SCP-5983

登録日:2020/03/22 (日曜日) 18:28:12
更新日:2024/11/07 Thu 12:15:49
所要時間:約 5 分で読めます






気持ちは分かるけど核爆撃(nuke)はやりすぎじゃない?



SCP-5983はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスThaumiel
メタタイトルは「"ニュー(nuke)"ヨーク、"ニュー(nuke)"ヨーク」。

特別収容プロトコル

以下の通り。

SCP-5983の試験は現在、O5指令によって禁止されています(補遺5983.2を参照)。

…一体何があったのだろうか。Thaumielなのに実験禁止とは何か良からぬ事態の変化があったのか?
しかもO5直々の指令とあってはかなりヤバいのでは?
ひとまずその内容を見てみよう。

概要

SCP-5983は2016年6月にアメリカで発見された、2つの存在の間にある異常な関係である。
単純に言うと以下のようなものであった。



ワイオミング州某郡で起きた爆発の威力がデカいほど

その日のニューヨーク市地下鉄がスムーズに運行する


…いやなんでだ!と誰もが思っただろうが、実際そうだったんだから仕方がない。むしろなぜ発見できたんだ…
財団世界は今日もワケわからんが有益な現象で動いてます。

具体的にどういう方程式に従っているかは分かっていないものの、この関係は上述の様に大体比例的であることが理解されている。
幸い爆破される某郡での安全と情報統制さえ確保すればデメリットがないようだし、発見されてからしばらくは実験が許可されていたようだ。
というわけで以下はこういうオブジェクトの醍醐味である実験記録となる。

補遺5983.1 - 実験記録

以下ではニューヨーク市地下鉄は略称のMTAで表記される。

日付: 2016/06/27
TNT換算での爆発威力: 0.05kt
結果: 統計的な効率の大幅上昇はなかった。しかし、研究員らはMTAのウェブサイトに寄せられた苦情の数が異常に少ないことを指摘した。

日付: 2016/07/02
TNT換算での爆発威力: 0.5kt
結果: 機器の損傷が原因で発生した1つの路線での遅延は、予想よりもはるかに早く解消され、運行の復旧がより早くなった。

日付: 2016/07/13
TNT換算での爆発威力: 1kt
結果: 列車は予定時刻通りに正確に運行され、遅延や前倒しはなかった。

ここまでは問題ないだろう。良い事ばかりだし、3つ目はまさに鉄道事業者にとって理想の状態である。
それはそれとして参考までにTNT1kt=マグニチュード5.24なのだが、同じ郡内で相次ぐかなりの規模の爆発をどう隠蔽しているのかは気になるところ。

日付: 2016/07/23
TNT換算での爆発威力: 2kt
結果: 列車が数分前倒しになった。MTAスタッフはこれを維持するため、ある従業員が自殺しそうな人物を線路から引き離したという積極的な行動をとった。SCP-5983がこの決定に影響したかどうかは不明である。

スムーズになりすぎて定時性が崩壊した。いくら行けるとしても早着早発はいけない。
MTAには自動運行管理システムもあるはずだが、後半の記述からして会社ごとこの数分前倒しを是とするようにSCP-5983が作用したせいで引っかからなかったのだろうか?

日付: 2016/08/01
TNT換算での爆発威力: 3.5kt
結果: 列車は定期的に現実や物理法則を無視し、目的地に素早く到着するように見えた。ある例では、列車は単純に駅と駅の間をテレポートし始めた。その地域の正確なヒューム測定値をカント計数機で取ることが出来なかったが、これは地下鉄の効果による可能性がある。

もう運行管理がどうとかいうレベルではなくなった。スムーズを通り越して運行計画どころか物理法則をブッチしているのに誰も何も疑問に思ってないのか…?
現実改変ではないようなので、SCP-5983は物理法則に直接干渉してくるらしい。
便利っちゃあ便利だけど公共輸送としては如何なものか…時刻表とか信号システムが泣いてるぞ。

というわけでSCP-5983の性質についてはもう十分だろう。もうこれ以上報告書上に詳細に掲載してある実験記録もない。
…ではなぜ特別収容プロトコルで実験が禁じられているのか。
それはこの実験記録部分の最後の行が物語っている。

[292行省略]

明らかに、実験が行われすぎていたのである。

補遺5983.2 - 投票記録

この過度な実験が見つかったのは2018年、発見から1年半以上経ったこの時点で297回もの実験が行われていた。
しかも時には一日に複数回の実験が行われていたことまであったというのだ。
一体誰が命令していて、GOサインも出していたのか…

ともかく、SCP-5983の実験を中止するためにO5評議会による投票が行われた。
その結果が以下である。


賛成: O5-1, O5-2, O5-3, O5-4, O5-5, O5-6, O5-7, O5-8, O5-9, O5-10, O5-11, O5-13
反対: O5-12
     

お ま え か 首 謀 者

で、彼が言うにはだ。

言わせてもらうと、ブロードウェイへの8:30の地下鉄を使ったことがあるなら、君たちも何かを爆破したいと思うだろうよ。



…責めきれない。特に日本に住まうものとしては。
彼はただ、ニューヨークに勤める者の朝をより良くするためにワイオミングを爆破し続けていただけなのだ。
ワイオミング「は?」
というかO5でもラッシュに揉まれて発狂したくなる経験があるんだね。今は全員もっとゆとりある通勤環境をしているだろうけど。


余談

当記事はテーマの発表から48時間以内に記事を投稿する「ジャムコンテスト」の参加作品である。
この記事が参加した回のテーマは「爆発」だった。

O5-12は(ヘッドカノンにもよるが)あのブライト博士の父親、アダムとされることが多い。
SCP-321にてアダムは次席研究員からO5まで昇進してることがわかってるので、その過程でブロードウェイへの8:30の地下鉄で地獄を味わったのかもしれない。

ちょっと文字数が寂しい気もするので、SCP-5983の原因について考えてみよう。
多分以下の4つのうちのどれか。
  • 理由なんてない。ただの不条理。
  • かつてのO5-12みたいにラッシュに揉まれた人たちの怨念が生み出した。
  • 同じようにラッシュに揉まれた(無駄に遠慮がちな)能力者が生み出した。
  • そういう人たちを憐れんだ神とかの上位存在が生み出した。
まあ十中八九一番上だろう。
じゃなかったら日本はじめ各国の都市圏で大量にSCP-5983亜種が発生するはずだから。


追記・修正はラッシュ時の電車の中でお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2024年11月07日 12:15