バラックシップ(ウルトラ怪獣)

登録日:2015/07/18 Sat 19:23:49
更新日:2025/02/17 Mon 22:13:56
所要時間:約 5 分で読めます





バラックシップは、『ウルトラマン80』に登場した怪獣……もとい船舶である。
別名は「スクラップ(すくらっぷ)幽霊船」。

【概要】

登場:ウルトラマン80「暗黒の海のモンスターシップ」(32話)
全長:120m
重量:40000t

元の姿は15年前(本作は1980年の話と第1話で明言しているので1965年ごろ)に沈没した貨物船「クイーンズ号」
乗員が1人もいないコンピュータ制御の完全無人船であったが、マゼラン海峡を航行していた際にコンピュータでも予想できなかった氷山の出現と言う事態に遭遇し、成す術もなく激突。
そのまま海の底へ沈んでしまった。

だがコンピュータはそのまま生きており、再生を遂げて幽霊船となり復活。
『二度と氷山に負けない』体を得るため、積み荷として積載していた特殊金属や強力な磁石を利用して全身に磁力を帯び、次々に自らの周りに船舶や部品、残骸を引き寄せ、
やがて氷山に決して負けることが無い、文字通りスクラップを思わせる要塞のような姿に変貌してしまった。
そしてそのままプログラミングに従い、太平洋を横断して、目的地である「東京湾」へ向け航行し続ける。

全身の磁力は船はおろかUGMの戦闘機・スカイハイヤーやシルバーガルをも引き寄せて体の一部にし武装を使用可能にしてしまうほど強い。
全身には廃船(恐らく軍艦)から取り込んだ大量の砲塔もあり、危害を加えようとする者に容赦ない攻撃を浴びせる。
さらに船内に侵入し、自らに危害を加えようとする者を無数のケーブルで捕らえる能力をも身に着けてしまっている。
勿論コンピュータの性能は衰えておらず、あまりにも重い物体を吸収すると浮かび上がれない事を熟知した上で攻撃手段を変える事も可能。

なお、全身からは電子機器のような音が不気味に響いている。


【物語】

マゼラン海峡から蘇り侵攻を始めたバラックシップは次々と船を吸収。あちこちの船会社は操業が出来ない事態に陥り、UGMにも大量の苦情が入ってしまう。

事態の真相を探るべく、パトロールに向かったUGMの矢的猛の乗る戦闘機スカイハイヤーを操縦不能に陥れさせ吸収し、
海に落ちて気絶した彼の目の前で、最後の航路に臨んでいた山本船長の船「日生丸」を彼もろとも吸収してしまった。

他の船員は山本船長の判断で脱出に成功し、矢的も彼らに助け出されたのだが、父親の帰還を信じていた山本アキラ少年は矢的にやり場のない怒りをぶつけてしまう。
だが、そこに無事生きていた山本船長からの救助通信が入った。そこでUGMの面々もアキラ少年も、バラックシップと言う存在や怪事件の真実を知ることとなる。
しかし途中で悲鳴と共に通信が途絶えてしまった事を受け矢的隊員とフジモリ隊員はシルバーガルで救出に向かう事になった。
父に会うためにこっそり乗り込んでいた山本アキラ少年も一緒に向かう事になったが、バラックシップの強烈な磁力によってシルバーガルは頂上に吸収され引きずり込まれてしまう。
そのまま内部に突入し、コンピュータを破壊しようとした矢的隊員とフジモリ隊員であったが、バラックシップが繰り出した無数のケーブルによって縛り上げられてしまう。
そしてそこには、同様に身動きが取れない山本船長の姿もあった。


「おいコンピュータ!俺たちを離せ!お前は人間のために作られたんだろ!」
「フジモリ隊員!奴はコンピュータです!奴にとっては人間の言葉より、プログラムの方が大事なんです!」


絶体絶命の危機を救ったのは、隊員が落としていたライザーガンを持ったアキラ少年だった。
彼の射撃によってバラックシップのケーブルは千切れ、船長や矢的たちは脱出に成功。矢的はフジモリ隊員に船長とアキラ少年と共に先に脱出するように頼んだ。

その直後、UGMのスペースマミーが到着。吸収すれば重さで沈没すると計算し攻撃に切り替えたバラックシップと戦いを繰り広げられるも、圧倒的な砲撃の前に敗れ去ってしまう。
だがその時、矢的はウルトラマン80に変身。主題歌『ウルトラマン80』をバックに、最後の戦いが始まった。
無数の砲撃や吸収したスカイハイヤーやシルバーガルの攻撃で80を苦戦させたバラックシップだが、光線技によって少しずつ体が破壊されていく。
それでもなお攻撃を続けたが、最終的にサクシウム光線が直撃し大爆発。今度こそバラックシップ=クイーンズ号は、海の底で静かな眠りにつくのであった。


アキラ少年と山本船長も無事再会。
これまではずっと外洋を回る仕事だった船長もこれからは遊覧船の船長として働く事となるため、毎日息子と一緒に暮らせることとなった。
元気を取り戻し「UGMの隊員になりたい」と言うアキラ少年を、UGMの面々はにこやかに見守るのであった。


【余談】

  • バラックシップのデザインは山口修。当初から80との戦闘を所謂「飛び人形」のブロップをメインに撮影する前提でデザインされている。

  • 山本船長を演じたのは、皆様ご存じガッツ石松氏。『80』当時に放送されていた円谷プロ製作のドラマ「ぼくら野球探偵団」にもレギュラー出演していた。さらにアキラ少年を演じていたのは後に『超力戦隊オーレンジャー』でオーレッド/星野吾郎隊長を演じる事となる宍戸勝(現:宍戸マサル)氏、日生丸の乗組員の1人は東方不敗マスター・アジアの声でお馴染み秋元洋介氏と、現在の視点で見るとかなりゲストが豪華な回である。

  • 今のところ現実にクイーンズ号のような無人貨物船は現れていないが、2015年現在ロールスロイス社がドローンの技術を応用した無人貨物船計画を進めている。完全なる無人ではなく、複数の貨物船を1つの操縦室で一気に操縦する遠隔操作のような形であり、コスト削減以外にも海賊対策にもなると謳っている。ただ各地の水運業者や船主団体からは批判が相次いでおり、国際法にも航行時の最少乗員数が厳密に定められているためこういった無人船は違法状態となっている。
    とは言え、近い将来『クイーンズ号』が現実に現れる事は大いにあり得るのである。
    そして、バラックシップも……。




「恐らく、二度と荒らしなんかに絶対負けない追記・修正を身につけようとしたんだろう」

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最終更新:2025年02月17日 22:13