参謀・知恵袋ポジション

登録日:2020/02/09 Sun 15:15:36
更新日:2025/03/19 Wed 20:03:58
所要時間:約 5 分で読めます





「ひ~ん知恵袋!!怖かったよ~」

「くそっ!!知恵袋、キサマの策略かっ」

「‥‥って私のことか!?」

海の大陸NOA第16話 Born in the 大地より


皆さんはフィクション作品を堪能していて、ふと思ったことがないだろうか?
大抵の作品は味方側か敵側のどちらかに1人は頭脳派キャラがいると。

●目次

【概要】

元来「参謀」というのは、主に軍隊での作戦立案・指揮・情報収集といった分野において高級指揮官の補佐に当たる将校を意味する単語だった。
現在では、スポーツや経営のような場でトップの人間に助言や情報を与えて、作戦を共に組んだりすることに特化した立場の人をそう呼んだりする。

そして「知恵袋」という言葉には様々な意味があるが、某質問サイトを思い出した方も多いのでは?
今回はその内の一つ「集団の中で一番知恵のある人物」という部分にフォーカスしたい。

実際には必ずしもグループの中で一番賢い人間が参謀役を務めるとは限らないものの世に生み出された作品の多くは、
チーム随一の知恵を持つキャラクターがそういったポジションに就いているので(もちろん全てがそうではないが)やや強引ながら本項では同時に扱わせて頂く。



【主な特徴】

まず大抵このような役割を担うキャラは、一体どれだけ賢いのかということを手っ取り早く示すための設定やエピソードなどが用意されている。
例としては、一度読んだだけで本の内容を暗記する、複雑な計算を一瞬で解く、学力テストで学年1位に輝く、様々なジャンルのことに博識、などといった具合だ。
他にもキャラの知能をIQを用いて説明することもある。現実の人間のIQは一般的に100ちょっとであり、トップクラスの人でもせいぜいIQ200程度なのだが、フィクション世界の住人は200どころか300、400…下手すりゃ1000を超えるケースも散見される。一体こんな数字をどうやって算出してるのかな?
この辺は博士/発明家キャラとの共通点も多く、兼任することもある。

そういった感じであまりに知能が高すぎるため周りと上手くやっていけずに孤立するパターンも。
善人側のキャラであるなら主人公達と出会うことによって初めて心を許せる友達を得ることになるし、悪役側のキャラだと敵組織に拾われてその才能を悪事に傾けることとなるだろう。
天才故の苦悩というテーマは割と普遍的な物と言える。

そしてバトル物、戦争物の作品の場合は非戦闘員として裏方に徹することもあれば、自陣で控えるリーダーに代わって前線で指揮を行うことも多い。
おおよそ自分自身が戦闘を行うと、単なる頭でっかちで実戦ではあまり強くはないという展開が多々見られる。もし仮に「貴方がワタクシに勝てる確率は〇〇パーセントです」などという感じの台詞を吐くスカした敵が現れたら十中八九、主人公達の奇策で裏をかかれるか、酷い時には単なる力押しで策を破られて敗北するであろう。
他方、そういう頭でっかちな知性派キャラが主人公の仲間であるならば、様々な経験を積んでより良い策を練れるように成長していくかもしれない。*1

逆にその類まれなる智略を活かして、スマートな戦い方で相手を翻弄するパターンも決して珍しくはない。その手の優秀な人物であっても、大抵パワー・フィジカルにはあまり恵まれず、搦手を用いたテクニカルかつトリッキーな頭脳プレーを好む傾向にあるようだ。

また参謀という立場上、周囲に指示を送ることが日常になりがちなので、リーダーが不在あるいは死亡した時などには、必然的に代理でメンバーをまとめる立場になるわけだが、
そうするとカリスマ・胆力・威厳・戦闘力などの資質が当人に欠けているのが災いして皆を上手く統率出来ず、結果的に様々なアクシデントが生じるような事例もしばしば観測される。士気の低下や内輪揉めはその典型と言えよう。

しかしながら己の才覚に信を置き、組織の方針に不満があるためボスを裏切って、自分がトップに取って代わるという悪役なんぞフィクションでは古来よりざらにある話。
そういう場合はもう組織全体もボスを見限ってその参謀の方が信頼されていたり、そこまでは行かなくてもボスと参謀それぞれの側に派閥が分かれていたりすることが多い。
ちなみに現実の歴史でもこうした有力家臣がクーデターを起こしたり、実質組織を乗っ取ってしまった例は山ほど存在する上、それを恐れて主君が有力家臣を粛清し、自分で組織をダメにした実例も枚挙に暇がない。

他には、最初からボスを意のままに裏から操っていた真の黒幕だったとか、参謀がボスと諍いを起こしている間に劣勢な主人公サイドがその隙に付け込むなんて展開も時折見受けられる。



【登場させる上でのリスク】

幅広い知識を持っており戦術眼にも優れているという設定の都合上、他のキャラが口にした疑問(=読者&視聴者が抱く疑問)に的確な答えを提示するという言わば解説役を負わせることが出来るので、作品の作り手にとっては便利なキャラである一方、描くのが難しい一面もやはり少なからずあったりする。
作中で謎にぶち当たった時に真相を見抜いたり、事態を打開するための作戦を立てたりする役目を一人に集中させ過ぎてしまうと「これこの人が賢いんじゃなくて周りの皆がおバカさんなだけなんじゃ?」という風に捉えられかねない危険性が存在するのだ。それが単純で分かりやすいレベルの物なら尚の事。
かといって周囲の面々をあまり利口にすると今度は、折角のポジションなのに存在意義が薄れてしまう。何とも難儀な…。

そしてある意味最もめんどくさい点として、そいつに説明させたい事柄を誰よりも作者が把握しなくてはならないということが挙げられよう。
説明という物は自分で理解可能な限界を超えない程度の内容でしか出来ないため、話作りのハードルが自然と上がってしまうのである。
キャラ本人の能力はもちろん、このポジションのキャラを活躍させるストーリー展開も含め、作者自身(または監修などの近しい人物)の頭脳を上回るキャラは描けないという当然の制約が発生することになる*2
もちろん、一口に頭の良さと言っても色々と方向性があるため「作者より知識が豊富なキャラ」や「作者より頭の回転が速いキャラ」を用意するのはさほど難しくはない*3
この問題を言い換えるのならば「作者の用意できる結論より優れた結論を出すことができない」ということになる。この一点ばかりはどうしようもないため「頭の良いキャラ」を描くためには結論に至るまでの過程を工夫することで、上手に賢さを見せる必要が出てくる。それはそれで作者に別ベクトルの頭の良さが必要とされるのが難しいところ。
このあたりの描写に失敗すると「参謀・知恵袋ポジションのキャラが賢いのではなく周りがバカなだけじゃないか」と言われることになる。
この設定を単なるキャラ付けに留めず、本気で活かそうと思うと作者の地頭の良し悪しが露呈する……これがある意味最も高いハードルと言えるかもしれない。
ギャグ要素が強い作品なら「説明を全くしないがとにかく彼が計略を立てれば成功する」タイプとして描く手も一応あるにはあるが。

こんな感じで色々と扱いが大変な立ち位置のキャラクターではあれど、魅力的な人物が沢山いることも間違いない。
今後も彼らには自分のチームを支えるため脳みそフル回転で頑張って欲しい所。



【該当すると思われるキャラ】

※適宜追加お願いします

◆漫画・アニメ・人形劇・ラノベ・文学

キャラクター 作品名 備考
ムスカ 天空の城ラピュタ
副官マイスター 戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー
情報参謀サウンドウェーブ
イカトンボ軍師スラスト 超ロボット生命体 トランスフォーマー マイクロン伝説
風祭鷹介/ブルーガンバー 元気爆発ガンバルガー
ハル・キング 勇気爆発バーンブレイバーン
ボーちゃん クレヨンしんちゃん
灰原哀 名探偵コナン
ラム
羽田秀吉
煉骨 犬夜叉
カール・P・アッチョ うえきの法則
真木司郎 絶対可憐チルドレン
アルミン・アルレルト 進撃の巨人
グスタフ
アンカ・ラインベルガー
J/神崎潤 BLOODY MONDAY
クルル曹長 ケロロ軍曹
猪八戒 最遊記シリーズ
你健一/烏哭三蔵法師
泉光子郎 デジモンアドベンチャーシリーズ
アンドロポフ BLUE DRAGON、BLUE DRAGON 天界の七竜
ベルペオル 灼眼のシャナ
ジャン・コルベール ゼロの使い魔
リリルカ・アーデ ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
フランキー・フランクリン SPY×FAMILY
水野亜美/セーラーマーキュリー 美少女戦士セーラームーン
海王みちる/セーラーネプチューン
大気光/セーラースターメイカー
ケント パウ・パトロール
スカイ
タルボット船長
柿助 鬼灯の冷徹
熊猫イクゾウ トミカ絆合体 アースグランナー
ジャイロン
ブレーキー
パフパフ
呉用 ジャイアントロボ
策士 諸葛亮孔明 ジャイアントロボ 地球の静止する日
真田史郎 宇宙戦艦ヤマト
水無月かれん/キュアアクア Yes!プリキュア5/〃GoGo!
カワリーノ Yes!プリキュア5
月影ゆり/キュアムーンライト ハートキャッチプリキュア!
ジョーカー スマイルプリキュア!
ディープミラー ハピネスチャージプリキュア!
海藤みなみ/キュアマーメイド Go!プリンセスプリキュア
オルーバ 魔法つかいプリキュア!
有栖川ひまり/キュアカスタード キラキラ☆プリキュアアラモード
エリシオ
バトラー トロピカル~ジュ!プリキュア
坂本雄二 バカとテストと召喚獣
木手英一 キテレツ大百科
本多・正純 境界線上のホライゾン
織田信長 ドリフターズ
シュウ・ビ バック・アロウ
冬月コウゾウ ヱヴァンゲリヲン新劇場版
O.J. がんばれタッグス
トビー 汽車のえほん/きかんしゃトーマス
アースラ リトルマーメイド
インクリング すすめ!オクトノーツ

少年ジャンプ原作

キャラクター 作品名 備考
ピッコロ ドラゴンボール
ザーボン
ブラック補佐
ソルベ
ミス・オールサンデー/ニコ・ロビン ONE PIECE
サボ
つる
奈良シカマル NARUTO‐ナルト‐
BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS
奈良シカク
薬師カブト
千手扉間
ゼツ
石田雨竜 BLEACH
伊勢七緒
ユーグラム・ハッシュヴァルト
武市変平太 銀魂
阿伏兎
伊東鴨太郎
佐渡島方治 るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-
呉黒星
クラピカ HUNTER×HUNTER
シャルナーク=リュウセイ
ペギー
シャウアプフ
蔵馬 幽☆遊☆白書
妖駄
黒霧 僕のヒーローアカデミア
蛭魔妖一 アイシールド21
姉崎まもり
月島蛍 ハイキュー!!
竹林孝太郎 暗殺教室
L DEATH NOTE
ニア
海のリハク 北斗の拳
雷電 魁!!男塾
七海龍水 Dr.STONE
あさぎりゲン
西園寺羽京
ポップ ドラゴンクエスト ダイの大冒険
アバン=デ=ジニュアール3世
ザボエラ
キルバーン
篚口結也 魔人探偵脳噛ネウロ
アイ
ジェニュイン

◆ゲーム

キャラクター 作品名 備考
アポロ ポケットモンスターシリーズ
ホムラ
イズミ
カメック マリオ&ルイージRPGシリーズ
カメックババ マリオストーリー
ペーパーマリオRPG
ナスタシア スーパーペーパーマリオ
パウダネス・コナー ルイージマンション3
ウィズロ ゼルダ無双
リドリー メトロイドシリーズ
アダム(コンピューター)
アダム・マルコビッチ メトロイド Other M
ヒューベルト=フォン=ベストラ ファイアーエムブレム 風花雪月
ゲルニック将軍 ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人
賢者ホーロー ドラゴンクエストX
賢者ルシェンダ バージョン2~
魔仙卿 バージョン5
ホメロス ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて
キスティス・トゥリープ FINAL FANTASY Ⅷ
ルールー FINAL FANTASY Ⅹ
パイン FINAL FANTASY X-2
バルフレア FINAL FANTASY ⅩⅡ
バッシュ・フォン・ローゼンバーグ
イグニス・スキエンティア FINAL FANTASY XV
アーデン・イズニア
新島真 ペルソナ5
ジェイド・カーティス テイルズ オブ ジアビス
ヨシツネ ゼノブレイド2
タイオン ゼノブレイド3
佐久間次郎 イナズマイレブンシリーズ
御琴羽寿沙都 大逆転裁判
アルタイル グランブルーファンタジー
ウーノ
カリオストロ
四天王ウィストム
ダ・ヴィンチちゃん Fate/Grand Order
シャーロック・ホームズ
アズール・アーシェングロット ディズニー ツイステッドワンダーランド
イデア・シュラウド

◆小説・ドラマ・特撮・実写映画

日本制作

キャラクター 作品名 備考
X星人参謀 ゴジラ FINAL WARS
カー将軍 科学戦隊ダイナマン
地奇地奇獣アナグマス 光戦隊マスクマン
暴魔博士レーダ 高速戦隊ターボレンジャー
グラッチ 激走戦隊カーレンジャー
リッチハイカー教授
樽学者ブクラテス 星獣戦隊ギンガマン
害地副大臣ヒラメキメデス 炎神戦隊ゴーオンジャー
骨のシタリ 侍戦隊シンケンジャー
晦正影 手裏剣戦隊ニンニンジャー
カメジム 王様戦隊キングオージャー
ブレン 仮面ライダードライブ
メディック
ストリウス 仮面ライダーセイバー
真下正義 踊る大捜査線 スピンオフシリーズにも登場
鳥飼誠一
篠田真一
地居聖 SPEC 警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係事件簿
笠原義人 ホワイトアウト
ウォーレン・ギャレット ジェノサイド
犬坂毛野 南総里見八犬伝
ナルサス アルスラーン戦記
ヤン・ウェンリー 銀河英雄伝説
パウル・フォン・オーベルシュタイン

海外制作

キャラクター 作品名 備考
ハーマイオニー・グレンジャー ハリー・ポッター
ウィルハフ・ターキン スター・ウォーズ
ハックス将軍
ガーバー ダイ・ハード2
ラスティ・ライアン オーシャンズ11シリーズ
ルー・ミラー オーシャンズ8
クロエ・オブライエン 24 -TWENTY FOUR-シリーズ
トニー・アルメイダ
ガンダルフ 指輪物語ロード・オブ・ザ・リングシリーズ
バーリン ホビットの冒険/ホビットシリーズ

◆史実

該当人物 トップの人間 備考
竹中半兵衛 豊臣秀吉
黒田官兵衛
本多正信 徳川家康
伊東甲子太郎 近藤勇
西郷隆盛 徳川慶勝
伊尹 殷の湯王
太公望 周の文王・武王
張良 劉邦
陳平
范増 項羽
諸葛亮 劉備
司馬懿 曹操
荀彧
周瑜 孫権
魯粛
呂蒙
耶律楚材 チンギス・ハン
チャールズ・マクモリス チェスター・ニミッツ



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最終更新:2025年03月19日 20:03

*1 こういった現象は知恵よりも知識に偏重したキャラに起こりやすい。

*2 この課題については『バクマン。』という漫画作品で言及されている。同作は2008年から2012年まで週刊少年ジャンプにて連載されていたプロの漫画家を目指す少年達の物語である。

*3 「知識が豊富なキャラ」は、作者が各種資料をかき集めて用意した知識を最初から暗記させておけば良い。「頭の回転が速いキャラ」は作者が数週間、数ヶ月時間をかけて用意した作戦を、作中時間の一瞬で思いつかせれば良い。