フレデリカ(黒白のアヴェスター)

登録日:2020/01/10 Fri 23:50:53
更新日:2024/03/13 Wed 11:20:53
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はしたないと叱らないでくださいましね。
わたし実を申しますと、お兄様たちを皆殺しにしたいと常々思っておりました。

カイホスルーお兄様はどんな声で鳴くのかしら。

マシュヤーナお姉様の臓物はどんな色で、
バフラヴァーンお兄様の血はどれほど熱いか知りたいのです。

クワルナフお兄様の頭を割り、脳を確かめる想像だけでわたしはもう堪りません。

それに、ああ……ナダレお姉様のすべて!
切り刻みながら丁寧に、残らず食べてさしあげたい……!



わたしと出会ったのだから、

ちゃんと死なないと駄目ですよ。



黒白のアヴェスター』の登場人物。


プロフィール

種族:殺人鬼(ノコギリ)
性別:女性
身長:152cm
体重:44kg
二つ名:殺人姫
魔王序列:四位
所在地:流血庭園バリガー
CV.能登麻美子

戒律:殺人鬼の掟(キラークイーン)



概要

善なる義者(アシャワン)と敵対する悪なる不義者(ドルグワント)の頂点に君臨する絶対悪、『七大魔王』の一角。
善の殿堂『聖王領(ワフマン・ヤシュト)』による序列は四位。与えられた異名は『殺人姫』


外見は金髪に青いドレスを纏う可憐な美少女だが、その実態は胎児でありながら自らを孕む母親を死に追いやり、その肉を喰らって成長した忌まわしき鬼子
その正体は聖王スィリオスとその妻クインの間から産まれた実子。

彼女を胎内に宿したクインは、自らが身籠ったと気付くと同時に、それが自分たちとは異なる悪しき存在であると理解した。
自分たちの常識が通じない、埒外の存在である不義者がおとなしく堕胎されるとも思えず、クインは出征したスィリオスのことを想いながら、留守を預かっていた城のテラスから崖へと身投げし、自らもろとも悪を滅ぼそうとした。

しかしその悲壮な決意すら、未だ自我が芽生えるかどうかであるはずの、位相の異なる怪物の思惑に踊らされたと地面に激突する寸前に知り、クイン――この一連の出来事を同調し観測していた自動人形に名と未練を受け継がれた人間の側のクイン――は絶望の中に人生を終えた。


その後、クインの胎から這いずり出た赤子は、食べやすいぐしゃぐしゃの細かな肉片となった母親を『殺人鬼(ノコギリ)』の性として喰らい成長。
フレデリカの名を冠し、英雄ワルフラーンによって三枠が討伐された七大魔王の後継として、僅か20年の間にその悪名を轟かせるまでに成長した。


人物像

「殺人鬼」という種族は生まれつき理由のない人類種への殺意に人格が支配され、それ以外の感情は希薄であるとされている。
陽気に見える者が多いが、それらの感情はあくまで『殺意』の表現技法に過ぎないとも。

殺人鬼の姫の名を戴くフレデリカも例外ではなく、どころかその殺意の純粋さは他の殺人鬼とは比較にならない。
その純度はそれまで不義者のメジャー種族の一角だった殺人鬼の多くが、彼女の誕生によってアイデンティティの崩壊を引き起こし、消滅あるいは別の種族に鞍替えするほど。
そして逆説的に、彼女の従者たち現役の殺人鬼はどれも高位のそれである。

本人は自らの最初の殺人対象である母を愛していると称し、令嬢然とした振る舞いを心掛けているが、それらの全ては形を変えた殺意に他ならない。
何故なら、母親の亡骸を奈落の底に放置し、その姿こそが美しいと、その味を忘れたくないと考えているのだから。


殺人衝動を根源に持つ虚ろなる姫君は、しかし龍骸星で一人の男に出会ってしまった。

利害や現実といった諸々を無視し、悪への憎悪で剣を振るう凶戦士。
義者でありながら森羅万象を滅却せしめん闇の太陽。


あなた……素敵……どうかお名前をお聞かせください。わたしの名はフレデリ、がばァ――!?


何を笑っていやがる

弁えろよ蛆虫が。呼吸をしていいと誰が言ったーー
貴様は屑だ。貴様は塵だ。いい気分で終われるなどと思い上がるな
絶望しろ苦しみ抜け、惨めに泣き叫んで後悔しながらーー


死ねェーー!


「悪に名乗る必要などない」「百万回再生するなら百億回殺してやる」と言わんばかりにフレデリカの名乗りを完全に無視し、
天井知らずに跳ね上がる呪詛と憎悪と憤怒の嵐と化して自身の損傷すら全く意に介さずフレデリカを鉄塊のような剣で肉塊に変えんと破壊していくマグサリオン。
そんな彼の底なしの凶気を叩きつけられ、それまで伽藍堂だった第四位魔王は「この名も知れぬ男と果てまで踊りたい」という熱を人生で初めて抱いたのだった。


聞いてください――わたし、恋をしてしまいました!

無慙の萌え豚誕生の瞬間。

直後「会合」によってナダレの元に召集され勝負は流れてしまうも、ナダレに苦情を訴えたら逆に「恋をしている」と褒められている。
そして恋は乙女を成長させ、会合後(自分のお世話をしてくれる)部下達の宝石化を解いてほしいとカイホスルーに頼んだ際、彼から交換条件として「バフラヴァーンとクワルナフが斃れるまで殺しあうな(意訳)」と言われ一時は困惑したものの、
「お前の愛する男はそれくらい出来ない男か?」と発破を掛けられ承諾し、3巻ではそれを受けて対クワルナフ戦前にマグサリオンへ一時休戦を申し出(マグサリオンが目的を決めつつあったこともあり)無言ながら剣を引かせることに成功。
またクワルナフが「かつての自分」を思い出し「魔王としての自分」を逆に見失っていた時、「趣味が殺人である自分」を誇り「兄」を叱咤することで、彼の過去と現在を結びつける一助となった。

+ 恋する乙女の最果て
クワルナフが斃れた後、まず最初にクワルナフ相手に一時共闘していたクインと戦おうとするも、なぜかムンサラートがクインを庇い、他の殺人鬼メイド達に応援を頼むも、実はフレデリカよりムンサラート押しだったメイド達は執事の命であっさり離反。
流石に一瞬茫然とするも「いいですよもう」とつぶやき、殺る気満々で向かってきた本命マグサリオンと決戦。
バフラヴァーン・クワルナフとの戦いで「相手を理解して殺す」力を会得してきたマグサリオンに対し、恋した理由とか細かい理屈なんてどうでもいい愛の力で霧レベルに粉砕されながらも殺し愛に陶酔し続け、
ついには胎児だった頃聞いていた歌(元々は聖王の妹ナーキッドの歌)を無意識に口ずさんで彼の殺意をより上げながら、強固な身体になりつつあった凶戦士の首筋に歯を突き立て傷つける程に迫った時、ある風景を幻視してしまう。
…それは、彼女は知らぬがクインも少し前訳も分からず幻視した「ある男と契りを交わす神々しい女性」と「伴侶に愛を…その証たる子を願い抱き合うある女性」。だが2つの風景に映る女性の姿は、なぜか男が違うのに同一の姿。それはすなわち…
そこでフレデリカはある事に気づいてしまい、その幻視が少し前クワルナフの「美」に汚染されぬためクイン共々ムンサラートの視界と感覚共有していた副作用として、大事な事を黙っていたムンサラートを責めるが、
ムンサラートからは逆に「それは自分を使ってきた事への(自分の戒律による)『返し風』」と流され、逆に「運命の糸」を理解し不義者らしい愛を得たフレデリカを「祝福」し、そして運命に翻弄され続けた「奥様」(フレデリカの母クイン)の様子をあざ笑い、なんか父の気分まで味わってハイになって笑い転げる始末。
(なお、実はこの時ムンサラートは2人のクインの根源に連なる「神剣」を「真の主」としており、クインを庇ったのもそのため。なのでさりげなく今の主人フレデリカを「仮の主」扱いしてもいた)
だがそんな執事の醜態を考えるのに邪魔でうるさいとあっさり切り捨て、自分の愛をありきたりな不義者らしいものにせず、この想いを一世一代のものにするため、あえて攻撃を避け破戒
しかも意外にも破戒の代償は「死」ではなく(真我の方針により)「転堕」だったため、最弱となった身体でそのままマグサリオンの剣に貫かれ、「彼にとって訳の分からないもの」として最愛の人の心に残る事を選んだ
また末期の息の中で、「わけの分からん奴ならもう知ってる」と謎過ぎる結末に困惑しながら漏らした彼に対し「ともう一度まみえる」と予言。
愛する男に「大好きな、勇者様」と、そう遺言し果てた殺人姫の謎めいた死に様は、彼女を不倶戴天の敵としていたクインすら何かを感じてしまう程一途で、そしてそこから得られる学びは彼らにとって必要なものになりそうな、そんなものだった…。

…最も執着する男が無意識の内に真我の眼に付くものだったせいで、最後の最後で全てを喪い愛を奪われ絶望の内に死を望んだマシュヤーナは泣いていい。
そして、これが影響したかは定かではないが、マグサリオンは直後自分を何かと眼の仇にしていた「まぬけ」ことサムルークに最期の勝負のための発破をかけ、ボロボロながらもその言葉に奮起し特攻した彼女を抱きしめる様にイラスト付きで刺殺した。




戦闘能力

殺人鬼の習性として殺しの技術を磨くということはせず、自らが殺した人間の下半身を適当に振るって肉縄の鞭にし、その一撃で宮殿ごと湖を消滅させるクレーターを作って星の地形すら変えたり、そこらの鉄骨を剣の代わりにするなど武装に頓着しない。

しかし従者であるムンサラート同様にお気に入りの武器もあり、本気を出す場合には大鎌を振るう。
フレデリカの全霊を乗せて放たれる我力の斬気は、星すら一刀のもとに両断し得る。
この大鎌、フレデリカの武装としてあまりにも大量の殺人を繰り返してきた結果、ただの鎌でありながら後の第四神座における聖遺物のような想念の塊と化している。

加えて魔王として我力も強く、基礎能力こそ人間と変わらず魔王レベルでは弱めだが、彼女の攻撃は方向性を無視するくらいなら可愛いもの。既に捌いたはずの攻撃が再来したり、果ては未来からの攻撃が因果を越えて襲ってくるなど、とかく殺すための攻撃が異常なレベルに達している。


戒律:殺人鬼の掟(キラークイーン)

◎敵が繰り出すどんな攻撃も避けないし防がない。
→それを守る限り不死身。

フレデリカの持つ戒律。
『殺人鬼は不死身である』という性質を極限まで突き詰めた上に我力も上乗せすることで、『どんな攻撃も当たった瞬間に元通り再生する』という異常なまでの修復能力に至った。
攻撃は当たるし、ヒットの感触も確かにある。しかし例えば首を剣で切り裂こうとも、傍目にはまるですり抜けたように誤認するほどの回復速度を誇る。
さらに自身の肉体だけでなく身に纏う衣装さえも無傷かのように復元する強靱な影響力を有する。
フレデリカの全裸を期待した奴はブラナくんに処刑されようか。

また恋に落ちた後初めて「痛みの苦しさ」を実感するも、それすらも恋が実らないよりはましと捉え受け入れることでより再生力は増している。

神座シリーズにおける不死といえば、第四神座の裏存在である黄金の獣修羅道黄金至高天(ドゥゾルスト・ディエス・イレ)が象徴的だが、フレデリカの戒律は創造位階の黄金が率いる戦奴(エインフェリア)をも上回り、神格を除いた人としての括りなら全時代でも最高峰の不死性を誇るという。



虚装戒律(パランギーナ)

戒律の中でもごく一部の者にしか為し得ない特殊なものの総称。
期間や条件を限定することで、強力な恩恵をまるで消耗品のようにとっかえひっかえする特殊な戒律。

本来、戒律は自身の信念を天に誓うことで成立させるため机上の空論でしかないのだが、殺意以外の全てが虚ろなフレデリカを含む殺人鬼は例外的に行使が可能となる。

彼女の場合、『数日間普通の食事(ゲテモノ喰い)を許容する→特定の義者の外見や記憶の全てを奪う』という偽装の他に、『2秒間の盲目→攻撃が距離すらも無視して必中』『1秒間小指しか使えない→攻撃が急所を抉る』など、戦闘でも多種多様な虚装戒律を利用する。



流血庭園バリガー

魔王フレデリカの居城及び殺人鬼達の本拠地。
千人ほどの軍隊を収容できる広さの庭を持つ、壮麗な佇まいの城。
元々はかつての英雄ワルフラーンとも縁のある、善側の聖域でもあったという。
かつて母クインが夫から留守を預かり、そして現在はフレデリカたち殺人鬼100人足らずを封印するための牢獄となった。
庭園内では多種多様な不義者の花が咲き乱れている。

『分離の法』という、自身の命を代価に対象を異次元に放逐する封印の秘儀によって通常の次元とずれた位相に追放されたが、術式が未完成だったために完全な封印には至らなかった。
そもそもここに封印されているフレデリカやムンサラートの我力を以てすれば、今すぐにでも脱出は可能なのだが、どこでもない=どこにでも繋がるという神出鬼没の性質が殺人鬼の行動指針にとっても都合がよいため、庭園を本拠地と定めている。

生と死の想念が一定レベルを超えて飽和し煮え立つ、この世の地獄のような場所と『橋』が繋がった時、殺人鬼たちが現れその地の人類種を鏖殺し尽くす。
そのため死に誘惑されるような未熟な戦士が流血庭園や殺人鬼を知ると呼び込みやすくなるという危惧から、聖王領では情報統制が敷かれている。


ちなみに一回あたりにおける最高キルスコアは配下の88人の殺人鬼が三時間で八億人殺していて、フレデリカも数億単位の人間の虐殺を繰り返して複数の人類社会を絶滅させている。
これにはシュライバーも真っ青



余談

禍々しくも可憐な外見ながら、クインの述懐などを加味すると地球時間基準で20歳ほどである。

他キャラと違い戒律名がゾロアスター教由来でないように見えるが、名曲『キラー・クイーン』を作詞作曲したフレディ・マーキュリーの両親はパールシー(インド在住のゾロアスター教徒)である。
名前もフレディ由来であるなら、light関連作品で変質的な愛を抱く水星(マーキュリー)はニート、ロリコンに続いて3人目。

マキナ幕引きの鉄拳を喰らった場合どうなるかについては、正田卿の言及がないため現状は不明。
読者の間では『七大魔王は夜都賀波岐と(戦闘力は)同格』という評価から大獄状態でのマッキースマイルなら有効という意見と、幕引きはハイドリヒ卿にも有効ということからマッキーパンチでもフレデリカを倒せるのではという意見、そのどちらからでも蘇生するという意見で割れている。

正田卿曰く『めちゃくちゃ強いロリを書きたい』『計算高さ・腹黒さが売りの小悪魔にはなれない、童話の登場人物のような浮遊感や透明感ゆえの怖さ』





wiki篭りの愛が永遠のものとして残るように。ああ、なんて素晴らしい追記と修正――これほどの絆がどこにあります。

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最終更新:2024年03月13日 11:20