Ancestral Recall

登録日:2018/03/17 Sat 13:48:59
更新日:2022/02/26 Sat 01:23:55
所要時間:約 6 分で読めます





Ancestral Recallとは、マジック:ザ・ギャザリングに存在するカードである。初出はマジック最古のセット、アルファ。


概要

Ancestral Recall (青)
インスタント
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを3枚引く。

最古のカードゲームであるマジックにおける最古のドローカードのうちの1枚。
その効果もシンプルで、1マナでカードを3枚引ける。それだけ。


何かおかしいと思った貴方は正しい。
1マナで使えるというのはわずか土地1つ分のマナで使えるということであり、それでいて引ける枚数は3枚
先攻1ターン目適当に島置いてこれを使えば事実上手札8枚スタート。(マジックの初期手札は7枚である)
既に土地が置いてあるのならたった1マナで1:3交換。
更にインスタントなので相手ターンにも使える。これにより例え唱える土地がなくとも、基本の動きだと島2枚構えた状態で相手にターンを渡し、返しにカウンターを打たなかったので余ったマナからこれをプレイして手札を増やせば実質0マナの1:3交換である。


そう、このカードのコスパはどう考えても壊れているのである。
遊戯王における《強欲な壺》、DMにおける《サイバー・ブレイン》と並んで、カードゲーム初期によくあるドローの軽視の代表例としてよく挙げられるが、やはり最古のドローカードなだけあってそのスペックは頭一つ抜けている。

カードパワーが高い事は初期から有名であり、パワー9の仲間である。
もちろんこんなカードが無制限に使えるはずもなく、このカードが使える環境はヴィンテージのみで、それ以外では禁止または使用できないカード扱い。そのヴィンテージでも当然制限カード
酷いコストパフォーマンスの持ち主だったため収録されたセットもアルファに加えてベータ、アンリミテッドの初期3セットだけで以降収録されておらず、資産価値を保つために再録禁止カードに指定されているので今後このカードが(紙媒体で)刷られることは絶対にない。

カード価格も流石に《Black Lotus》には負けるがそれを除けば長らくトップだった。*1コレクター需要もそうだが実用面でもヴィンテージのデッキなら《Black Lotus》と並んで「資産以外の理由で入らない理由がない」カードなのも影響しているだろう。*2

殆どの場合は自分を対象にするのであまり関係ないが、プレイヤーを対象に取る呪文である。
その為、多人数戦であれば自分以外の味方を対象にしてサポートすることもできる。味方がアド取り手段に乏しいデッキならば一考の余地あり。
また、相手のライブラリーが3枚を切った所から「相手を対象にアンリコ」でライブラリーアウトで敗北させる事ができる。
同時に《誤った指図》により相手にドローを奪われるというデメリットにもなる。
あと何らかの方法で自分に被覆を与えてしまうと相手に撃つしかなくなる。

亜種の中でも対象を取るのは《祖先の幻視》ぐらいである。

あまり語られることはないが、このカードは史上最古のサイクルの一つである「ブーンズ」の1枚である。
全て1マナインスタントで、何かを3得られる。


それぞれの色の特徴をよく反映しているが、ゲームバランスの考慮という最も大事な事を加味せず機械的に作ってしまった結果、
緑は比較的適正なカードパワーだが、赤はパワーカード、白は産廃、青には流石に劣るがそれでもイカレてる黒と滅茶苦茶な歪を生むことに。
なおサイクル中でこのカードだけがレアで、他はコモンである。
理由はレアリティでバランスを取ろうとしたから。
今となってはあり得ない話である。
数字が同じだからといって価値が同じとは限らないカードゲームの鉄則を教えてくれる方々である。


亜種・リメイク

最古のドローソースの一角だけあって殆どのドローソースが派生カードと言えるが、その中でも特に関係の深いものを紹介する。

Conch Horn (2)
アーティファクト
(1),(T),Conch Hornを生け贄に捧げる:カードを2枚引き、その後あなたの手札からカードを1枚、あなたのライブラリーの一番上に置く。

フォールン・エンパイアに収録された、ブーンズの小型版とも言える効果を得られるサイクルの青相当。
このカードだけ効果が下記の《渦まく知識》の小型版のような効果になっている。
それだけ1マナのドローソースは強かったということか。


Brainstorm / 渦まく知識 (青)
インスタント
カードを3枚引き、その後あなたの手札からカードを2枚、あなたのライブラリーの一番上に望む順番で置く。

1マナインスタントで、3枚引けるところまでは同じ。ただしその後手札を2枚ライブラリートップに置く必要があるため手札は増えない。事実上の調整版。
それでもキーカードをより素早く、より安定して獲得できるようになるのは大きな魅力。
デッキトップ効果も工夫次第でハンデスの被害の軽減、シャッフル効果を持つカードと組み合わせて無視する等様々な使われ方をする優良カード。
ヴィンテージではこれでも強いので制限カードである。


Ancestral Vision / 祖先の幻視
〔青〕 ソーサリー
待機4 ― (青)(このカードをあなたの手札から唱えるのではなく、(青)を支払うとともにそれを時間(time)カウンターが4個置かれた状態で追放する。あなたのアップキープの開始時に、時間カウンターを1個取り除く。最後の1個を取り除いたとき、それをそのマナ・コストを支払うことなく唱える。)
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを3枚引く。

待機のついた調整版。更にソーサリーになってるがあんまり関係ない。
コスパは健在だが待機のラグが痛いか。
なお「続唱」などで待機を経由せず唱えることもでき、実際に【BUGカスケード】というデッキで用いられている。《断片無き工作員》から引き当てれば実質3マナで3枚ドロー+2/2クリーチャーとかなりのコスパに。
モダンではこのような悪用防止の為に最初は禁止カードだったが、コントロールデッキの隆盛を期待して解禁された。


Visions of Beyond / 彼方の映像 (青)
インスタント
カードを1枚引く。いずれかの墓地に20枚以上のカードがある場合、代わりにカードを3枚引く。

3枚ドローするのに条件がついた調整版。
墓地が溜まっていずともとりあえず1マナで1枚引けるデッキ圧縮と使えるだけ悪くないが、このカードをせっかく使うなら条件を満たして出来るだけ3枚引きたいところ。


Jace's Ingenuity / ジェイスの創意 (3)(青)(青)
インスタント
カードを3枚引く。

マナ・コストを適正値にした調整版。
そのコストは5倍、青を1つ追加と激増になっている。


Treasure Cruise / 宝船の巡航 (7)(青)
ソーサリー
探査(この呪文を唱える段階であなたがあなたの墓地から追放した各カードは、(1)を支払う。)
カードを3枚引く。

項目参照。探査が付きソーサリーになった調整版…………のはずだったカード。
「《精神的つまづき》の対象外*3で、《誤った指図》を喰らわない*4からアンリコの上位互換」「アンリコが5枚制限になった」とまで言われた。


アニオタ1人を対象とする。そのプレイヤーは追記修正を3回行う。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • MtG
  • ドロー
  • パワー9
  • 禁止カード
  • 制限カード
  • ブーンズ
  • 高額
  • パジェロ
  • チート

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年02月26日 01:23

*1 現在は《TimeTwister》に抜かされている。パワー9中唯一統率者戦で使えるのが影響している模様。

*2 Moxは色が合わないなら入らないこともあるし、他の青呪文もコンセプト次第では入らないこともある。だがこの2枚は極端な話入るだけで仕事をするのである。

*3 探査でいくら軽減しても点数で見たマナ・コストは8なため。

*4 対象を取っていないので、《謝った指図》の対象にすることが出来ない。