serial experiments lain

登録日:2011/08/24 Wed 10:29:15
更新日:2025/04/08 Tue 12:52:52
所要時間:約 8 分で読めます






プレゼント デイ


プレゼント タイム_


Ha ha ha ha ha......



serial experiments lainとは、1998年にかけてイラスト&テキストの雑誌掲載と、アニメ・ゲーム作品の制作が同時進行で行われた、当時はまだ珍しかったメディアミックス作品である。

概要

基本的に、仮想世界であるワイヤード*1が中心となっている世界が舞台。
内気な性格ながら、一般的な中学生の生活を過ごす主人公「岩倉玲音」が後に起こる事件へと関わっていく。

本作は「現実と区別のつかない仮想空間」といったよくある物語と逆の、「仮想世界(ワイヤード)と区別のつかない曖昧な現実」がモチーフとなっており、物語は玲音の視点から成り立つ*2
こうした舞台設定から、本作を見ている視聴者はだんだん「lain」の世界に入っていくことになる。

なお「serial experiments lain」は直訳をすると、「レインへの連続する実験」といった意味になり、作品内容と非常にマッチしている。

監督は、後に「サクラ大戦TV」、「キノの旅」「神霊狩/GHOST HOUND」を手がける中村隆太郎。
この名前を見て何かがピンときた人は立派なアニヲタだろう。そう、この作品かなり人を選ぶ。

人の精神面に関する多数の描写や、ハッカー色の強い作風などハマる人はとことんハマるが、駄目な人はとことん駄目である。
なにせ、公式がカルトアニメと堂々と言ってのける程である。とは言っても後述のゲーム版よりはまだマシな方

だが、90年代後半の暗い雰囲気、時代を先取りしたかのようなストーリーや独創的な演出は名作と呼ぶ価値がある。
敬遠することなく一度見てほしい。


あらすじ

ネットワーク端末「NAVI」が普及した現代。
ある日の夜、渋谷のビルの屋上で、四方田千砂という女子中学生が飛び降り自殺を図った。

その後、同級生である岩倉玲音は、死んだはずの四方田千砂からのメールが送られてきた事を知る。

玲音はこのメールに興味を持ち、NAVIを通じて、ワイヤードの世界にのめり込んで行き、様々な事件に巻き込まれる事になる。


主な登場人物

  • 岩倉玲音
CV:清水香里
本作の主人公。内気な性格ではあるものの極普通の中学生…だったはずが、専用のNAVI*3を手に入れてから、急速にハッカーとしての才能を開花させていき、物語の事件に巻き込まれていく。

クマのパジャマ姿が大変可愛い。
また担当声優は本作がデビュー作であり、当時なんと中学生だった。

  • レイン
CV:清水香里
ワイヤードから生まれた、玲音であって玲音ではない存在。
ハッカーとして伝説的な腕前を持っている。
気が強く、にらみつけるような鋭い目つきが特徴。
最初は玲音と全く関係ない所に現れていたが…。

  • 岩倉康男
CV:大林隆之介
玲音の父親。熱狂的なNAVIオタで玲音が専用のNAVIを持つことにも大賛成していた。
彼がNAVIを夢中になって操作しながら、玲音と話していたシーンはある意味本作を象徴している。「ケヒャ、ケヒヒヒヒヒッ!」

  • 岩倉美穂
CV:五十嵐麗
玲音の母親。いたって普通の母親だが、2話で康男と熱いキスを交わしていた。それを玲音に目撃されていた

  • 岩倉美香
CV:川澄綾子
玲音の姉。玲音に対して少しキツく当たっていた。
とある出来事に遭遇してしまったせいで、精神に異常をきたしてしまい…
本作のトラウマメーカー。

  • 瑞城ありす
CV:浅田葉子
玲音の親友。優しい性格で登場時から何かと玲音を気にかけていた。
本作の数少ないマトモな人。ありすちゃんマジ天使。
が、何と作中に自慰シーンがある。

  • 山本麗華
CV:手塚ちはる
玲音の同級生で、ありすの親友。
親友達の中では最も背が高く、ありすと一緒にいることが多い。

  • 加藤樹里
CV:水野愛日
同じく玲音の同級生で、ありすの親友。
1話にて、四方田千砂のメールが届いた事に怖くて泣いてしまっていた。

  • 四方田千砂
CV:武藤寿美
玲音の同級生。1話冒頭に飛び降り自殺を図った。
彼女の死後、なぜかメールが届き「肉体は必要ない」といった旨の事が書かれており…

  • タロウ
CV:滝本啓人
クラブを溜まり場にする小学生。NAVIに色々と詳しい。
小学生なのに、玲音をデートに誘おうとした。何この小学生?
棒読みっぽいとか言ってはいけない。

  • ミューミュー
CV:山本有紀
同じくクラブを溜まり場にする小学生の女の子。タロウに好意を抱いているらしい。
本作で最も棒読み

  • マサユキ
CV:藤間宇宙
またまた同じくクラブを溜まり場にする小学生。
小学生3人組の中で一番背が高くNAVIに詳しいが、知識はタロウに劣る。
他2人の例に漏れず棒読みっぽい。

  • 黒服の男
CV:中田譲治
CV:山崎たくみ
玲音を監視している、謎めいた黒服の男たち。
変な黒いゴーグルを着けており、非常に怪しい。

  • 英利政美(えいり まさみ)
CV:速水奨
ワイヤードで玲音に何度か語りかけてくる神になろうとした男
かつては研究員をしており、事故で死亡したようだが…
色々な意味で物語の最重要人物。

+ ネタバレ注意
  • lain
CV:清水香里
玲音やレインとも違う、全く別の存在。
ありすの自慰シーン中に現れ、ありすを小馬鹿にした。
意地が悪い言動が多く、相手を嘲るような目つきが特徴。

  • れいん
CV:清水香里
最終回で登場した謎の存在。
青いワンピースを着ており、とても爽やか。
ワイヤードと現実世界の垣根がなくなり、万物を思い通りに書き換えることが出来るようなった玲音に『神様』になることを勧めるが…


ゲーム版


友達という名のレッテル

恋人という名の偏見

たったひとつの存在

lain


ゲーム版はアニメ版とストーリーや登場キャラクターが異なり、米良柊子(CV:岡本麻弥)や、サラリーマンである牧野慎一郎(CV:渋谷茂)、玲音の中学校の友達である美里などのオリジナルキャラクターが中心となった物語となっている。

基本的にカウンセリングに来た少女「岩倉玲音」と、その担当医の「米良柊子」のカウンセリングが中心となってゲームが展開されていく。

ゲーム中に出来ることは、情報ネット上にある音声やムービーデータを、「lain interface」という架空のインターフェースを使って再生するだけ。
特別な操作などは全く無い、ただ再生するだけ。

そのため、本作は「ゲームではない何か」と言われることがよくある。
オマケにボタンを押して反応するまでに2~3秒、場合によっては4~5秒かかる操作感、ワザとやっているのでは無いかと思うくらい遅い。速さが足りないとかそんな次元じゃない。ハードはPSなのに…。

+ ストーリーに関するネタバレ
玲音は実は電波を目視出来る少女であり、左のもみあげだけが長いのも聴こえてくる幻聴を防ぐため。
さらに小学校の頃には仲の良かった友人がいたが、男子絡みの事で嫌われ、その後いじめ→登校拒否の魔のコンボ。
パソコンの腕がハッカーも真っ青なほど高いが、ネット上で裏切られ、人間不信に。
中学生になって学校に行き、美里と友達になるが、美里は玲音の想像上の人物。
さらに父親が急に失踪、カウンセリングにより安定していた精神が悪化。後に母親も失踪。

そして「お父さん」を作り出す。最初はプログラミング上のものだったはずが、だんだんロボットとして「肉体」を持っていく。
さらに後に「お父さん」を鉄パイプで壊していくのだが、鼻歌+レイプ目+無表情で壊していく様子は狂気の一言。

担当医の柊子も酷い目にあう。
研究所では教授に不当に扱われ、大学時代から付き合っていた恋人が他の女性と突然結婚することになる。
後に吉田という恋人が出来るが、吉田は橘総研の人間でRMLという怪しい健康器具を渡し、さらに柊子はおかしくなっていく。
玲音とは最初は仲が良かったものの、調べていく内に玲音が普通とは違う存在だと分かり、関係は悪化していくというより柊子が一方的に嫌っていく
さらにカウンセリングの技術を会得した玲音が精神を病んだ柊子をカウンセリングするようになる。

牧野も玲音の「お父さん造り」に協力した後、精神を病んで自殺。

これだけでもかなり酷いが、最後は本当に救いが無い。

柊子は完全に精神が崩壊した後、玲音に銃殺されてパソコンのモニターに顔面を突っ込んで死亡。
この映像は本作屈指のトラウマメーカーである。
もっともこれは玲音が柊子を好きだったために、柊子を自分の世界に連れて行く為に殺したようである。

玲音は精神を病んでいく内に「実在」をネットに見出し「記憶」はデータにすぎないという結論を出す。
自分の思考ルーチンなどをネットにばら撒いた後、拳銃で自殺をする。
その時に玲音の笑い声が木霊するのだが、この映像は本作(ry

エンディングを見た後もデータが増え、その中にネット上の存在となった玲音と柊子から語りかけられるというデータがある。
ここでは最初に入力した名前で呼んでもらえるのだが、当時はそういった技術が発達していなかったのかとんでもない機械声。
これが本当に怖いというか、精神にクる。
これをやった後にラブプラスをやると、技術の進歩に感動出来るかもしれない。

他にも、操作をしないでしばらく放置をしていると、裸の玲音が走る映像や、「見ろよ、モニターに写ったアンタの馬鹿顔」「革命を起こすんだよ」
「今日、俺のクローンの女に街で会った」といった明らかに電波が入った男性の声が聞こえるような隠し要素がある。


余談

ゲーム版はファンディスク的位置づけということもあってか生産数が少なく、廃盤になってしまったこともあって、約10万円以上のプレミア価格が付いている。
中古のゲームハードとソフトを買っても余裕でお釣りが出るぞコレ…。

リメイクやゲームアーカイブスでの配信を希望する声も多く、
実際4Gamerにおけるインタビュー記事によると配信出来る寸前まで話が進んだらしい。
が、あまりに実験的要素の強い作品であることから原作者自身がSTOPをかけたとの事、残念。

前述した通り1998年の作品ながら、未だに根強いファンが多く10周年となる2008年、20周年となる2018年にはファンイベントが行われている。

そして2023年、突然シンガーソングライター・TOOBOEの楽曲「天晴れ乾杯」にてlainがゲスト出演。
生成AIを用いた不気味な世界観の映像に紛れ込む様に、MVに出てくる双子の少女役としてlainが公式に登場した。





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最終更新:2025年04月08日 12:52

*1 現在のウェブ機能を発展させたようなもの。

*2 ただし一人称視点の作品ではなく、あくまでも客観性の無い作品。

*3 パソコンを発展させたようなもの。