王様のレストラン(ドラマ)

登録日:2016/11/17(木) 23:24:05
更新日:2025/02/25 Tue 21:03:01
所要時間:約 10 分で読めます




『王様のレストラン』とは、1995年4月から水曜日21:00~21:54に放送されていたフジテレビ系列のテレビドラマ。脚本は三谷幸喜。

三谷の代表作である『古畑任三郎シリーズ』に比べると知名度は低いが、平均視聴率は17.1%を記録し、
『警部補 古畑任三郎』の平均視聴率を上回っている。全11話+特別編1話。

キャスティングには三谷の希望が取り入れられ、有名俳優の他ベテラン舞台俳優が多く抜擢された。
三谷は作品を制作する際、制約を設けることを好んでおり、本作は「物語は全てレストランの中で完結する」という制約を設けている。
物語冒頭には毎回ミッシェル・サラゲッタ(架空のフランス人)の料理や食事に関する格言が表示される。

また、半沢直樹でもお馴染みの服部隆之の手掛ける豪華絢爛なBGMは非常に人気が高く、料理番組やバラエティ番組でも多用されたため「ドラマは未見だが、曲は聞いたことある」という人も多いだろう。

【あらすじ】(声:森本レオ)

オーナーシェフの死後、質が落ち続けるフレンチレストラン「ベル・エキップ」に、二人の客が訪れる。
一人は先代オーナーと愛人の息子・原田禄郎。そして、もう一人は、かつて伝説のギャルソン、と呼ばれた千石武。
この二人がベル・エキップにやってきたことで、店は次第に活気を取り戻していく。
しかし、ベル・エキップが再び一流レストランになるまでには、様々な困難が待ち受けているのだが、
それはまた、別の話。


【登場人物】

●千石武/ギャルソン(演:松本幸四郎
先代オーナー時代にベル・エキップで働いていた伝説のギャルソン。先代オーナーとは大親友だったが、
傲慢になっていく彼に反発し、店を去った。その後給食センターで働いていたが、禄郎の説得でベル・エキップへ戻る。
彫りの深い顔と潤んだ瞳が特徴。ギャルソンとしての能力の高さはもちろん、臨機応変でユーモアに富んでいる。
その反面、ギャルソンやフレンチレストランに関する知識以外には疎く、「EU」が何か知らなかった。
無気力な従業員達に煙たがられながらも、ベル・エキップを一流レストランに戻すため策を弄する。
好きな曲はつのだ☆ひろの「メリージェーン」。口癖は「素晴らしい!」。

●原田禄郎/パトロン(演:筒井道隆)
先代オーナーと愛人の息子。母親から父は幼い頃に死んだ、と聞かされていた。父の遺言に従いベル・エキップの新オーナーになる。
見た目に特徴がなく、似顔絵が描きにくいタイプ。お人好しだが少々天然気味で、面接の際の梶原のウソを信じていた。
また、男女の色恋沙汰に鈍感で、兄の範頼と政子が愛人関係であることに気づかず政子に惚れていた。
以前働いていた会社では経理部だったため計算が得意で、店の経営難を従業員をクビにせずコスト削減で乗り切っている。

禄郎が心の支えにしていた働く父の姿は、千石が働いている姿だった。

●磯野しずか/シェフ・ド・キュイジーヌ(演:山口智子)
先代オーナーシェフが病気になった際にスー・シェフとして雇われ、先代オーナーの死後そのまま昇格した。
パリで暮らしていた時、有名レストラン「L’Ambroisie」に3年間通っていたが、従業員としてではなく客としてだった。
一流シェフに不可欠な味を覚える力と独創性に長けている。が、本人は自覚しておらず、あまり仕事熱心ではない。
物語序盤は盛り付けなどにそれが現れていたが、千石との出会いをきっかけに「最高のシェフ」へと成長する。
好きな歌手は橋幸夫(若い頃限定)。

●三条政子/バルマン(演:鈴木京香)
範頼の愛人。クラブのホステスだったのを範頼が引き抜いた。そのためしずかからは尻軽女、と嫌われている。
実際自分の仕事に無関心で笑顔も心がこもっていなかった。しかし、範頼が妻と別れるつもりがないことを知り、
吹っ切れた後は仕事に前向きになる。それが伝わったのか、しずかとの関係も改善されていった。
細かな作業が好きで、ある話では範頼が買ったギャオスの模型を組み立てて暇をつぶしていた。そこはスーパーXIIだろ

●水原範頼/ディレクトール(演:西村雅彦)
禄郎の腹違いの兄。先代オーナーから店を継いだもののすぐに傾かせた。禄郎と千石が店を立て直し、信頼を得ることを快く思っていない。
弟を見返すべく、知人に持ちかけられたカラーひよこの育成ビジネスに投資するものの、卵を青く塗っただけの詐欺だった。
この時、妻の実家の金を持ち出したことが原因で家を追い出される。さらに店の売り上げと権利書に手を出そうとするのだが・・・。
禄郎と違い不誠実な性格だが、眉毛の形、趣味(怪獣のラジコン模型集め)、考え事をする時唇を触るクセなどは同じ。

●梶原民生/メートル・ド・テル(演:小野武彦)
見た目は紳士然としたギャルソンだが、予約客の名前を覚えていなかったり、店の料理の知識が頭に入っていなかったりとかなりいい加減。
すぐに見栄を張るクセがあり、元妻と息子には自分が店の総支配人だと嘘をついていた。千石のことを疎ましく思っていたが、
自分の嘘に付き合ってくれたことをきっかけに心を入れ替える(見栄を張るクセはそのまま)。特技は手品と女体に関するエロトーク。

●稲毛成志/シェフ・パティシエ(演:梶原善)
平凡な腕前のパティシエ。しずかに惚れている。態度はガサツだが繊細な性格で、物語開始前しずかに告白して玉砕した時は
サイババに会いに二週間行方をくらました。雑誌で自分のデザートが酷評され、千石に「辞めるつもりなら止めるつもりはありません」
と言われた時は、「GOOD BE(BYEのスペルミス)」と書いたケーキを残して行方をくらます。実はワイン倉に隠れていた。

●大庭金四郎/ソムリエ(演:白井晃)
他の従業員とは違い自分の職に誇りを持っており、ワインの知識は確か。しかし、少々押し付けがましいところがある。また、ひどい音痴。
店で起きるトラブルには我関せず、といった態度だが、ボイコットの際は咳払いで禄郎にワインの場所を教えたり、梶原の家族が来店した時は
ガラの悪い客のフリをしたり、しずかを迎えに来た運転手(実はただ呼びに来た人)を酔い潰すのに協力するなど、以外と仲間思い。

●和田一/コミ(演:伊藤俊人)
梶原の腰巾着のギャルソン。梶原同様いい加減な接客が目立つが、千石からは俊敏な動きを評価されていた。
店が活気を取り戻してからは梶原より先に真面目に働くようになり、彼への対応が杜撰になっていく。
しかし、梶原の家族が店を訪れた際は一緒に頭を下げて協力を煽った。学生時代はコーラス部に所属しており、歌の指導時には性格が変わる。

●畠山秀忠/スー・シェフ(演:田口浩正)
大柄な体格のシェフ。先代オーナーが倒れた後、しずかの補佐役に雇われた。料理人を目指した理由は「美味しいものに囲まれていたいから」。
店の残り物などを食べていたため、半年で12kgも太った。しずかに惚れており稲毛とは犬猿の仲。稲毛には影で「メガネトド」と呼ばれている。
しかし、稲毛が落ち込んだ時は「一緒に大きくなろう」「お前のこと嫌いだけど、好きだ!」と励ました。

●佐々木教綱/プロンジェール(演:杉本隆吾)
皿洗いの青年。陶器を作っていた父親の影響で皿が好きになる。目標は一流のプロンジェールになること。
勤務態度は真面目だが、頻繁に皿を落として割る。料理の心得もあるようで、下ごしらえや賄いを作る場面がある。

●ジュラール・デュヴィヴィエ/ガルド・マンジェ(演:ジャッケー・ローロン)
路上でアクセサリー売りをしていたが、「一人くらいフランス人が居た方が箔が付く」という理由で範頼が雇ったフランス人。
雇われてしばらくは意味もなく店内を歩かされていたが、現在は食材管理とオードブルを担当。仕事にはやりがいを感じているらしい。
日本語はほとんど喋れなかったが、他の従業員に教わり次第に話せるようになる。しかし、一部に武士のような口調が混ざっている。

●先代オーナーシェフ(演:中村嘉葎雄)
範頼と禄郎の父。千石とは大親友で、二人でフランスへ修行に行き、帰国後ベル・エキップを開店した。天才的な料理人だったが、
天才であるがゆえに我侭で、自分の意にそぐわない従業員を次々クビにしていった。このことが原因で千石と袂を分かってしまう。
しかし、禄郎への遺書には「困った時には千石に相談するように」と書かれていた。範頼と禄郎の眉毛の形と模型集めの趣味はこの人の遺伝。

●語り(声:森本レオ)
このドラマを語る上で欠かせないナレーション。シリアスな展開でもほのぼのした口調は崩さない。
冒頭でこれまでのあらすじを語り、終盤でその後の展開に触れつつ「それはまた、別の話」で締めるのがお約束。


【用語】

●ベル・エキップ(La Belle Equipe)
このドラマの舞台となるフレンチレストラン。店名はフランス語で「良き友」。千石と先代オーナーがフランスで初めて覚えた言葉。

●オマール海老のびっくりムース
様々な奇跡が重なって誕生したベル・エキップオリジナル料理。オマール海老のムースの中にソースが閉じ込められている。
畠山がコレを真似て「もっこりムース」なる料理を考案するが、試食したしずかには「あと十年頑張ってみよう」と突き返された。


【各話タイトル&ミッシェル・サラゲッタの格言】

●第1話 この店は最低だ
 「人生で起こることは、すべて、皿の上でも起こる。」

●第2話 復活への第一歩
 「人は皆、神が作ったギャルソンである。」

●第3話 ヤメてやる、今夜
 「人生で大事なことは、何を食べるか、ではなく、どこで食べるか、である。」

●第4話 偽りの料理の鉄人
 「人生とオムレツは、タイミングが大事。」

●第5話 奇跡の夜
 「奇跡を見たければ、その店へ行け。」

●第6話 一晩だけの支配人
 「トマトに塩をかければ、サラダになる。」

●第7話 笑わない客
 「歴史は、鍋で作られる。」

●第8話 恋をしたシェフ
 「最高のシェフは、恋をしたシェフ。」

●第9話 長い厄年の終り
 「まずい食材はない。まずい料理があるだけだ。」

●第10話 去る者、残る者
 「若者よ、書を捨て、デザートを頼め。」

●第11話 奇跡
 「人生で起こることは、すべて、皿の上でも起こる。」

特別編 それはまた別の話スペシャル
 「人生で起こることは、すべて、皿の上でも起こる。」


【主題歌】

『Precious Junk』 歌:平井堅
平井堅のメジャーデビューシングル。本編中もアレンジされた曲がBGMとして使われた。EDにはその回の映像がセピア色に加工され
スライドショー形式で流されたが、サビ前の「テッ テッ」のカットで誰が映るか、キャストの間でちょっとした話題になった。



【余談】

このドラマは三谷幸喜の人気ドラマ『古畑任三郎シリーズ』と同じ世界が舞台である。
第2シリーズ第8話(総第21話)「魔術師の選択」にて南大門昌男宛に、特別版(総第24話)「しばしのお別れ」にて二葉鳳翆宛に
「ベル・エキップ オーナー・原田禄郎」名義で花束が贈られている。
古畑がベル・エキップに来店したら、さすがに度肝を抜かすかもしれない。


第7話にて、日本とEUの大臣達の空気を和ませるため、禄郎が「赤い洗面器の男(おじいさん)」の話をする。
興味を引くことはできたものの、禄郎が肝心のオチを忘れていたため「ちゃんと最後まで覚えている話をしろ」とツッコまれた。



この後、この項目は大規模な追記・修正が行われるのだが、

それはまた、別の話

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