はばたきハゲ頭の巻(地獄先生ぬ~べ~)

登録日:2020/05/21 Thu 19:49:20
更新日:2020/05/26 Tue 00:54:50
所要時間:約 4 分で読めます




「ぬ~べ~」で紹介する妖怪は日本だけのものとは限りません

読者からのファンレターの中にも 海外の妖怪ももっととりあげてほしいという手紙も多く寄せられています

今回「ぬ~べ~」で取り上げるのは…はるか昔に海を超えて日本にやってきた妖怪です

あなたは…これは一体何だと思いますか?


ぱた ぱた
                                                         ぱた ぱた





地獄先生ぬ~べ~』の第72話。単行本9巻収載。

【ストーリー】

はばたきハゲ頭

耳を翼にして顔だけで夜パタパタと飛ぶ
車より速く地上から2mくらいのところを飛んでいる


童守小の低学年達に、そんな噂話が広がっていた。
ぬ~べ~は否定するが、彼の頭に野球ボールがぶつかり……

わ―――い はばたきハゲ頭がいっぱいー


……茶番もそこそこに、ふとぬ~べ~が目にしたのは幼い子供達が押し寄せる一軒のパン屋さん。
郷子によると、最近出来た店で、店主が子供好きで優しいため人気なのだという。


さあ 一口アンパンが焼けたよ 一個十円だ


笑顔で子供達にパンを配る、恐ろしく厳つい顔をしたハゲ頭のおじさん。
買い食いとはけしからん、KGBの殺し屋みたいだとぬ~べ~は憤る。


くださいなのだ!


そのパン屋を、まことが訪れた。
おじさんがまことに渡したのは、特製ガメラパン。
どうやらパンのリクエストも受け付けているようだ。

満面の笑顔で対応するおじさんにすっかり気を許したか、ぬ~べ~はリツコ先生のヌードパンを注文。
ぬ~べ~ェ……



その夜、習字の塾帰りで遅くなってしまったまことが薄気味悪い路地を走っていると……


そこには、耳を翼にして飛び、電柱の灯りに集う虫を喰らうパン屋のおじさんの首が!
まさしく噂に聞こえたはばたきハゲ頭だ。
その目は焦点が合っておらず、ただでさえ恐ろしい顔にますます拍車をかけている。

一目散にその場から逃げ出し、翌日ぬ~べ~に一部始終を伝えるまこと。
太り過ぎのコウモリじゃないのか?」と取り合わないぬ~べ~を尻目に、みんなに伝えようとするまこと。
だが、商売の邪魔になるとぬ~べ~はそれを遮る。


みんなよくあんな店で買うのだ……
あのパンにはゆうべの虫が入ってるかもしれないのに……


見つからないように走り抜けようとするまことだったが、運悪くおじさんに呼び止められてしまう。


まことくんどうしたんだね 待ちなさい


楳図かずおばりのホラー画風でまことを追うおじさん。
おじさんはまことに機関車型パンを渡すが、よほどはばたきハゲ頭が怖かったのか幻覚で虫入りパンに見えてしまう始末。

それからというもの、毎日まことは店の前を走り抜けるようになってしまった。
見かねたぬ~べ~がおじさんに話を聞いた所、おじさんにはかつて妻とまことそっくりの息子がいたが、その妻子はおじさんの夢遊病が気味悪いと言って出てしまったのだという。

おじさんのうなじに痣があるのを発見したぬ~べ~。まさか……


その晩、明け方4時頃。
ぬ~べ~はまことと共にパン屋のおじさんの寝室を訪れ、夢遊病を治すことにした。
酒を一口飲み、すぐに寝付くおじさん。すると間もなくして……


めりめりめり ブチッ


おじさんの首が高速回転してねじ切れ、耳を翼にして宙に舞い上がった!




思ったとおりだ こいつは……飛頭蛮

飛頭蛮は古代中国に伝わる妖怪で、『捜神記』には落頭民として記されている。
その部族はやがて交易を通して日本にも入ってきた。そして何代かに一人はこうして先祖返りを起こす者がいるという……


高笑いしながら窓から飛び出すおじさんの首。
飛頭蛮を倒すには、銅板で首にフタをすればいいのだという。
そして夜明けとともに帰ってきた首は、身体に戻れず呻き出した。
おじさんは人間の魂の方がはるかに強いため、飛頭蛮の魂だけを浄化することが出来た。

翌朝、おじさんに妖怪だと思っていた事を詫びるまこと。
おじさんはまことに新しく作り直した機関車パンを渡し、ぬ~べ~に礼を述べた。


その時、おじさんの下に妻子が帰ってきて、涙の再会を果たしていた。
ぬ~べ~が浄霊の成功を連絡したのだろう。



飛頭蛮は今ではほとんど現れる事はありません
それでも 時々は現れる事があるのです

もしかしたら あなたの町にも飛頭蛮がいるかもしれませんよ


【余談】

冒頭にもある通り、このエピソードの内容は一般の読者から寄せられた怪談を基としたものとなっている。
ただ、文庫版で明かされた裏話によれば、当の怪談に登場する怪異の名称は「はばたきハゲ頭」ではなく、もっと別のものだったらしい。
……というのも、当の読者が寄せた怪談が特定個人に対する誹謗中傷目的のものである可能性が最後まで拭えなかったらしく、
結局脱稿寸前のところで怪異の名称を「はばたきハゲ頭」に書き換える羽目になったという。



追記・修正はリツコ先生のヌードパンを食べながらお願いします。

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