登録日:2019/12/15 Sun 20:35:22
更新日:2023/11/10 Fri 18:11:35
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概要
安くて楽しい、といっても別に
1円パチンコとか、ソシャゲみたいな安価な娯楽ではない。
Youth in Asia(アジアの若者)の訳語にも見えないだろうが、実はこれEuthanasia(
安楽死)のこと。
今回の薬は
安楽死用のおくすり
というわけである。
SCP-3866はフロリダ州パームビーチのアマチュア医療施設を襲撃した際に発見された、識別マークの無い医薬錠剤である。
……まず、アマチュア医療施設にツッコみたいだろうがもうちょっと我慢してくれ。
今回のオブジェクトにおける財団世界を鑑みれば、アマチュア医療施設がなんで存在するかもわかるだろうし。
本作の舞台は、本作の著者でもあるCaptain Kirby氏が発起人となった『死の終焉ハブ』である。
このハブの世界では、人はある時点を境に何をされようが死ななくなってしまった。
SCP-4514ではこの方法の解決策が存在しているが、財団はその理念上その方法を公開していない。
だからみんな死ねないのだが、死ねないとそれはそれで辛いので、みんなが死ぬ方法を探している。
本作に於いてはみんなが自殺志願者の世界である。
財団世界には明日しかなかった。
そんな世界において、dadoは
安楽死用のおくすりを作っているというのだ。なるほど、それは興味深い。
財団としては大急ぎで収容してしまわねばなるまい。皆の待ち焦がれる死ぬための方法だろうが、アノマリーはアノマリーだ。
……結論から言おう。死ねない。
dadoは基本的にちょっとずれた解決策を、しかしその卓越すぎる腕で実現してしまうすごいんだかすごくないんだかよくわからない奇人である。
彼が作ったおくすりを服用すると、脳活動を著しく低下させ、心拍数を約34日ごとに1拍まで減少させる。
財団の見積もりでは、適切に栄養が供給される状態で、人間はこの冬眠状態に陥ると3000年は生きられるという。
まあ栄養が供給されなかろうがこの世界ではどっちみち死ねないんだけど。
その利用について
これが単にdadoが作って売っているだけだったら、財団的には大問題だが死の終焉ハブの世界では福音であった。
しかし今回の場合、そういうわけでもない。
フロリダのアマチュア医療施設においてこれらは、この医療施設が標榜する『
安楽死の提供』のために使用されていた。
医療施設のスタッフたちはdadoの作ったこの薬が本来の効果を発揮していないことはおそらく把握していたようだが、
金になれば何でも良かったのだろう。
dadoからこの薬を買い込んで『医療行為』とやらに使用していたようだ。早い話が詐欺だよ。
この薬を飲むととたんに冬眠するから、その間に裏手に埋葬していたようである。
財団は医療施設のスタッフを尋問し、dadoと詐欺師どもが会った正確な住所を割り出した。
しかしすでにdadoはそこを引き払っており、電話機と食べかけの
ドーナツ、マットレス、そして配送用のAmazonの段ボールが残されていただけだった。
薬って定期的に摂取しないと効果切れるよね
まあ…そもそも3000年は冬眠してる状態で生存できるって言っただけで、冬眠しつづけられるとは誰も言っていない。
そもそも薬というのは風邪薬みたいに飲んで寝ればすぐ快復するようなものでない限り、
完全に効くまでなんどか服用するものである。
…まあそういうことで、寝ててもいつかは起きる。
そんで、起きた人たちは埋葬されているので身動きも取れず、叫んだりすすりないたりえずいたりしていたようで、
民間人からの報告が舞い込み、財団が掘り出しに向かったところ、
埋まっていた541人のうち491人は棺に入れてすらもらえなかったことが判明した。
財団はとりあえず掘り出して記憶処理をして一般社会に復帰させている。
- いっそのこと閉所恐怖症の人のトラウマを突き刺すような表現で書いてみたら面白いのでは -- 名無しさん (2019-12-15 20:49:00)
- 死の終焉ハブはマジで面白い -- 名無しさん (2019-12-15 21:33:32)
- ハブ見に行ったらニッソ共が死もどき売ってる記事あって草 -- 名無しさん (2019-12-16 11:15:37)
最終更新:2023年11月10日 18:11