土讃線

登録日:2013/03/10 Sun 19:59:59
更新日:2025/01/12 Sun 08:37:08
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土讃線(どさんせん)とは、香川県の多度津駅と高知県の窪川駅を結ぶ、JR四国の鉄道路線である。
ラインカラーはピンクで、路線記号は多度津~高知が D 、高知~窪川が K 

画像出典: 日本の旅・鉄道見聞録
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閲覧日時: 2024/12/26


目次


概要

路線距離は198.7km。予讃線に次いでJR四国で2番目に長い路線である。
香川県・徳島県・高知県の3県に跨る路線なので、レベルの高い秘境駅が多く存在する。
高松都市圏に近い多度津~琴平は国鉄末期に電化されたが、それ以外の区間は全て非電化になっている。
電化計画の要望はあるが琴平以南の電化投資効果が薄いことと、山岳区間のトンネル断面の狭さにより電線が張りづらいという理由で見送られている。


運行形態

概ね5つの地域に分割されている。

  • 多度津~琴平
電化区間とあって本数も線内ではかなり優遇されている。
特急は無論のこと普通列車も1時間に1~2本は確保されており、夏冬の臨時ダイヤの時などにはサンライズ瀬戸が琴平駅まで延長運転される場合もある。

  • 琴平~土佐山田
四国山脈を横断するせいか普通列車の本数が非常に少ない。
◇琴平~阿波池田: 1日6往復
◇阿波池田~大歩危: 1日7往復
◇大歩危~土佐山田: 1日5往復
……と、特急停車駅以外では5~6時間運行がない時間帯がある駅もあり、途中下車する時は時刻表を確認する必要がある。
そんな区間ではあるが、この区間には四国で最も知名度を誇る秘境駅である坪尻駅を始め、四国三郎の異名を持つ吉野川の中流に位置する景勝地である大歩危・小歩危など数々の観光スポットに恵まれているおかげか、2017年からJR四国2番目の観光列車である「四国まんなか千年ものがたり」が運行されるなど、ようやく日の目が当たりつつある。

  • 土佐山田~高知
高知市の近郊区間として多度津~琴平並みに優遇され、普通列車が1時間に1~2本運行されている。
さらに後免駅からは土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の直通列車も加わるので、後免~高知の通勤時間帯は1時間に4~5本と、普通列車に限れば線内では一番優遇されている。

  • 高知~須崎
伊野駅、須崎駅までの区間列車が設定されているため、普通列車は土佐山田~高知間同様に1時間に1~2本運行されている。
しかし、特急列車になると高知駅止まりとなる「南風」がなくなる為、本数が半減してしまう。

  • 須崎~窪川
ザ☆秘境区間。
普通列車は僅か5往復と、特急(9往復)より少なくなってしまう。
そのため、中村方面の普通列車の始発は朝7:15(須崎発)、特急に至っては朝9:01(須崎発)と物凄く遅い。
終電も特急こそ22時台があるが普通列車は下りは20時台、上りは18時台とかなり早いのも特徴。
普通列車は日中6時間ほど運転されない時間帯があり、それ以外でも2〜3時間に1本という頻度。
その代わりといっては難だが、特急停車駅に限定すれば普通列車の運行がない時間を特急が補完しているため、1〜2時間に1本と地方ローカル線のダイヤとしては比較的マシな状態となっている。
また2020年からはJR四国3番目の観光列車となる「志国土佐 時代(とき)の夜明けのものがたり」が運行開始となり、この区間の不遇にも改善の兆しが見え始めている。


使用車両

本項では徳島線直通列車については割愛する。

電車

いずれも、電化されている多度津~琴平(および直通先の予讃線)専用。

  • 7200系(元・121系)
国鉄最末期に導入された四国初の国鉄電車。
落成当初は121系を名乗り、後の京葉線と同じピンク帯を纏っていた。
台車や内装の大幅リニューアルを実施し、7200系へ改名された。

  • 6000系
113系の置き換え用に導入された。
見た目は211系と311系に似ているが、なぜか運転室寄りのドアは片開き。

  • 7000系
JR四国初の新形式電車で、片運転台と両運転台の2種類がある。

  • 285系
上記の通り、サンライズ瀬戸が延長された場合のみ琴平まで入線する。
ただし、折り返しの時間がシビアになので、遅延が発生した場合は高松で打ち切られやすい。


気動車

  • 2700系
下記2000系の後を継いだ特急型気動車。当項目冒頭の写真がこれ。
当初、メンテナンスの楽な空気ばね式による車体傾斜装置を搭載した2600系が試作されたものの、試運転の結果「やっぱり振り子じゃないとダメ*1」だったので開発された。
ただ、内外装は2600系に準じている。

土佐山田出身の偉大なる漫画家・やなせたかし氏の作品「アンパンマン」をモチーフにした「アンパンマン列車」が2種類(赤・黄色)運行されている。

全車両が運転台つきの先頭車という、増解結を楽にするためとはいえ凄まじく割り切った仕様である。そのせいで高確率でちゃんぽん状態の編成になってる。編成美?なにそれ美味しいの?
長い編成を組むときは7~8両編成にもなり、先頭車だけで何両も繋がっている姿はある意味で圧倒される。

車両使用料調整のため、土佐くろしお鉄道も同型車(2730・2780号機)を保有している。


  • 2000系
画像出典: 日本の旅・鉄道見聞録
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世界初の振り子式特急気動車。
名実ともにJR四国のエースとして「南風」「しまんと」の運用にも入っていたが、2700系に置き換えられ現在は「あしずり」運用のみ。
運用縮小により、グリーン席つきの先頭車2000形や、運転台のない中間車2200形もすべて廃車され、2024年末現在現存しない。
また、かつてはアンパンマン列車があった(というか先代アンパンマン列車がこれ)他、車両使用料調整のために土佐くろしお鉄道も同型車(30番台・全4両)を保有していた。


  • 1000形
全線で使用。
3ドアのうち真ん中だけ両開きの扉。

  • 1500形
キハ58系置き換えのために導入された一般形気動車。
通常電車が使用される高松~琴平間で稀に運用に入ることがある。

  • キハ185系(キロ185、キロ186)
画像出典: 日本の旅・鉄道見聞録
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閲覧日時: 2024/12/26

国鉄最末期に投入された気動車。
従来の特急形と異なり1両単位での使用を考慮した設計となっている。
JR四国発足後は岡山や高松発着の特急にも使用されるなどフラグシップを担っていたが、その地位はすぐに2000系に奪われ、一部はJR九州に売却された。
観光列車である「四国まんなか千年ものがたり」「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」もこの2形式が改造されて使われている。

  • キハ32形
国鉄最末期に投入(ry
高知〜伊野間で使用。車体長が16m、車体幅が2.7mと国鉄当時では一番小さかった。

  • キクハ32形
トロッコ列車用の気動車。
予土線用として登場したが、現在は四国の各線区で使用される。
増備された2両目は、リニューアルでアンパンマントロッコに改造された。

  • 土佐くろしお鉄道 9640形
後免~高知で使用。

過去の主な使用車両

  • キハ54形0番台
国鉄最末期(ry
琴平~窪川間で使用されていた。
JR北海道にも同じ形式の500番台があるが、窓や扉の形状が異なる。


主な駅

  • D 12 多度津
予讃線乗り換え。多度津町の中心駅。
四国最初の駅という由緒ある駅にして、四国において数少ない複線・電化の駅。

  • D 13 金蔵寺
四国霊場七十六番札所の金倉寺がある。
けどこちらは「蔵」ではなく「倉」の字。ICOCAエリア外なので注意。

  • D 14 善通寺
ここの駅舎は何と1889年(明治22年)開業時からの木造駅舎を現役で使用している。
日本最古の現役駅舎とされている武豊線亀崎駅の駅舎には1895年に再建された疑惑があり、もしそうであれば名実ともに日本最古の現役駅舎となる。
善通寺市の中心駅。

  • D 15 琴平
高松琴平電気鉄道琴平線(琴電琴平駅)乗り換え。
ここで電化区間とICOCAエリアは終了する。
こんぴらさんこと金刀比羅宮の最寄り・琴平町の中心駅。
ことでんの駅とは地味に離れている。

  • D 16 塩入
日本一大きい溜池である満濃池の最寄り駅。

  • D 17 黒川
まんのう町の駅だが駅から少し歩くと三豊市内。

  • D 18 讃岐財田
駅前には樹齢数百年のタブノキが生えている。
ここを過ぎると四国山地の秘境区間に突入する。

  • D 19 坪尻
牛山氏の全国秘境駅ランキング4位。
1日の乗客平均2人、四国唯一のTOP10にして名実ともに四国を代表する秘境駅。
同時に2駅しかない四国にあるスイッチバック駅でもある。
ただでさえ本数の少ない普通列車ですら一部通過となるため、停車するのは上り4本、下りに至っては午後の3本のみとなる。

車では近づく事ができず、徒歩のみでしか到達できないこの駅に事件が起きたのは2010年2月10日。
2008年に贈られた駅スタンプが何者かによって連れ去られる事件が起きた。
当然目撃証言は一切なしでこのまま迷宮入りとなるかに思われたが、事件発生から2か月後の2010年4月22日、事件は急展開を迎える。
何と約975キロも離れた青森県津軽線中沢駅構内に落ちているのを駅員が発見、無事保護した。
誰が何の目的で寄りにも寄って青森までスタンプを連れまわし、そして捨てたのかは一切謎で包まれている。

  • D 20 箸蔵
近くに高校があり、そこへの通学需要がある。

  • D 21
一応は徳島線乗換駅だが、全列車が阿波池田まで乗り入れる。

  • D 22 阿波池田
徳島線乗り換え。
土讃線の徳島県にある駅では唯一の有人駅で、特急も含め全列車が停車する。
普通列車はこの駅を境に運転系統が分かれる。
四国の数少ない(というかない)の内陸都市である三好市の代表駅。

  • D 24 祖谷口
かずら橋など祖谷渓の主な観光名所は大歩危駅が最寄りなので注意。

  • D 25 阿波川口
徳島県最西端の駅。

  • D 26 小歩危
「大ボケ・小ボケ」とネタにされる駅の片割れ。こちらは普通列車のみ停車。
ちなみに吉野川の傍に駅が位置するため、駅付近は何もないように見えるがローソン(かつてはセブンイレブン)がある事は意外と知られていない。ただし歩くと30分くらいかかる。

  • D 27 大歩危
「大ボケ・小ボケ」とネタにされる駅の片割れ。こちらは全列車停車。
絶景で知られる大歩危峡や祖谷渓の最寄駅。「四国まんなか千年ものがたり」は当駅で折り返す。
ここまでが徳島県の駅。

  • D 28 土佐岩原
高知県最北端の駅。一時期は最東端も兼ねていた。

  • D 30 大田口
行基が開山したとされ、国宝の薬師堂を有する大田山大願院豊楽寺の最寄駅。

  • D 31 土佐穴内
駐輪場と待合室が地元住民によって作られた駅。

  • D 32 大杉
特急の大半が停車する大豊町の代表駅。
駅名の由来となっている特別天然記念物の樹齢3000年超の杉の大スギがある八坂神社はこちらから。

  • D 33 土佐北川
牛山氏の全国秘境駅ランキング118位。
JRの駅では唯一の鉄橋駅

  • D 35 繁藤
JR四国で一番標高の高い駅。
かつてこの駅周辺で大規模な土砂崩れがあり、駅に停車中の列車が巻き込まれた。今も川底に当時事故に巻き込まれた車両の残骸が埋まっているという…

  • D 36 新改
牛山氏の全国秘境駅ランキング8位。
四国にあるもう一つのスイッチバック駅。
山の中にひっそりとある。
停車列車は坪尻駅よりも少ない3往復のみ。

  • D 37 土佐山田
みんな誰しも知っているアンパンマンの作者、やなせたかし氏の出身地香美市の中心駅。
ここから高知市の近郊区間として、日中でも毎時1~2本程度の運転がある。

  • D 38 山田西町
土佐山田駅とは800mほどしか離れていない。

  • D 40 後免
土佐くろしお鉄道阿佐線(ごめん・なはり線)乗り換え。
南国市の中心駅。

  • D 41 土佐大津
山内氏が来る前に四国を支配していた長曾我部氏の本拠地であった岡豊城の最寄駅。
これより高知市の駅。

  • D 42 布師田
高知運転所最寄駅。高架になっている。

  • D 43 土佐一宮
「とさいちのみや」…ではなく「とさいっく」と読む。

  • D 44 薊野
読みは「あぞうの」。
「日本の九龍城」とも呼ばれる高知の名物の1つ、沢田マンションの最寄駅。

  • D 45/K 00 高知
とさでん交通桟橋線(高知駅前停留場)乗り換え。
高知県の中心都市である高知市の代表駅。
JR四国で初の自動改札機設置駅であると同時に、唯一自動放送がある駅。
日本三大がっかり名所であるはりまや橋と、坂本龍馬記念館のある桂浜の最寄駅(バスで30分くらいかかるけどね!)。
ここからちょっとだけ高架駅区間。

  • K 01 入明
無人駅であまり知られてないが、実は現存12天守の一つ高知城の最寄駅(500m)。

  • K 02 円行寺口
ここまで高架区間。隣の入明駅との駅間距離は約800mしか離れていない。
駅名の由来となった円行寺跡の最寄駅だが、徒歩45分掛かる。

  • K 03
ここから伊野駅までとさでん交通伊野線に全駅乗換え可能。

  • K 04 高知商業前
道路の下にある。同名の市立高校の最寄駅。

  • K 05 朝倉
特急も多数停車する主要駅で有人駅。
高知市の駅はここまで。

  • K 06 枝川
高知県運転免許センター最寄駅。

  • K 07 伊野
いの町の中心に位置し、「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」以外の全列車が停車。
当駅始発列車も多い。

  • K 08 波川
近くにホテルあり。

  • K 08-1 小村神社前
2008年3月15日に開業。ナンバリング付番後にできた新駅で、前駅にハイフンを付属して区別している。

  • K 09 日下
日高村の中心駅。

  • K 10 岡花
徒歩圏内にセブンイレブンと村の駅ひだかがあり、意外と便利。

  • K 11 土佐加茂
駅の北側にはバイカオウレンの群生地があり、花の時期には賑わう。

  • K 12 西佐川
元は佐川駅と特急停車駅の座を争ったほどの駅だが、敗れた挙句全優等列車が通過となった不遇な駅。

  • K 13 佐川
佐川町の中心駅。特急を含む全列車が停車する。

  • K 15 斗賀野
かつては石灰石運搬のための貨物線が分岐していた。

  • K 16 吾桑
桑田山温泉へのアクセス駅。

  • K 17 多ノ郷
一部の特急が停車。ご当地キャラまつりin須崎の時には特急の臨時停車がある。

  • K 18 大間
ここから安和駅まで海沿いを走行する。

  • K 19 須崎
「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」除く全列車が停車する須崎市の中心駅。
ここから先の区間は再びローカル線化し、3時間以上運転されない時間帯もあるので要注意。

  • K 20 土佐新荘
地元のゆるキャラ「しんじょう君」とJR四国のマスコットキャラで塗装された駅。

  • K 21 安和
駅の目の前に太平洋の海が広がる風光明媚な駅。
ここから海を離れて陸沿いに移動する。

  • K 22 土佐久礼
漫画「土佐の一本釣り」の舞台である中土佐町の中心駅。
特急も全列車止まるが無人化…。

  • K 23 影野
土佐久礼駅とは10km以上も離れており、この駅間距離の長さは四国で最長。
標高も一気に200m以上になる。

  • K 25 仁井田
烏山線にも同名の駅があるが、そちらは「にい」。こちらは「にい」。

  • K 26 窪川
終点駅。四万十町の代表駅。
土佐くろしお鉄道中村線・予土線乗り換え。
特急は「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」以外、全てが土佐くろしお鉄道に直通する。


追記・修正宜しくお願いします。

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最終更新:2025年01月12日 08:37
添付ファイル

*1 土讃線のカーブが多すぎて空気ばねへの空気の供給が追いつかなかった。