ウデクラプトン(都市伝説)

登録日:2016/3/18 (金) 15:38:00
更新日:2024/12/05 Thu 06:31:46
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ウデクラプトンとは、白亜紀に生息していた海生爬虫類である。
数いる海生爬虫類の中でも最大級で、クジラを一飲みにしていたと考えられている。
口には円錐状の鋭い歯が並んでおり、また海生爬虫類としては珍しいことに足はヒレ状にはなっていなかった。
迫力のある復元図が公開されており、ネット上では人気のある古生物である。





追記・修正はウデクラプトンの実物化石を発見してからお願いします。



























上記の説明文は、数年前からネット上(特にSNS上)に流布している「ウデクラプトン」の解説文と、それに添えられる図の内容をかいつまんで説明したものである。
この短い文の中に、重大な矛盾点があったのに気づかれただろうか?



第一に、クジラは白亜紀にはまだ存在していない。
クジラの祖先とされる半水生生物が登場したのすら、次の古第三期の始新世である。


次に、「クジラを一飲み」にできるくらいなら、どんなに小さくても全長は数十メートルほどあることになる。
中生代の海生爬虫類に、そこまで大きなものは未だ確認されていない。
(最大級とされるクロノサウルスやサラソメドンでも12メートル前後である)


また、媒体によっては「恐竜」と記載されていることもあるが、2016年3月現在、完全な海生の恐竜は報告されていない。



このウデクラプトン、上述のように数年前からネット上で拡散されており、ネット上の「古代生物まとめ」みたいなページにはたまに紛れ込んでいる。
だが書店で売られている図鑑などには全く掲載されていないし、それどころか恐竜・古生物系のニュースサイトの過去記事などを見ても、
こんな生物の化石が発見されたなんてニュースは確認できない。
おそらく古生物の専門誌のバックナンバーを漁っても、何も出て来ないと思われる。


もうお分かりだろう。
ウデクラプトンはネット上だけで広まったデマであり、架空の古生物なのである。
実在した証拠が一切存在しないのだから、古生物というより、未確認生物(UMA)であり、一種の都市伝説とも言える。



では、このデマの出所はどこなのか。
ネット上の有志による調査の結果、いくつかの候補が上がっている。
一説によると、出所は「高校生の創作」であり、その時点では「現代に生息する生物で、体長は80センチ」というものだったらしい。
これならありえなくはない大きさであり、クジラと遭遇してもおかしくないことになる。
(サイズ的に食うのは無理だろうが)
ウルトラマン(作品)没怪獣「オイル怪獣クラプトン」から由来するなど
他にもいくつか説はあるが、誰かが創作したものであることは間違いない。


上記の説が正しければ、拡散する過程で伝言ゲームのようにいつの間にか
「白亜紀の生物」「クジラを食う」「超巨大」
といった尾ひれがついていき、やがて「実在した古生物」として認識されるに至ったと考えられる。


また、荒唐無稽なウデクラプトンの話が「実在の古生物」として広まったのは、セットになって流布された
「ウデクラプトンの復元図と称するやたらクオリティの高いイラスト」の影響も相当大きいと思われる。


このイラストはもともとウデクラプトンの話とは無関係であり、やはり出所は諸説あるものの、
「クジラを食う」「ゴリラのような風貌」というコンセプトで
海外のゴジラファンが描いた、『クジラを食うゴリラという語源的に正しいゴジラ』みたいなコンセプトのイラスト
であることはまず間違いが無いようである。
それがいつの間にか、ウデクラプトンのデマに取り込まれてしまったらしい。


この話がデマとしてはまだ良心的(?)なのは、「白亜紀に生息してクジラを食べた」などと、
古生物の知識が少しでもある人間であればすぐにおかしいと気が付く内容であることかもしれない。
そのような知識がある人を相手に、ジョークとしてウデクラプトンの話を出すのは別に悪いことでもないかもしれない。


しかし一方で、ネット上を見るとウデクラプトンが実在の古生物だと信じ込んでいる人も決して少なくないようである。
このままではいつか書籍などに掲載されてしまう可能性も無くはない(過去に実際にそのようなケースが起こっている)。
そうなってしまうと、訂正情報を広めるのは非常に困難になってしまう。
やはり、安易にウデクラプトンの話を広めるのは慎むべきだと言えるだろう。


「ネット上で拡散した都市伝説的な未確認生物」ということで、人によっては2000年代初頭に同じくネット上で広まった「ニンゲン(ヒトガタ)」、
あるいは「くねくね」や「壁女」を連想した人もいるかもしれない。
ウデクラプトンは、これらと比較しても伝説が生まれたと思われる年代が極めて新しく、比較的誰でもその発祥過程を検証することができる。
都市伝説や未確認生物の伝説がどのように広まっていくかを検証する際の、一つのモデルケースとなるかもしれない。



いずれにせよ、繰り返しになるが、ウデクラプトンはあくまで架空の生物である
くれぐれもお間違えの無いようお願いしたい。




追記・修正はウデクラプトンの実物を捕獲してからお願いします。

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最終更新:2024年12月05日 06:31