UGM(ウルトラマン80)

登録日:2012/09/25 Tue 13:18:44
更新日:2024/09/07 Sat 01:53:39
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UGMとは円谷プロダクションの特撮テレビドラマ『ウルトラマン80』に登場する防衛チームである。


【概要】

地球防衛軍UNDA(United Nations Defence Army)に所属する怪獣、怪奇現象の調査・対策を主とするチームであり、
Utility Government Members」の略である。
UGMを含むUNDAの基地はカナダ、アメリカ、北ヨーロッパ、中央ヨーロッパ、アジア、極東(日本)、オーストラリア、アフリカに点在する。

日本には神奈川県の厚木にある地球防衛軍基地に本部が置かれている。


【劇中での活躍】

当初は怪獣が数年間出現しなかったことからか人員は4名と少なく、キャップ以外は実戦経験も無い等、士気の低さが目立った。

しかし、キャップ自ら非常勤でスカウトした矢的猛(後に常勤)、ヨーロッパより転任したイトウチーフの加入による人員の増強が行われた。
また隊員達も度重なる戦いにより、序盤で見せた頼りなさは払拭されていった。

途中ハラダとタジマの転任によるイケダ、フジモリの加入や、城野隊員の死と見習いの星隊員の入隊を経ながらウルトラマン80と共に怪獣、宇宙人と戦いを続けていった。

しかし、オオヤマキャップとイトウチーフが80の正体が矢的である事に気付いてしまう。
そして人類自らの手で怪獣を倒す必要性を考えた結果、矢的には変身をさせず、怪獣マーゴドンにUGMのみで挑む事に。
苦戦はしたものの、マーゴドンの撃破に成功したUGMはウルトラの星に帰る事になった80=矢的、ユリアン=星涼子と笑顔で別れたのだった。


【特徴】

本チームの特徴として、リアリティやメカニックを重視した演出や描写が挙げられる。
秘密基地や滑走路要らずなメカが多かったこれまでの作品と違い、厚木にあって極端に奇抜なわけでもない基地、滑走路を走ってから離陸する戦闘機等にそれが見られる。
MAC壊滅と共に、それまで入手していた異星のオーバーテクノロジー(ZATの重力コイル等の後のメテオールと呼ばれる物)の運用ノウハウが一時的に喪失した為、既存テクノロジーを中心に戦力が組み立てられている。

特に離陸シーンは格納庫からの発進や誘導員を合成で映像に入れる、そしてスピーディーな滑走路からの離陸と、高い特撮技術を生かした素晴らしいシーンとなっている。

また、養成所のキャラクターが出てきたり、広報官や気象班のキャラクターが準レギュラーで登場したりと組織の厚みを感じられる面も多い。

しかし、ドラマ面ではかなり不遇である。
1クール目では学園ドラマが主軸なため存在感が薄く、また2クール目はUGM主体の話は比較的多いが、隊員の個人エピソードは少なく、3クール目以降はゲストキャラと矢的が中心にドラマが進むためやっぱり存在感が薄かった。

また、本作では80の活躍に主眼が置かれたのか自力で倒した怪獣が殆ど無く、さらにウルトラマンへの援護すら少なかった。

しかし、そんなUGMだからこそ上記のように最終回で見せた決意と活躍は素晴らしいものであった。
また、数々のメカニック描写は活躍の少なさを補ってあまりあると言えるぐらい良かったのも確かである。
後年真の最終回とも呼ばれる80客演回が出来たため、最終回の影が薄くなってるのは秘密である。

マーゴドン撃破後には再び怪獣の出現が無くなり(地球側に確認されていないだけでヤプールが復活してUキラーザウルスを送り込んで来た他、冥王星に侵略宇宙人が度々襲来していた)、UGMは解散。
地球防衛軍も10年後、CREW GUYSに再編された事でその役目を終えた。

※よく歴代防衛チームでは前組織であるMACが殉職率トップだと思われがちだが、組織全体の死亡率が歴代トップなのはUGMである(後述の一般隊員の戦闘機が毎度5機近く爆散している為)。
更に第14話ではザルドンのテレポーテーション光線で基地の一部が消え去り、第20話では基地にオコリンボールの分裂体が入り込んで職員の多数が犠牲になった他、
第25話では基地がアルゴンと円盤に襲撃され、第32話ではバラックシップに航空していた一部の戦闘機が吸収・砲台として使われる羽目になった。


【人物】

オオヤマ一樹
演:中山仁

UGM日本支部の隊長で35歳。隊員やナレーションではキャップと呼称される。
物語初期では唯一実戦経験のあるベテランで、戦闘機の操縦もこなすがイトウチーフ着任後は基地からの指令が多くなった。

性格は冷静で部下を引っ張る良き上司である。また観察眼もあり、矢的を隊員にスカウトした他、彼の正体に気付いたりもした。

また、かなりの甘党で板チョコを一度に2~3枚食べる程である。

イトウ順吉
演:大門正明

第14話からチーフ(副隊長格)としてヨーロッパエリアより着任した。
かつて宇宙人を捕らえて地球征服を未然に防いだ功績を持ち、着任時にはザルドン撃破に貢献した。

やや厳しい時もある現場指揮官だが、時たまユーモアのある面も見せる。
結婚も踏まえた恋人がいたが、ギマイラによってある悲劇に見舞われる。

ハラダ時彦
演:無双大介

イトウチーフ着任前は副隊長格だった隊員。当初はやや頼りない面もあったが、強気な性格でメダンの回では責任感も強い面を見せ、一般隊員のまとめ役だった。
第26話を最後にオーストラリアへ転任したが、最終決戦で増援に駆けつけた*1

タジマ浩
演:新田修平

やや弱気な面も見せる隊員だが、実は射撃の名手であり活躍を見せる。
オコリンボールの回で仮死状態にされる等、やや貧乏くじを引きやすい
ハラダと同じくオーストラリアへ転任、最終決戦で増援に駆けつけた。

矢的猛
演:長谷川初範

オオヤマが怪獣の前兆を調査中に出会った中学校教師。何かを感じたオオヤマによって非常勤の隊員としてスカウトされた。
その後中学校を辞めてからは常勤の隊員となり、様々な任務で活躍した。
その正体はウルトラマン80である。

城野エミ
演:石田えり

宇宙生物学の博士を父に持つ紅一点。基地からの連絡係が多いが、戦闘機の操縦もこなす。
また、紅一点というから女性候補生の憧れの存在だったようだ。
矢的に気があるような場面も見られたが、ガルタン大王戦にて殉職してしまう。
その後、最終回にてエミそっくりなアンドロイド・エミが作られている。

そんなエミの殉職だが、実は演じた石田えり氏が「“ウルトラシリーズに最後まで出演した女優は大成しない”というジンクスを聞いて自ら降板を申し出た」という裏話がある*2

フジモリ新八郎
演:古田正志

第三期候補生出身でハラダの後任。
個別エピソードが全く存在しないため影は薄いが、実直な印象が強い。

イケダ登
演:岡本達哉

六期生出身で矢的の後輩になる。
ややお調子者のムードメーカーであり、ゲストキャラとの交流もフジモリよりはあった。
出身地がファイヤードラコに襲われた事もあった。

星涼子
演:萩原佐代子

ガルタン大王戦で殉職したエミに代わって入隊した女性隊員だが、立場は見習いの特別隊員である(制服の色も異なる)。
当初記憶喪失だったためか常識に疎い面もあり、実質的に矢的が専属の教育係となった。
その正体はウルトラの星の王女、ユリアンである。

ナンゴウ
演:北原義郎

地球防衛軍極東本部の長官で、UGMの上官でもある。
基本的に温厚な人物であり、地底人等にも話し合いが可能なら応じる意思を示している。

セラ照夫
演:杉崎昭彦

地球防衛軍の広報官で、主にUGMを担当する。
たまに共に前線に赴いたり事件に巻き込まれたりする。

小坂ユリ子
演:白坂紀子

地球防衛軍の気象班で、UGMに気象情報を伝えに来る事が多い。
矢的のいた中学校事務員のノンちゃんとそっくりで(キャストも同じ)、矢的からは「ユリちゃん」と呼ばれている。


【UGMの退治・対処した怪獣】

  • バム星人数人(矢的が格闘戦で倒した)
  • 人間大メダン(後に細胞から再生)
  • サラマンドラ(後に再生される)
  • ゴルゴン星人(オオヤマキャップを襲った個体)
  • 吸血ボール数個(後のオコリンボール
  • 宇宙アメーバの一部(後のアメーザ)
  • ファンタス星人数人(正しくはファンタス星人に化けたアンドロイド。人間に化けたアンドロイド数人も含む)
  • アルゴンの宇宙船(本人は生存)
  • アクゾーンの兵士数人
  • ザタン星人2人
  • バラックシップの船の残骸数隻(本体は無事)
  • ガラガラ星人数人(矢的が格闘戦で倒した)
  • マーゴドン

メダン(大)戦ではUGMの援護によって80に勝利をもたらしており、直接勝利に繋がったかと言われれば微妙だが妄想ウルトラセブン戦も80を援護して攻撃のチャンスを与えている。
また特殊な例だが、ギマイラ戦、ダロン戦ではラブラス(イトウチーフ)の援護によって80に勝利をもたらした。


【装備】

隊員服
色はオレンジと銀で常に中の温度を26℃前後に保ち放射能、毒物に対する耐性も備えた万能服である。
しかし、実際の撮影で使われた衣装は薄いわ通気性は悪いわと散々だったらしい。

ライザーガン
普段隊員が携帯している銃。カートリッジ交換で火炎放射等も可能。

ダイナミックショット
大型の銃で、組み立て可能であり持ち運びもしやすい。
劇中ではタジマや矢的が使用している。


【メカニック】

UGMのメカニックはMACまでと比べると大分オーソドックスだが、これはMAC全滅によってそれまで使われていた反重力装置の技術が失われた為である。

スカイハイヤー
主力戦闘機。一人乗りで様々なアタッチメントを取り付け可能な万能戦闘機。
ポピニカとして発売されていた玩具では戦車形態への変形が可能で、「設定上も本当に変形できるが未使用に終わった」と表記している資料もある。

主にオオヤマや矢的が乗ることが多かった。

シルバーガル
複座式の攻撃機。
α号とβ号に分離可能で、劇中では分離してα号が敵を引き付け、β号で攻撃するフォーメーション・ヤマトという戦法が取られた。
劇中では使用されていないが救助用のマニュピレーターが内蔵されている。
バラックシップ戦ではスカイハイヤー共々吸収され砲台として利用されてしまう。
ちなみにシリーズでもほぼ唯一の複葉機である。

ハラダ・タジマやフジモリ・イケダによる操縦が目立つが、他の隊員も操縦する事が多い。

エースフライヤー
地球防衛軍戦闘機の指揮官仕様。
他の隊員が乗る場合もあるが、実質的にイトウ専用機として活躍、劇中で他の隊員はイケダ隊員が乗ったくらい。

地球防衛軍戦闘機
対怪獣、円盤用の改造が施されたF/A-18 レガシーホーネットの地球防衛軍仕様で、主に一般隊員が3機1小隊で編隊を組む。
毎回3~5機ぐらいが出動してはMAC同様にパイロットごと撃墜されており、UGM極東エリアの殉職率を高めている最大の要因と化している。
なお、物語序盤にキャップ・矢的・ハラダ・タジマで出る場合など、上記の各機体が全て出る場合は隊員が1人あぶれてしまうため、UGMの隊員が1人この機体に乗る事も多く、この場合は撃墜率が劇的に下がる。
この他にもイトウがヨーロッパエリアから着任する際に乗ってきた黒いF-16や、MAC残存戦力のマックファントム(MAC仕様のF-4)が運用されている。

スペースマミー
UGMの誇る空中戦艦で、宇宙でも運用可能。
内部にはシルバーガルやスカイハイヤーを格納しており、空中での発進も可能である。
また少人数でも操縦可能で火器も多数装備している。艦載機は宇宙では使えない。

劇中では活躍は皆無に近く、大抵小破して着地か隊員の移動手段として使われて終わりだった。

特撮班の技術によって非常に巨大感を感じる演出だったが、意外なことにTACファルコンより小さい。

スカウターS7、パトロール車両
街中の移動手段に使われる車両。7つの特殊装備を持つ設定だが、劇中では使われなかった。

ゴリゴンUGM
設定のみ登場の特殊装甲車。

ドルフィンATM
設定のみ登場の潜水艇。

レッドスクーパー
設定のみ登場の地底戦車。登場を想定した没脚本が存在する。

その他、共同作戦を取る地球防衛軍の機体として、当時の西側陣営に属する戦闘機や戦車が登場している。



追記、修正は「レッツゴーUGM」を歌いながらお願いします。

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最終更新:2024年09月07日 01:53

*1 なお、オーストラリアの転任は最終回まで語られず、降板直後の第27話では唐突にいなくなっていた。

*2 何て身勝手な人なんだと思うかもしれないが、『ウルトラマン』に限らず、昔の特撮ヒーロー作品は現代での「若手俳優の登竜門」的な扱いではなく、むしろ「売れない役者が出る番組」という悪い風潮があり、演じたキャラクターのイメージが付き過ぎてその後の仕事に困るケースもあった。