オリヴィエ・ゼーゲブレヒト

登録日:2016/09/24 (土) 06:20:18
更新日:2018/10/12 Fri 15:38:53
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あなたはどうか良き王として国民とともに生きてください

この大地がもう戦で枯れぬよう、青空と綺麗な花をいつでも見られるような

そんな国を――


*1






概要


オリヴィエ・ゼーゲブレヒトは『魔法少女リリカルなのはシリーズ』のスピンオフ漫画『魔法少女リリカルなのはViVid』の登場人物。

CV:米澤円

『ViVid』本編より数百年前、古代ベルカの諸王時代に存在した、聖王連合・中枢王家ゼーゲブレヒト家の王女。
民からは「聖王女」と呼ばれ親しまれると同時に乱世のベルカにおいては武技で最強を誇り、
最後は「ゆりかごの聖王」となって古代ベルカの諸王時代の終結に貢献した。

戦船「聖王のゆりかご」の中で生まれた正統王女の一人ではあるが、生まれた頃は「ゆりかごの王」としての資質の問題から王位継承権は低く、
それ故に人質交換という意図も含めて友好国であるシュトゥラに留学していた時期がある。

留学先であるシュトゥラの王子、後に覇王と呼ばれるクラウス・G・S・イングヴァルトとの関係は現代の歴史研究では明確になっておらず、
生きた時代が違うとも、姉弟のように育ったとも言われている。

次元世界最大規模を誇る世界宗教「聖王教」は、古代ベルカの聖王が信託を受け、その教えを広めたことから発足。
その後に起こした数々の偉業により、現在はその「聖王」自身が信仰の対象となった。
そういった理由から古代ベルカの戦乱の歴史を終結に導いたオリヴィエは聖王教会では信仰対象として祀られており、彼女の誕生日には聖誕祭なども行われている。

歴史上の人物であるため直接登場はせず(というかできず)、作中では回想シーンでのみ登場。
物語には直接絡まないものの、主要人物の先祖に関わる最重要人物となっている。









以下には、『魔法少女リリカルなのはStrikerS』及び『魔法少女リリカルなのはViVid』のネタバレが含まれています。










オリヴィエは『StrikerS』の重要人物である少女ヴィヴィオの複製母体、要はクローン元に当たる存在。
『StrikerS』では古代ベルカ時代に存在した「ゆりかごの聖王」としか呼ばれていなかったため、オリヴィエという名前が出たのは『ViVid』から。

古代ベルカの空中戦艦「聖王のゆりかご」を起動させる鍵を欲したジェイル・スカリエッティ(もしくは時空管理局の最高評議会)が、
オリヴィエの遺体をくるんだとされる聖骸布を聖王教会から盗ませ、聖王の遺伝子データを世に流出させる。
そのデータを使いプロジェクトFの技術によって生み出された人造魔導師素体がヴィヴィオである。

プロジェクトFで生み出された個体に度々見られる「オリジナルとの差異」はこちらにも存在するようで、
ヴィヴィオの友人達にもオリヴィエとは(肖像画などと比べると)あまり似ていないと言われている。

しかしその紅と翠のオッドアイは確かに聖王女の証「聖者の印」であり、
レアスキル「聖王の鎧」を所持していることと彼女を鍵としてゆりかごが起動したことを考えれば、聖骸布は本物であることが証明されたと言える。
一応、これらの情報は世間に公にはされていない様子。
少なくとも聖王教会の関係者や『J・S事件』に関わった面々、ヴィヴィオの親しい友人にはこの事実を明かしているようだ。
だがどこかでこの情報を知った人物がヴィヴィオとオリヴィエを同一視し、トラブルに発展しかかった例もある。

ヴィヴィオはオリヴィエの記憶を受け継いでいない様子だが、
  • エリオはヴィヴィオが人造魔導師素体にしては知識や言語がはっきりしすぎていることから「元になった人物の記憶がある」と推測している。
  • ヴィヴィオは肉体の制御をゆりかごの自立行動下に置かれた際、自らの聖王の宿命を理解し苦悩している。
  • 『ViVid』でもアインハルトに引きずられる形で記憶の一部を想起したシーンがある。
等、全く受け継いでいないわけではない。


生涯


上記の通り「聖王のゆりかご」の中で生まれた正統王女の一人。
母親はオリヴィエの誕生と同時に亡くなっており、その際に母親が持っていた聖王核がオリヴィエの体内に吸収されたという。
このエピソードから「母子の命が失われるところを母の愛が子を救った」という美談として語られる反面、「母の命と魂を奪い取って生まれた鬼子」とも蔑まれることになる。
物心がつく前に魔導事故で両腕と主要臓器を失っており、その影響か命を生み出せない体となっている。
しかし彼女の中にある聖王核の恩恵で健康状態に問題はなく、両腕も魔導技術で操作する義腕を装着して補っていた。

生まれこそ悲劇であるものの、幸いにも多くの友人に恵まれる。
中でも旅の学士エレミア、留学先であるシュトゥラの王子クラウスは公私共に支え合う理解者となった。
この頃にはエレミヤ製義腕によって健常者と変わらない生活を送れており、シュトゥラでは時に騎士として戦に出向くこともあったというが、
友人たちと過ごしたこの数年間は彼女たちにとっては青春時代と言って良いほどに平和な日々だったという。

たが世界の情勢は変わる。追い詰められた国々は大地をも殺す「禁忌兵器」の数々を切り札として使い始め戦争は泥沼化。
聖王家もそれに対応するかたちで最終兵器「聖王のゆりかご」の起動を決定する。

ゆりかごの候補者として価値が低かったオリヴィエははじめこそ聖王家に招集されなかったが、ゆりかごの起動宣告による一部国家にの反発が強まり適合者の選出は難航。
その間に戦火はオリヴィエの目前にまで迫り、遂には友人の故郷が焼き払われるまでになる。
それを目の当たりにし、戦乱を止める決意を固めたオリヴィエは自らゆりかごの候補者として名乗り出ることになる。

生後の瑕疵によって継承権を失っていたゼーゲブレヒト家だが、
周囲の予想に反してオリヴィエとゆりかごの適合は高く、聖王家は諸手を挙げて彼女を歓迎する。

オリヴィエのゆりかごへの搭乗にはシュトゥラの王子クラウスから強い反発があり、
オリヴィエが一時的にシュトゥラに戻った時に彼は武力行使も辞さない姿勢で説得を試みたが、結果的にオリヴィエがクラウスを下すことで場を治めている。
このシュトゥラの王子による行動によって、聖王連合内ではかの国を厳しく咎める声が上がったが、
オリヴィエは「自分と彼は兄妹のように育った間柄であり、シュトゥラは自分の第二の祖国である」と語って首脳陣を説き伏せ、シュトゥラに報復行為が及ばないように頭を下げた。

ゆりかごの玉座に座った後のオリヴィエの詳細は不明だが、戦乱が終結しても彼女はシュトゥラに帰ることもクラウスと再会することもなかったという。
最後は「ゆりかごの聖王」の宿命の通り、ゆりかごが起動してから数年後、乱世の最中に若い命を散らしたとされている。
オリヴィエがもたらした戦果は多くの民を救ったが、同時にそれは人間としての真っ当な生涯を放棄したに等しく、彼女の幸福を願った者たちの心に暗い影を落とすことになった。

オリヴィエは王家に生まれた女性だが、その特殊な生い立ちのためか上流階級特有の尊大さなどはなく、
むしろ優しく穏やかな人柄とその太陽のような笑顔で多くの人たちに慕われた。

友人や侍女からの愛称は「ヴィヴィ(様)」。
人質交換の意味もあった留学だったが、それでも腐ることなくシュトゥラの王や兵たちとの友好をしっかりと取り持っていた。
物心がつく前の出来事とはいえ、身体的には相当に不自由もあったにも関わらず、
人前ではその憂いを表に出すことはなく、むしろ「自分の命は皆のおかげで繋がっている」と口癖のように言っていたという。
両腕の欠損による不自由を周囲が支えてたことを考えれば、後のエレミヤの義腕のことも含めて彼女としては感謝が尽きなかったことだろう。

とはいえ、幼い頃には夜の城内を泣きながら母を探して徘徊していたこともあったらしく、
後に発見された手紙の内容も考えれば、明るく振る舞う裏には相応の悲しみを秘めていたことが窺える。

その境遇ゆえに無理はないが、自らをかえりみない自己犠牲的な精神が強く、ベルカの戦乱が広がるにつれその傾向は強くなっていく。
「聖王のゆりかご」の適合者選出が難航している中で、自身は聖王家から蚊帳の外に置かれていたにも関わらず適合者候補に名乗り出ている。
これらの行動には、大切な人を抱きしめる腕も無く、子供を産むこともできない自分の体を顧みて「自分に許された命の使い道はそこにはない」という思いがあったようである。
周囲からはクラウスと結ばれる未来を心から望まれており、オリヴィエも本心ではクラウスたちとの日々が続くことを願っていたが、その思いが果たされることは遂になかった。


能力


聖王の一族としての強靭な肉体と、体内に移植された聖王核と呼ばれる魔力補助コアから莫大な魔力を引き出せる。
回想でも言及はされなかったが、聖王核とはおそらく『StrikerS』で登場した第一級捜索指定遺失物レリック。
人体に取り込み、その恩恵で生命活動を維持するという設定が酷似しており、少なくともレリック移植が聖王血統のみ許されたものであったことから関連性はあると思われる。

武術にも秀でており、この技術はエレミアから手ほどきを受けたもので、クラウスによれば武技において最強を誇ったとされている。
皮肉にもその才能と武勇を諸国に示してしまったことにより、ゆりかごの聖王の候補者に名乗り出た際にはゆりかごとの適合率と合わせて歓迎を受けることになる。

徒手空拳での強さも当時のクラウスを遥かに凌ぎ、作中では両手剣や斧を振っていたシーンもある。
両腕の義腕は魔力による身体操作で動かされており、エレミアから教えられた武術と義腕の性能の高さゆえ武器がなくても健常者に劣らない動きが可能。
身体能力そのものは幼い頃から高く、エレミアから指南される以前でも、両腕がない状態で夜盗の襲撃を返り討ちにできたほど。

騎士として優秀な才能を発揮したオリヴィエだが、複製体であるヴィヴィオの魔力資質は学者型か中後衛型であり、格闘は不向きであるなど、この辺の資質にも差異があったりする。
とはいえ、オリヴィエの場合は母から受け継いだ聖王核が誕生時から入っている状態なので単純な比較はできない。
最後には「ゆりかごの聖王」になったとされていることから、設定的に防御機能「聖王の鎧」の使用と魔法の高速学習による無効化、
さらにゆりかごから無限に等しい魔力供給を受けられたと考えられる。


関連人物


クラウス・G・S・イングヴァルト
シュトゥラの王子で、オリヴィエにとっては姉弟のように育った友人。現代ではアインハルトの先祖。
クラウスがオリヴィエに抱いていた気持ちが恋愛感情なのか、
あるいは友愛からくるものであったかは定かではないが、まわりから見れば「お前らもう結婚しろよ」みたいな仲睦まじさだったらしい。
しかし時代と何よりオリヴィエがそれを許さなかった。
オリヴィエを止めるために立ちはだかるが、彼女の決意を砕くことはできず惨敗。
その後は彼女を止められなかった無力感に苛まれることになり、その無念は記憶継承者のアインハルトにも受け継がれてしまう。

●ヴィルフリッド・エレミア
かつてベルカで人体破壊の武技を伝えた流浪の一族「エレミヤ」の一人。ジークはその末裔。
オリヴィエとは夜盗に襲われた馬車を助けたのが縁で友人となり、ゼーゲブレヒト家に食客として一時滞在する。
親しくなった折りに、他とは比べ物にならない性能の義腕をオリヴィエへ送り、学問や武術も指南した。
シュトゥラへの留学にも同行し、ゆりかごに乗るまで共に日々を過ごしたが、最後までオリヴィエを説き伏せることはできなかった。

ヴィヴィオ
オリヴィエの複製体。記憶はほぼ受け継いでいないが、聖王としての体質は確かに受け継いでいる。
「オリヴィエとは血は繋がっているが本人ではない」というのがヴィヴィオ本人の認識。





シュトゥラで過ごさせてもらった大切な時間


あの宝物のような日々をずっと続けていけたらよかった


だけど私に許された命の使い道はそこにはなくて


私は命を生み出すことができないから


大切な人を抱きしめるための温かな腕もないから


そんな風に何もできない私だから


せめて終わらない戦乱と灰色の雲と


人々の飢えと悲しみが少しでも早く終わるよう


私はゆりかごの聖王になります



追記・修正は「エレミアの手記」を読んでからお願いします。





-エレミアの手記-












いつもそうだった


ヴィヴィ様は僕たちに涙を見せることを嫌った


本当の気持ちはいつも僕たちに見えないように隠していた


だから、きっと――




*2


僕たちにあの子を許してあげられる強さと力があれば良かった


どれだけ後悔しても取り返しのつかない痛みの中


僕らの友人を乗せたゆりかごの働きで


ベルカの戦乱は静かに――そして確実に終結に向かっていった




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