登録日:2016/05/31 Tue 22:10:10
更新日:2025/06/14 Sat 13:41:39
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阿佐線とは、
高知県の後免駅と奈半利駅を結ぶ、土佐くろしお鉄道の鉄道路線である。
愛称は「ごめん・なはり線」で、案内上はこちらの名前が使われており、路線記号も
GN(
Gomen-
Nahari Lineの略)となっている。
目次
概要
鉄道敷設法による阿佐線計画の、高知県区間を引き継いで開業させた区間である。
そのため、建設自体は1965年から始まっていた。
後免町から安芸の部分では、戦前から土佐電気鉄道の安芸線が営業していたが、モータリゼーションの普及から慢性的な赤字を抱えており、(阿佐線を開通させるのを助けるという名目で)1974年に廃止された。
しかし、1981年に18.9km(約44%)が完成した時点で国鉄再建法の施行され、工事が凍結された。
そう、半分近く工事されたまま放置されてしまった……
その結果、長年に渡り中途半端に放置され「土佐の万里の長城」、もしくは「土佐のバベルの塔」と嬉しくもない二つ名を頂戴する羽目になった。
結果的に、路線は高知県内の国鉄未成線を請け負う土佐くろしお鉄道に移管され、1988年に7年ぶりに工事が再開。
しかし肝心の土佐くろしお鉄道の経営が不安定で、経営基盤を確立するべく直通している中村線と宿毛線に資本が集中された。
そのせいで阿佐線の工事は後回しにされ、またもや長期間の間放置されてしまった……
こうして、着工から37年という
東北新幹線に優るとも劣らない年月を経て開通したのであった。
路線には高知県が生んだ絵本漫画家・やなせたかし(およびやなせスタジオ)デザインによる「駅キャラ」が全駅に設定されている。
運行形態
基本的に1時間に1~2本程度運行されていて、後免~奈半利間の通しの他に後免~安芸間、安芸~奈半利間、後免~あかおか間の区間運転もある。
また、全ての快速列車と各駅停車の一部は、JR
土讃線に乗り入れている。
起点は後免駅だが列車番号については土讃線に合わせたので、下り列車(奈半利方面)が偶数、上り列車(後免方面)が奇数となっている。
ただし、線内では「下り」「上り」の呼称は使用されていない。
車両
全線非電化なので、全て気動車で運転されている。
JR車両とも併結可能。
3~9号機は通常仕様。当項目冒頭の写真は9号機。
10号機は沿線に
阪神タイガースのキャンプ地があるため、同球団のラッピングとなっている。
11号機は2005年に追加増備された車両で、お座敷対応の「手のひらを太陽に号」の愛称がついている。
同じ9640形でも、1号機と2号機(1S・2S)は特別仕様。
基本設計は一般車と同じだが、鯨をイメージした流線型の前面形状が特徴。
JRからの乗り入れ車両であり、9640形との連結もできる。
停車駅
普通列車は表中の全駅に停車する。また、快速列車でもJR土讃線の区間内では全駅に停車する。
●…停車
▽…安芸行き1本のみ停車
┃…通過
駅 番 号 |
駅名 |
快
速 |
接続路線 |
一部列車はJR土讃線・高知駅まで直通 |
GN40 |
後免 |
● |
JR四国: 土讃線 |
GN39 |
後免町 |
● |
とさでん交通: 後免線 |
GN38 |
立田 |
┃ |
|
GN37 |
のいち |
● |
|
GN36 |
よしかわ |
┃ |
|
GN35 |
あかおか |
● |
|
GN34 |
香我美 |
┃ |
|
GN33 |
夜須 |
● |
|
GN32 |
西分 |
▽ |
|
GN31 |
和食 |
● |
|
GN30 |
赤野 |
▽ |
|
GN29 |
穴内 |
▽ |
|
GN28 |
球場前 |
● |
|
GN27-1 |
あき総合病院前 |
● |
|
GN27 |
安芸 |
● |
|
GN26 |
伊尾木 |
● |
|
GN25 |
下山 |
● |
|
GN24 |
唐浜 |
● |
|
GN23 |
安田 |
● |
|
GN22 |
田野 |
● |
|
GN21 |
奈半利 |
● |
|
主な駅解説
駅名の前の数字は駅番号を表す。
建設の経緯からか、奈半利駅から後免駅へ向かうにつれて数字が増える付け方となっている。
とさでん交通後免線乗り換え。
幼少期をこの街で過ごされたやなせたかし先生により、
皆が素直に「ごめんなさい」「ありがとう」を言えるように
という意味を込めて「ありがとう駅」という愛称が付けられた。
高知竜馬空港の最寄駅……なのだが直通の公共交通機関がなく、徒歩40分もかかる。
ちなみに、土佐電気鉄道の同名駅がほぼ同じ位置に存在した。
駅構内に全駅キャラが並んだショーケースがある。
江戸時代末期に
無人島に流されながらも、無事生還を果たした無人島長平こと野村長平の墓所の最寄駅のため、銅像が立っている。
読みは「わしょく」ではなく「わじき」。
阪神タイガースのキャンプが毎年行われる、安芸市営球場の最寄駅。
そのため、高知県でありながら阪神ファンの聖地でもある。
2021年に開業した新駅。
駅番号はJR四国の付番形式に則り、安芸駅の番号にハイフンを付けたものとなった。
普通列車の多くがこの駅で折り返す。
また、野良時計や安芸城の最寄駅でもある。
終点駅。室戸岬の最寄駅でもある(といっても直線距離で約25kmも離れているが……)。
ちなみに、
阿佐海岸鉄道阿佐東線の甲浦駅が廃駅になったため、高知県最東端の駅に昇格した。
当初の計画では甲浦方面と繋がるはずだったが、その役割はバスが担うこととなった。
追記・修正は、土佐の万里の長城だった時代を知る人にお願いします。
最終更新:2025年06月14日 13:41