登録日:2020/05/31 (日曜日) 23:40:00
更新日:2025/03/07 Fri 07:53:38
所要時間:約 7 分で読めます
ロックアップは、
猿渡哲也による漫画作品。
掲載誌はグランドジャンプ。
全4巻。
概要
傑作格闘漫画
タフ・シリーズで有名な
猿渡哲也による
プロレスを扱った作品。
真剣勝負としてのプロレスではなく、現実に則したエンターテイメント・ショーとしてのプロレスを真正面から描いている。
地方のマイナーなインディーズプロレス団体『あかつきプロレス団』の社長兼プロレスラーである主人公・サムソン高木が、自らの信念の元、ボロボロの身体に鞭を打ってリングに立ち続ける姿を描く。
普段はどことなくニヒリズムを感じる暗い展開が多い猿作品には珍しく、比較的コミカルで明るい作風が特徴。(まあその分主人公の設定が重たいんやけどなブヘヘヘ)
ストーリーもプロレスという軸でしっかりと纏まっており非常に熱く引き込まれる、
隠れた名作と言える。
巻数も少なく猿先生お得意のゴア描写も他と比べて比較的マイルドなので、これから猿作品を手に取ろうと考えているなら本作か「傷だらけの仁清」あたりがオススメ。
(チャレンジャーなら「Rūnin」「ZIG」「GOKUSAI」「あばれブン屋」辺りから攻めてもいいっスよ)
というか本編だけで100巻以上も出てるタフ・シリーズはつくづくえげつないっスね。
ただ初心者向けとはいえ猿先生のエッセンスは遺憾なく発揮されており、ヤクザや殺人犯や娼婦が当たり前のように出てくるのは序の口。
猿作品お馴染みの「なにっ」「しゃあっ!」の応酬や"PC書き文字"フォント、小学生みたいな横文字のネーミングセンスもキッチリ完備しているため、猿成分欠乏症に陥る心配はないと考えられる。
◆登場人物
あかつきプロレス団
サムソン高木
「満身創痍の暴君」
本作の主人公。熱海の弱小インディー・プロレス団体「あかつきプロレス団」を運営する社長にして現役プロレスラー。
本名は高木虎ノ介。「たかぎ」ではなく「たかき」と読む。
「末期癌を患っている満身創痍のレスラー」という設定でリングに上がっているが、実は設定などではなく
全て事実。
他にもヘルニアや変形性肘関節症など、全身に大小様々な爆弾を抱えながらリングに立つ。
不器用な性格だが人情家でお人好し。身体の検査のついでに入院している子供達のお見舞いもしている。なんだかんだ地元でも愛される人気者である。
しかし運営する団体の経営は火の車でガマ親分など様々な方面に借金を抱えており、金貸しに返済を待ってもらう際の
土下座はもはや堂に入っている得意技状態。
元々は国内屈指の人気団体『新世紀プロレス』の正統派イケメンレスラーだったが、
自分が原因で相手レスラーに怪我をさせてしまったことを気に病みベビーフェイスを引退、ヒールレスラー『極悪大魔王ザ・グレート・SAM』に転向した。
私生活にまでヒールを徹底した結果、後輩へのシゴキまで過激化してしまい流血沙汰になったこともあるなど、まっすぐ過ぎて極端な男。
プロレスについては「客を沸かせてナンボの商売」というポリシーを持ち、常人なら激痛で立つことすら出来ないほどボロボロの状態でもリングに立つタフガイを超えたタフガイ。
タフって言葉はサムソンのためにある。
外見のモデルは思いっきり
武藤敬司。本人公認のツイートもある。
名前の元ネタはインディーズ団体の社長兼レスラーである高木三四郎、癌で亡くなったサムソン冬木のミックスと考えられる。
余談だが、顔や身体がタフシリーズの方でやたら
コピペされて使い回されている。
良いんスかこれ
大空ウミ
「バトル・シンデレラ」
本作の(一応の)ヒロイン。あかつきプロレス団の紅一点。
猿作品ではかなり珍しい、格闘シーンが描かれている女性キャラ。
実は高木の実娘で、本名は蒼井ウミ。
母と自分を捨てた高木を憎んでいたが、彼の人柄に触れ母の言う通りの人だと察して和解。
その後は父と共にプロレスラーとして活躍するようになった。
美人故かファンも多く、熱心なファンクラブが存在する。
バーバリアン松井
あかつきプロレス団所属。
素手で7人を殺害し警察官に射殺された父と、
殺人鬼で獄中出産の果てに死亡した母の間に生まれる。
殺人衝動を制御できず、幼少期から暴行を繰り返し地元の不良数十人を病院送りにしてきた、怪物を超えた怪物。
本人は破壊を望んでいないが衝動には抗えず、合法的に相手を痛め付けられるプロレスによって辛うじてその衝動を抑えている…
…という設定をサムソンから与えられた格闘オタクのレスラー。両親も普通に健在で、公務員の真面目な父と専業主婦の母というごく普通の家庭で育つ。
しかしリング上でその設定を頑なに守り続けるうち、本当に怪物の如くド派手な試合を繰り広げるタフなプロレスラーへと成長していく。
ちなみに4ページに渡ってやたら気合を入れて描かれたこのキャラ設定だが、演出も含めて完全に
タフ名物「
悲しき過去」のセルフパロディ。
松井本人はこれに対して
「格闘クソマンガにありがちな設定」とドン引きしていた。
貴様ーッ 猿先生を愚弄する気かぁっ
ファット・シーマンダー
「メガ豚」
あかつきプロレス団所属。
元力士で、200kg近い巨体に
モヒカンがチャームポイントのレスラー。
試合でどうしてもやりたい技がある事をサムソンに相談するが…
新世紀プロレス
如月翔
「美しすぎる野蛮人」
日本屈指の有名団体『新世紀プロレス』のスター選手。
元々は新世紀に所属していた頃の高木の後輩で、彼からちゃんこを無理やり食べさせられるなどの激しいしごきを受けていた。
その影響か高木が懸念する程に後輩を厳しくしごいており、骨折までさせてしまうなど苛烈な性格をしている。
モデルはコスチュームから推測するに、
オカダ・カズチカか棚橋あたり。
GJプロレス
和田アキ男
元総合格闘家のプロレスラー。
総合に居た頃のプライドが抜けず、まだまだプロレスという文化圏に馴染めていない。
そのため不必要に打撃もキツく、エンターテイメントを標榜するプロレスラーとしてはまだまだ一流とは言い難い面がある。
(自分からセメントを仕掛けに行った自業自得とはいえ)サムソンに顎をカチ割られたり、
オフに腕自慢の大学生に「しゃあっ!」と不意討ちされてネットで晒されたりと受難が尽きない。
最後はサムソンと有刺鉄線バットによるデスマッチを行う。
モデルは名前的にまあ十中八九アッコさんだろうと思われるが、小林まことの漫画「1・2の三四郎 2」に登場する赤城欣市がモデルとの説もある。元ネタと比べても明らかに劣っているんスけどいいんスかこれで・・・。
後藤
GJプロレスの社長。
「起死回生の策」として高木に有刺鉄線バットのデスマッチを持ちかけられるが…
その他
ガマ親分
猿漫画名物・ヤクザの組長。アキ男の伯父にあたる。
ただしあくまで地域密着型の地元ヤクザ。いつもの裏社会の大物だとか影の総理ではない
熊田正人
サムソンの大学時代の学友。柔道オリンピックの強化選手で、同じくレスリングのオリンピック強化選手だった高木とは仲が良かった。
その際、教師にバレないように
"精力絶倫にして不死身のマスクマン"「紅・珍太郎」としてサムソンとプロレスの試合を行っていた。
ちなみにサムソンの方のリングネームは
"変態星より飛来した変態王子"「スペルマ・カケル」。
…学生プロレスで
下ネタリングネームはむしろ鉄板のお約束とはいえ、完全に中学生レベルっスね。忌憚のない意見っス。
藤森社長
地元の海産物などを一手に仕切る「藤森水産」の若社長。
気が弱く自分に自信が持てなかったのだが、自分と正反対のウミの豪快なプロレスを観戦して一目惚れし、デートを申し込む。
いかにも二代目のボンボン…といった風体に反して、性根の真っすぐな善人。
追記・修正するってえのは絵空事のような幻想を語る事じゃない。
ボロボロでも歯ァ食いしばって立ち向かっていく姿を見せることなんだ。
- 如月翔の「美しすぎる野蛮人」という二つ名が好きなんだ -- 名無しさん (2020-06-01 01:38:44)
- あかつきプロレス団の面々の活躍は正直もっと見たかったんだ。団員全員の悲しき過去のお披露目も悪くないと思ったんだ -- 名無しさん (2020-06-01 06:26:37)
- ドーピングを肯定したり、独特の価値観を持った者の目線からつづられている感じがする。「あかつき」というのはあばれブン屋で主人公が務めていた新聞社も同じ名前だったな -- 名無しさん (2020-06-01 08:29:29)
- 作品を真摯に紹介しつつマネモブっぷりも忘れない、はっきり言ってこの項目は良項目だ! -- 名無しさん (2020-06-01 10:59:29)
- 掲載誌はヤング•ジャンプじゃなくてグランド•ジャンプだろうがよえーっ! -- 名無しさん (2020-06-01 11:25:50)
- いきなり「あばれブン屋」を勧めるのは鬱すぎて危険なんだ 悔しいだろうが仕方ないんだ -- 名無しさん (2020-06-01 12:12:56)
- ↑確実に精神的耐久力が上がって読める漫画の幅が広くなるというメリットが期待できる。地獄を見せる愛情もあるんだ -- 名無しさん (2020-06-01 13:52:51)
- これとGOKUSAIが初心者向けと考えられる -- 名無しさん (2020-06-03 07:49:01)
- 猿濃度が高すぎる毒狼を初心者にいきなり勧めるのはルールで禁止スかねブヘヘヘ -- 名無しさん (2020-07-22 23:23:31)
- ↑猿展開のツボは押さえてるけど、おふざけシーンが一切無いある意味異端の作品なんだよね。 -- 名無しさん (2020-07-30 13:10:52)
- 「痛い攻撃を痛くなさそうに見せるのが格闘技の技術、痛くない攻撃を痛そうに見せるのがプロレスの技術」は至言だと思うッス -- 名無しさん (2020-08-30 17:36:20)
- 弟子に虐待同然の鍛錬かまして、その弟子が同じ事やってたら文句言うとかサムソンは割りとクズだと考えられる -- 名無しさん (2020-08-30 17:40:24)
- 有明「ヤクザを会場に入れるの止めろよ、入れたら如月が無断欠場するからな」→サムソン「ヤクザ親分をアキ男のセコンドに付けましたから問題無いです」。ここは本気で猿先生が何考えてるか不思議に思うんだ、問題解決してないじゃねぇかよえーーーーっ! -- 名無しさん (2020-10-02 16:03:17)
- 選手のセコンドになったからには、ヤクザのようでヤクザではないということだ。モンキー・ブレインのIQはゆで・たまごに匹敵するんだ -- 名無しさん (2020-10-02 21:50:12)
- 如月翔の後輩シゴキは読んだ時正直ドン引きしたんだよね。美談的な感じに最後まとめてたけど、ぶっちゃけ無理矢理過ぎると思うんだ -- 名無しさん (2021-02-13 22:48:03)
- 読み終えた。猿漫画の履修兼ねてネタ半分で読み始めたのに終わった時はサムソンのプロレス人生に涙が出てたわ -- 名無しさん (2021-06-01 20:57:01)
- 1話の選手紹介シーンにケビンがいないんだけど、この後に入ったんスかね? -- 名無しさん (2022-04-04 23:52:18)
- ↑3 ただ描写としては結局肯定も否定もしてないんだよね 猿先生なりのリアリズムなんだ -- 名無しさん (2022-05-05 11:52:01)
- 如月の虐待は、やられた時とやった時で違いを描いてる。過去には居なかった止める人物と逃げて受け入れてくれる人物。だから、如月は自分がやらかしてもバックアップがいると思ってたし。潰してしまってもバックアップがソイツを助けて自分を殺すって信じてた。 -- 名無しさん (2022-09-11 19:19:38)
- この項目では和田アキ男が元ネタの赤城欣市より(多分格闘家として)明らかに劣っていると書かれてるけど、彼女からDVで訴えられてフェードアウトの向こうと違ってレスラーとして一皮剥けたからこっちの方が未来があるんだ -- 名無しさん (2023-01-18 22:42:07)
- 猿先生の作品はタフみたいなバトル漫画よりこの作品みたいな一話完結の人情話の方が好き -- 名無しさん (2023-03-02 23:19:47)
- スキンヘッドの設定の伏線が予想外だし、和田がのちにコアなヒールに転向するのもなっとくな最後で良作 -- 名無しさん (2023-04-05 14:28:15)
- この作品で初めて猿作品に触れたけどフツーに面白かったっす 忌憚のない意見ってヤツっす -- 名無しさん (2023-06-23 04:08:58)
- 「経営の厳しいインディーズプロレス団体が興行を行う」あらすじ書くとこれで終わっちゃうんだけどすごく面白いんだよなぁ…… -- 名無しさん (2024-02-11 18:29:32)
- ラストシーンが泣ける サムソンは最後まで駆け抜けたんだなって… -- 名無しさん (2024-04-25 17:33:31)
- サムソンとアキ男 -- 名無しさん (2024-07-05 19:16:21)
- ↑途中で送っちまった。サムソンとアキ男の試合も最高だけどその前のシーマンダーとパンサーの試合とか如月戦も名勝負なんだ。レスラー同士の信頼が素晴らしいんだ。 -- 名無しさん (2024-07-05 19:18:12)
- ケビンについてはフリーか海外インディ団体の選手でオファーがあったからスポット参戦したと考えられるんだ -- 名無しさん (2025-01-31 08:31:32)
- 1話がちょっと汚いので入りにくいのが本当に惜しい難点っスね 忌憚の無い意見ってやつっス -- 名無しさん (2025-02-05 22:07:40)
最終更新:2025年03月07日 07:53