飛頭蛮(地獄先生ぬ~べ~)

登録日:2020/05/21 Thu 19:49:20
更新日:2024/02/07 Wed 23:10:44
所要時間:約 4 分で読めます




「ぬ~べ~」で紹介する妖怪は日本だけのものとは限りません

読者からのファンレターの中にも 海外の妖怪ももっととりあげてほしいという手紙も多く寄せられています

今回「ぬ~べ~」で取り上げるのは…はるか昔に海を超えて日本にやってきた妖怪です

あなたは…これは一体何だと思いますか?


ぱた ぱた
                                                         ぱた ぱた





地獄先生ぬ~べ~』に登場する妖怪。単行本9巻収載「はばたきハゲ頭の巻」に登場。

【概要】

古代中国の「捜神記」に記された妖怪で「落頭民」とも呼ばれる。男の頭が耳を翼にして車より速く空を飛び虫を喰らうという。
交易を通じて何代かに一人は先祖返りを起こすらしい。童守町では「はばたきハゲ頭」の名前で噂が立っていた。

【正体】

その正体は童守町で「かばのパン屋」を営む気のいいおじさん。
元KGBの殺し屋みたいな恐ろしい顔だが、子供ぬ~べ~達のリクエストに答えガメラパンリツコ先生のヌードパンなどを焼いてくれるとてもいい人。

しかしおじさんが飛頭蛮として活動しているのを見たまことは怯えてかばのパン屋を避けるようになってしまい、ついには虫入りパンの幻覚まで見てしまう。
おじさんには妻とまことそっくりな子供がいたが彼女らも怯えて家を出て行ってしまったという。

【顛末】

ぬ~べ~とまことは夢遊病の症状があるというおじさんを除霊する事に。
その際おじさんの首がネジ切れて飛び出す様はトラウマもの。

ぬ~べ~はおじさんの首に銅板でフタをし、戻れなくなった首を浄化。
おじさんは人間の魂のほうが遥かに強いので死ぬ事はなかった。

その後、誤解をしていたまことをおじさんは快く許し、妻子も彼のもとに戻ってきた。
恐らくぬ~べ~が浄霊の成功を報告したのだろう。


飛頭蛮は今ではほとんど現れる事はありません
それでも 時々は現れる事があるのです

もしかしたら あなたの町にも飛頭蛮がいるかもしれませんよ


【余談】

冒頭にもある通り、このエピソードの内容は一般の読者から寄せられた怪談を基としたものとなっている。
ただ、文庫版で明かされた裏話によれば、当の怪談に登場する怪異の名称は「はばたきハゲ頭」ではなく「チョンチョン」という感じのものだったらしい。
……というのも、当の読者が寄せた怪談が特定の個人もしくは人種に対する誹謗中傷目的のものである可能性が最後まで拭えなかったらしく、
結局脱稿寸前のところで怪異の名称を「はばたきハゲ頭」に書き換える羽目になったという。

実際のところ「チョンチョン」という名前の妖怪は、南米パタゴニア地方の先住民マプチェ族に伝わる実在の伝承であり*1
人間の胴体から離れた首の怪物、何らかの理由で再結合できないと死ぬという言い伝えは『ぬ~べ~』に登場した飛頭蛮と全く同じであることから、
恐らくは怪談を寄せた読者もたまたまチョンチョンの伝承を知っただけで、何ら悪意は無かったものと推測できる。
とはいえ、漫画が連載された1990年代当時はまだインターネットも発達しておらず、妖怪の資料も現代ほど充実してなかったことから、
作者がチョンチョンという妖怪の伝承が実在するか否かについて明確な裏付けが取れなかったのも仕方ないと言えるだろう。



追記・修正はリツコ先生のヌードパンを食べながらお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 地獄先生ぬ~べ~
  • 栗田まこと
  • はばたきハゲ頭
  • 飛頭蛮
  • パン
  • パン屋
  • KGB
  • 強面
  • 人は見かけによらない
  • 人情話
  • 妖怪
最終更新:2024年02月07日 23:10

*1 日本語訳された資料では、2019年に刊行された書籍『南米妖怪図鑑』(ロクリン社)にて掲載が確認できる。