ホビット 思いがけない冒険

登録日:2014/12/30 Tue 22:38:43
更新日:2024/01/24 Wed 19:15:25
所要時間:約 9 分で読めます





THE HOBBIT

AN UNEXPECTED JOURNEY









『ホビット 思いがけない冒険』はアメリカのファンタジー・アドベンチャー映画。
J・R・R・トールキンの児童文学小説『ホビットの冒険』の実写映画化第一弾である。



概要

北米・日本共に公開日は2012年12月14日。
上映時間は170分。未公開シーンも加えたスペシャル・エクステンデッド・エディションは183分。

本作は小説『指輪物語』より以前に書かれた、「中つ国」を舞台にしたトールキンの最初の作品であり、『指輪』より60年前の出来事が描かれている。
映画版の劇中でも、本シリーズにまつわる出来事をビルボとガンダルフが語っており、またビルボ自身が書き綴っていた冒険譚として登場し、その存在は示唆されていた。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』の大成功により、ピーター・ジャクソンや製作元のニュー・ライン・シネマは、劇中でその片鱗が語られていた『LOTR』の始まりである『ホビットの冒険』を、
『LOTR』に至る物語として映画化を企画していた。
しかし、ニュー・ラインとジャクソンとの間で『LOTR』興収の配分で訴訟問題が起こり長い間映画化に手が付けられず、また監督も、スケジュールの都合で『パンズ・ラビリンス』、『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロに変更されるも、結局ジャクソンが続役するなどと二転三転し、クランクインまでかなりのドタバタがあった。
※さらに、この間に『ライラの冒険』の世界的興行の失敗によるニュー・ラインのワーナーへの経営買収といったトラブルも発生している

『LOTR』同様ニュージーランドでロケを行い、撮影には3Dカメラが用いられ、48fpsのハイ・フレーム撮影により専用上映ではきめ細やかな映像を楽しめる。

コミカルでほのぼのした原作とは少々毛色が違い、シリアスな展開が多い。


物語

われわれの世界よりはるか昔の世界、中つ国(ミドル・アース)―――


その西側、『ホビット庄(シャイア)』と呼ばれる山間の集落には、「ホビット」と呼ばれる体長1メートルの小人の部族が平穏に暮らしていた。
パイプ草や美味しいビールを楽しみながら、気ままに生きていくのが彼らの習性。
その中の、御年111歳という長寿を今日迎えるビルボ・バギンズもその一人。
彼は、自分の人生を変える出来事となった、60年前の大冒険を思い起こす。

60年前、その日まで、ビルボはホビット庄の中で、平穏だが変わりばえのない毎日を過ごす一人のホビットに過ぎなかった。
だが、魔法使いのガンダルフと、13人のドワーフが家にやってきたことにより、その日常は一変する。
彼らドワーフ達は、かつて"はなれ山"に金品豊かな王国を築いていたが、竜の襲来により国を追われた身だった。
そして今、王国の奪還を目指しており、そのために必要な「忍びの者」として、ビルボをスカウトしに来たのだ。
竜が支配する国へ向かう旅、と聞き怖気づくビルボ。平穏な日常を守るため断ろうとするが、ガンダルフは「世界のことも知らずに一生を終えるのか」と問いただす。
…ついに決心したビルボは、一度は断り、出立してしまった彼らの後を、少ない荷物を持って追うのだった。

こうして、ビルボと13人のドワーフ、そしてガンダルフの冒険が始まる。
彼らを待ち受けているのは、凶暴なトロルやおぞましいゴブリン、険しい山道にオークの群れといった様々な試練。
そして、その旅の最中で、ビルボは自分の運命を永遠に変えてしまうモノと出会う…。



登場人物

≪旅の仲間≫
◆ビルボ・バギンズ
演:マーティン・フリーマン(老年:イアン・ホルム)/吹き替え:森川智之(山野史人)
今回の主人公にして、『指輪』主人公フロドの養父。
今でこそ飄々とした好々爺だが、かつては優しく保守的だが実は情熱的な冒険心も秘めている若者であった。
ガンダルフから旅路への同行を頼まれ、いやいやながらも?出立するが、慣れない旅と次々と襲いかかる敵と戦えず四苦八苦。
しかし、「なぞなぞ」等の機転を利かせ、次々とピンチを乗り切る。

◆ガンダルフ
演:イアン・マッケラン/吹き替え:羽佐間道夫
ご存知魔法使い(イスタリ)の、「灰色のガンダルフ」。
今も昔も相変わらずのお茶目じいさん。そしてやっぱり物理攻撃最強。
偶然ドワーフの王子トーリンと出会ったことから彼らの王国復興の手助けをすることになり、かつて交流のあったホビットの夫妻の息子・ビルボに白羽の矢を立て、「忍びの者」として推薦。彼を冒険へと誘う。
オークやトロルの活動の活発化を知り、「ある存在」の復活を危惧し、旅の一方で別行動をとるが…。

【ドワーフ一団】
◆トーリン・オーケンシールド
演:リチャード・アーティミッジ/吹き替え:東地宏樹
"はなれ山"のドワーフの王国「エレボール」の王子にして、現在の王。イケメンドワーフその1。
故郷を巨竜に滅ぼされ、流浪の民となったドワーフ達を率い、青の山脈にて集落を築き上げた。
ガンダルフとの出会いにより王国の奪還を決意し、側近の兵士ら12人を連れ、"はなれ山"を目指して旅に出る。
屈強なる戦士・ドゥリンの魂を受け継ぐ者であり、誇り高く責任ある王として家臣らの人望も厚い。
樫の木の盾を愛用し「オーケンシールド(樫の盾)」の名字をいただいている。
当初は、ロクに戦力にならず旅にも慣れていないビルボを鬱陶しく思っていたが…。

◆フィーリ
演:ディーン・オゴーマン/吹き替え:落合弘治
トーリンの甥っ子で、彼に忠実な家臣。イケメンドワーフその2。
まだ若者な方で快活だが経験浅い。

◆キーリ
演:エイダン・ターナー/吹き替え:土田大
フィーリの弟。イケメンドワーフその3。
ドワーフの中では最年少。野心に満ちた若造じみた性格。

◆バーリン
演:ケン・ストット/吹き替え:稲垣隆史
メンバー最年長の長老ポジション。
知恵に富んだ助言で、トーリンから絶大な信頼を得ている。

◆ドワーリン
演:グレアム・マクダビッシュ/吹き替え:玄田哲章
バーリンの弟。
屈強な身体に血気盛んで好戦的な性格の持ち主。大のエルフ嫌い。

◆オイン
演:ジョン・カレン/吹き替え:小島敏彦
契機や場の流れを読む天才で、一団の軍師ポジション。
薬草学にも長けており、医療担当でもある。

◆グローイン
演:ピーター・ハンブルトン/吹き替え:稲葉実
オインの弟。旅の会計担当。
正義感が強く頑固な性格。後の指輪の旅の仲間となる息子がいる。

◆ボフール
演:ジェイムス・ネスビット/吹き替え:平田広明
楽天的で常に呑気に構えている変わり者。
音楽が好きで宴会では大騒ぎする。

◆ボンフール
演:スティーブン・ハンター
ボフールの弟。
食いしん坊で食べるのが大好き。作中では無口。

◆ビフール
演:ウィリアム・キルシャー/吹き替え:多野田曜平
ボフールの従兄弟。
頭にゴブリンの斧が突き刺さっており、その後遺症で言葉を上手く喋れない。

◆ドーリ
演:マーク・ハドロウ/吹き替え:茶風林
三兄弟の長男。
世話焼き気質で何かと口うるさい。物腰は紳士的だが剛力の持ち主で
割りとすぐに喧嘩腰になる。

◆ノーリ
演:ジェド・ブロフィー/吹き替え:佐藤せつじ
三兄弟の次男。
傍目からは何考えてるか分からない不思議系。ヒトデ型の頭が特徴。

◆オーリ
演:アダム・ブラウン/吹き替え:宮田幸季
三兄弟の三男。
礼儀正しく引っ込み思案。読書が趣味。


≪白の会議≫
◆エルロンド
演:ヒューゴ・ウィーヴィング/吹き替え:菅生隆之
エルフの隠れ里・裂け谷の領主。
ガンダルフとは互いを信頼し合っており、トーリン一行にも協力的。
だが竜の存在などから、彼らの目論見が成功する可能性については疑問視している。

◆サルマン
演:クリストファー・リー/吹き替え:家弓家正
魔法使い最高位の賢者「白のサルマン」。
闇の軍勢と戦う第一人者であり、高貴な潔白に満ちた人物。
王国の奪還を「無謀」と言い切り、ガンダルフを非難する。
かつての凶悪の復活には、エルロンド共々眉をひそめる。

◆ガラドリエル
演:ケイト・ブランシェット/吹き替え:塩田朋子
エルフの深い森・ロスロリアンの女王。
白の会議の中では特に影響力の大きい人物であり、ガンダルフに絶大な信頼を寄せる。
ドル・グルドゥアの異変に、中つ国全体を揺るがす大きな脅威を感じている。


≪その他・中庸の人々≫
◆ラダガスト
演:シルベスター・マッコイ/吹き替え:野島昭生
ガンダルフの同僚である魔法使い「茶色のラダガスト」。
森の中で動物と共に暮らし、自然を愛でる自由人。すごいウサギを飼っている。
ドル・グルドゥアを発端に起こった動物達の異変をガンダルフに伝える。
サルマンからは信用されていないらしく、「パイプ草の吸い過ぎ」だの散々言われている。

◆ゴラム
演:アンディ・サーキス/吹き替え:チョー
霧ふり山脈の洞窟の最深部に棲みついている奇妙な生物。
疑り深く陰湿な性格で、ゴブリンや魚を餌にして飢えをしのいできた。
「いとしいしと」なる光るものを大切にしており、それに執着している。

◆フロド・バギンズ
演:イライジャ・ウッド/吹き替え:浪川大輔
現在パートでのみ登場。
ご存知ビルボの養子。ビルボの誕生パーティーの準備中。

◆大鷲の王
ガンダルフに救援を求められて力を貸すために眷属を伴って現れた大鷲。


≪闇の軍勢≫
◆アゾグ
演:マヌー・ベネット
霧ふり山脈に棲むオークの首領であり、「穢れの王」や「鉛色の肌のオーク」といった異名を持つ。
トーリンの祖父・スロール王を殺し、その際トーリンに左腕を切り落とされており、以来因縁の関係となっている。
…というのは映画オリジナル設定で、原作ではほぼ全く出てこない(物語開始時点で既に死亡している)。

◆トロール
オークに使われている巨人の部族。太陽の光が弱点。道行く旅人を襲って餌としていた。
LOTRでは凶暴な怪物でしかなかったが、今作ではまた違った一面を見ることができる。
一行を捕らえて晩飯にしようとするが、持ち前の頭の悪さゆえにビルボの機転に振り回される。

◆ゴブリン
霧ふり山脈の坑道に拠点を置いているオークの亜種の種族。
迷い込んだ旅の仲間達を生け捕りにする。

◆死人遣い
廃墟ドル・グルドゥアに潜伏している謎の存在。
「モルグルの刃」を扱うことから、かつての人間の王の霊である"アングマールの魔王"ではないかと疑われるが…。




用語集

◆エレボール(はなれ山)
中つ国の東側に位置する湖の近くにある山。
本来エレボールとはこの山を指す言葉であり、洞窟内には巨大なドワーフの王国が存在していた。
その名の通り、周囲の山脈から離れており遠方からでも容易に判別できる。
地下には溢れんばかりの鉱物資源が眠り、それを採掘・加工して築き上げた富で栄華を誇ったが、巨竜「スマウグ」の襲来により壊滅・占拠され、ドワーフは故郷を追われることとなった。

◆アーケン石
"はなれ山"の地下から掘り出された宝石で、「山の精髄」とも呼ばれる。
ドワーフの王の証であり、巨竜スマウグに奪われた宝の中でも随一のもの。

◆スティング
トロルの巣穴で見つかったエルフの剣で、以後ビルボの愛剣となる。ゴブリンやオークが近付くと青く光って警告する。
小ぶりだがエルフが鍛えた武器であり、オークやゴブリンに対して特に有効であるほか、大抵のものは易々と貫く業物。
本作の時点ではまだ無銘の剣だが、後にビルボによって「スティング(つらぬき丸)」と名付けられる。

◆オルクリスト
トロルから入手したエルフの剣の1本。トーリンが装備。その名はエルフ語で「ゴブリン殺し」を意味する。
かつて数多のゴブリンを切り裂いたとされ、見ただけでゴブリン達が震え上がる名剣。
ゴブリン達からは憎しみを込めて「かみつき丸」の異名で呼ばれている。
原作ではスティングと同様オークに反応して刀身が光るとされているが、本作ではそのような演出は無い。

◆グラムドリング
トロルから入手したエルフの剣の1本。名はエルフ語で「敵くだき」の意。
かつてエルフの王が用いたという伝承の武器のひとつ。
この旅で発見されて以後ガンダルフが装備し、以後もガンダルフの手にあり続けた。(LOTRでガンダルフが使っているのもこの剣である)
ゴブリン達からは「なぐり丸」と呼ばれ、なぜかオルクリストより強く憎まれているとされる。
原作ではスティングと同様オークに反応して刀身が(ry

◆モルグルの刃
幽鬼が使う剣で、LOTRにおいて魔王がフロドを刺した剣と同じもの。モルグルは「黒き呪い」を意味する言葉。
この剣で傷つけられたものは徐々に蝕まれ、苦しんだ末に幽鬼に成り果てる。
魔王の固有の武器か、複数存在するのか等の詳細は不明。

◆白の会議
ガンダルフ、サルマン、エルロンド、ガラドリエルで構成された、中つ国の最高権威を持つ者達による、世界の平和維持を目的とした議会。
ドワーフたちがエレボールの奪還を目指していることを察知したサルマンが招集した。
原作では詳しい描写が無く、映画版で追加された場面のひとつ。サルマンに説教されて意識が朦朧とするガンダルフは必見。
おまけにこのときガンダルフはサルマンの話に一切耳を貸さずガラドリエルとテレパシーで会話していた。それでいいのか白の会議。

◆霧ふり山脈
年中雪を頂く巨大な山脈。
山道は常に吹雪いておりただでさえ険しい道のりのうえ、迷惑なことに岩の巨人の喧嘩に巻き込まれたりするので非常に危険。
また、地下にはゴブリンが支配している洞窟も広がっている。

◆魔法の指輪
ゴラムが大切にしている金色に輝く「一つの指輪」。
はめると死者の世界に転移し周りから姿が見えなくなる。
ビルボが偶然奪ってしまうが、その収穫が後の中つ国の命運を左右するとは、この時の彼には知る由もない…。












To be continued to

THE HOBBIT


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 映画
  • 洋画
  • ファンタジー
  • ロード・オブ・ザ・リング
  • 指輪物語
  • トールキン
  • ピーター・ジャクソン
  • マーティン・フリーマン
  • ホビット
  • ドワーフ
  • ホビットの冒険
  • 思いがけない冒険
  • 前日譚
  • AUJ
  • 全ての始まり
  • なぞなぞ
  • ドワーフだらけ
  • 寿司詰め
  • 13人のドワーフ
  • 情け
  • ニュー・ライン・シネマ
  • リチャード・アーミテージ
  • イアン・マッケラン
  • ワーナー・ブラザース

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月24日 19:15