夢と消えた百万ドル(トムとジェリー)

登録日:2019/11/03 Sun 15:21:25
更新日:2025/05/16 Fri 12:23:24
所要時間:約 10分で読めます




「夢と消えた百万ドル(原題:The Million Dollar Cat)」とは、アニメ「トムとジェリー」のエピソードの1つである。1944年初公開。


【ストーリー】

いつものように、ジェリーをからかって遊んでいたトム(今回はジェリーにリンゴを被せ、そこへダーツの矢を投げるというもの)。


その時ベルが鳴り、一通の電報が投げ込まれる。
そこに書いてあった内容とは...


「ニューヨーク市より奥様へ。あなたの伯母上が、猫のトーマスに百万ドルの遺産を残して亡くなりました」


最初は「何だ百万ドルか」とお決まりの反応を見せるトムだが、「待てよ、百万ドル!?」ともう一度電報を読み返し、狂喜乱舞するのだった。
金魚にキスをする、花をばらまくと言った奇行を見て、「トムがついにおかしくなったのか」と思ったジェリーも、自分で電報を読み飛び跳ねる。
「遺産を相続したのは自分なのに」とジェリーに掴みかかるトムだったが、ジェリーはあくまで冷静に、電報の最後の一文を見せる。


「たった一つの条件は、トーマスがたとえネズミでも、何か生き物に害を加えたら、この百万ドルは与えられません」


「たとえネズミでも」

そう、ジェリーは「これでもうトムにいじめられることはない」と踏み喜んでいたのだ。


……ともかく、トムが百万ドルを手に入れたことは、連日世間を騒がせた。
「猫が大金相続!?」
「金持ち猫は牛乳風呂に入る!」
「ニャンと素敵な社交界」
「高級マンションへお引越し!」



...パークアベニューの高層マンションへ引っ越したトム。
しかし、そこへはなぜかジェリーも付いて来ていた。
その上、捕まりそうになるたびに「たとえネズミでも危害を加えてはいけない」という相続条件を突きつけ、トムを引き下がらせる始末。

以下、そのシチュエーション

  • 置き去りにされた筈なのに、トムが乗った高級タクシーにトムより先に乗車。葉巻の火を用意してあげたり、トムのネクタイを引っ張ってからかう。トムは車から降りるも直後電柱に激突。

  • 家に帰ったトムが食べようとしたケーキ(一度トムが舐めた)をテーブルクロスを使って引き寄せ、(トムがせめて食べようとしたイチゴも、トムの口にフォークを突っ込んで)一瞬で平らげてしまう。その後乗っていたクロッシュをテーブルクロスでぐるぐる巻きにされ、家具でドアを封じられるもなぜか脱出

  • 疲れたトムが寝ようとすると、すでにベッドに寝ておりいびきを立てていた。シーツをトムに取られると、すぐさまトムの尻尾をシーツ代わりにする。その後シーツの取り合いに勝利し、トムをベッドの端に追いやって落とす(どうしようもなくなったトムは、自分の頭をバットで殴った)。

  • バスルームを長い間占拠。トムのタオルケットも奪ってしまう。

しかし、トムもただ黙ってやられているだけではなかった。
窓に「Fire Exit」の張り紙を張ると、バスルームの前でゴミを燃やし始める。

「助けてぇぇー!火事だぁぁぁ!」

驚いてバスルームから出てきたジェリーは、マンションの高層階から飛び降りてしまい...


「ついにジェリーをマンションから追い出した!」と、再び狂喜乱舞するトム。
ちょうど朝食の時間が来たため、席に座って「ジェリーがいるかもしれない。」と、慎重にベーコンエッグのクロッシュを開ける...

確かに、そこにジェリーはいなかった。
しかし、紙ナプキンを付けようとしたところ...


そこには先ほど高層マンションから飛び降りたはずのジェリーが座っており、(これ見よがしに遺産相続の文書を立て掛け)目玉焼き、ベーコンと付け合わせのトーストを一瞬で平らげてしまう。
さらに追い打ちとばかりに、オレンジの果汁やバターを飛ばし、ネクタイを引っ張ってトムをからかうジェリー。

...さすがにトムも堪忍袋の緒が切れたのか、顔を真っ赤にして耳から蒸気を吹き出し、遺産相続の手紙をビリビリに破り捨ててしまう。
ジェリーは破られた文書の中から「たとえネズミでも」というお決まりの文言を探してトムに見せるが、もはやそんなもので黙るトムではなく、紙をジェリーの口に突っ込んで飲み込ませてしまう。


その後もトムは、皿やテーブルといった家具を破壊しながら、これまでの鬱憤を晴らすかのようにジェリーを追いかけ回し・・・

「あーあ、これで百万ドルはパーになっちゃったなぁ・・・ だけど最高に幸せぇぇぇぇぇ!!!

遺産相続の話は無しになってしまったものの、トムはいつものように生き生きと(?)ジェリーを追い回すのだった...


余談

このエピソードはトムとジェリーでも珍しい、トムが最後に勝利する話となっている。

また、亡くなった伯母上という人物がなぜ(恐らくこの話におけるトムの飼い主であろう)「奥様」(姪)ではなく、猫のトムに遺産を受け継がせようとしたのかは永遠の謎である(当然ながら、日本の法律では犬や猫に相続権は発生しない)。

…と思いきや、「後見人を通じれば動物にも相続が可能」という制度を利用し、(飼い主が亡くなるなどした)犬や猫が遺産を受け継いだ例も世界にはあるようである。
(特に、2018年イタリアで400万円相当の遺産を相続した猫は「ジェリー」という名前である。)


追記、修正は「生き物に危害を加えない」ことを条件に百万ドルを相続してからお願いします。


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最終更新:2025年05月16日 12:23