トムとジェリー

登録日:2012/02/07 Tue 17:33:47
更新日:2022/08/06 Sat 21:42:45
所要時間:約 11 分で読めます







ト~ム♪とジェリ~♪
な♪か♪よ♪く♪ケンカしな♪



トムジェリー』はアメリカの映画会社『MGM』に所属していたウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラの2人が制作したカートゥーン・アニメ。
略称は「トムジェリ」。


【概要】

おバカで芸達者な飼い猫「トム」と人家に巣食う知恵者な茶ネズミ「ジェリー」の血で血を洗う抗争を描いた暴力表現たっぷりの凄惨な追跡劇2匹のどこか微笑ましい喧嘩を、ギャグとユーモアたっぷりに描いたドタバタコメディ。
暴力表現が多いのは嘘ではない。
1話完結の体裁を取り、どんなにカオスな結末を迎えても次回で全部元通りになる。

この作品の見所は2匹のドタバタは勿論、映像と音楽とキャラの動きが完璧にリンクしている点である。
セリフが無くとも場面の雰囲気やキャラの心情が簡単に読み取れる上、爆笑必至の秀逸ギャグの多くもそれがあってこそ成立しており、お話のテンポも悪くない。そのクオリティは50年以上前の作品とは思えないほど。
圧倒的な完成度と人気ぶりからアカデミー賞を何度も受賞している。というか、現在までにアカデミー賞(短編アニメ賞)に13回ノミネートされ7回受賞しており、これはディズニーよりも多くアカデミー賞史上最多の記録である。

ちなみにトムとジェリーは上記の通り原語版ではほとんど台詞が無く、叫び声や口笛、鳴き声を出すくらい。
現在の日本語吹き替え版でも二人の台詞は手紙の文章など最小限に抑えられている一方、昔(60~70年代)の旧日本語吹き替え版ではかなり台詞が挿入されていた。

また派生作品として2匹の子供時代を描いた「トムとジェリーキッズ」という作品もあり、子供サイズによりデフォルメされた2匹が見られる。
元々身長も頭身も小さいジェリーはあまり変わってないが。

【登場人物】

<いつものコンビ>

トム
主人公その1。正式名称は「トーマス・キャット」。
第1話のみ「ジャスパー」という名前だった。
愛すべきバカ猫。体色はグレーまたは青色で、二足歩行ができる。
物語はだいたいトムがジェリーをいじめているシーンから始まる。

最初は優位に立つものの、その後手酷い反撃を食らい、ジェリーにフルボッコにされて終了、というのがお約束。
トムの勝利回は全作品合わせて、なんと10作にも満たない。
しかもその大半がジェリーの作戦の丸パクリだったり、単にトムが優勢のままバトル続行というだけだったり、最終的にジェリーが自分から身を引いただけだったりと、
正面きって実力で勝てたと言える作品は殆どない。

ギャグ補正の塊であり、真っ二つにされようが串刺しにされようが車に轢かれようがダイナマイトで吹き飛ばされようがサイコロステーキにされようが、すぐさま復活する*1
トムがダメージを受けて身体が変形する様を楽しむのも、今作の見所の一つである。
特に、大ダメージを受けた時に発する「トムの叫び声」はあまりにも有名。

一度オチでギロチンにかけられた事もあったが、近い世界観の別の回では体を脳天から斧で両断されても生きていたりするので、果たしてギロチン程度で死ぬかは微妙なところである。
ちなみにそのトムの怪我を最後まで治させなかった奴もいる。

また、一介の家ネコである事実を疑ってしまうほどの多才であり、特に音楽に関しては天才的としか言いようがない。
具体的には、主人がピアノを弾いているのを見て自分も少し練習してみたら主人より遥かに上手くなったり、
演奏会でバイオリン・トランペット・ハイハットその他諸々を1匹で同時演奏したこともある。

スポーツも万能(テニス・ボウリング・サーフィン等)。ただしゴルフは苦手でPAR4のコースで30打以上打ってしまうほど。

ジェリーとは喧嘩ばかりだが彼が居なくなるととても寂しがったり、彼が死んだと勘違いした時は大泣きしたこともある。
まさに「喧嘩するほど仲が良い」関係である。
でも基本的には容赦なく殺しに(ry

著名な日本語吹き替え版ではスネオ(旧)

ジェリー
主人公その2。正式名称は「ジェリー・マウス」
第1話のみ「ジンクス」だった。
体色は茶色で、トム同様二足歩行である。
体力バカのトムとは逆に頭脳派で、最終的にケンカではジェリーが勝つのがほとんど。稀にジェリーの方からケンカを吹っ掛けることもある。
ちなみに後述の親戚達同様に実は本人も結構強く、キレてトムを真正面からボコボコにした事もある。(「捨てネズミ」の回)
余談だが『キッズ』に登場した母御さんも相当強い。多分そういう家系なんだろう。

至るところに巣を作っており、家の内外はもちろんビリヤードテーブルのポケットゴルフ場のカップグランドピアノの中にまで住んでいたりする。

トム同様ギャグ補正の塊で、滅多な事では絶対に死なない(凍死しかけたことはある)。
普通なら絶対に脱出できない場所に監禁されてもすぐさま脱出してはトムを驚愕させる。

トムとは小競り合いが絶えないが、彼が家から放り出されそうになったときは家に戻れるように手を貸してあげたり、
共通の敵が現れた際は協力を持ちかけたりする等、内心では憎からず思っている。
共闘の際には勝ちフラグが立っており、トムの身体能力とジェリーの知力が組み合わさり(ほぼ)100%成功させてみせる。
(「ほぼ」なのは、後述するが唯一敵わなかったのが自分のおじ・ペコスがいる為)

トムと同じく吹き替え担当は何人かいるが*2、有名なのは忍者ハットリくん。

<サブキャラクター>

トムとジェリーのドタバタ活劇を彩るキャラクター達。
基本的に決まった役柄は無く、作品ごとに敵だったり味方だったり立ち位置がコロコロと変わる。

◆ブッチ
トムの悪友。恋のライバルを演じることが多い。作品ごとに境遇が変わり、上は金持ち、下はホームレスと落差が激しい。
「空飛ぶほうき」では墓石に名前が入っていた(本人かどうかは不明)。
「映画大会」ではスパイクを悪く描いた映画を見て爆笑していた。

◆イナズマ
原語版での名前は「ライトニング」なので、直訳で「イナズマ」。
ジェリー退治がロクに成功しないトムに痺れを切らした飼い主が新たに連れてきたオレンジ色の猫。
その名の通り電光石火の速さで走ることができ、あっという間にジェリーを退治した実力者。
しかし、飼い主の目を盗んで冷蔵庫の食べ物を喰い漁ったり、その罪をトムに擦りつけるなどその本性は畜生そのもの。これが本当の猫被り。
最終的に打倒イナズマの為に結託したトム&ジェリーの最強コンビにフルボッコにされ、家から追い出された。
その後の作品ではブッチと共にトムの悪友その2ぐらいのポジションに落ち着いている。

◆スパイク
トムの天敵。トゲ付きの首輪を嵌めた強面ブルドッグ。
初登場時は非常に凶暴な番犬として描かれ、トムはおろかジェリーにも吠え付くほどだった。それからは段々丸くなり、ジェリーとは比較的良好な関係となっている。
しかし彼をトムにけしかける作戦に巻き込まれてわりと酷い目に合う事も多い。またジェリーの作戦が裏目に出て最終的にトムと和解した事もある。
作中最強クラスの戦闘力を誇るが、アリの大群には一度も勝利していない。また、一度オチで保健所に捕まったままフェードアウトした事がある。(「命の恩人」の回)
タイクという名の一人息子がおり、息子といる時の彼は非常に子煩悩で親バカ。

同じ会社が製作したアニメ『ドルーピー』シリーズにも登場。時々名前が上記の「ブッチ」になっている。

◆タイク
スパイクの息子の子犬。

◆お手伝い(メイド)
黒人の女性。首から下以外は見切れて登場していないが、一瞬だけ顔が見えるお話(「土曜の夜は」)もある(コマ送りでないと確認できないほどの「一瞬」ではあるが)。ナレーション付きの初期の吹き替え版では 足だけおばさん と呼ばれていた。
トムの飼い主にも見えるがトムがジェリーを捕まえなければ外に放り出す、と何度となく発言している。
実際、ロボット猫を購入したりイナズマを連れてきた際はトムをお払い箱にしてしまった。
(ロボット猫はジェリーの策略によって破壊され、イナズマはトムとジェリーの協力で追い出された)
宝石好きで多数の宝石を所有。
なお一応メイドらしいのだが主人の存在に触れられた事は一度もない。
というか作品によっては彼女の一人暮らしとしか思えない回も幾つかあったりする。

60年代からは彼女に代わってトムやスパイクの飼い主である夫婦が登場し、こちらは顔を見せる事が多い。しかも結構な美人さんだったりする。

その後、2000年代の新シリーズでは白人キャラとして久しぶりにレギュラーに返り咲いた。相変わらず顔は見せない。

◆ジョージ
トムのいとこ。非常に臆病でネズミ恐怖症だが、数少ないトムの勝利回に貢献した貴重な存在。
彼が登場した「なにがなんだかわからない」は神回として有名……てか冷静に見ようが見なかろうが首と腕と脚が2倍って気持ち悪いもんね。
最新版の吹き替えでの声はプーさん。実は昔トムの声を担当していた。

◆ニブルス
ジェリーのいとこである子ネズミ。タフィーという名前で呼ばれることもある。
オムツを着けており、非常に食いしん坊。彼が出てくると良い意味で場が掻き回され、ドタバタが激化する。
酒が入ると無敵になる。
ジェリー自身、彼の扱いには苦慮しているようにも見え、一杯喰わされた事もある。
現行での中の人はタママ二等兵ジバニャンと同じであり、無邪気な性格らしい声質がかなりマッチしている。

◆マッスル
ジェリーのいとこその2。ジェリーの救援要請で家にやって来た。
尋常ではないパワーを持ち、トムはおろか彼が助けを求めたギャング猫3匹をあっという間にぶちのめした。
本作における最強キャラ候補の1匹。

◆ペコスおじさん
ジェリーのおじさん。TV出演のため、テキサスからやって来た。演奏中にギターの弦をよく切る為トムのヒゲを代替品として欲しがり、追い回した。
なんと人間の奥さんがいる
マッスルに並ぶ最強キャラ候補の1匹で、「おじさんに降参」では自分の甥とトムが夜中に起こしに来るペコスを止めようとするが、2匹協力してかかっても敵わなかった。

◆アリ
行進曲とともに現れる蟻。食料を強奪したり、トムを襲撃したりもした。スパイクが勝てなかった唯一の相手。

【VHS・DVD 一覧】




【余談】

  • 一見すると賑やかなドタバタ劇に見えるが、実はその中には結構社会風刺が含まれている。
    アカデミー短編アニメ賞の短編「台所戦争」を例にとると、インディアン(ネイティブアメリカン)の衣装をしたトムが、
    騎兵隊の衣装をしたジェリーやニブルスに敗北するというアメリカの開拓史がさり気なく描写されている。現代では、アメリカでも、普通のスラップスティックなアニメとして鑑賞されることも多いが、ある程度の年配者やアメリカの社会風俗を学んでいる人に対して、トムとジェリーを幼年向けのアニメ文化という前提で話すと困惑されることもあるので注意が必要である。

  • こちらもアカデミー短編アニメ賞を受賞した短編「ピアノ・コンサート」は、
    なんと同時期に製作された『バッグス・バニー』の短編と見事にネタが被ってしまい(ピアノで演奏する曲まで同じ)、
    互いに訴訟合戦になってしまった事も。ちなみに会社合併などを経て、今は二者とも同じ会社のアニメキャラとなっている。

  • 1940年代の短編アニメ映画全盛期を描いた『ロジャー・ラビット』には会社を越えて多数のキャラが出演したが、
    トムとジェリーは前述したとおり台詞の無いキャラである事、当時長編映画が作られていたことなどから残念ながら出演出来なかったと言う。

  • 上記の通り、リアルにやらかせば人死にが出るような内容が盛りだくさんなので、真に受けたガキんちょが本当にやらかして人死にを出した事例があり、
    海の向こうの国ではかなり深刻に社会問題化している。

  • DVD版では黒人差別と採られかねないシーンがカットされたり、トリミングで隠されたりしている。
    「南の島には土人がいたよ」から改題された「南の島」はその一例だが、タイトルコールが明らかに途中で音声を切っただけであったり、
    原住民の子供の姿をトリミングで隠したかと思いきや、大人は隠していなかったり、ジェリーを追いかけるシーンでは子供が映ったりと、
    ずいぶんと適当な修正が多い。

  • 『ルパン三世』の銭形警部はトム、ルパン三世はジェリーと本作を参考にしたものである。


  • 2021年に実写映画化が公開された。
    当然ながら本物のネコやネズミを使うのではなく、アニメーションと実写を合成する形になっている。舞台はニューヨークの高級ホテルで、主演はクロエ・グレース・モレッツ。
    日本語吹き替えには水瀬いのり木村昴など有名どころが多数参加している。
    肝心のトムとジェリーの声優は、過去作品からのライブラリ音源を使用する形となっており、日本語吹き替え版でも基本的に原語版音声のまま。
    もちろん、例の「トムの叫び声」も聞いたことのあるお馴染みの音声が流用で使われている。ていうか、映画におけるトムのラストの台詞はよりにもよって叫び声で〆である。

  • また、同じく2021年には『るろうに剣心』とのコラボグッズが発売された*3

【エピソード項目一覧】

記事内の台詞などは主に新日本語吹き替え版で記述している。



追記・修正宜しくお願いしm……



ガブッ(噛まれる尻尾)

AAAAAAAAAAAAAAAAAGHHHHHHHH!!!!!!


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最終更新:2022年08月06日 21:42

*1 ただし、何度かリアルに死亡したことがある。次の回には復活しているが。

*2 新日本語吹き替え版の一部では、トムを「ダン小路」が、ジェリーを「チマ」が演じたが、実のところそれらの声優の一切のプロフィールが不明で今でも健在しているかどうか分からない状態となってしまっている。ただ、レーザーディスク版で二人が初めて吹き替えられた時には「著作元の意向でアメリカで制作した」という旨の事が書かれていたので、アメリカ絡みで何かあったと思われるが…。

*3 トムが緋村剣心、ジェリーが雪代縁に扮しており、トムの左頬には緋村剣心のトレードマークである十字傷がついている。