登録日:2016/11/10 Thu 13:22:28
更新日:2025/04/12 Sat 09:42:09
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クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(以下、CCライセンスと略記)は、
非営利団体「Creative Commons」が「クリエイティブ・コモンズ」という国際的プロジェクトを通じ策定した
「著作権の適正な再利用を促進し、著作物の再利用を許可する意思表示を簡便にするための」ライセンスのことである。
概要
クリエイティブ・コモンズプロジェクトの意義は「知的所有権法・著作権法で守られる著作物の再利用をするうえで、それらの法によって生じる諸問題を回避」することにある。
基本的にあなたがなにかしらの絵や動画、小説などを作ったとする。
あなたは誰かが二次創作をすることを認めたいのだが、いちいち報告してもらうのも面倒だ、
しかし自分が作ったもののオリジナルを他者に主張されたりするのは嫌だなあ、なんて場合があるだろう。
こうした時に、「表示-継承(CC BY-SA)」を自分の著作物につけておくことで、「俺が作ったって書いてもらって、あなたが作ったものもまた二次利用を可能とするならば許可するよ」という意思表示を行える。
本来はこうした法的な意思表示をする際には、各国の法律に精通したうえで、法知識を元に自分で文章を書く必要があったが、それだと作り手もめんどくさいし、利用する方もぶっちゃけ「何言ってんだこいつ」状態に陥る。
すると利用する方も諦めるか、法的にグレーな方法での二次利用をすることになる。
そういうことを避け、「何を守ればいいのか端的に示す」ことに意義がある。
このためライセンスの説明ページは二種類あり、一般人向けの「簡単な解説ページ(コモンズ証)」と、法曹関係者のための「利用許諾書」の2つがある。
このほか、コンピュータが読み取るためのメタデータが別にある。
ライセンスの種類
現行のバージョン4.0には以下の6種類がある。
元々の著作権者の適切なクレジット(名前・製作年や出版年・出版社やWebサイトのアドレス)を「可能な限り合理的な方法で(わからんものは
スルーできるというかスルーするしかない)」表示していれば再利用可。
クレジット表記に加え、複製・上演(劇台本や映像などの場合)にあたり一切の改変を禁止する。
クレジット表記に加え、利用した人が改変したり付け加えたものも他者の再利用を認める。
この場合、当然利用した人の作品にもこのライセンスがくっつくので、次の利用者は両方のクレジットを表示することになる。
クレジット表記に加え、非営利利用に限る。
- 表示 - 非営利 - 改変禁止(CC BY-NC-ND)
クレジット表記と改変禁止に加え、非営利利用に限る。
- 表示 - 非営利 - 継承(CC BY-NC-SA)
クレジット表記と再利用を認めるうえ、非営利利用に限る。
この場合、当然派生作品も非営利利用に限るライセンスしか発行できない。
ただし最新版が登場しても、前のバージョンのものが失効するわけではないため、一部のコンテンツは旧バージョンを使用することもあるのに注意。
例えば、
SCP FoundationはCC BY-SA
3.0を採用している。
また、あるCCライセンスを他のライセンスや他のCCライセンスと「選択可能にしておく」ことも可能だし、ライセンス範囲を限定することもできる。
注意
- Q. 非営利利用に限るとなっているものを営利利用したい場合は?
A. 元の著作権者に個別に許可を取れば可能。
- Q. CCライセンス以外でその作品を利用したい場合は?
A. その人が他のライセンスを選択可能にしている場合(例えば
初音ミクのオフィシャル画像はPCLを採用しているため、そちらを利用することができる)はそれを選択できる。
それ以外を利用したい場合や他のライセンスを提示していない場合は個別に許可を取れば可能。
- Q. CC、非CC問わず別のライセンスを利用している作品とクロスオーバーさせる場合は?
A. それぞれのライセンスの範囲をきちんと表示すること。場合によっては不可能な場合がある。
- Q. 元の小説が英語で翻訳した場合、翻訳したものにもライセンスがつくの?
A. 継承を採用している場合はもちろんつく。
ただし翻訳者が自身の名前を公開していない場合もあるため、そのような場合は翻訳したものの場所だけ表示するしかないだろう。
- Q. じゃあ二次創作がされまくるとライセンス表示長くならない?
A. なる。だけど二次創作者は任意で「自分のクレジットは書かなくてもいいよ!」と示すことができる。
- Q. 旧バージョンのCCを利用している場合に、著作者/利用者が新バージョンに切り替えてもいいの?
A. 表すものが同じ場合は可能(逆に古くする方は不可能)。
ただしCC側は推奨しているがあんまり推奨はしない。特に途中でライセンスを切り替える場合は事前に言っておく必要はあるだろう。
- Q. 元のライセンスより自分の著作物に厳しい物をつけてもいいの?
A. 例えば元が営利利用可能な場合に非営利にしたり、元が表示しかないものに継承をつけるのは可能。逆は当たり前だけど不可。
なお継承はめんどくさいルールを孕んでおり、継承がついているものを二次利用した場合は元とそっくりそのままのライセンスをつけなければならない。
- Q. CCライセンスをつけた作品をひっこめたいんだけど、それ以降の二次利用を止められる?
A. 無理。ただし個別に「お前の利用方法は意にそぐわないからやめろ」とは言える模様。
- Q. CCライセンスって勝手につけていいの? Creative Commonsやクリエイティブ・コモンズ・ジャパンに報告しなくていいの?
A. しなくていいし、いちいち記録もしていない。
- Q. 自分がそれで飯食ってるんだけど、CCライセンスをつけてもロイヤリティを受け取ることはできる?
A. 非営利利用にだけCCライセンスをつければ営利利用でロイヤリティを受け取ることはできる。
- Q. 「BY-NDとBY-NC」がついているものと「BY-ND-NC」って同じ?
A. 前者は「営利利用できるけどその場合は改変禁止、非営利利用であれば改変可能」、後者は「非営利利用に限るうえ、改変も禁止」であり別のライセンスである。
また前者の場合、利用者は継承する場合はどちらかを選択できる。
A. クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは「作品」を守ることを主眼に置くため、素材につけると二次利用を逆にしにくくなる場合がある。
個別にライセンスを作るか別のライセンスを採用して、選択可能にしておくといいだろう。
具体的にはSA(継承)を含むライセンスを素材に用いる場合に問題が出る場合がある。
上述の通りSAを付ける場合は素材を使用したコンテンツにもSAが自動的に付与されるのだが、他の素材サイトから二次利用された部分が不可分となっている場合にこちらにまで対応するCCライセンスがついてしまうことになる。
これがどのように問題なのかというと、例えば日本の素材サイトでよく用いられる『再配布禁止』の規約を持つ素材と併用するならば、その素材もCCライセンス下で再利用可能になる、すなわち自動的に規約違反の再配布をしてしまうのだ。
他にも様々な齟齬が生じてしまうため、実質上SAを含むライセンスと同じライセンスを持つ素材以外との併用は不可能に近い。
これは何もCC-SA=悪、というわけではなく、考えなしに付けていいライセンスなど存在しないという当たり前のことではあるのだが。
A. 世界ではそうでもないのだが、日本ではもともと「著作者がお目こぼし」することで認可してきたものも多いためぶっちゃけCCを気にしなくてよかったというのもある。
昨今非親告罪化もありうるとなってきたため、あなたが著作者になったときは、場合によってはNCライセンスを発行したほうがいいパターンもありうる。
- Q. ライセンスを守れないなら再利用する方法はないの?
A. CC等のライセンスや許諾がついていないものと同様、通常の著作権法で認められている再利用ならライセンスを守らなくてもよい。
「コピーレフトはコピーライトなしには成り立たない。」つまり、CCライセンスは「条件を満たしている限り著作権を行使しません」というものであり、そもそも著作権が行使できない場合は成立しないのだ。
例えば、著作権の最大の例外である
引用。引用の必然性、引用元の明記などのルールを満たせば、それがCCライセンスで保護されていようと他の著作物と同様に問答無用で引用できる。
他にも、アイデアや名称等の著作権の保護対象外となる部分を利用する分には、特に問題になることはない。SCPの名前を出してそのあり方を言及する分には問題ないし、全く無関係の作品にあらゆる攻撃が効かない危険なトカゲみたいななんかを登場させてもCCライセンスに反することはないのだ。
A. 元の著作物がBY-SAを採用してたらつけざるを得ないけれど、そうでないものにつけるのは逆にまずい場合がある(元の著作者が誰だよって話になるし)。
ぶっちゃけ元の人が採用していない限りはやめといたほうがいい。
つけなくてはいけないコンテンツは「CC BY-SA 3.0」を採用している
SCP Foundationなど。
以前は例外として、
SCP-173の
画像、SCP-111の
画像、SCP-1926の
文章全体がCCライセンス適用外かつ「非営利利用に限る」(173および111の文章部分はCCライセンスが普通に適用されていた)とされていた。
現在はいずれも削除されているが、当時の画像や文章を扱う際には注意されたい。
追記・修正はCCライセンスを周知させてからお願いします。
- クリエイティブ・コモンズ・ジャパンとかいう組織がカオスラウンジ騒動に関わってたな。 -- 名無しさん (2016-11-11 06:18:45)
- これってCC-継承がついてる作品の二次創作(例えばゲーム)を作る場合、別のライセンスの素材(BGMなど)を入れたらやべえって認識でいいのかな -- 名無しさん (2019-10-14 00:53:47)
- 早くに -- 名無しさん (2020-07-03 02:25:01)
- 早く日本にもっと広がって欲しい。そうすれば著作権のごたごたは割りと大分解決するような気がする -- 名無しさん (2020-07-03 02:26:15)
- CCも万能ではないので CCに限らずライセンスを理解し運用できればいいんだけどね -- 名無しさん (2020-10-27 13:56:52)
- ↑4 著作権団体なので適正使用か否かの議論に参画することはあるでしょ -- 名無しさん (2020-11-03 17:52:38)
- CCJのトークイベントにカオスラウンジを呼んだだけで議論なんかしちゃいないが -- 名無しさん (2023-11-23 20:44:53)
- なんか翻訳というか解釈が違ったとかでゆっくり解説が消えてる? -- 名無しさん (2024-09-28 17:43:27)
- 当のSCP財団ではジョークオブジェクトでクリエイティブ・コモンズそのものが要注意団体認定される記事があったのを思い出した -- 名無しさん (2025-04-09 17:50:32)
最終更新:2025年04月12日 09:42