SCP-272-JP

登録日:2016/12/20 Tue 23:32:20
更新日:2025/05/02 Fri 11:50:15NEW!
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SCP-272-JPはシェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクト(SCiP)のひとつ。JPのコードが示す通り日本支部の管轄である。
項目名は「『ユカ』」。
オブジェクトクラスはSafe。完全に収容されているオブジェクトである。
そして、これほど[編集済]が仕事してない記事もそうはないだろう。



概要

このオブジェクトが何かというと、ある廃棄された劇場の劇団員控室にあった床面である。
コイツの異常性は、同性愛者以外の男性が踏んだ時に発揮される。……この時点で何か嫌な予感がしたあなた、正しいです。
起きる事象は典型的なミーム汚染の一種なのだが、問題はその内容。

コイツへの曝露者は、「ユカ」という名前の「華美なドレスを着た女性が床に仰向けで横たわった姿が見える」と主張する。
この兆候を示した者をSCP-272-JP-1と、「ユカ」をSCP-272-JP-2とする(本記事では「曝露者」「ユカ」で統一する)。

曝露者にのみ視認可能なこの女性「ユカ」は、どの人間の認識においても同一の体勢で横になっていると確認されている。
これらの効果は無人機器越しなど遠隔的な進入では発生せず、扉を開けた段階では異常性は発揮されない。

ミーム汚染された曝露者がどうするかというと、その「ユカ」を現実のように認識したまま床部にうつ伏せの体勢で横たわる。
その後、多くの場合ですべてに優先して以下の行為を行う。

  • 愛を囁く
  • 自分が守ると宣言する
  • 抱きしめるような挙動を行う
  • [編集済]


……えー、あー、うん。
最後の一つが何であったかは恐らくお分かりのことだろうが、そっと胸の内にしまっていただきたい。
それはここで、少なくともこの記事で口にすべきことではない。


行為を済ませると、不可視の「ユカ」に導かれ外部へと向かっていく症状が現れる。「ユカ」に導かれた曝露者は、彼女の指示に従い行動していると見られている。
仮にSCP-272-JPから連れ出した場合でも、あらゆる建造物において、その床面にあたる部分を「『ユカ』に続く床」と認識、証言する。
ミーム汚染系のオブジェクトは数あれど、ここまで来ると陛下のSCP-1561レベルである。

インタビューにおいて曝露者は床部に「ユカ」の存在を認識していないが、一様に「姿が見えなくても彼女は居る」と応える。
この症状を見せた曝露者は、ランダムに建造物の床とされる部分に横たわると、SCP-272-JPと同様の効果をその床部に付与することが確認されている。
つまり、いかなる場所の床でも寝そべった瞬間に、その場に「ユカ」が出現するのだ。

この後、やはりSCP-272-JP内に侵入した際と同様の行為を始める。
実験の結果から、これらの行為の間隔はおよそ三十分から一時間ほどとみられている。

で、記憶処理を行うと「ユカ」という名称こそ忘れるが、例え処理を行ったとしても「誰かが待っている気がする」と積極的に床へ横たわりたがることが確認されているため、横になった時点でその効果が拡散されてしまうらしい。
しかし、人間が床と認識しないものに対してはこの効果は発生しない、あるいは伝播しないようだ。

本当に問題なのはここからで、曝露者は最終的に「ユカ」以外の対象に対し性的興奮、欲求を抱かなくなるのである。
これは妻帯者、あるいは交際中の人間であろうと問答無用である。
一時はこの性質を性犯罪者に対して使用し再犯を未然に防ぐ措置が計画されていたが、このケースだと曝露者の恒常的な倫理観が完全に欠如、一切の自制心を持たずどのような状況においても「ユカ」からの指示があれば即座に[編集済]を行うことが判明した。
よって、男性職員の曝露は絶対禁止とされている。

冒頭で述べたとおり、同性愛者の男性には効果が及ばない。
同性愛者の女性の場合はどうなのかは不明。たぶん財団もそこまでは実験しないだろう。

インタビュー記録は二つあるが、どれもおおむね諸兄の予想通りの結果であったため省略する。
ただ、二つある方の後者の曝露者は後に脱走、Dクラス職員の食堂においてミーム汚染を拡散。
結果、居合わせた数名の男性職員が曝露することになった。……どんな光景が広がったかは想像しない方が精神衛生にはよいだろう。

ちなみに「ユカ」についてだが、実体でこそないものの曝露者には明確な人格を持った存在と認識されている。
で、どんな女性かと言えば、彼らに曰く外見は、

とても淑やかで、清楚で、美しい。見えるだろ、頭のてっぺんから指先、つま先まで、全部が全部本当に美しく整ってる。彼女が着こなした肌に張り付くような純白のドレス。上品に着飾ったアクセサリー。そして、それに包まれたこの透き通った白い肌。

内面は、

彼女は言っていた! 俺の傍で。耳元で。こんなに近くで! 「貴方も包んであげますから」って! 「だから私を愛してほしい」と「もっと愛して欲しい」と!
あの子は、い、いっ、いつだって、欲しがってるんだ! 恥ずかしがっているように見せて! だから!

まあ、こんな人物らしい。


補遺

この異常性の大本と思しき台本が、収容直後に劇場から発見された。
5冊あったうちの4冊はほとんど解読が不能なほど劣化していたものの、「偏愛」というタイトルが付けられた冊子のみ解読可能な部分が残されていた。
これらの台本は他の劇場や劇団関係者において一切知られておらず、未確認の劇台本だということが確認されている。また、「偏愛」台本中において一文のみ、強調線を引かれた状態の文面が遺されていた。
それがこれ。

[判読不能(恐らく男性の役名)]こんなところ[判読不能]は……[判読不能]だ。だから。

結華(ユカ)「……嗚呼、[判読不能]様……! もっと! 私は、どこでだって、今ここでだって……!

[判読不能]って、我慢なん[判読不能]ない。

……どんな劇だったのだろうか。少なくとも学生が見るような演劇ではないだろう。



余談

投稿者によると、「ユカ」はあおむけのまま床面をスライド移動するらしい。


Taleにて

「ユカ上手」という短編Taleでは、何とよりによってSCP-2719「内側」に曝露してしまっている。
つまり、SCP-2719が定義する「内側」が「ユカ」で固定されてしまったのである。

エージェント・速水(早かったらしい)やエージェント・育良(なぜかご飯を奢ってもらった)が再収容に悪戦苦闘、SCP-877-JP「ピールオブバナナマン」がいきなり出現したり、なぜかアメリカ本部から飛んできたブライト博士が乱入(SCP-297「鋼入りのダン」を持参)してエラいことになった。
最終的には女性のDクラスが「内側に入った」結果、「ユカ」が歓喜のあまり絶叫。
結果、揃って「内側になって」しまい、そのまんまSCP-272-JPとしての異常性が消失。
これに伴いSCP-2719は「ユカ」から外れて再収容されている。



追記・修正は床に横たわってからお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-272-JP - 「ユカ」
by nekomiya_guu
http://ja.scp-wiki.net/scp-272-jp

ユカ上手
by crow_109
http://ja.scp-wiki.net/shark-of-sappho

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最終更新:2025年05月02日 11:50