ジェリー(トムとジェリー)

登録日:2024/12/06 Fri 00:46:00
更新日:2025/05/02 Fri 20:20:00
所要時間:約 13 分で読めます




ジェリー(JERRY)とは、トムと並んでトムとジェリーを代表するキャラクター。


【プロフィール】

本名:ジェラルド・ジンクス・マウス
ジェロム・A・マウス*1
別名:ジンクス*2
ジェリー・マウス
ヨハン(『ワルツの王様』)
性別:雄
趣味:いたずら、トムとの追いかけっこ
好物:チーズ(好き嫌いは特になし)

【演者】

  • 藤田淑子(初代:TBS版)
  • 堀絢子(2代目:ヘラルド・ポニー版、トムとジェリーの大冒険、ソフト版〈ハンナ=バーベラ期、ジーン・ダイッチ期、チャック・ジョーンズ期〉、トムとジェリー テイルズ、トムとジェリー ショー〈シーズン1〉-〈シーズン2〉、長編『魔法の指輪』-『夢のチョコレート工場』)

●その他
  • 太田淑子(おかしなおかしな トムとジェリー 大行進)
  • チマ(ソフト版:1巻 - 7巻〈ハンナ=バーベラ期、チャック・ジョーンズ期〉)
  • 米倉あや(とむとじぇりーごっこ)

【概要】

ご存知、世界的に有名なドタバタコンビの一方である茶色いネズミ

チーズが大好きないたずら者。トムが飼われているお屋敷に巣を作って暮らしている。
しばしば台所を荒らす困ったネズミで、主人やお手伝いさんの命令でジェリーを捕まえようとするトムの猛攻も事も無げにかわしてしまう。
トムにちょっかいをかけたり、割とシャレにならないレベルで散々な目に遭わせることもあるが、実際は仲が良く、トムがいないと寂しがる一面も。

親戚のネズミも数多くおり、揃いも揃ってネコも尻尾を巻いて逃げるレベルの個性的な強者ばかり。

【能力】

ジェリーといえば何と言っても、小さくか弱い体ながら知恵と機転によって幾度となく危機を脱する天才的な頭脳。トムとの喧嘩や追いかけっこにおいても高い勝率を誇る。
…しかしながら、そんなジェリーも無敗というわけではなく、実はそこそこトムに負けている(※引き分け回やトム・ジェリーがケンカをしない回は除く)。

短気なトムと比べるとちょっとやそっとのことで冷静さを欠くことは少なく、如何なるピンチにおいても的確な対処法で身を守る能力に優れる。
確実に捕まえたと思いきや、まるで奇術ショーの如く脱出してしまい、トムを驚愕させるシーンも少なくない。

体をバラバラにされても死なないことで知られるトムだが、そもそもそのような状況に陥るパターンすら回避してしまうジェリーもまた別の意味で不死身のネズミと言えるだろう。

パワーではさすがにトムに及ばないものの、人間サイズのハンマーやフライパンなどネズミには重そうなアイテムを扱えるため、決して非力ではない。
また、本気でキレる*3トムをブン回すほどの怪力を発揮する。

それでも小さいネズミに変わりはなく、基本的に物理ダメージには弱い。特に頭が弱点らしく、軽く叩かれるだけで気絶してしまう。
上記の優れた回避術は、こうした自身の打たれ弱さを大きくカバーした賜物と言える。

作品の性質上「トムは引っ掛かるのに何故かジェリーには絶対作動しないネズミ捕り」など全体的に運にも恵まれており、運も実力の内と言うが如く最終的な勝利に結び付いてもいる。

共通の敵が出現した時には休戦しトムとタッグを組むが、頭脳派のジェリーが作戦を練ることが多い。

◆特技

日頃から日記をつけている*4。文才はかなりのものらしく、新人作家として才筆を振るった自叙伝は世界的ベストセラーを記録した*5

トムに負けず劣らず音楽の才能も豊かで、大抵の楽器は演奏できる。特に『ピアノ・コンサート』でもぎ取った2本のハンマーと全身を駆使したピアノ演奏でトムを根負けさせたシーンが有名。
『ロックンロール騒動』ではネズミの仲間と結成したジャズバンドのドラムを担当、ナイトクラブを夜通し盛り上げた。
ダンスも得意で、『ワルツの王様』ではトムによるピアノ演奏に乗せた優雅な踊りで観衆を魅了させた。

空手や柔道など格闘技の素質もある。『気楽に行こうよ』では闘牛で有名なマドリードに住んでおり、マタドールの技術も身につけている。

発明や改造も得意で、『とんだ災難』では屋敷のリビングに全自動収納式プールを取り付けていたり、『ジェリー博士の超能力』では高速移動や巨大化できる秘薬を開発している。

たびたび孤児院から子供の世話を依頼されたり、ボーイスカウトのチーフを務めていたりなど、先述した作家や音楽家としての実績も踏まえると、ネズミの世界では相応の社会的地位を得ていると思われる。
また、一度「ネコ対策法」という教師資格を取得しネズミの学校を開講したことがあるが、いろいろあって最終的に資格を放棄している。

【性格】

無邪気で好奇心旺盛な面が強くトムが美味しい思いをしている時には必ず便乗しに現れ、トムを追い出してまで独り占めしてしまうちゃっかりしたところも。
暇さえあれば自らトムを怒らせてまで追いかけっこを始めようとすることもある。

トムが恋愛にかまけてジェリーを相手にしなくなるとその恋路を邪魔しようとするエピソードもある。もっとも、ジェリーもジェリーで他の雌ネズミに惚れっぽいのでお互い様であるが。
トムのことは良きケンカ仲間のように思っている節がある。『淋しがりや』でトムがお手伝いさんの怒りを買い家を追い出された時は歓喜していたがすぐに恋しくなってしまい、トムが復帰できるよう作戦を持ちかけていた。

時には無邪気を通り越して、嬉々として容赦なくトムを陥れる鬼畜な顔も見せる。
トムのオーバーリアクションを面白がっている節もあり、怪談話を聞いて萎縮しているトムを怖がらせたり*6、犬の吠え真似をしてトムをビビらせたり*7、「突如ネズミを怖がるようになったトム(実際はトムではなく、トムのいとこでネズミ恐怖症持ちのジョージ)」を散々からかったり*8など、結構イジワルなやり口も使う。

それでもトム自らが身を滅ぼしかねない行為に及ぼうとした時*9は必死で止めようとすることもあり、あくまでトムを親友として思っているのに変わりはない模様。
義理堅い主義であり、『メリー・クリスマス』や『親切なトム』などでトムの助けを得た時には、その借りをきちんと返している。その分、厚意を無碍にしたり約束を反故にするような行為は断じて許さない*10

後述するニブルス(タフィー)が登場し他の動物を匿うエピソードが増えるようになると、徐々に大人びた性格も見られるようになる。

ネズミらしくチーズが大好物*11だが、トムの好物であるミルクや魚をはじめ、肉、野菜、お菓子など基本的には何でも好んで食べる食いしん坊。トムの指を食べたことまである。
自身の体より大きな食べ物を丸飲みすると全身がその形状に変形するネタはもはや定番。

◆他の動物との関係

異なる種族の動物と打ち解けやすく、訳あって自身の下へやって来た動物たちを手助けする話も多い。屋敷で飼われている金魚やカナリヤとも仲良し。
中には手に負えないレベルの問題児もいるが、本人も心優しく人情に厚い性格であることから、自分より弱い動物はもちろん、ライオンのようなネコなんかよりずっとおっかない猛獣が相手でも頼まれれば最善を尽くそうとする。

特に自殺願望を抱くあまりトムに食べられようとするアヒル*12や、刷り込みのせいでトムをママと呼ぶようになってしまったアヒル*13を全力で救う姿は実に男気に溢れている。

トムの天敵でおなじみのブルドッグ・スパイクとは双方友好的*14で、助けた恩返しに用心棒を担ってもらったこともある。もっともスパイクもスパイクで、トムをやっつけるための道具のように扱われたり、自身の汚れ役を押し付けられたりとかなりの被害者であるが*15

本来ネズミの敵であるはずのネコとも仲良くなってしまうことさえある。雌ネコに結構モテるらしく、トムやブッチから何度か寝取ったことも。

【巣穴】

各作品で見られる、家屋の壁に小さく開けられた半円形の穴がジェリーの住処である。「ネズミの巣」といえばこの穴というイメージを広く浸透させた存在とも言える。

穴はトムが手を突っ込めるぐらいの大きさでさほど大きくない。そのため、ジェリーに巣穴へ逃げ込まれた時点でトムは追い詰められず追いかけっこもなあなあに終わるのが基本だが、無理矢理トムが全身ごと入り込んだことがある*16

中はオイルサーディン缶を再利用したベッドなどの家具があり、ネズミの尺度で見れば快適な居住空間が広がっている。台所から持ち出した食糧を大量に備蓄するスペースもきちんと完備している*17。本棚もあり、ジェリーの読書家ぶりが窺える。

屋内側とは反対側の壁に屋外へ通じる「玄関口」が空けられているため、外出や来客対応にも不自由しない。

ジェリーの巣はいつもの邸宅のみならず至る場所に存在し、変わったところだと遊技場にあるビリヤード台のポケットの奥や、コンサート会場のグランドピアノの中にまで住んでいたりする。

【親戚】

ジェリーには従兄弟や叔父など様々な親族がいる。
いずれも個性派揃いで、ジェリーと同じく「たかがネズミ」と侮れない法外なパワーや能力を兼ね備えており、彼らの参戦によってトムが大敗する回もある。

●ニブルス/タフィー
おむつを履いた灰色の子ネズミ。基本的に「ジェリーのいとこ」という設定だが、作品によってはジェリーと血縁関係のない孤児や弟子として登場することもある。
親族の中では最多の登場回数を誇る。アカデミー賞を受賞した『台所戦争』や『パーティ荒し』にも登場するため、トムやジェリーに次いで知名度も高いと思われる。
登場作品によって分別のつかない赤ちゃんだったり、おしゃべりでマセた少年キャラだったりと精神年齢のバラつきが大きい。

小さい体ながらジェリー以上の大食いで、七面鳥の丸焼きを一気に平らげてしまったり、ロウソクなど食べられないものまで口にしたことも。
同時に怖いもの知らずで、天敵であるネコをあまり警戒しない。『ネズミの学校』に至ってはジェリーの「対ネコ教育」も虚しくトムと仲良くなってしまった。

突飛な行動を繰り返すため、しばしばジェリーの肝を冷やす存在だが、彼がいなければジェリーがトムに敗れていたであろう作品も多い。
彼の登場回は年長者のジェリーが比較的常識人寄りでお兄ちゃん気質が強く描かれる。

彼をメインとした『三銃士』モチーフのエピソードが数作あり、こちらでも先輩銃士のジェリーを終始ヒヤヒヤさせっぱなし。一切のためらいもなくトムの尻尾を切り落とすなどかなりの無鉄砲。

●マッスル*18
『ごきげんないとこ』などに登場。スラム街「ホーガンズ・アレイ」に住むジェリーのいとこ。緑の帽子・黄色い服を除けばジェリーと瓜二つ。住む場所の近所の野良ネコらからは心底恐れられてるようで、彼が歩いてくるのを見るだけで慌てて逃げ出すのみならず自分で墓を掘って入る者までいる程。
作中最強キャラ候補の一角。理由は不明だが初登場の時点でホーガンズ・アレイの野良ネコら多数をコテンパンに叩きのめしており、自分の数倍の体躯はあるネコも軽々と投げ飛ばしてしまう。トムが依頼したギャング猫×3相手にも無双していた。
一見怖そうだが義侠心の持ち主で、ジェリーの事は大切にしている。

映画『魔法の指輪』ではニブルスをいじめる悪いネズミとして登場しているが、こちらは「フレディ」という名前なので単なるそっくりさんの可能性もある。

●アンクル・ペコスUncle Pecos
『ひげも使いよう』に登場した、テキサスに住むジェリーのおじ。
カウボーイ風の出で立ちと立派に蓄えた白髭が特徴の年老いたネズミ。
黄色いフォークギターで見事な弾き語りを披露する。
その才能は都会からテレビショー出演の呼び声がかかるほど。出演日前夜、ジェリーの家へ泊まりに来るが、ある事情からトムのひげに異常な執着心を見せ…。

●マーリン
『魔術師ネズミ』に登場したジェリーのいとこ。こちらも見た目はジェリーにそっくりで黒のシルクハットとマント、黄色い手袋を着こなす。
ステッキで強力な魔法を駆使する。作中で披露した魔法は、
  • 念力(巣穴で待ち構えていたトムを浮遊させる)
  • 硬直(襲いかかるトムの動きを止める)
  • 蘇生(トムに食べられた小鳥・ネズミ・金魚などを生き返らせ体内から脱出させる)
  • ウサギ召喚(シルクハットからハンマーを操る複数のウサギが出現しトムを攻撃する)
これらの多彩な魔術によりトムを降参させてしまうのだった。

【余談】

  • 「ジェリー」の名前が付いたのは第2作『夜中のつまみ食い』からで、第1作では「ジンクス」という名前だった(劇中に直接名前は登場しない)。

  • 1945年公開のミュージカル映画『錨を上げて』には、トム*19と共に出演している。ジーン・ケリー演じる水兵・ジョゼフ・ブラディと共演し、実写とアニメーションの合成技術を駆使した『The Worry Song』の軽快なダンスを披露。これがトムとジェリーにとって初の長編映画出演作となった。
    この時のジェリーの声は女優のサラ・バーナーが演じており、原作と異なりジョゼフと積極的に会話をしていた。
    ちなみに、元はミッキーマウスがジョゼフと踊る予定だったのだが大人の事情で実現せず、代わりに同じネズミのジェリーが抜擢されたという経緯がある。



追記・修正は、あの恐ろしいネズミを追い出してから…


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最終更新:2025年05月02日 20:20

*1 実写版エンドロールより

*2 第1話のみ

*3 『捨てネズミ』では、ニブルスをいじめたトムに激怒し、トムが震え上がるほどの咆哮と勢いでシバき倒した。

*4 『ジェリーの日記』。

*5 『トム氏の優雅な生活』。この本で得た印税の5万ドルはトムと折半した。

*6 『お化け騒動』。

*7 『パパの教育』。

*8 『なにがなんだかわからない』。

*9 『トラになったトム』で泥酔した勢いでお手伝いさんに喧嘩を売ろうとした時、『悲しい悲しい物語』で一目惚れした雌ネコを振り向かせたい一心で全財産を投じようとした時など。

*10 『淋しがりや』、『うらぎり者は去れ』。

*11 実際のネズミは雑食性で、特別チーズが大好物ということはない。ジェリーが原因で「ネズミ=チーズ好き」という先入観を世界的に定着させてしまったとも言える。

*12 『オーバーな奴』。

*13 『素敵なママ』。

*14 ただしスパイクの初登場作『共同作戦』では敵対していた。

*15 『変な魚釣り』など。

*16 『ショックで直せ』。

*17 『いそうろう』。

*18 名前の訳は『チュー太』、『ミスター・ダイナマイト』、『マッスルズ』と媒体によって異なる。

*19 ジェリーの召使い役で出番は数秒のみ。