ファイヤーマン(作品)

登録日:2020/02/13 Thu 22:09:18
更新日:2025/03/07 Fri 19:47:07
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1973年1月7日から7月31日まで日本テレビ系で放送された、円谷プロ制作の特撮テレビ番組。全30話。
同時期に放送された『ウルトラマンタロウ』『ジャンボーグA』に並ぶ「円谷プロ創立10周年記念番組」の第一弾。
3作品の中で先陣を切る作品という事で、唯一タイトルロゴの上に「円谷プロ創立10周年記念番組」の文字が記された。

作品のテーマは「原点回帰」であり、太古の昔に生息していた恐竜が変異した「原始怪獣」の出現がシリーズ通してのコンセプトとして設定。
これは、プロデューサーの円谷粲氏がシンプルな怪獣像を求めたものである。
ウルトラシリーズやミラーマン等には派手さや奇抜さを増した怪獣が多く登場して人気の安定に繋がっていたが、繁氏は「原点回帰を謳う本作に派手なデザインの怪獣は合わない」と判断。怪獣の持つ強靭さや獰猛さを演出するためにシンプルなデザインの怪獣が採用された。
例えば第1、2話に登場したドリゴンとドリゴラスはトリケラトプスが変異した怪獣だが、海から現れて二足歩行で迫ってくる恐竜型怪獣は大迫力で、怖さも感じるほど。
撮影が今までの円谷作品に用いていたスタジオよりも、天井の高くて広い(旧)大映東京撮影所で行われた事もあって、首長竜のような怪獣も複数登場させ、ファイヤーマンを上回る巨大さをアピールする事に成功している。
舞台となる海底遺跡や島、氷山などのセット制作にも非常に力が入れられている。
ストーリーやミニチュアよりも怪獣特撮に力を入れるために、都心などの市街地よりも村を舞台にしたストーリーが多く、どこか牧歌的な風景を楽しむ事もできる。
一方、肝心の怪獣の着ぐるみの出来は他作品の物と比べると低品質で、写真で見ると怖さを感じない。


ストーリーも明解なものが多いが、岸田森氏が脚本を担当した12話『地球はロボットの墓場』のようにかなり実験的な演出を試みた話、
少年と宇宙怪獣の楽しい交流を描いた19話『宇宙怪獣対原始怪獣』もあれば、同じく少年と怪獣の交流を描きながら悲劇の結末となる29話『射つな!怪獣だって友達だ』、超個性派怪獣ハモニガンの登場する24話など、意外と様々なパターンの話を作っている。

アクションシーンがダイナミックな事で知られる。
激しい格闘シーンや水を使ったアクションも多く取り入れられていて、
ジャイアントスイングなどの大技やファイヤーマンがセットに飛び移ったり、抜群のカメラワークもあって非常に見応えがある。

キャスティングは、まず岸田森氏の出演が前提としてあり、そこに多くのドラマ出演経験のある睦五郎氏、初主演となる誠直也氏などが設定された。
誠直也氏は円谷粲氏が写真を見て決めたらしいが、この時は誠氏に強い訛りがある事を知らず、誠氏は睦氏や岸田氏からいじめられていると感じるほどの厳しい演技指導を受ける事になってしまった。

充分に見るに値する作品ではあるのだが、裏番組が「サザエさん」であったために視聴率は低迷。
テコ入れとして、13話から放送時間火曜日の19時30分に変更し、宇宙人や宇宙怪獣なども多く登場するようになったが視聴率の回復には至らず、「円谷プロ創立10周年記念番組」の中で唯一の打ち切りとなってしまった。

とにかく『サザエさん』の牙城を崩すのは容易ではなかったらしく、かつての視聴者の評価は「つまらない」というより「知らない」、または前半のシンプルさからか「よく覚えていない」というものが多かった模様。

しかし、改めて見直してみると、前述のようにシンプルな強大さを追及した原始怪獣やダイナミックなアクション、シンプルが故の明解なストーリーなど現在の私達の視点でも楽しんで見る事のできる、正統派娯楽作品である。


【登場ヒーロー】

◆ファイヤーマン
地底奥深くにある「アバン大陸」から人類を守るためにやって来た正義のヒーロー。
詳しくは該当項目へ。


【登場人物】


地球に迫る脅威に対抗するために結成された政府直属の防衛組織。
全員が各分野に専門的知識を持つ学術集団でもある。
詳しくは該当項目へ。

◆岬大介
演:誠直也
地質学・考古学の深い知識を持つ青年。
その正体は地底からやって来たファイヤーマン。

◆海野軍八
演:睦五郎
SAF隊長。

◆水島三郎
演:岸田森
SAF副隊長。

◆千葉太
演:平泉征(現:平泉成)
工学博士のムードメーカー。

◆葉山マリ子
演:栗原啓子
通信担当の優秀なプログラマー。


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最終更新:2025年03月07日 19:47