デュースワイルド(映画)

登録日:2017/11/13 Mon 03:31:48
更新日:2021/05/01 Sat 15:47:01
所要時間:約 6 分で読めます





強いヤツ《ギャング》が、ここ《N.Y.》を支配する。



デュースワイルド』とは、2002年に公開されたアメリカのギャング映画。

1950年代のニューヨークの下町を舞台に若きギャング達の抗争を描いた青春バイオレンスアクションであり、
互いに深い因縁を持つそれぞれのリーダーを中心に対立する2つのチームが家族や恋人を巻き込んで激しい闘いを繰り広げていく。

ぶっちゃけミュージカル抜きの『ウエスト・サイド物語』であり、更に言えば小規模な『HiGH&LOW
また、50年代という時代設定を意識してか、男性陣の大半がエルヴィス・プレスリーに似たリーゼントの髪型に仕上がっている。

監督は『バスケットボール・ダイアリーズ』でレオナルド・ディカプリオをトップスターにしたスコット・カルバート。
主演はスティーブン・ドーフ、ノーマン・リーダスやマット・ディロン等の豪華キャスト陣である。



【あらすじ】

1958年、NYのブルックリン。対立する若きギャング団、デュースとバイパース。
デュース率いるレオンは、バイパースのヘッドのマルコに対し、実の弟を殺された復讐を誓い、逆にマルコは刑務所に入れられた恨みをレオンに持ちながら出所してくる。
2つのチームは対立を深めていくが、その頃レオンのもう1人の弟であるボビーは、マルコの手下であるジミーの妹アニーと恋仲に。
復讐と愛が絡み合う中、デュースとバイパースは最後の決闘に挑むことになるが…。



用語

  • デュース
レオンが「街を守る」という名目でバイパースに対抗するために結成したチーム。
8丁目の一角にある縄張りの店でたむろし、タバコを闇で売ったりして資金を稼いでいる。
「絶対に麻薬に手を出さない」というルールが定められており、無意味な対立を避けるように心がけている。
一方でボビーを筆頭にしたメンバー達が後述の場面で屋上から大量のコンクリートブロックを敵対者に投げ落としてその様子を笑い飛ばす等、正義もへったくれもない容赦無さも持ち合わせている。

  • バイパース
リーダーのマルコを筆頭に麻薬を密売しているチーム。
デュースと比べるとダーティーな要素が強く、積極的に襲撃を行なってあの手この手でデュースを挑発する等、良くも悪くもロクデナシな集団である。
しかし、一方では街の顔役であるフリッツィーには逆らわないようにしている。この点に関してはデュースも同様であり、お互いに不可侵という約束で3年前から休戦協定が結ばれている。



【登場人物】

デュース

  • レオン(演:スティーブン・ドーフ)
本作の主人公。
デュースのリーダーで責任感が強く母親思いの青年。3年前に末っ子のアリーが麻薬で命を落としたのをキッカケに麻薬一掃に精を出しており、ボビー達に対してはバイパースと極力面倒を起こさないよう念を押しているが、争いに消極的な態度がかえってボビーの反発を強めている。
その一方でアリーを死に追いやったマルコとバイパースを今でも憎んでおり、それ故にボビーとアニーの交際に関しては当初は反対していたものの、のちにボビーの熱意に負けて交際を認めるようになる。

かつてはチンピラ風の吸血鬼だったのかもしれない。


  • ボビー(演:ブラッド・レンフロ)
レオンの弟。本作の語り役。
彼もデュースの一員ですぐ頭にのぼる激しい感情の持ち主であり、兄にも反抗的であるが、序盤で知り合った恋仲のアニーに対しては頭が上がらない一面も持ち合わせている。
酒浸りで自堕落な母親、事あるごとに自分をキツく咎める兄。こういった背景から、自分と似たような家庭環境を持つアニーに好意を抱くようになる。


  • リトル・ジャック(演:ダニー・クリストン)
デュースの一員。
中盤で祭りを楽しんでいたところをバイパースに襲撃されて足を骨折。
なお、前述の襲撃はデュースの怒りを煽るための罠であり、案の定ボビー達はバイパースに激怒して殴りこみをかけていた。
その後、松葉杖の状態になりながらも終盤の決闘に参戦して松葉杖を武器に戦っていた。
エンディングでは他のメンバー達と共にボビーの引っ越しを見送った。


  • ティノ(演:ジェームズ・フランコ)
デュースの一員。他のメンバーと比べるとチャラ男っぽい雰囲気の青年。



  • スクーチ(演:フランキー・ムニッズ)
デュースの一員。
メンバーの中では最年少の少年でレオンを兄貴分として慕っている。アル中の父親を持つ。
レオンの方もスクーチを弟分として可愛がっており、たまり場で彼に暴力を振るった父親に鉄拳制裁を食らわせていた。
終盤での決闘では自分も参加しようとするもレオンに止められ、遠くで彼らの戦いを見守っていたが、レオンがマルコに不意打ちされそうになった際には鉄パイプを投げ渡す形でレオンをサポートした。


バイパース

  • マルコ(演:ノーマン・リーダス)
バイパースのヘッドであるオールバックの男。
麻薬を取り扱うチームの中心人物であるだけに素行が悪く、アリーボーイに麻薬を勧めて結果的に彼を死に追いやり、部下達と共にデュースを襲撃する等、目的のためなら手段を選ばない極悪非道なDQNである
3年前に麻薬売買の罪で逮捕されて刑務所に入れられ、序盤で出所していた。
なお、逮捕されたのはレオンの密告によるものであるらしく、当然レオンを強く恨んでいる。
3年間の刑務所暮らしに加え、出所前にフィリーが用意する予定だった縄張りをボビー達に台無しにされた事で怒りが頂点に達してレオンを含むデュースに対する挑発を開始した。

別の世界ではゾンビと戦っているらしい。


  • ジミー・ポケッツ(演:バルサザール・ゲティ)
マルコの腹心の部下。
出所してきたマルコに絶対服従しており、彼にレオンに勝つ方法をこっそり教えたりしている。
妹と母親と3人暮らしであるが、母親は精神を患っており、妹とは折り合いが悪い。
おまけに妹がデュースのメンバーと付き合っている事をマルコに咎められる等、家でも外でも苦労している。


  • フィリー(演:マックス・パーリック)
マルコのいとこ。
序盤ではデュースの縄張りであるフリッツィーの店を買い取って麻薬の取引所として利用しようとしたが、それを良しとしないボビー達に目をつけられ、乗っていたごとコンクリートブロックの下敷きにされて病院送りにされた。
その後、重傷を負いながらもマルコと面会して彼からデュースの襲撃を命じられる。


関係者

  • アニー(演:フェアルーザ・バーク)
本作におけるヒロイン。
ジミーの妹であり、ポニーテールと前髪ぱっつんが特徴。
序盤でレオン達が住んでいるアパートの隣に引っ越してきたのをキッカケにボビーと付き合い始めた。
気が強くて跳ねっ返りで当初はレオンの顔色を窺ってばかりいたボビーに憤慨していたが、ほどなく彼がしがらみを断ち切った事で一気に恋愛関係が進展していた。


  • ベッツィー(演:ドレア・デ・マテオ)
レオンの恋人。
いかにもリア充でレオンとラブラブな日々を送っている。
中盤でマルコから交際を迫られ、それを拒否した途端に暴行されてしまう。
その後、マルコに激怒して戦いに赴くレオンを悲しそうに見送った。
なお、当初はマルコの元カノという設定であり、暴行の経緯も「復縁を断って逆上された」というものであったが、結局それらはカットされた。


  • エスター(演:ナンシー・カサロ)
レオンとボビーの母親。
3年前に三男のアリーを亡くしたせいで心が病んでおり、今では日頃から酒浸りでろくに料理を作らないほど家事を放棄している状態である。
上記の理由でボビーからは煙たがられていたが、本編後半ではマルコに暴行されたベッツィーに同情して彼女をいたわる等、完全に心が壊れているわけではない模様。


  • アリー(演:ブレイク・バショフ)
レオンのもう1人の弟。
既に故人で回想シーンのみの登場。
何でも興味を持つ年頃に運悪くマルコに麻薬を勧められる形でヤク中になった末に死亡。
彼の死が残された一家全員に深い傷を残した。


  • フリッツィー(演:マット・ディロン)
街一番の権力を持つマフィアのボス。
自分の縄張りで無駄な争いが起こるのを嫌っており、休戦協定でデュースとバイパースの対立をある程度抑えている。
良く言えば仲介人、悪く言えばコウモリ野郎。


  • アルド神父(演:ヴィンセント・パストーレ)
レオンの知人。
序盤ではレオンに対して「刑務所にいるマルコが戻ってくるが、挑発には乗るな」と忠告していた。


  • フレディー(演:マックス・パーリック)
デュースの協力者らしき男。
実はバイパースの差し金であり、終盤の決闘で協力者のフリをしてデュースを陥れようとしたが、この時点でフレディーの正体に気づいたボビーに制裁されて失敗に終わった。



余談

ボビー役を演じたブラッド・レンフロは本作に出演した当時こそ強面な容姿であったが、子役時代は美少年と言える程のイケメンで一躍有名となっていた。
しかし、その一方では成長と共に私生活が荒れてしまい、皮肉にもボビーの弟アリーと同じくヤク中になってしまった末に25歳の若さでこの世を去った。





追記・修正は、屋上から大量のコンクリートブロックを敵の頭上に落下させて半殺しにしてからお願いします。

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最終更新:2021年05月01日 15:47

*1 資金の在り処を知っているのは自分を除けばマルコとジミーだけだったため、ジミーを疑うのは無理もない話であろう。