登録日:2017/05/07 Sun 18:00:00
更新日:2024/09/23 Mon 19:42:12
所要時間:約 6 分で読めます
いすみ鉄道いすみ線は、大原駅から上総中野駅までを結ぶいすみ鉄道の鉄道路線である。
概要
元々は国鉄木原線として1930年に開業した路線だが、国鉄再建法の特定地方交通線に指定されてしまう。
分割民営化後は一旦
JR東日本に引き継がれたのち、1988年3月24日より第三セクターのいすみ鉄道に転換されることとなった。
他の第三セクターに転換された旧国鉄路線同様、慢性的な赤字が続いていて収支改善が見られなければ路線が廃止される可能性もあった。
列車の増便、駅の命名権売却、新駅開業など様々な改善策を行った結果、経営状況が回復されたと認められて路線は存続している。
運行形態
平日は
普通列車のみの運転、土休日は急行列車や「レストラン列車」など、様々な観光列車が運転されている。
急行列車などは乗車券の他に別料金が必要。
線内は1時間に1本程度の運転となっており、全線通しの他に大多喜止まりの区間列車も運転されている。
全線でワンマン運転を実施している。
なお、大原発最終列車は金曜日以外が21時台となっており、これは国鉄時代の22時台よりも1時間早い。
車両
いすみ鉄道を語る上で欠かせないのは、やはりこの使用車両であろう。
まずは一般的なところから。
開業当初に導入された車両で、7両が導入された。
当時富士重工業(現:SUBARU)が第三セクター向けに製造していたLE-CarIIの15m級の小型車で、ドアもバス用の折戸となっている。
落成当初はセミクロスシートだったが、ロングシート化で200型に改称され、その後床の張替えによる再改造で現在の形式となった。
老朽化に伴い置き換えが進み末期は206号車1両のみの在籍となっていたが、2024年7月に廃車。
現在はホテル三日月の「いすみ鉄道ルーム」に展示されている。
この他202号車も茂原市のせんべい工場で休憩室として使用されている。
老朽化したいすみ200'型の置き換えにより導入された。
新潟トランシス製のNDCで18m級と車両が大きくなっている他、
トイレ付で座席もセミクロスシートとなっている。
「ムーミン列車」として観光使用も考慮しており、棚にムーミンのぬいぐるみが備えられている。
当初は3両導入予定だったが、計画変更により2両のみ導入されている。
さて、ここからが問題である。
集客要素としてはアリなのだろうが…何というか、時代と逆行しているようなラインナップなのである。
一部は大の鉄道マニアという鳥塚社長(当時)の意見も反映しているとかなんとか。
とりあえず紹介していこう。
名前の通り
国鉄型気動車である。
観光用目的で、
大糸線で走っていた車両を2010年に
JR西日本から譲りうけたもの。
黄褐色2号+青3号の旧塗装で到着したが、大多喜駅で撮影会を行った後にクリーム4号+朱色4号の国鉄気動車一般色に塗装変更された。
塗装変更後再度撮影会を実施してから運用開始。
2014年に朱色5号(首都圏色)に塗り替えられたが、2019年に再度国鉄一般色に塗り替えられた。
こちらも同じく国鉄型気動車である。
富山運転センターで保留車となっていたキハ58系4両のうち、1両をやはりJR西日本より譲渡された。
こちらは譲渡前に高岡色から国鉄急行色に塗装が変更されている。
所属車両唯一の片運転台となっており、キハ52形と併結して運転されていた。
老朽化に伴い2022年12月で定期運用を終了し、2023年2月で臨時列車での運行を終了。
現在は国吉駅構内で保存されている。
…まぁ、譲渡車両だしまだよしとしよう。
しかし、この後が本当に問題である。
2013年2月に導入された18m級の車両で、車内はトイレなしのロングシートだが基本的な走行性能はいすみ300型とほぼ同じである。
問題は車体デザインで見た目がキハ52形そっくりなのである。
この車両を作った新潟トランシスの前身がキハ52形を製造した新潟鐵工所ということもあり、鳥塚氏がひたすら交渉しまくったらしい。
351と352の2両が在籍しているが、ヘッドライトやタイフォンの形状が異なるなど、これも氏のこだわりだろうか…。
名前の通り国鉄型気動車…ではない。
クリーム4号+朱色4号の国鉄標準色で見た目は完全に国鉄時代のキハ20系そっくりなのだが、実はいすみ300型と同じ18m級トイレ付セミクロスシートの新型気動車である。
いすみ300型として導入される予定だった3両目が、計画変更によりこの形式として新潟トランシスにて製造されたのである。
本来はいすみ300型の続番で「キハ20 303」となる予定だったのだが、これだと岡山県の片上鉄道の保存車両である「キハ303」や福岡県の甘木鉄道の「AR303」と形式名が同じになってしまう。
さらに国鉄時代にもキハ20に303が存在し、国鉄も現存していないことからオリジナル感を出すために1000番台にして1303になったという経緯がある。
なお、性能は新型に準ずるため国鉄型車両とは連結できない。
…もう完全に旧国鉄を目指しているようにしか見えないのは気のせいだろうか?
いっそのこと、会社名も「國鐵夷隅」に変更してしまった方がいいのでは…。
とはいえ、他にない方向性ということでは決して悪いことではなかろう。
これが地方活性化のきっかけになっているのであれば、頑張ってほしいところではある。
主な駅解説
JR
外房線乗り換え。起点駅。
1面2線のホームでJRの駅舎と繋がってはいるが、こちらは無人駅である。
現在は使用されていないがJRの1番線と本線が繋がっており、木原線時代に千葉方面からの直通列車が運転されていた。
2面2線の交換可能駅で急行停車駅。
旧東村の中心地でもある。
2面2線の交換可能駅で急行停車駅。
駅名は命名権の関係で「風そよぐ谷 国吉」となっている。
構内には前述のキハ58のほか、
相模線や
久留里線で走っていたキハ30 62が保存されている。
1面1線の棒線駅だが急行停車駅。
2008年に開業した線内で一番新しい駅で、町のシンボルである大多喜城が見えることから駅名が付けられた。
おおたきショッピングプラザ オリブに近いことから、「オリブ前」という副駅名も付けられている。
2面2線の交換可能駅で急行停車駅。急行はここから上総中野駅までは各駅に停車する。
いすみ鉄道本社や車庫が併設されており、一部の列車は当駅止まりとなる。
命名権の関係で駅名が「デンタルサポート大多喜」となっている他、関東の駅百選にも選ばれている。
また、開業当初の終点駅でもある。
1面1線の棒線駅。
命名権の関係で駅名が「三育学院大学久我原」となっている。
なお、名前の通り三育学院大学の最寄り駅でもある。
1面1線の棒線駅で、1933年8月から1年間だけ終点駅だった。
そのためか、過去には駅構内に機回し線が存在していた。
小湊鉄道線乗り換え。終点駅。
両路線ともホームが独立しており、1面1線ずつ別々に使用している。
ホームに面していない側線が直通運転できる構造となっているが、実際に直通運転が行われたことはない。
新しいものが好きな人でも、古き良き国鉄時代が好きな人でも、追記・修正お願いいたします。
最終更新:2024年09月23日 19:42