終わる世界とキミとぼく

登録日:2020/07/18 (曜日) 19:00:01
更新日:2024/06/02 Sun 18:34:30
所要時間:約 12 分で読めます







生きねばならない。この終わりゆく世界で。



終わる世界とキミとぼくとは、illuCalabから公開されているスマホゲーム。
PC版の公開が告知されていたが、2020年9月末にはSteamにてDL販売が開始されている。


概要


「終わる世界とキミとぼく」は、テキストベースの終末サバイバルアドベンチャーゲームです。
 しかし、そこに待っているのは避けられない死の世界。
 なけなしの食料をやりくりしながら、拠点を作り、崩壊した世界を旅して、
 道具を加工して身を守り、正気を保ちながら、なんとか二人で生き抜いていく、そんなゲームです。
 そうしていくうちに、きっとあなたはこの世界に何が起きたのか、
 そして何が待っているのかを知ることになります。そして、唯一生き残るためにあなたは──。
(公式サイトより抜粋)

公式サイトにおけるジャンル表記はアドベンチャー。
実際にプレイしてみると「ローグライトサバイバルゲーム」と言ったところだろうか。
その中身は極めて鬼畜度の高いサバイバルアドベンチャー。突然死、餓死、事故死なんでもござれのプレイヤーを本気で殺してくる容赦ないシナリオのオンパレードである。その理不尽さはゲームブック並。
ランダムで発生するイベントをプレイヤーの行動如何でいかにいなしていくかというプレイ感は、どちらかというと麻雀に近い。展開の一例をあげれば、

  • スタート直後に負傷、それが治らず食料も見つからず死ぬ
  • 他の生存者に食べ物を分けようとしたら根こそぎ食べ物を奪われる
  • 食料を野犬に奪われヒロインが発狂。発狂したヒロインに殴り殺される
  • 体制も整わぬ間に雨に濡れ、穴の開いた天井から落ちて死ぬ

なんて悲劇が頻繁に発生する。しかもセーブもないので最初からやり直しである。
四番目のような不運イベントは一定の確率で発生し、

  • 「主人公の体力極大減少」/「二人の精神小減少+被曝
  • 主人公の精神減少、ヒロインの体力が小減少」/「ヒロインの精神特大減少」
  • 「主人公の体力特大減少+病気」/「ヒロインの体力特大減少+重症」/「特定アイテム所持二人の体力大減少
といった究極の選択を迫られることとなる。

攻略のコツをつかめば多少は緩和されるが、それでも引きが悪ければあっさり死ぬ運ゲーである。ちなみに引きが良すぎても[[ネズミ]]で死ぬ
スムーズに拠点Lv3まで行ければある程度余裕が出てくるが、そのために必要なアイテムの入手も運次第なので結局運ゲーである。
完全に高難易度と通り越した理不尽ゲーとなっているが、その鬼畜難易度が終末世界の雰囲気と絶妙にマッチしており、本作の独特の魅力を醸し出す元ともなっている。

公式からもSNS上で攻略情報の共有を積極的に行うことを強く推奨しており、理不尽難易度もある程度意図されたものであることがうかがえる。情報を集めても死ぬことには変わりないが


システム


  • 体力
最大100。探索する度にイベント次第で5減少だったり40減少だったりする。0以下になった瞬間問答無用で死ぬ。
基本的には一日の終わりに食料を消費した休息でのみ回復する。「水」を飲むランダムイベントでも回復することはある、が……。

  • 精神
いわゆるSAN値。具体値は可視化されず「健康」「不安」「危険」「錯乱」「発狂」というおおまかな区分で表記される。
「錯乱」「発狂」の段階でデメリットが生じ始める。「発狂」時は色々と愉快なことになるので嫌でも見ると思うが一度は見て頂きたい。
回復しにくい割に不意のランダムイベントでごっそりと消し飛ぶので「危険」「錯乱」に入ったら注意が必要。

  • 腕力
瓦礫をどかす、障害物を破壊するなどのイベント成否に関わる。ランダム探索でダンベルを拾うと日の終わりに成長する。
この能力値を使うイベントの多くが「鍵」「刃物」「ハンマー」などの安全な正規解決手段があるので、特定一か所の突破を除いて正直重視されない。

  • 知識
ものごとの知識量の深さが問われるイベントに関係する能力値。充分に高いと、勝手にマイナスイベントを回避してくれたりもする。
腕力と異なり、こちらは低いと拠点拡張やストーリー進行がままならない重要パラメータ。100まで上げても一切損はない。

  • 状態異常
+ 状態異常の一例
ケガ 体力回復半減。日の終わりに確率で体力-10。救急箱があれば自動使用して回復。
この状態でさらにケガのランダムイベントを追加で受けたり、食事を不用意に抜いたりすると下記の重傷まで悪化する。
病気 体力回復半減。日の終わりに確率で精神ダメージ。防寒具(毛布など)なしでランダムイベントの冷たい風に吹かれると発生。
こちらもアフターケアを怠ると重症化。
重症 体力の自然回復消失。ケガや病気からこれへと悪化する。本作最大の事故要員。確率でたまに回復するが頻度は高くない。
以前は復帰できないと削れ死濃厚だったが、現在では病院にさえ行って運が良ければ治療可能なため、まだリカバリーは効く。
地図取る前に溺れて重症化した? うん、諦めて再スタートしよう
空腹 体力回復半減。日の終わりに確率で精神ダメージ。
食料を「半分だけ食う」や「食わない」を選ぶと確率で発生。食料1消費で確率で治療。
確定治療にならないのが地味にいやらしい。備蓄に余裕があっても運が悪いと簡単に溶かされる。
被曝 体力の上限が減る。終末世界なので文明圏のライフラインはほぼほぼ汚染されている。1回2回ならまだ表出しないが、回数を重ね過ぎると……
発狂 精神ダメージが限界化すると文イーハトーブ章が支離滅ラよ、トラ裂よ!になり
。るすケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケ、に的終最
なお当然ながら正常な判断が不可能になるため、一部イベントが発生しなかったりデストラップ化する罠もある。

  • 探索
ランダムでアイテム入手かランダムイベントが発生する。一部のイベントは条件次第で確定発生になる*1
イベントは手持ちのアイテム次第で内容が変化するものも少なくない。一例を挙げれば海岸のカギ→錆びたトランク等。
キーアイテムなしでも腕力で強引に突破できる場合はあるが、大抵はケガや体力消費などで余分なリソース消耗を伴う。
体力が底をついていても「探索せずに時間帯だけを進める」ことは拠点関係の行動でしかできないので、衰弱死を回避できなくなる状況に注意が必要。

  • 拠点
木片か鉄片1つ消費で解禁される。体力回復量増加や探索頻度強化など重要な効果を持つ。
拠点拡張 手持ちの素材を消費して拠点を強化する。最大Lvは4。Lv3以降はある程度の知識が要求される。
加工 手持ちの素材を加工・合成する。1種類制作につき時間帯1つを消化する。
指定した組み合わせのアイテムがあればあるだけ可能な限り全て製作に回す。
海藻や鹿肉は貯めこんでから一括消化すると行動回数を節約できる。

  • アイテム
入手できるアイテムのおよそ1/3は使い道のないフレーバーアイテムである。
一方で序盤は一切役に立たないが、中盤以降がその需要が急増するようなアイテムも少なくない。
+ 登場アイテムの一例
名前 簡単な説明
食料 一日の終わりに食べる食事。
1個の半分、つまり0.5個分だけ食べることもできるが、その場合回復量が減って空腹に陥るリスクが生じる。
救急箱 ケガ・重症・病気を回復する。何かの拍子にケガや重症化は珍しくないため、常に予備が欲しい必需品の一つ。
問題は病院まで安定入手の目途が一切立たないことと、ケガの段階でも一日の終わりに勝手に使って治療してしまうこと。
食料リュックで初期支給されるため、これを選択する上での数少ない利点でもある。
ナイフ 手頃な刃物。イベントや拠点拡大の各種トリガーになるため、これ一つで立ち回りが大幅に楽になる。
そのため初期支給されるツールバッグ選択が通常プレイでは鉄板になる。
丈夫な鉄片 素材。拠点関係で要求される。やや調達しにくい。
下記の木片と違って拠点Lv3からは出番がなくなるので空気化する。
丈夫な木片 素材。拠点関係で要求される。三日目の夜に固定探索はあるが、やや調達しにくい。
鉄片と異なり、焚き火の加工素材となるのでいくらあっても困らないのがポイント。
海藻 食材。知識がちょっとあれば拠点での加工選択肢に出てくれる。
入手しやすく、加工で一括に食料化できるので大変扱いやすい。
長い棒 加工素材。だが持ってないとあるランダムイベントで大変困るので常に1本はキープしたい。
でも加工先も「釣竿」「ハンモック」「ナギナタ」と大変優秀なのでそこも悩むところ。
動かないラジオ 加工素材。「動かない」だけであって壊れているわけではないのがポイント。
早期に正常稼働させられると後々までじわじわ効いてくる。
壊れた傘 加工素材。Ver1.0.6から追加。回避が運任せだった件のイベントを確定回避するアレを作れる。
間接的な知識ブーストも兼ねるため、ラジオと同様の理由により入手が序盤であればある程恩恵が大きい。
携帯ゲーム機 一日の終わりにマチコがプレイして精神ダメージ回復効果を受ける。
カバン選択時の初期支給以外ではほとんどお目にかかれないレアもの。
効果も悪くないが燃費は劣悪。すぐに機能停止するのが困りもの。
猟銃 武器。「猟銃の弾」が別途必要になるが、ほとんどの敵を仕留めることができる。
鹿を狩るのがオススメ。ただしこれがある状況でもメンタル次第では攻撃失敗で返り討ちに終わることがある。
爆竹 武器。猟銃の銃声にも逃げないのに爆竹の火花で逃げ出すバケモノがいるらしい
加工元素材の液体は、別に要求箇所があるので使いすぎると後で困る。薬品を使いたい。
フライパン 調理器具。拠点をマシな料理ができる状態まで改善していくれるすごいやつ。
ただし知識はある程度要求される。ネズミに怯える必要がなくなるのが一番うれしい。
REX計画書 意☆味☆不☆明の文字列が長々と書いてある謎文書。なんと知識100カンストでも解読できない。
解読と内容の実行には色々と面倒くさい手順が要求される。特に銀のアレが初見では盲点。



登場人物


  • ぼく
主人公。言動を見る限り小・中学生程度らしい。
最初はモヤシだが腕力・知識が上がってくるにつれ、暴徒の群れからカツアゲ返ししたり、山の稜線から新たな場所への経路を把握したりするハイパーボーイ。でも英語は不得手
錯乱・発狂時のシステムメッセージは必見。ぶっちゃけ狙わなくても何度も何度も見る羽目になるがな!

  • マチコ
ぼくのクラスメイト。身のこなしが軽いがカナヅチ。
あまり頭のよろしくない行動が目立つ割に、全文英字の外国サイトを余裕で完訳できるという何なのお前ガール。
発狂するとダメージ30というお前腕力100ぐらいあんじゃねーのという王者の拳をぼくにプレゼントしてくれる。

  • 男女の旅人
こちらを視認しただけでヒャッハー!してくる作中随二の畜生コンビ。スルー安定。
こいつらに猟銃の弾をブチ込みたいんですが実装されませんかねッ!

  • 生存者の集団
たまに現れては食料を恵んでくれと頼み、そして食料を分けてあげようとするとヒャッハー!してくることがある半チンピラ集団。
ただし害悪ド畜生アベック共と異なりこっちは重要人物。襲われて返り討ちにできないと食料全損のリスクはあるが、知識が十分にある状態だと後々…?
彼等との交流を深めていくことはアチーブメント達成項目の一つに含まれる。

  • コタロウ
野良犬。「ぼく」が昔飼っていた犬に似てるらしい。
化物がそこらを闊歩し、食料確保もままならない終末世界をフリーダムに活動するスーパードッグ。
この犬とのコミュ完了はアチーブメント達成項目の一つにカウントされる。
同じ作者の別ゲーム「魔法の女子高生」でも同名の犬が登場する。

病院で拾える種から生えてくる花。育成にはランダム探索で拾えるプランターが必要。
最初は可愛いものだが次第に食虫植物みたいなやべー様相を呈してくる、本作きっての癒し要員。いやマジで。
完全開花はアチーブメント達成項目の一つにカウントされる。

  • ネズミ
げっ歯類。本作最大にして随一の真性害悪要員。寒さに弱いんだから絶滅しとけよマジで
食料が大量にある状態だと、拠点を襲撃して食料全損・拠点Lv初期化とかいうリスタート級の致死リソースダメージを与えてくる。
初期選択のリュックが地雷扱いされる最大の理由であり、拠点Lv3到達までは常にこいつの影に怯えることになる。

  • ミュータント
緑色の肌をした怪物。ゾンビにさえなりそこねた人間の成れの果てらしい。
マチコを腕の一振りで真っ二つにするデタラメなパワーを持つ。普通の武器を使った真っ向勝負ではまず勝ち目がない。



探索エリア


  • 始まりの海岸
危険度:低
スタート地点。知識10まではここで足止め不可避となる。3日目夜に拠点用の木材イベが確定発生する。
事故率はまだ低めだが汚染水や虫などの初見殺しが多い。ランダムイベでのケガは正直絶許だが
食料や必需素材が集まりやすいので最後まで重要な探索エリア。とはいえ発展性は低いのでさっさと図書館へ行きたい。


  • 崩れた図書館
危険度:中
ランダム地図経由で追加。場所が場所だけあって本が大量に集まるため、知識がものすごい勢いで伸びる。
キーアイテムのフライパンや猟銃が取れるので重要だが、初回の探索で大量に食料が取れるのでネズミ対策との兼ね合いが難しい。
エンディングには直接関与しないが「本作の世界が今どうなっているのか」を知るイベントが多数発生する。これもアチーブメント達成項目の一つ。

  • 焼け落ちた病院
危険度:大
ランダム地図経由で追加。死体やゾンビばっかりで大変気が滅入る廃病院。
頻度の高い救急箱、必須品の実験キットや花を初めとして重要なアイテムが数多い一方、回復しにくい精神ダメージ発生のイベントばかりで探索リスクも甚大。
ハンモックや焚き火なしだとSAN値直葬で簡単に錯乱コース。ある程度は覚悟を決めて潜る他ない。
Ver1.0.5からは1度だけ高確率でここの探索で重傷を回復できるようになった。慈悲。いやだからって特に理由のない冷風で気軽に重症化させるのやめやがれください

  • 荒れ果てた山
危険度:中
病院のパンフレット経由で追加。地理的には活火山に分類されるらしい。
食料(野生動物)の宝庫だが、この期に及んでデストラップもちらほら。精神ダメージを回復するイベントが多い。
猟銃で無双可能だが補給しにくい残弾の管理には注意。知識も足りない時にクマとうっかり出くわすと泣くしかない。

  • 汚染されたプラント
危険度:大
工場。知識が十分にあると山の探索時に開通する。
そこらじゅうが汚染水や放射性物質だらけの上、消費アイテムなしでは撃退困難なミュータントが徘徊している危険区域。
被曝リスクがどうしようもないので回避に手番がゴリゴリ削れるが、最重要アイテムのバイクや計画書はここにしかない。
最奥の探索では他に手はないため腹を括るべし。

  • 忘れられた学校
危険度:中
知識が十分にあると山の探索時に開通する。
人間は誰もいない無人の校舎。代わりにゾンビと幽霊の群生地。回避に手番が(ry
腕力強化のダンベルが嫌になるくらい大量に集まるが、プラントの扉突破に困ったのでもなければ正直今更感が半端ない。

  • 囚われの公園
危険度:大
プラントの探索を進めていくと開通する。
「うごめくもの」たちが徘徊する、終点への最後の障害。強行突破の手段がなければ話にもならない。
探索しても何もないので、基本的にはさっさと通過するだけのエリア。犬イベントの結末はここになる。

  • バベル
危険度:終
公園を抜けた先にある場所で、人類最後の砦となる高層ビル。一応はこの旅路の目的地。
ここを「探索」すると強制エンディングとなるので、その意味では一番の危険地帯。何か「やり残したこと」はないだろうか?




生存日数: 59日

死因:書いてた項目の内容を保存せずに閉じてしまってシャットダウン(物理)

HINT
適切なプレビューとバックアップを行えばメンタルが重症になる可能性は著しく低くなる



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最終更新:2024年06月02日 18:34

*1 三日目夜の木材イベ、図書館初回探索のクーラーボックスなど