ヌル(MARVEL)

登録日:2020/02/06 Thu 22:20:41
更新日:2024/01/19 Fri 16:11:10
所要時間:約 5 分で読めます






皆こう言っている…
THEY ARE SAYING…





「神が…
"GOD…

















「神がやって来る。」
"GOD IS COMING."






ヌル」("Knull")とはMARVEL COMICSに登場するキャラクター。
2018年に初登場し、大物ヴィランとして活躍している。


概要

初登場を果たしたのはドニー・ケイツによるVenom誌(2018)。
登場と同時にその壮大なオリジンが明かされ、マーベルユニバースの根幹に関わる設定の数々がお披露目された。ヴェノムに代表されるシンビオートたちとの関連を持っており、彼らのオリジンにも深く関わっている。

「闇」や「影」、「深淵」をテーマに創られたキャラクターであり、他の大物ヴィランたちと比べるとビジュアルが非常に不気味で、よりコズミックホラー的な雰囲気が強い。
"King in Black"(黒衣の王)という異名やその他諸々の設定から言って、クトゥルフ神話を元にして設定がなされているものと思われる。


人物

宇宙が創生以前から生きている虚無の邪神。
世界に満ちる「光」とそれによって生まれた「命」を強く嫌悪しており、それら全てを破壊し尽くして宇宙を元の深淵に戻すことを目的としている。かつてはそのための武器として「死剣オールブラック」を携えていたのだが後に奪われてしまったため、自らの能力を用いて無数のシンビオートたちを産み出し、彼らを率いて「光」との戦争を続けていた。

性格は邪神らしく残虐で傲慢。
基本的には落ち着いた態度をしているが、自らの物を奪われたり辱しめられた際は激怒する傾向にある。一度自らの領域を侵したシルバーサーファーをはるか彼方の宇宙まで追い詰めたほど。特に神々への憎しみがより強いようで、その殺戮への欲求は自らの"子どもたち"であるシンビオートにも受け継がれている。しかし、彼らもヌルによって無理矢理従わされていただけであり、本心では皆が「光」に惹かれていたらしい。

全盛期では無数のシンビオートたちによって構成された惑星(後のクリンター)を拠点としており、そこで彼らの王として振る舞っていた。前述の通り、シンビオートたちの創造神であり、闇から彼らを自在に生み出すことができる。シンビオートたちを統率する存在として、彼らの能力に様々な影響を及ぼすことが可能。
また、シンビオート以外にもエクソロンと呼ばれる似たような種族を創り出したこともある。


容姿

その絶大な力とは対照的に、身体は骸骨にそのまま皮を張り付けたように見えるほど痩せこけている。かなりの大柄であるはずのエディ・ブロックを軽く越えるくらいには背が高い。肌は真っ白で、虚弱であるようにも見える。髪は肩にかかるほど長く、色は銀っぽい白。目は血のように赤く輝いている。
シンビオートたちに似た若干の形状変化能力を持っているようで、時折鋭い牙の隙間から舌を覗かせた不気味な表情を見せることがある。
”生ける深淵”たるシンビオートで構成されていると思われる黒い鎧を身に付けており、胸には赤いドラゴンのシンボルが描かれている。


能力

初登場した直後、ヴェノムと対峙した際のヌルは本調子ではなかった(そもそも自分の肉体ではなかった)ことに留意。

  • セレスティアルズを圧倒、セントリーを素手で真っ二つに引き裂ける腕力。

  • シンビオートの翼を用いた数光年単位の移動。全速力のシルバーサーファーに容易く追い付けるほど。

  • エゴのエネルギーブラスト、サーファーの自爆に直撃しても生還できる耐久性。

  • 不老。少なくとも140億年以上生きているが老いる様子はない。

  • 真空中でも平気でいられる生存力。

  • 闇のエネルギーブラスト

  • 何億年にも渡る戦闘経験。

  • シンビオートを自在に生み出すことが可能。

  • シンビオートとの強いサイキックリンク。集合精神を用いて、遠く離れていても彼らと精神的に繋がることができる。

  • シンビオートへの精神的影響力。自らの意思で彼らを操ったり暴走させたり乗っ取ったり真の能力を解放させることが可能。

大きな弱点を一つ持っており、それは「光」。
ここで言う「光」とは文字通りの明るい光のみではなく、神々の操る不思議な力やパワーコズミックのことも指している。
雷神ソーの操る雷やシルバーサーファーが放つコズミックブラスト、蜘蛛神の眷属であるマイルズ・モラレスが宿す電撃などが例に挙げられ、それらを食らった場合は酷く弱って一時的に行動不能になってしまう。遠隔で繋がっているシンビオートがそれらを浴びた際にもヌルに反動が来る模様。


異名

  • 深淵の帝王(Lord of the Abyss)

  • シンビオート達の神(God of the Symbiotes)

  • 神殺し(God Butcher)

  • 黒衣の王(King in Black)

  • 神の宿主(God-Host)

  • 生ける深淵(The Abyss Made Flesh)

  • 宇宙の魔神(Cosmic Satan)


オリジン

ヌルは宇宙が生まれるよりも前の深淵に満ちた世界に唯一存在していた生き物だった。

彼はその深淵を自らの王国であると捉え、果てしない闇の中で満足を覚えていた。しかし、突如セレスティアルズがそこへ足を踏み入れて、宇宙を創り出した(ビッグバンを引き起こした)ことでその「光」に満ちた世界が彼の闇を塗り潰してしまう。

自らの領域を汚されたことで激怒したヌルは、光によって生まれた自らの影から一本の剣を引き抜く。彼はそれを用いて神々ひいては「世界」そのものとの戦争を始めるが、結局その時は敗北してどこか遠い宇宙に追放されてしまった。

そこでヌルは自らの剣を鍛え直し、再び戦いを始める。無数の神々を屠っていくなかで彼とその剣は世界中で恐れられるようになるのだった。
しかしとある神との戦いの際、ヌルは深手を追ってしまい、気を失っている最中にオールブラックを奪われてしまった。

眠りから覚めたヌルは新たな武器を欲し、自らが深淵から生き物を無尽蔵に創り出すことが可能であることを発見。
彼らは他の生き物と繋がることで力を倍増させることができ、それを知ったヌルは「光」との戦争に彼らを利用することにする。しばらくの後、ヌルはシンビオートで構成された惑星(=自らの王国)を創り出した。

多数のシンビオートによる軍隊を率いることでヌルの侵略は更に進むこととなる。ある日、その魔の手は中世の地球にも及ぶが、雷神ソーがシンビオートに雷を食らわせることで撃退。それによってヌルにも電撃が届いてしまい、彼はシンビオートたちへの精神的繋がりを全て失ってしまう。そしてすべてのシンビオートは彼の統率から外れ、意図しない宿主と繋がっていく。

そうして宿主の心から「光」を学んだことでシンビオートたちは善の心を覚え、ヌルへ反旗を翻すことを決意。ヌルは自らの造った惑星の中心へと引き摺り込まれ、何億ものシンビオートにがんじがらめにされることで封印されてしまう。

邪神によって操られていたことを恥じたシンビオートたちは歴史を改竄し、ヌルの存在を抹消。自分たちは太古の時代から高潔な戦士であった、という嘘の歴史を後世に伝えていくこととなる。


活躍

数百万年後、ヌルはクリンターに封印されている中で深い眠りから少しずつ目を覚まし始める。その影響で世界中のシンビオートたちの精神が不安定に。
ちょうどその頃、地球でS.H.I.E.L.D.が解体された際、氷漬けになった一匹のシンビオートドラゴン”グレンデル”とその欠片が政府によって輸送されていた。欠片たちはドラゴンと違って善の心を持っており、彼らを救出しようとヴェノムが輸送を妨害する。

しかしその時ヌルが欠片を支配下におき、グレンデルを目覚めさせる。目覚めたシンビオートドラゴンはヌルによって操られ、欠片たちを吸収。更にヌルは、グレンデルの最後の欠片”レックス・ストリックランド”と呼ばれるシンビオートを吸収することを目的にし、真の力を取り戻したグレンデルを用いて自らの檻”クリンター”を破壊しようと画策。

しかしそれはヴェノムとマイルズ、レックスによって阻止されてしまい、グレンデルはレックス共々燃え尽きて死亡。計画は失敗に終わる。
操ることのできるシンビオートがいなくなってしまい、ヌルの復活は絶望的かと思われたが、実はグレンデルが生存していたことが発覚。グレンデル・シンビオートはヌルを信仰するカルト教団*1によって回収され、大量殺人鬼クレタス・キャサディの死体と結合する。

クレタスはグレンデルと共に新たなカーネイジとして復活し、ヌルを目覚めさせて世界を終わらせるため、不完全な状態のグレンデル・シンビオートの力を取り戻すことを目的とする。
そのためにカーネイジはまたしても虐殺を繰り広げたが、ヴェノムによって阻止。しかし、カーネイジを殺してシンビオートを奪い取ってしまったことで、エディはヌルが封印されているクリンターを破壊できるだけの力を手にする。

エディは意図せずヌルとの繋がりを完成させてしまい、暗黒の邪神は遂にその封印を解く。ヌルは新たに無数のシンビオートドラゴンたちを生み出し、世界に闇をもたらすための戦争を再開させるのだった。

かつて自らの戦いを邪魔した星に目をつけ、再び滅ぼすために真っ先に地球へと向かうヌル。邪神のもたらす闇はかつてない速度で広がっていく。星をまるごとシンビオートで飲み込んでいくことで「光」を殺すことで、封印が解かれて1年と経たない内に、地球から見える夜空には星々が消え去っていた。


関連人物

カーネイジ
狂気に生きる虐殺の帝王。
色々あってヌルを目覚めさせることを決意し、神の手先として新たに虐殺を始めた。元々は誰かと組んで悪事を働いたり、ましてや他者のために行動を起こすようなタイプの人間ではないはずなのだが、一度ヌルを目覚めさせれば想像を絶する規模での大虐殺を引き起こすことができる、という事実が彼の気を引いたようだ。
計画は結局失敗に終わってエディに殺害されたが、ヌルを目覚めさせて世界を滅ぼす、という彼の最終目標は果たされることとなった。

ヴェノム
憎悪に燃えるリーサルプロテクター。
ヌルの脅威を最初に知ったヒーローであり、彼の復活を阻止しようと何度も立ちはだかる。とはいっても純粋な正義感からの行動ではないらしく、ただお互い(シンビオートとエディ)を失いたくないから、という個人的な感情を優先して戦っているようだ。

・シルバーサーファー
ギャラクタスに遣えるヘラルドの一人。
タイムスリップすることで数億年前のヌル本人と激突し、激しい戦いを繰り広げたことがある。命をかけた決死の一撃で辛くも邪神を打ち負かし、それが原因でシンビオートたちに恐れられるようになった。





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最終更新:2024年01月19日 16:11

*1 ヌルの目覚めによって人格を歪められたスコーンがリーダー。