タルヴィード(黒白のアヴェスター)

登録日:2020/04/18 Sat 20:59:29
更新日:2024/06/10 Mon 15:16:07
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俺にビビったか。ビビったんだよな。ビビったに違いないだろそうだそうに決まっているとも。
つまり俺のほうが強いってことだァ!

よし、よし、逃げたかマシュヤーナ。では追うべきだが、その前にこいつらどうしてくれようか。

俺なら一〇分、いいや七分――

違う七秒で終わらせてやる!




黒白のアヴェスター』の登場人物。

名前の由来はゾロアスター教の悪魔(ダエーワ)タルウィ



プロフィール

種族:人間(?)
性別:男性
身長:178cm
体重:70kg
二つ名:暴窮飛蝗
魔将位階:特級
所在地:暴窮飛蝗アエーシュマ

戒律1:『殲くし滅ぼす無尽の暴窮(ハザフ・ルマ)
戒律2:『殲くし螺旋する熱望の剣(タルヴィ・アストウィーザート)



概要

善なる義者(アシャワン)と敵対する悪なる不義者(ドルグワント)の上位個体『魔将(ダエーワ)』。
善の殿堂『聖王領(ワフマン・ヤシュト)』による位階は準魔王級の特級。現在特級魔将は宇宙に4人存在するとされている。

人物

金髪碧眼に白銀の鎧で身を包み、二本の曲刀を佩いた美青年。
飛蝗内での愛称は「タルヴィ」。

ザリチェードとは対照的に明るく人当りもよく、外見も含めてともすれば聖騎士のように見えなくもない剣士。
しかしその実態は『殺すこと』と『自分が最強であると証明すること』しか頭にない脳筋(バカ)の類。

「自分こそが宇宙最強」と言って憚らないのが飛蝗であるが、強者との戦いに心躍らせる無邪気な一面も有している。
その矜恃から例え何か策を練っている格下相手でも、挑発されれば罠と看破した上で敢えて嬉々として挑発に乗る悪癖を持つ。

ザリチェードとは互いに犬猿の仲で顔を合わせれば言い争い喧嘩し合う程だが、実力は認めている。


来歴

五百年前に現在は空葬圏と呼ばれている星系で大暴れし、住民たちの必死の抵抗で宇宙に追放された問題児の片割れ。
その後、宇宙を放浪している際に魔王バフラヴァーンと遭遇。敗北こそしたもののかろうじて生き延びる。

が、何を間違ったのかバフラヴァーンの『宇宙すべての生き物を殺し尽くし、天上天下に自分こそが最強だと知らしめる』という生き様に共感
魔王の戒律を自身にも課し、同じように宇宙の星々を流離いながら出会った者を手当たり次第に殺して回る惑星破壊サークル修羅の一人となった。


戦闘能力

戦闘においてはその曲刀を振るい、螺旋軌道を描くような戦い方を演じる。
これは後述の戒律による縛りなのだが、矛盾する多重戒律のため普段は劣化した状態になっている。
それでもたった一撃で数百万の義者を殺戮するだけの力を有している。

また、五百年戦い続けたという経験から戦う相手の戒律を極短時間でおおよそ推測し得るなど、こと戦いに関しては頭のキレも良い。
戦闘における才覚も凄まじく、聖王スィリオスが人生を掛けて練り上げた武技すらも戦闘中の僅かな時間で容易く完全模倣してしまった程。


戒律1:『殲くし滅ぼす無尽の暴窮(ハザフ・ルマ)

◎出会った者とは誰であろうと全力で戦わねばならない。
→体力の消耗がない永久機関になる。

暴窮飛蝗に所属する者たちが共有する戒律。
オリジナルを持つ魔王バフラヴァーンが二千年近い年月に渡り活動してきたため、その内容は聖王領にも把握されている。

互いを認識した相手とは虫や草花に至るまで全力で戦わなければならないという重い縛りに対して、戦闘に必ず付きまとうスタミナ切れが起きなくなる=常時全力を発揮できるという恩恵を得られる。
そのため飛蝗を相手に戦う場合、持久戦は下策中の下策となる。

この縛りは必ず相手を殺す必要はなく、現にタルヴィードとザリチェードはバフラヴァーンと一度戦い生き延びている。
加えて同時に認識している相手が複数いるなら中断して標的を変えることも可能。


ただし欠点が複数あり、まず自分を認識していない相手には一切の殺傷が不可能になる。
厳密に言えば、攻撃できないのではなく攻撃した場合は破戒となるため、我力によって非攻撃対象に影響を及ぼさないよう配慮する必要がある。

これはバフラヴァーンの『不意打ちで勝っては自分が相手より本当に強かったのかわからなくなる』という信念に由来しており、どんな弱者が相手であれ尋常に勝負することで自身の強さを証明する必要があるため。
作中では聖王スィリオスが自身の戒律で聖王領の義者たちを強制的に眠らせることで飛蝗の殺戮を回避している。

これに付随して、『自分を意図的に意識から外している相手』にも攻撃できない。
カイホスルーはナダレやフレデリカ相手に暴れているバフラヴァーンを『意味のない背景』と意識的に認識の視界から外すことで無意味な戦闘を回避している。

そしてある意味最大の欠点として『多重戒律と矛盾する可能性が極めて高い』という点がある。
戒律とは己に枷を嵌めることで恩恵を受けるという法則であるため、『全力を出す』と『縛りを設ける』で前提からして致命的に相性が悪い。

特にタルヴィードとザリチェードはどちらも無差別殺傷を目的とした戒律を持っていたところに後付けで『殲くし滅ぼす無尽の暴窮』を追加したため、我力で抑え込んでも片方の発動中はもう片方が著しく劣化するというペナルティを受けている。
ただし破戒は本来であれば死やそれ以上の罰を受けるため、これでも相当に甘い方である。



戒律2:『殲くし螺旋する熱望の剣(タルヴィ・アストウィーザート)

◎自身が行うすべての挙動を螺旋軌道でしか成さない。
→それ(螺旋軌道)による攻防すべての威力や精度が跳ね上がる。

タルヴィード自身が本来持っていた固有戒律。
タルヴィードが本気で戦うに相応しいと感じた相手に使用する。

行動の全てで螺旋を描く必要がある代わりに威力・精度が高まるという曲芸じみた戒律。
「技の種類を限定する」という物理的に重い縛りに加えて、単純バカ明朗闊達な熱血漢であるタルヴィードにとっては、「向いていない遠回りな行動をする」という精神的な縛りを課すことでより効果を高めるという、戒律の使い方において一つの正解の形。

ただしこの戒律は空葬圏にいた頃、つまりバフラヴァーンと出会う以前に己に課した無差別殺戮に特化した戒律であるため、相互認識をトリガーとする『殲くし滅ぼす無尽の暴窮』とは矛盾が生じている。
そのため我力で抑え付けて両立している現在でも、『相互認識した者には限界以上の威力を発揮するが、それ以外の者には効果が落ちる』という変質を起こしている。

いずれは『戦場にいるすべての者の意識を強制的に自分に向かせ、全員を同時に認識することで一網打尽にする』という域で完全な両立を成し遂げることがタルヴィードの目標である。


虚装戒律(パランギーナ)

戒律の中でもごく一部の者にしか為し得ない特殊なものの総称。
期間や条件を限定することで、強力な恩恵をまるで消耗品のようにとっかえひっかえする特殊な戒律。

本来、戒律は自身の信念を天に誓うことで成立させるため机上の空論でしかないのだが、強さへの渇望と無尽の戦意に全てを捧げる飛蝗もまた殺人鬼(ノコギリ)と同様に行使が可能となる。

彼の場合、『相手の技を模倣する→成りきれた分だけ相手の内情も盗み取るが失敗したら自分が死ぬ』という方法で相手から情報を奪い取る、などに用いる。
小学生の『横断歩道の白いところから落ちたら死ぬ』のノリをガチでやるやべーやつ。




余談

名前の元ネタの悪魔タルウィは熱を司る女悪魔であり、聖霊ハルワタートと敵対する。
タルヴィードの“熱”というコンセプトはそこに由来している。


戒律名のアストウィーザートの元ネタは同じくゾロアスター教の悪魔アストー・ウィーザートゥ。
生物の死を司る比類なき悪魔であり、事故死などはこの悪魔によるものだとされる。


正田卿曰く『悪い方に歪んだ熱血主人公』『強い奴は何をしようと陰気臭いものなんか纏わない』





「強い、強くなったなザリチェード。だが覚えておけ、俺の項目のほうが面白い!」

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最終更新:2024年06月10日 15:16