苦手な人は注意。基本的に1話完結。しかし、背後で大きな物語がゆるやかに展開されていることもある。
なお第1話と2話目以降とでは設定に大きな矛盾があるが、これは第1話は連載前の読み切りだったため。なので大目に見てほしい。




登場人物

  • 飯嶋 律
本作の主人公。飯嶋蝸牛(飯嶋伶)の孫。幼い時から非常に強い霊感を持っており、霊や妖怪と意思疎通ができるが、それが原因で厄介ごとに巻き込まれることや、命にかかわるような危機に陥ることも多い。幼少期は魔除けとして女の子の格好をしていた。
連載開始時は高校生。作者が大勢の生徒と沢山の机と椅子の脚を描きたくなかったので幼少のころから妖怪に振り回される生活を送っていたためまともな学生生活を送れず、友人はほとんどいなかった。産まれて初めての友達は幽霊。
連載が続くにつれ受験生になったが、妖怪の起こした事件に関わったことで大学受験を受けられなくなり浪人する羽目になった(もっとも律の成績は散々たるものだったので結局落ちた可能性が高いが……)。
浪人の後、晶と同じ恵明大学に通う大学生になった。
従姉の司への恋愛感情については否定しているが、司が男と仲良くしている場面を見ると機嫌が悪くなり、司がどこかに出かける際にはなんやかんや理由をつけてついていく。
ボケキャラが多い本作品では貴重なツッコミキャラだが、怪異現象に全く動じずに冷静に対処するさまは結構シュール。


  • 青嵐
律の父親、孝弘の体に住みついている龍の姿をした式神。本体は龍だが人型の姿も持つ*1
蝸牛の一番の使い魔で蝸牛の命によって現在は律の生命を守護している。
とんでもない大喰らいで、人間と同じ食事もとれるがどちらかというと妖怪を食べることを好んでいる。ただし契約を理由に人間だけは食べられないらしい。
前述のとおり律の生命を守護しているが律の使い魔というわけではないので、律が危険にさらされない限りは律の命に従うことはない。
もっとも律が何らかの事件に関わった際は危険にさらされるか、青嵐に妖怪を食べるチャンスがある場合がほとんどなので成り行きで律と共に事件に関わることが多い。
また肝心なところでドジを踏むことも多く、律を危険に晒してしまうこともしばしば。


  • 飯嶋 孝弘
律の父親。婿養子。律が幼少の時に蝸牛が行った術の失敗により式神に殺されてしまった。
現在その身体には蝸牛の命令をうけた青嵐が住んでおり、表向きは「心筋梗塞によって倒れ、奇跡的に息を吹き返し命は救かったが、脳に損傷を負って記憶喪失になった」ということになっている。
肉体は当然死んでいるので医療機関にかかるとその事がバレてしまうので厳禁。


  • 飯嶋 蝸牛/飯嶋 伶
律の祖父。律が5歳の時に亡くなった。怪奇幻想作家でペンネームが蝸牛、本名が伶。幼い頃から強い霊感を持ち、独学で法術などの修練を積み、妖魔を使役するなど妖魔の扱いは天才的であったが、自らの失敗が原因で孝弘を死なせてしまうなど周囲の人を犠牲にしてしまうことも多かった。作中では故人だが、しばしば彼を主人公とした番外編が展開される。


  • 飯嶋 司
律の3歳年上の従姉。幼少期に妖怪に取りつかれてしまったことが原因で暗い性格になってしまっていたが、律が解決したことで明るくなった。
律ほど明確ではないものの、妖魔を見る力はある。律と違って霊に憑依されやすい。
物語当初は幽霊や妖怪を怖がり、平気な顔をしている律にツッコミを入れていたが、物語が進むにつれて自分もほとんど動じなくなった。慣れとは恐ろしい。
大変な酒豪というかアル中気味で酒を飲むと暴走する。
律への恋愛感情について本人は否定しているが果たして……?
とか思ってたら彼氏ができた。


  • 尾白・尾黒
小ぶりの烏天狗の姿をした妖魔。兄妹で、尾白がメス、尾黒はオス。よく行動を共にしているが兄妹仲は悪い。
以前は律の家の向かいにある長谷川家の杉の木に尾白、秋山家の杉の木に尾黒がそれぞれ住んでいたが、住まいを失った際に起こした事件で律に懲らしめられて以来、律を勝手に主人として仰ぎ忠誠を誓っている。司は姫。
現在は2羽一緒に飯島家の庭の桜の木に住んでいる。ちなみにデザインモチーフは文鳥。
ある回で尾黒が「泣く少年と少女」を幻視するシーンがあり、直後挿入されたその2人(実は生き別れの兄妹)の物語は、子供の家に飼われていた2羽の文鳥を拾った高尾の大天狗が彼らと遭遇する場面で終了。つまり2匹の過去は…。
しばしば他の妖魔たちと一緒に宴会をしているが、それがきっかけで律を事件に巻き込んでしまうことも。


  • 飯嶋 絹
律の母親。蝸牛の娘。他の蝸牛の子供たちはみんな実家を気味悪がって出て行ってしまった。というかふつうそれが当たり前。
蝸牛や律と違い霊感はほとんどなく、妖魔を見ることもできず、青嵐の事も気づいていない。
 ……と思われているが実は気付かない振りをしていて全てを把握しているような気がしなくもないようなそうでもないような。おそらく作中で一番謎な人物。


  • 広瀬 晶
律の従姉で律よりも7歳年上。
律と同じ恵明大学の大学院生として民俗学を専攻している。
飯島家の血筋のためかやはり霊感が強く、大学ではシャーマン呼ばわりされているが、ぼっち気味の律とは違い友人は多い。
円照寺の寺男をしている石田三郎とは相思相愛の関係。


  • 飯嶋 八重子
律達の祖母。強力な霊能力者であった夫の蝸牛と正反対に全く霊感がない。
そのため、生家でありながら(絹以外は)子どもたちですら大なり小なり足を踏み入れたくない魔境である飯嶋家でも平然としている。
それ以外は普通の気の良いおばあちゃんと見せかけてスピード狂。普通とはとことん無縁な一家だな。



  • 円照寺の住職
ある事件で律と知り合った寺の住職。自称律の師匠。
風貌も寺の内装も相当胡散臭いがその霊感や法力は本物で術の力量も高く、律が自分だけの手に負えなくなった際には助けを求めるほど。


  • 石田 三郎
ある事件の際に律が手に入れた箱庭に取り込まれていた職人。
自分が作った箱庭に非業の死を遂げた自分の兄弟をはじめとする浮かばれない霊が宿った結果、その箱庭に取り込まれてしまった。
実際に生きていたのはかなり昔らしいが事件後も現代に存在して、今は円照寺で寺男兼庭師をしていて飯嶋家にも庭の手入れにやってくる。
その後晶と知り合い恋仲になった。


  • 赤間/鬼灯
妖怪。外見は赤い髪をした青年の姿だが、髪の毛の中に目玉をいくつか隠し持っている。
かつては蝸牛に付きまとっていたが、今では律に付きまとっている。
しばしば事件の黒幕として立ち回っており、律やその周りの人間を危険な目に合わせているが、本人は遊んでいるつもりらしく、蝸牛の死を知った時には悲しむそぶりも見せた。
司には変質者に間違われてひっぱたかれたり、覗きに使っていた目玉の一つをゴキブリに間違われて叩き潰されたりとひどい目に合わされることが多く、彼女を怖がっている節がある。


  • 飯島 開
絹の兄(蝸牛の第五子三男)。
実年齢は40代だが、20歳の頃旅先で20年間美人の神様とイチャイチャしてた神隠しにあっていたので、分別は当時のまま。
蝸牛の子どもたちの中では最も霊感に優れているが、異界の存在と一定の線引をしてつきあおうとした父に対して強く関心を持ち過ぎていたことから勘当されている。
独自に式神を使役することもでき、強い霊感がありながらそれを扱う術を知らない律にアドバイスをしてくれる良き指導者
……になってくれたら良かったのだが、蝸牛の一番の使い魔であった青嵐の事を狙っていたり、職場で取り扱う曰く付き物件から厄介事を持ち込んだりと困った人。実質律と同年代みたいなもんだし。


追記・修正は妖魔を見たことがある人にお願いします。

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最終更新:2025年04月26日 22:03

*1 元は実体を持たない風の妖魔だったが、蝸牛が龍の絵を描いて「姿」を与えた。